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弥生
エニシダ・マフィア(全2話)
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【特別編:エニシダ】
街のとある喫茶店。
元1年2組のメンバーで、女子会をしていた。
ファッションやモデルの話題で盛り上がっていたが、いつの間にか学校の美女についてへと路線が切り替わっていた。
原因は不明である。
リリー「やっぱりぃ、1組だった長谷川さん可愛いよねぇ~。」
リリーが挙げた長谷川とは、杏姉のことだ。
美浦「分かる~!ちっちゃくて可愛いよね~!守りたくなっちゃう!」
ぎゅ~っと、自分の所持する鞄を抱き締める美浦。
涼香「トンッと押しただけでも倒れちゃいそうだね」
涼香は呟き、カプチーノに口を付ける。
目を閉じると、長いまつ毛の存在感がより高まる。
涼香「あの子の澄んだ瞳、すっごく綺麗だよね~。お部屋に飾りたいな。」
リリー「あはは~、茉愛ちゃんも同じ事言いそぉ~。」
カプチーノの水面を見つめる涼香に、リリーは微笑みかける。
...あれ?
リリーの返事でスルーしそうになったけど、なんか狂気じみたこと言わなかった?
リリー「杏姉ちゃんの声、私すきだなぁ~。透き通っていて、うっとりしちゃうよぉ。」
杏姉の声を思い出したのか、耳たぶを触り目を閉じている。
クレ「だよねだよね!歌声もお色気がある感じで美しかったな~。」
カラオケで聴いた杏姉の歌声。
選曲もそうだが、クリアボイスとウィスパーボイスの使い分けが上手かったのを覚えている。
ちなみに、彼女の歌声を聴けることはあまりないらしい。
クレ「でもなにがすごいかって、あの子メイクしてないって事だよね。」
クレのその発言に、美浦と涼香は「えっ」と、硬直した。
リリー「そうだよぉ、なのにお目目ぱっちりしてるよねぇ。」
美浦「う、嘘...あれでノーメイクだって言うの...?」
涼香「あの白いお肌も...そのもの?」
衝撃を受ける美浦と涼香。
美浦は、震える両手でカップを持ち、ドリンクを口にした。
美浦「...そうねぇ、あんなにも美しいんだもの。きっと、お部屋とかも清潔なんだろうなぁ。」
杏姉のプライベートの姿を想像する。
4人とも、お上品な姿を思い浮かべるばかりだ。
涼香「あぁ~、確かにねぇ...。」
彼女の部屋には、是非とも一度は入ってみたいところだ。
一方その頃杏姉は。
机の上に散乱したプリントや教材、小物等の数々。
それらの前に一人、呆然と立ちすくんでいた。
杏姉「...え~と、どれから手をつけましょうか...。」
なかなか手付かずだった片付けを、やっとの思いで乗り出そうとしていた。
...そう。
乗り出そうとしているだけである。
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
エニシダの花言葉には、清楚や清潔、豊穣があります。
彼女から漂う清楚な雰囲気に周りは魅了されますが、そんな彼女からは感じられないようなお部屋事情が存在するんだとか...。
まさに、他人の思い描いた私的の人物像は、所詮幻想に過ぎないと言ったところだ。
因みにエニシダには、謙遜、卑下と言った別の花言葉もあります。
出演者(五十音順)
杏姉 ...「アルスの日常」より
クレ ...「Life's」より
涼香 ...「モシモシカミサマ」より
美浦 ...「ナタモチ」より
リリー ...「電脳戦士の理」より
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
【マフィア】~電脳戦士の理~
人で賑わう商店街に、突如として現れた真っ黒なリムジン。
黒スーツを身にまとい、サングラスをかけた謎の男性達が、どこからともなくぞろぞろと現れ、リムジンの扉の前へと並ぶ。
赤いマットが敷かれると扉が開き、オレンジ色の髪を持つ女性が降車する。
地に足がついたのを合図に、男性達は一斉に腰を折り、彼女に敬意を示す。
パルムース「あのさ、洗剤買いに来ただけなんだけど。」
私の斜め後ろにつく使い人のミヤコに呟く。
ミヤコ「いえ!パルムース様の身にはいつ、どこで、なにが降りかかるか...油断はできません!」
ミヤコは堂々たる強い口調で話す。
ミヤコ「これだけのSPがいれば、パルムース様の身を確実に守れるはずです!」
パルムース「マフィアに思われるよ、ちょうど今日その日だし。」
一向に頭を上げない彼らの前を通る私とミヤコ。
パルムース「付き添いなんてあなただけでも十分なんだけど」
ミヤコ「ぱ、パルムース様...。」
柄でもない事を言った結果、ミヤコはなんか感銘を受けている様子。
そこまで深く沁みることなのかね。
パルムース「そもそも私一人でも来れるけどさ」
愛嬌を抹消し、ぞんざいな一言を放つ。
ミヤコ「それはリスクが高すぎます!」
パルムース「なにの?」
街のとある喫茶店。
元1年2組のメンバーで、女子会をしていた。
ファッションやモデルの話題で盛り上がっていたが、いつの間にか学校の美女についてへと路線が切り替わっていた。
原因は不明である。
リリー「やっぱりぃ、1組だった長谷川さん可愛いよねぇ~。」
リリーが挙げた長谷川とは、杏姉のことだ。
美浦「分かる~!ちっちゃくて可愛いよね~!守りたくなっちゃう!」
ぎゅ~っと、自分の所持する鞄を抱き締める美浦。
涼香「トンッと押しただけでも倒れちゃいそうだね」
涼香は呟き、カプチーノに口を付ける。
目を閉じると、長いまつ毛の存在感がより高まる。
涼香「あの子の澄んだ瞳、すっごく綺麗だよね~。お部屋に飾りたいな。」
リリー「あはは~、茉愛ちゃんも同じ事言いそぉ~。」
カプチーノの水面を見つめる涼香に、リリーは微笑みかける。
...あれ?
リリーの返事でスルーしそうになったけど、なんか狂気じみたこと言わなかった?
リリー「杏姉ちゃんの声、私すきだなぁ~。透き通っていて、うっとりしちゃうよぉ。」
杏姉の声を思い出したのか、耳たぶを触り目を閉じている。
クレ「だよねだよね!歌声もお色気がある感じで美しかったな~。」
カラオケで聴いた杏姉の歌声。
選曲もそうだが、クリアボイスとウィスパーボイスの使い分けが上手かったのを覚えている。
ちなみに、彼女の歌声を聴けることはあまりないらしい。
クレ「でもなにがすごいかって、あの子メイクしてないって事だよね。」
クレのその発言に、美浦と涼香は「えっ」と、硬直した。
リリー「そうだよぉ、なのにお目目ぱっちりしてるよねぇ。」
美浦「う、嘘...あれでノーメイクだって言うの...?」
涼香「あの白いお肌も...そのもの?」
衝撃を受ける美浦と涼香。
美浦は、震える両手でカップを持ち、ドリンクを口にした。
美浦「...そうねぇ、あんなにも美しいんだもの。きっと、お部屋とかも清潔なんだろうなぁ。」
杏姉のプライベートの姿を想像する。
4人とも、お上品な姿を思い浮かべるばかりだ。
涼香「あぁ~、確かにねぇ...。」
彼女の部屋には、是非とも一度は入ってみたいところだ。
一方その頃杏姉は。
机の上に散乱したプリントや教材、小物等の数々。
それらの前に一人、呆然と立ちすくんでいた。
杏姉「...え~と、どれから手をつけましょうか...。」
なかなか手付かずだった片付けを、やっとの思いで乗り出そうとしていた。
...そう。
乗り出そうとしているだけである。
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
エニシダの花言葉には、清楚や清潔、豊穣があります。
彼女から漂う清楚な雰囲気に周りは魅了されますが、そんな彼女からは感じられないようなお部屋事情が存在するんだとか...。
まさに、他人の思い描いた私的の人物像は、所詮幻想に過ぎないと言ったところだ。
因みにエニシダには、謙遜、卑下と言った別の花言葉もあります。
出演者(五十音順)
杏姉 ...「アルスの日常」より
クレ ...「Life's」より
涼香 ...「モシモシカミサマ」より
美浦 ...「ナタモチ」より
リリー ...「電脳戦士の理」より
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【マフィア】~電脳戦士の理~
人で賑わう商店街に、突如として現れた真っ黒なリムジン。
黒スーツを身にまとい、サングラスをかけた謎の男性達が、どこからともなくぞろぞろと現れ、リムジンの扉の前へと並ぶ。
赤いマットが敷かれると扉が開き、オレンジ色の髪を持つ女性が降車する。
地に足がついたのを合図に、男性達は一斉に腰を折り、彼女に敬意を示す。
パルムース「あのさ、洗剤買いに来ただけなんだけど。」
私の斜め後ろにつく使い人のミヤコに呟く。
ミヤコ「いえ!パルムース様の身にはいつ、どこで、なにが降りかかるか...油断はできません!」
ミヤコは堂々たる強い口調で話す。
ミヤコ「これだけのSPがいれば、パルムース様の身を確実に守れるはずです!」
パルムース「マフィアに思われるよ、ちょうど今日その日だし。」
一向に頭を上げない彼らの前を通る私とミヤコ。
パルムース「付き添いなんてあなただけでも十分なんだけど」
ミヤコ「ぱ、パルムース様...。」
柄でもない事を言った結果、ミヤコはなんか感銘を受けている様子。
そこまで深く沁みることなのかね。
パルムース「そもそも私一人でも来れるけどさ」
愛嬌を抹消し、ぞんざいな一言を放つ。
ミヤコ「それはリスクが高すぎます!」
パルムース「なにの?」
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