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小鳥遊ミツル編
白い闇、揺らめいて
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✿
「おはようございますー!」
翌日。唯はいつもと変わらぬ笑顔で和己と帆影に、笑いかけた。
その瞳の下には、薄らとクマが残っている。
それでも、いつも通りを演じる唯に、和己も帆影も『いつも通り』を返す。
「おはよー、唯ちゃん!」
「はよ。」
「今ご飯用意するね~!白米と食パンがあるけど、どっちがいい~?」
空元気を振りまく唯に、痛々しさすら感じながら和己は気だるげな声で「白米」と答える。
きっと、彼女の悩みの種を取り除く事は出来ない。
そう和己は分かっていたのだ。
——ふと、今になって思う。
この時、その種を放っておいてしまったから。
知っていたのに、その違和感に気が付かないフリをしたから。
だから、この種はやがて毒の華を咲かせてしまったのだろうか。
そんな事を、この時の和己は知る由もない。
今は目の前で、健気に笑っている少女を見ている事しか出来ない。
いずれ、その無力さを呪うと知りながら。
「そういえば、今日の夜は見回りの当番だから唯ちゃんも空けといてね~」
朝食を取りながら、帆影が台所にいる唯に声をかける。
「見回り……。うん、分かった!」
巡回当番が回ってくるのは、和己が暴走した時以来だ。
唯と和己のトラウマになってしまったのでは無いかと心配してくれた治が、わざと順番を変えてくれたのだ。
唯も和己も、帆影も絆が深まり、段々と一緒にいる時間が増えている。
今ならきっと、何があっても大丈夫とそう治が判断したのだろう。
それがなんだか、唯は嬉しかった。
(少しずつでも、信用されてる……のかな?)
そうだったら嬉しいな、なんて笑みを零しながら、残ったおかずをラップで包む。
久しぶりに回ってきた、自分の役目。
——無事に、皆の役に立てますように。
そんな祈りは、天に届くよりも前に粉々に打ち砕かれる。
✿
四月よりも、少しだけ日が出ている時間が伸びた。
とは言っても、十九時を回れば直ぐに夕闇が襲い、辺りは暗くなる。
「やっぱり、まだ外は少し寒いね……。」
早めの夕ご飯の後、唯は和己達と共に街に繰り出す。
騒ぎが起きていたり、人気のない道に人間が迷い込んでいないかなど、しっかり周囲に目を配る。
今日のメンバーは、唯、和己、帆影そしてミツル。あの時と同じ顔ぶれだった。
三十分ほど徘徊すると、先頭を歩いていたミツルの足がピタリと止まる。
小さな子供達が通う、市立の小学校前の校門。
固く閉ざされた門の中には夜の学校が不気味なオーラを纏って佇んでいる。
突然立ち止まったミツルの背中に帆影の鼻がぶつかった。
いてっ、と鼻を抑えながら帆影はミツルの顔を覗く。
「どうしたのさ、ミツル?」
「……妙だ。」
ミツルは暗い面持ちで、そう呟いた。
どんな意味か分からず首を傾げる唯に、ミツルはこの街の異常を話す。
「大抵、日が落ちれば妖達は活発化する。だから普段、夜になると街は妖力に包まれるんだ。……でも、今日はその妖力が感じない。」
街に潜む妖は、良い妖もいれば悪い妖もいる。
邪気に苛まれ、悪霊と化した妖を救うのが高天原荘にいるミツル達の仕事だ。
そんな仕事を一年以上も続けていたミツルが、眉間に皺を寄せているのだ。相当な緊急事態なのだと唯も何となく察する。
「でも、それっていい事なんじゃ……?」
「いーや、結構ヤバいね。そもそも妖と人間ってのは、随分昔にある協定を結んだんだ。お互いの生活には干渉しないようにしましょ、っていう協定をね。何でか分かる?」
唯の言葉に、帆影が質問をする。
……協定?それがあるなら、確かにもう人間と妖が争い合う必要は無い。
なら、そもそもなぜそんな協定を結ぶまでになってしまったのか。
「——妖を滅ぼしかけた人間達を、災いが襲ったんだ。」
帆影の言葉に、唯は目を見開く。
(どういう、事……!?)
「妖っていうのは、そもそも世界に必要な存在だから、今も現存している。それは人間も同様にね。でもそのどちらか一方が極端に少なくなったら……世界の均衡が崩れ、世界は災厄に見舞われる。」
「そう……だから妖は必要以上に人を殺してはいけない。その逆もまた然り。でも今は……。
——誰かが、その均衡を崩す勢いで妖を滅している。」
ミツルの言葉に、帆影が続く。
ああ、それは確かに異常事態だと唯は確信した。
だって、その言葉を聞いた瞬間ミツルの先に闇が蠢いていた。
果たして、闇とはどんな色をしているのだろう。
禍々しい黒だと、そう誰かは言うかもしれない。
ならば、その真反対に属している白という色は、果たして光なのだろうか。光足りうるのだろうか。
唯はふと、そんな疑問を浮かべる。
ミツルの先にゆらりと揺らぐその闇は、ゆっくりと近付いてくる。
(どうして……?——どうして皆は気付かないの……!?)
唯に説明をする為に、背を向けているから?
気配に敏感な和己ですら、その視線を上げず唯の顔を覗いている。
まるで、時間が止まったかのように。
おぞましいその闇は、唯の心臓の音に合わせるように一歩、また一歩と足を動かす。
背筋が凍りつく。空気が無くなるみたいに、息が出来ない。
指先の感覚が無くなって、小刻みに震える。身体中の汗が、一気に吹き出るような感覚。
逃げなくちゃ。みんなに伝えなくちゃ。
——それなのに、声が出ない。
その刹那、闇と目が合ったような気がした。
闇はにたりと不気味な笑みを見せる。ぞくっと、身体中の毛が逆立った。
(お願い……声、出て……!皆に言わなくちゃ……!)
猛獣でも、お化けでも、ホラー映画に出てくるような殺人鬼でも無い。
なのにガクガクと足は子鹿のように震える。
まるで、永遠にも思える時間の中で闇はこつん、こつんと唯達に近寄ってくる。
本能は逃げろと、赤く信号を発しているのに身体がソレについていかない。
(声……声、声……!!)
もしも、唯がその時の事を表現するならばきっとこう言うだろう。
闇に色は無い。黒だと決めつけたのは、人の心がそれ程までに汚れていたせいだ。
でもきっと。世の中には、穢れのない闇だってある。
その闇は、——清々しいくらいに真っ白だった。
「————……っ、皆、逃げてーーーっ!!!!」
心臓が爆発しそうなほどの大声。
唯の声に、和己達ははっと目を見開き振り返る。
その瞬間、目の前まで迫っていた白い闇は、こう唱えた。
「——急急如律令。」
誰よりも早く妖化していた和己が、刀を抜いてミツルの前に出る。
切っ先にぶつかったのは、何かの光。緑色に光った謎の閃光は、パチッと音を響かせながら夜の空気に舞う。
瞬きほどの時間に起きた出来事に、帆影は動揺を隠しきれなかった。
(何だ、今の……!?唯ちゃんが声を上げるまで気配にすら気が付かなかった……!)
目の前の白い闇に、異常を感じたミツルも、一瞬で妖の姿に変わる。
天狗のお面がきらりと月光の前に晒された。
「誰だ!?」
ミツルが声を張ると、白い闇の中から微かに笑い声が聞こえてくる。
「くっ……はっ、ははははは!」
陽気に笑うその声に、唯は唾を飲んだ。
唯の瞳に映っていたのは、全身白い服に身を包んた男二人。
片方は、まるで月の光を染み込ませたような金髪のくせっ毛男。片方は、夜の闇をまとったような黒髪の男。
二人とも、唯達と同じくらいの歳に見える。
先程楽しげに笑っていたのは、金髪の男だった。
ひとしきりミツル達を笑い飛ばした後、ふう、と深呼吸をする。
「僕達が誰か、だって……?そんなの、決まってんじゃん!」
ああ、どうして今まで忘れていたのだろう。
妖と相容れぬ存在。人間の中で唯一、妖を屠れるのは、彼らだけだというのに。
黒髪の男は、凍りつくような鋭い視線を向けて、自らをこう名乗った。
「俺達は妖を滅ぼす者。——陰陽師だ。」
「おはようございますー!」
翌日。唯はいつもと変わらぬ笑顔で和己と帆影に、笑いかけた。
その瞳の下には、薄らとクマが残っている。
それでも、いつも通りを演じる唯に、和己も帆影も『いつも通り』を返す。
「おはよー、唯ちゃん!」
「はよ。」
「今ご飯用意するね~!白米と食パンがあるけど、どっちがいい~?」
空元気を振りまく唯に、痛々しさすら感じながら和己は気だるげな声で「白米」と答える。
きっと、彼女の悩みの種を取り除く事は出来ない。
そう和己は分かっていたのだ。
——ふと、今になって思う。
この時、その種を放っておいてしまったから。
知っていたのに、その違和感に気が付かないフリをしたから。
だから、この種はやがて毒の華を咲かせてしまったのだろうか。
そんな事を、この時の和己は知る由もない。
今は目の前で、健気に笑っている少女を見ている事しか出来ない。
いずれ、その無力さを呪うと知りながら。
「そういえば、今日の夜は見回りの当番だから唯ちゃんも空けといてね~」
朝食を取りながら、帆影が台所にいる唯に声をかける。
「見回り……。うん、分かった!」
巡回当番が回ってくるのは、和己が暴走した時以来だ。
唯と和己のトラウマになってしまったのでは無いかと心配してくれた治が、わざと順番を変えてくれたのだ。
唯も和己も、帆影も絆が深まり、段々と一緒にいる時間が増えている。
今ならきっと、何があっても大丈夫とそう治が判断したのだろう。
それがなんだか、唯は嬉しかった。
(少しずつでも、信用されてる……のかな?)
そうだったら嬉しいな、なんて笑みを零しながら、残ったおかずをラップで包む。
久しぶりに回ってきた、自分の役目。
——無事に、皆の役に立てますように。
そんな祈りは、天に届くよりも前に粉々に打ち砕かれる。
✿
四月よりも、少しだけ日が出ている時間が伸びた。
とは言っても、十九時を回れば直ぐに夕闇が襲い、辺りは暗くなる。
「やっぱり、まだ外は少し寒いね……。」
早めの夕ご飯の後、唯は和己達と共に街に繰り出す。
騒ぎが起きていたり、人気のない道に人間が迷い込んでいないかなど、しっかり周囲に目を配る。
今日のメンバーは、唯、和己、帆影そしてミツル。あの時と同じ顔ぶれだった。
三十分ほど徘徊すると、先頭を歩いていたミツルの足がピタリと止まる。
小さな子供達が通う、市立の小学校前の校門。
固く閉ざされた門の中には夜の学校が不気味なオーラを纏って佇んでいる。
突然立ち止まったミツルの背中に帆影の鼻がぶつかった。
いてっ、と鼻を抑えながら帆影はミツルの顔を覗く。
「どうしたのさ、ミツル?」
「……妙だ。」
ミツルは暗い面持ちで、そう呟いた。
どんな意味か分からず首を傾げる唯に、ミツルはこの街の異常を話す。
「大抵、日が落ちれば妖達は活発化する。だから普段、夜になると街は妖力に包まれるんだ。……でも、今日はその妖力が感じない。」
街に潜む妖は、良い妖もいれば悪い妖もいる。
邪気に苛まれ、悪霊と化した妖を救うのが高天原荘にいるミツル達の仕事だ。
そんな仕事を一年以上も続けていたミツルが、眉間に皺を寄せているのだ。相当な緊急事態なのだと唯も何となく察する。
「でも、それっていい事なんじゃ……?」
「いーや、結構ヤバいね。そもそも妖と人間ってのは、随分昔にある協定を結んだんだ。お互いの生活には干渉しないようにしましょ、っていう協定をね。何でか分かる?」
唯の言葉に、帆影が質問をする。
……協定?それがあるなら、確かにもう人間と妖が争い合う必要は無い。
なら、そもそもなぜそんな協定を結ぶまでになってしまったのか。
「——妖を滅ぼしかけた人間達を、災いが襲ったんだ。」
帆影の言葉に、唯は目を見開く。
(どういう、事……!?)
「妖っていうのは、そもそも世界に必要な存在だから、今も現存している。それは人間も同様にね。でもそのどちらか一方が極端に少なくなったら……世界の均衡が崩れ、世界は災厄に見舞われる。」
「そう……だから妖は必要以上に人を殺してはいけない。その逆もまた然り。でも今は……。
——誰かが、その均衡を崩す勢いで妖を滅している。」
ミツルの言葉に、帆影が続く。
ああ、それは確かに異常事態だと唯は確信した。
だって、その言葉を聞いた瞬間ミツルの先に闇が蠢いていた。
果たして、闇とはどんな色をしているのだろう。
禍々しい黒だと、そう誰かは言うかもしれない。
ならば、その真反対に属している白という色は、果たして光なのだろうか。光足りうるのだろうか。
唯はふと、そんな疑問を浮かべる。
ミツルの先にゆらりと揺らぐその闇は、ゆっくりと近付いてくる。
(どうして……?——どうして皆は気付かないの……!?)
唯に説明をする為に、背を向けているから?
気配に敏感な和己ですら、その視線を上げず唯の顔を覗いている。
まるで、時間が止まったかのように。
おぞましいその闇は、唯の心臓の音に合わせるように一歩、また一歩と足を動かす。
背筋が凍りつく。空気が無くなるみたいに、息が出来ない。
指先の感覚が無くなって、小刻みに震える。身体中の汗が、一気に吹き出るような感覚。
逃げなくちゃ。みんなに伝えなくちゃ。
——それなのに、声が出ない。
その刹那、闇と目が合ったような気がした。
闇はにたりと不気味な笑みを見せる。ぞくっと、身体中の毛が逆立った。
(お願い……声、出て……!皆に言わなくちゃ……!)
猛獣でも、お化けでも、ホラー映画に出てくるような殺人鬼でも無い。
なのにガクガクと足は子鹿のように震える。
まるで、永遠にも思える時間の中で闇はこつん、こつんと唯達に近寄ってくる。
本能は逃げろと、赤く信号を発しているのに身体がソレについていかない。
(声……声、声……!!)
もしも、唯がその時の事を表現するならばきっとこう言うだろう。
闇に色は無い。黒だと決めつけたのは、人の心がそれ程までに汚れていたせいだ。
でもきっと。世の中には、穢れのない闇だってある。
その闇は、——清々しいくらいに真っ白だった。
「————……っ、皆、逃げてーーーっ!!!!」
心臓が爆発しそうなほどの大声。
唯の声に、和己達ははっと目を見開き振り返る。
その瞬間、目の前まで迫っていた白い闇は、こう唱えた。
「——急急如律令。」
誰よりも早く妖化していた和己が、刀を抜いてミツルの前に出る。
切っ先にぶつかったのは、何かの光。緑色に光った謎の閃光は、パチッと音を響かせながら夜の空気に舞う。
瞬きほどの時間に起きた出来事に、帆影は動揺を隠しきれなかった。
(何だ、今の……!?唯ちゃんが声を上げるまで気配にすら気が付かなかった……!)
目の前の白い闇に、異常を感じたミツルも、一瞬で妖の姿に変わる。
天狗のお面がきらりと月光の前に晒された。
「誰だ!?」
ミツルが声を張ると、白い闇の中から微かに笑い声が聞こえてくる。
「くっ……はっ、ははははは!」
陽気に笑うその声に、唯は唾を飲んだ。
唯の瞳に映っていたのは、全身白い服に身を包んた男二人。
片方は、まるで月の光を染み込ませたような金髪のくせっ毛男。片方は、夜の闇をまとったような黒髪の男。
二人とも、唯達と同じくらいの歳に見える。
先程楽しげに笑っていたのは、金髪の男だった。
ひとしきりミツル達を笑い飛ばした後、ふう、と深呼吸をする。
「僕達が誰か、だって……?そんなの、決まってんじゃん!」
ああ、どうして今まで忘れていたのだろう。
妖と相容れぬ存在。人間の中で唯一、妖を屠れるのは、彼らだけだというのに。
黒髪の男は、凍りつくような鋭い視線を向けて、自らをこう名乗った。
「俺達は妖を滅ぼす者。——陰陽師だ。」
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