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6 尻馬に乗る
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「あぁあああぁーっ!」
自分の性器に当たるか当たらないかのギリギリの部分に、鞭で打たれる衝撃は今まで経験したこともない痛みだった。惇人は、喉をそらし絶叫する。目の前に広がる、綺麗な海が現実ではないように見えた。
「おいおい、これじゃあしつけにならないじゃないか」
そう嘲笑する冬賀は、悪魔の笑みをたたえていた。また、一発性器に掠める鞭が入る。それは容赦ないものだった。惇人のペニスは、勃起し、蜜を溢れさせていた。惇人は、これ以上は無理だと涙を溢れされて訴えた。
「いたいです…壊れる、こわれる、たすけて…もう、やめてください…」
すがる表情で、惇人は懇願した。
プライドも、何もなかった。冬賀の足に、媚びを売るように摺り寄せる。今まで惇人がやらなかったことだ。そんなことをしても、冬賀がやめるわけじゃないと知っていた。なのに、そうでもしないと、惇人の身体も心も壊れてしまいそうだった。
そんな必死な惇人に、上から昏い嗤いが降ってきた。それは、まぎれもなく冬賀のものだった。
「主人に懇願するなんて、奴隷としてなっていないな」
すべてを馬鹿にした表情だった。低い声は、惇人の絶望を煽る。
「あ゛っ」
思い切り冬賀の足が腹に入った。内臓が押しつぶされる痛みに、惇人は呻く。目の前が真っ赤に染まった。
「ああぁああっ」
開かれた股に、より深く抉る痛みが広がった。冬賀の鞭が、しなるように太ももに命中したのだ。惇人は、形容しがたい強烈な痛みに呻きながら静かに絶望していた。懇願しても、やめてはくれないと、はっきりとわかったからだ。
「やめて欲しいって言いつつ、そこは反応してるけどな」
「ちが…んぅ、っ」
自分自身に心底軽蔑する。冬賀の嘲るような言葉通り、惇人の性器は反応していた。鞭で打たれるたび、痛みだけではないものも惇人のなかで生まれていた。だが、それを認識するには、あまりに惇人は強くなかった。
鞭の先が、惇人の性器の先端のくぼみに触れていた。そこからは、ビクビクと痙攣し、先走りの液体が濡らす。惇人はその光景を見ながら、震えていた。そのまま、打たれればいったいどれほどの痛みが襲ってくるのだろう。それを、自分は受け止められるのだろうか。それとも――――。
「ジョン、駄目だって。ちゃんと足持たないと」
「ぁ…」
優し気に言われたが、その表情は野獣のものだった。惇人が逆らえば、一気に急所に牙を立て、食いちぎられる。そのイメージが沸き立ち、惇人は涙を流しながら、もう一度股をゆっくりと開いた。そして、太ももを両手で抑えその状態をキープする。ああ、なんて惨めな格好なんだろう。
羞恥で前が見れなかった。勃ちあがったそれを、冬賀は舐めるように見つめていた。見られていると知ると、今まで以上の羞恥がわいた。身体が、無性に熱かった。
「いい子だ。ご褒美にイかせてあげようか」
冬賀が甘く囁いた瞬間――――。
惇人は、股の中央部にあった自分の象徴を、思い切り打たれた。ピシン、と音が鳴り響く。その勢いのままペニスがバウンドして、床に叩き付けられたとき惇人の脳内に電流が走った。
「ッ…、あぁ゛アぁ、あぁあああぁっあああ゛っ゛ーーーーっ!」
――――身体が馬鹿になってしまった。
冬賀に、鞭で性器を鋭く打たれ惇人は今まで感じたこともない感覚を味わった。喉から、獣の鳴き声が零れ落ちる。自分のものじゃない、荒々しい鳴き声をあげた。まるで身体に電気が走ったような痛みとともに、快楽が生まれた。その衝撃のまま、白濁が飛び散った。
惇人は背中を逸らし、いびつに痙攣をつづけた。身体が、言うことを聞かない。自分の身体じゃないみたいだった。
「イったな。やっぱりお前は痛みで感じる変態だよ、ジョン」
冬賀が、痙攣をつづける惇人に囁く。惇人は、ただ茫然としていた。
「……っ、はぁ…、はぁっ…」
冬賀が、惇人の床へ吐き出した精を手で掬い取ると、そのまま自身の口へ持っていく。惇人は放心状態で、一体なにが起こっているのか理解できなかった。だが、自分が『とんでもないこと』をしてしまったということだけが分かった。
冬賀は、惇人の精液を舐めとった。その表情は、メラメラと燃えてる炎に思えた。
「お前が汚したんだ。舐めろ」
「ぁ…う…」
身体の痙攣がまだ収まらない惇人に、冬賀は命令する。目の前に差し出された武骨な手に粘りついている自分の精液は、浮世じみていた。焦点の合わないまま、惇人は命令された通り、口を開けた。太い指を容赦なく入れられて、えずくがそのまま惇人はやがて舐め始めた。
その表情には、先ほどまでの抵抗のものはない。ただ、命令を受ける順応した犬の顔をしていた。ちゅぱ、ちゅぱとだらしない音が聞こえる。飲めと言われ、惇人は舌の苦みを飲み干した。とてもじゃないが、おいしいものとは言えない。
だが、どうしてだろう。舐め続けているうちに、また、舐めたいと思うようになっていた。
「…ぁうう…」
惇人は、ぼんやりとした脳内で、本能のまま床に突っ伏す。そこには、自分の出した精があった。それを、汚いとも思わず、惇人はペチャペチャと舐め始めた。床を綺麗にしたいという、思いもあったのかもしれない。だが、惇人は、ただ純粋にその味を味わいたかった。
「ジョン、偉いぞ。自分の汚したところはちゃんと綺麗にしなきゃな」
犬を褒めるように、冬賀は言う。
だが、その言い方も声音も慣れた。場所を移動しよう―――そう言った冬賀に、惇人はあまり抵抗せず従った。
身体が、熱い。うずいて、うずいて、仕方がなかった。
「ジョン、今日の御飯には薬を入れたんだ」
効果てきめんだな、と冬賀は惇人をあの棒に荒縄で縛りつけながら嬉しそうに―――楽しそうに言った。立って縛られているが、惇人は普段と違って抵抗はなかった。そんな力を出す余力は、惇人にはなかったのだ。
「時間差で…俺が帰ってくるときに薬が回るように調整したんだ」
ちょうどよかっただろう?と、冬賀はつづけた。だが、そんなことを、惇人は聞こえてはなかった。ただただ、身体が熱かった。縄で縛られている間にも、ふとした触れあいで身体は震え、敏感に快感を追っていた。頭は真っ白になって、本能の赴くままだった。
惇人はまた、コンクリートの要塞に逆戻りしていた。冬賀も上半身裸で、レザーパンツを穿いている。綺麗についた筋肉を見て、雄の色気が感じられた。その格好で鞭を持つ姿は、本当に『調教師』だ。
「ジョン、お前は手にかかるから俺が助けてやったんだ。鞭で叩いてやっただろう? もう、また刺激がほしいんじゃないか? ん?」
ピン、と勃ちあがった乳首を爪でひっかかれた。甘いうずきが沸き起こる。
「ぁ…ぅう…あぁ…」
乳首を触られて、惇人は熱い息を吐き出す。腰がうずく。腰の奥から、刺激を欲しがっていた。冬賀の大きな手が背中の、真っ赤に腫れたミミズ腫れの無数の傷を触る。その痛みでさえも、今の惇人には甘い電流が走る。裸に両手を上で縛られたが、惇人は抵抗しなかった。
「普通の感度だったが、今は敏感になったんじゃないか? これぐらいの刺激で、勃起して……」
「や、ぁ…」
つん、と起ちあがったペニスをつつかれる。それだけで、腰が大きく揺れた。もう何も考えれない。刺激だけ追っている、ただの木偶のようだ。
「腰が動いてるぞ。気持ちいいかよ、馬鹿犬」
ジョン、と言われて鼻で鳴く。そうすると、冬賀は愉しそうに笑う。
「また漏らしちゃたまんねぇからな」
「ア…っ!」
小さく、惇人は呻く。それは、冬賀に性器を握られたからだ。ぎゅうっと、キツく握られ汗が噴き出て苦悶に満ちた表情に染まる。痛い。痛いのに、身体がそれすらも感じさせていた。
「痛いのに感じてんだな。奴隷らしくなってきた」
「あ…ぁあ…」
また、強く握られて身体をいびつにしならせる。身体が縄で縛られ、惇人の身体が揺れるたびギシ…と音が鳴り響く。痛い、なのに先走りの蜜が溢れていた。それを冬賀に嘲笑され、恥ずかしかった。だが、身体は熱くもっと先を求める。それを冬賀は見抜いていた。ぱっと、惇人の握っていたものを離す。
「ああん…っ」
惇人が鼻に抜けた切ない声をあげる。――――苦しい。寂しい。もっと、ほしいのに。
「刺激が欲しいか?」
「ん、ぅうう……」
コクコク首が壊れるぐらいに、惇人はうなづく。身体が熱い。腰が揺れる。気持ちよくなれば、このうずきも止められる。惇人の必死な形相に、冬賀は悪魔の笑みを浮かべた。いや、今の惇人には天使の笑みだったのかもしれない。
「あ゛ぁああああーーーーー!」
惇人は雄叫びをあげる。歪に身体を逸らし、痛みに耐えた。また、一撃鞭を食らわされた。だが、その痛みは今までとは比べものにならないぐらいの、甘美なものに変わっていた。冬賀によって盛られた薬は、痛みも快楽にしてしまう薬だ。
痛みと快感が同時に駆け抜け、惇人は痙攣し骨の髄まで響く恍惚に打ち震えた。
「気持ちよさそうだな。この淫乱」
頭が真っ白になっていく。冬賀の甘く低い声が、惇人の脳内に深く染み入った。
「あう…ぅ…」
我慢できずに、惇人は腰を揺らす。その表情は、涙とよだれでぐちゃぐちゃで―――だが、恍惚としたものだった。今までの惇人ではあり得ない様子に、冬賀は満足そうに微笑む。冬賀は瞳に獣のそれを浮かべ舌なめずりをして、狙いを定める。
「きゃぅんっ」
犬の鳴き声が、惇人の口から飛び出す。尻を叩かれ、嬉しそうに鳴いた。
「ジョンここ好きだもんなぁ」
際どい部分を思い切り叩かれ、痙攣を繰り返し白目を剥く惇人を見て冬賀は嬉しそうだった。
「…っぁもっと、ぉ…」
ねだると、また一発冬賀は同じところに打ち込んでくれた。惇人は狂乱の叫びをあげ、そのまま精を吐き出す。痙攣を繰り替えし、快感をもさぼる。薬で高められた身体が、もっと先を強請っている。冬賀は、何発も同じ場所を打つ。
痛みと快感のギリギリの部分を壊れるほどに与えられる。頭がぼうっとする。うまく、思考ができない。脳内が霞がかっている。痛みは確実に、惇人の身体に侵食していた。だが、嬉々とする自分もいた。理性はとっくになくなっている。
惇人は欲望のまま、腰をくねらす。その様子は冬賀の雄の部分を刺激するには十分なほど、扇情的なものだった。
「これじゃ、躾けにならないなぁ」
パンッ――――床に鞭が打ちつけられる。その言葉は、聞いたことがある。だが、昔と今の言葉では意味合いが違っているようにみえた。
愉しげな声が惇人の麻痺した脳内に響く。惇人はただ、本能が求めるまま、痛みを請う。
――――身体が疼く。熱い。
―――もっと、ほしい。
頭の中に、潮風の音が鳴り響く。その音が、懐かしくて、打たれるたびにその音を思い出した。そうすると、とても気持ちよくて、しあわせだったから。何度も、何度も甘えた。
…―――その後。惇人の絶叫が部屋に響くことになった。冬賀の容赦のない鞭の打ちつけは、一切加減を知らず惇人身体を引き裂く。その行為は、惇人が何度も達し、とうとう気絶してしまうまで続いた。
その日から、確実に何かが変わった。
自分の性器に当たるか当たらないかのギリギリの部分に、鞭で打たれる衝撃は今まで経験したこともない痛みだった。惇人は、喉をそらし絶叫する。目の前に広がる、綺麗な海が現実ではないように見えた。
「おいおい、これじゃあしつけにならないじゃないか」
そう嘲笑する冬賀は、悪魔の笑みをたたえていた。また、一発性器に掠める鞭が入る。それは容赦ないものだった。惇人のペニスは、勃起し、蜜を溢れさせていた。惇人は、これ以上は無理だと涙を溢れされて訴えた。
「いたいです…壊れる、こわれる、たすけて…もう、やめてください…」
すがる表情で、惇人は懇願した。
プライドも、何もなかった。冬賀の足に、媚びを売るように摺り寄せる。今まで惇人がやらなかったことだ。そんなことをしても、冬賀がやめるわけじゃないと知っていた。なのに、そうでもしないと、惇人の身体も心も壊れてしまいそうだった。
そんな必死な惇人に、上から昏い嗤いが降ってきた。それは、まぎれもなく冬賀のものだった。
「主人に懇願するなんて、奴隷としてなっていないな」
すべてを馬鹿にした表情だった。低い声は、惇人の絶望を煽る。
「あ゛っ」
思い切り冬賀の足が腹に入った。内臓が押しつぶされる痛みに、惇人は呻く。目の前が真っ赤に染まった。
「ああぁああっ」
開かれた股に、より深く抉る痛みが広がった。冬賀の鞭が、しなるように太ももに命中したのだ。惇人は、形容しがたい強烈な痛みに呻きながら静かに絶望していた。懇願しても、やめてはくれないと、はっきりとわかったからだ。
「やめて欲しいって言いつつ、そこは反応してるけどな」
「ちが…んぅ、っ」
自分自身に心底軽蔑する。冬賀の嘲るような言葉通り、惇人の性器は反応していた。鞭で打たれるたび、痛みだけではないものも惇人のなかで生まれていた。だが、それを認識するには、あまりに惇人は強くなかった。
鞭の先が、惇人の性器の先端のくぼみに触れていた。そこからは、ビクビクと痙攣し、先走りの液体が濡らす。惇人はその光景を見ながら、震えていた。そのまま、打たれればいったいどれほどの痛みが襲ってくるのだろう。それを、自分は受け止められるのだろうか。それとも――――。
「ジョン、駄目だって。ちゃんと足持たないと」
「ぁ…」
優し気に言われたが、その表情は野獣のものだった。惇人が逆らえば、一気に急所に牙を立て、食いちぎられる。そのイメージが沸き立ち、惇人は涙を流しながら、もう一度股をゆっくりと開いた。そして、太ももを両手で抑えその状態をキープする。ああ、なんて惨めな格好なんだろう。
羞恥で前が見れなかった。勃ちあがったそれを、冬賀は舐めるように見つめていた。見られていると知ると、今まで以上の羞恥がわいた。身体が、無性に熱かった。
「いい子だ。ご褒美にイかせてあげようか」
冬賀が甘く囁いた瞬間――――。
惇人は、股の中央部にあった自分の象徴を、思い切り打たれた。ピシン、と音が鳴り響く。その勢いのままペニスがバウンドして、床に叩き付けられたとき惇人の脳内に電流が走った。
「ッ…、あぁ゛アぁ、あぁあああぁっあああ゛っ゛ーーーーっ!」
――――身体が馬鹿になってしまった。
冬賀に、鞭で性器を鋭く打たれ惇人は今まで感じたこともない感覚を味わった。喉から、獣の鳴き声が零れ落ちる。自分のものじゃない、荒々しい鳴き声をあげた。まるで身体に電気が走ったような痛みとともに、快楽が生まれた。その衝撃のまま、白濁が飛び散った。
惇人は背中を逸らし、いびつに痙攣をつづけた。身体が、言うことを聞かない。自分の身体じゃないみたいだった。
「イったな。やっぱりお前は痛みで感じる変態だよ、ジョン」
冬賀が、痙攣をつづける惇人に囁く。惇人は、ただ茫然としていた。
「……っ、はぁ…、はぁっ…」
冬賀が、惇人の床へ吐き出した精を手で掬い取ると、そのまま自身の口へ持っていく。惇人は放心状態で、一体なにが起こっているのか理解できなかった。だが、自分が『とんでもないこと』をしてしまったということだけが分かった。
冬賀は、惇人の精液を舐めとった。その表情は、メラメラと燃えてる炎に思えた。
「お前が汚したんだ。舐めろ」
「ぁ…う…」
身体の痙攣がまだ収まらない惇人に、冬賀は命令する。目の前に差し出された武骨な手に粘りついている自分の精液は、浮世じみていた。焦点の合わないまま、惇人は命令された通り、口を開けた。太い指を容赦なく入れられて、えずくがそのまま惇人はやがて舐め始めた。
その表情には、先ほどまでの抵抗のものはない。ただ、命令を受ける順応した犬の顔をしていた。ちゅぱ、ちゅぱとだらしない音が聞こえる。飲めと言われ、惇人は舌の苦みを飲み干した。とてもじゃないが、おいしいものとは言えない。
だが、どうしてだろう。舐め続けているうちに、また、舐めたいと思うようになっていた。
「…ぁうう…」
惇人は、ぼんやりとした脳内で、本能のまま床に突っ伏す。そこには、自分の出した精があった。それを、汚いとも思わず、惇人はペチャペチャと舐め始めた。床を綺麗にしたいという、思いもあったのかもしれない。だが、惇人は、ただ純粋にその味を味わいたかった。
「ジョン、偉いぞ。自分の汚したところはちゃんと綺麗にしなきゃな」
犬を褒めるように、冬賀は言う。
だが、その言い方も声音も慣れた。場所を移動しよう―――そう言った冬賀に、惇人はあまり抵抗せず従った。
身体が、熱い。うずいて、うずいて、仕方がなかった。
「ジョン、今日の御飯には薬を入れたんだ」
効果てきめんだな、と冬賀は惇人をあの棒に荒縄で縛りつけながら嬉しそうに―――楽しそうに言った。立って縛られているが、惇人は普段と違って抵抗はなかった。そんな力を出す余力は、惇人にはなかったのだ。
「時間差で…俺が帰ってくるときに薬が回るように調整したんだ」
ちょうどよかっただろう?と、冬賀はつづけた。だが、そんなことを、惇人は聞こえてはなかった。ただただ、身体が熱かった。縄で縛られている間にも、ふとした触れあいで身体は震え、敏感に快感を追っていた。頭は真っ白になって、本能の赴くままだった。
惇人はまた、コンクリートの要塞に逆戻りしていた。冬賀も上半身裸で、レザーパンツを穿いている。綺麗についた筋肉を見て、雄の色気が感じられた。その格好で鞭を持つ姿は、本当に『調教師』だ。
「ジョン、お前は手にかかるから俺が助けてやったんだ。鞭で叩いてやっただろう? もう、また刺激がほしいんじゃないか? ん?」
ピン、と勃ちあがった乳首を爪でひっかかれた。甘いうずきが沸き起こる。
「ぁ…ぅう…あぁ…」
乳首を触られて、惇人は熱い息を吐き出す。腰がうずく。腰の奥から、刺激を欲しがっていた。冬賀の大きな手が背中の、真っ赤に腫れたミミズ腫れの無数の傷を触る。その痛みでさえも、今の惇人には甘い電流が走る。裸に両手を上で縛られたが、惇人は抵抗しなかった。
「普通の感度だったが、今は敏感になったんじゃないか? これぐらいの刺激で、勃起して……」
「や、ぁ…」
つん、と起ちあがったペニスをつつかれる。それだけで、腰が大きく揺れた。もう何も考えれない。刺激だけ追っている、ただの木偶のようだ。
「腰が動いてるぞ。気持ちいいかよ、馬鹿犬」
ジョン、と言われて鼻で鳴く。そうすると、冬賀は愉しそうに笑う。
「また漏らしちゃたまんねぇからな」
「ア…っ!」
小さく、惇人は呻く。それは、冬賀に性器を握られたからだ。ぎゅうっと、キツく握られ汗が噴き出て苦悶に満ちた表情に染まる。痛い。痛いのに、身体がそれすらも感じさせていた。
「痛いのに感じてんだな。奴隷らしくなってきた」
「あ…ぁあ…」
また、強く握られて身体をいびつにしならせる。身体が縄で縛られ、惇人の身体が揺れるたびギシ…と音が鳴り響く。痛い、なのに先走りの蜜が溢れていた。それを冬賀に嘲笑され、恥ずかしかった。だが、身体は熱くもっと先を求める。それを冬賀は見抜いていた。ぱっと、惇人の握っていたものを離す。
「ああん…っ」
惇人が鼻に抜けた切ない声をあげる。――――苦しい。寂しい。もっと、ほしいのに。
「刺激が欲しいか?」
「ん、ぅうう……」
コクコク首が壊れるぐらいに、惇人はうなづく。身体が熱い。腰が揺れる。気持ちよくなれば、このうずきも止められる。惇人の必死な形相に、冬賀は悪魔の笑みを浮かべた。いや、今の惇人には天使の笑みだったのかもしれない。
「あ゛ぁああああーーーーー!」
惇人は雄叫びをあげる。歪に身体を逸らし、痛みに耐えた。また、一撃鞭を食らわされた。だが、その痛みは今までとは比べものにならないぐらいの、甘美なものに変わっていた。冬賀によって盛られた薬は、痛みも快楽にしてしまう薬だ。
痛みと快感が同時に駆け抜け、惇人は痙攣し骨の髄まで響く恍惚に打ち震えた。
「気持ちよさそうだな。この淫乱」
頭が真っ白になっていく。冬賀の甘く低い声が、惇人の脳内に深く染み入った。
「あう…ぅ…」
我慢できずに、惇人は腰を揺らす。その表情は、涙とよだれでぐちゃぐちゃで―――だが、恍惚としたものだった。今までの惇人ではあり得ない様子に、冬賀は満足そうに微笑む。冬賀は瞳に獣のそれを浮かべ舌なめずりをして、狙いを定める。
「きゃぅんっ」
犬の鳴き声が、惇人の口から飛び出す。尻を叩かれ、嬉しそうに鳴いた。
「ジョンここ好きだもんなぁ」
際どい部分を思い切り叩かれ、痙攣を繰り返し白目を剥く惇人を見て冬賀は嬉しそうだった。
「…っぁもっと、ぉ…」
ねだると、また一発冬賀は同じところに打ち込んでくれた。惇人は狂乱の叫びをあげ、そのまま精を吐き出す。痙攣を繰り替えし、快感をもさぼる。薬で高められた身体が、もっと先を強請っている。冬賀は、何発も同じ場所を打つ。
痛みと快感のギリギリの部分を壊れるほどに与えられる。頭がぼうっとする。うまく、思考ができない。脳内が霞がかっている。痛みは確実に、惇人の身体に侵食していた。だが、嬉々とする自分もいた。理性はとっくになくなっている。
惇人は欲望のまま、腰をくねらす。その様子は冬賀の雄の部分を刺激するには十分なほど、扇情的なものだった。
「これじゃ、躾けにならないなぁ」
パンッ――――床に鞭が打ちつけられる。その言葉は、聞いたことがある。だが、昔と今の言葉では意味合いが違っているようにみえた。
愉しげな声が惇人の麻痺した脳内に響く。惇人はただ、本能が求めるまま、痛みを請う。
――――身体が疼く。熱い。
―――もっと、ほしい。
頭の中に、潮風の音が鳴り響く。その音が、懐かしくて、打たれるたびにその音を思い出した。そうすると、とても気持ちよくて、しあわせだったから。何度も、何度も甘えた。
…―――その後。惇人の絶叫が部屋に響くことになった。冬賀の容赦のない鞭の打ちつけは、一切加減を知らず惇人身体を引き裂く。その行為は、惇人が何度も達し、とうとう気絶してしまうまで続いた。
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