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10 秘め事
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明日の家には、彼の両親と引っ越しの手伝いにきていた兄の6歳年上の五十嵐明日翔(いがらしあすか)が居た。これまた兄が美形で、明日の大人版———とは言っては何だが、色素の薄い髪、彫りの深い顔立ちが色っぽい180センチ越えの人だ。早くから独り立ちしていて、ずっと日本で生活していたと聞いている。久しぶりに会ったが、前よりもカッコよくなっており社会人として活躍しているそうだ。
樹は、3人に明日を預け、家路についた。明日が言っていたパ—ティはまた今度になりそうだ。
夜道を歩きながら、樹は空を見上げた。無数に煌く星は少しまだ眩しくて。まだ明日が自分のすぐ近くの家にいることが信じられなかったが、樹はこれから過ごす日々に思いを馳せたのだった。
樹はその日夢を見た。それは昔の夢———忘れもしない思い出。何度寝るたびに現れた恋の想い出。忘れないでと言うように、自分でも忘れないように、と植え付けるように見る夢。明日から電話をもらった時も、見た夢だ。
夢だと分かっていても、やはりその幻想のように甘い秘め事は目眩がする。
倒錯すぎるその現実に、樹は身を投げた。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
樹が小学4年生の時の容姿は、昔の樹は本当に可愛かったんだけどねぇ———と、母親をうっとりさせる程可愛らしいものだった。少女に間違われる程目が大きくて、肌も白い、華奢な綺麗な黒髪の少年だった。
———明日は樹に色々なことを教えてくれた。
小学4年生の夏。その頃には明日が樹の全てだった。明日はあの時からずっと天使の化身のようだった。明日との話は楽しくて、樹は毎日が天国のように楽しかった。たまに感じる自分と明日との『違い』に押し潰されてしまいそうな時もあったが子供の時だったので時間が経てば忘れられた。
明日はあのとこからずっと皆とは違う『特別な存在』だった。
それは樹にとっても、皆にとってもそうだっただろう。明日はそれでも樹の自惚れではなければいいが、一番樹と仲良くしてくれた。友達が多い明日が、どれだけ皆に懇願されても樹の約束を先だと言って遊びを断っているのを見て、嬉しかった。そんな光景を見るたび優越感やら幸福感やら入り混じった感情が湧き上がったのか、今でも覚えている。まだ純粋に明日のことが好きだったあの頃。キラキラした明日の顔を見るのが何より好きだった。
だけど、あの日はそんな樹の子供の純粋な気持ちが歪んだ出来事が起こった。
『兄ちゃんたち今日いないんだ』
その日は樹と明日は、小学4年生の夏休みに2人で明日の家で遊ぶことになっていた。大好きな明日と遊べることが何よりも嬉しかった。明日の言葉に樹は珍しいこともあるんだなぁ、と思いながら『そうなんだ』と頷く。いつも毎週のように遊んでいる明日の大きな家が、大きく広く思えた。二人きりということが、何だか心をざわつかせた。子供ながらに、ちょっぴりドキドキするなぁ。と思った。その日も、明日の部屋のベットの上で好きな音楽の話をしたり世間話をしていた。明日との会話はやっぱり楽しくて、樹は本当に夢中になって二人の会話を楽しんだ。真夏で、ク—ラ—が効いていて部屋は涼しかったけど、身体は楽しくて熱くなっていた。
明日はなんでも教えてくれた。
それもきっと、世間話だったのだろう。その意図は、子供の明日に聞かないと分からない。
『イズのちんちんって、白いの出る?』
突然明日が純粋な瞳で聞いてきて、その言葉の意味を理解出来ずにいた。樹はただ明日が『おちんちん』なんて言ったことを驚いていた。綺麗な甘い声がそんな言葉を言うなんて、不思議な気持ちになったのだ。今思えば明日との会話はそういった自分の性に関わる会話なんてなかったのだ。あったとしても『トイレいってくる』ぐらいだ。
樹は一人っ子で、両親もそういった言葉を極力言わなかったし、教えなかった。あの両親が、性の話題に潔癖気味だったのもあったのかもしれない。樹も特に下ネタに関心があるわけじゃなかったので、そういった知識はなかった。
『何それ?』
よく分からなくて、首を傾げると、明日は少し舌っ足らずで綺麗な口を動かした。
『兄ちゃんがいってた。大人になるとでるんだってぇ』
『へぇ~…、すごい…』
樹はわくわくした。大人になると出るものって、何だかカッコいい。
それは純粋な好奇心だった。出るものが、どういうものか分からないが、すごいものだと思った。
明日も目をキラキラさせて、興奮気味に手を動かした。
『兄ちゃんはもう小6の時に出たんだって! イズは?』
16歳の兄である明日翔のいうことは、弟の明日にとっては全ての物差しだったのだ。明日はわくわくとした表情で、ベットの上で飛び跳ねそうな勢いだった。樹はそんな明日を愉しく見つめながら、う~んと首を捻る。
『でたことないや』
少し悩んでから、樹は口を開く。天使のように魅力的な唇が隣で尖らせているのが見えた。明日は『そうなんだぁ…』と目を細める。
『じゃあ、勝負しようよ!』
明日の言葉に幼い樹は思わず『えっ』と言ってしまった。明日はこんな風に衝動的に物事をいうことが多く、変化に弱い樹は毎回ビックリしてしまうのだ。疑問が顔に出ていたのかもしれない。明日は樹に天真爛漫な笑顔を見せた。そんな明日の表情にドキドキと胸を高鳴らせてしまう。
今思えば可愛らしい顔をした無邪気な小悪魔そのものだったのだ。
『イズと僕とでどっちが早く白いの出るか勝負しよ』
無邪気な笑顔で明日がどれ程のことを言っているか、幼い2人は気付かなかった。
『え…でも、どうやって出すの?』
『兄ちゃんが教えてくれたよ。とりあえずパンツ脱ぐんだって』
『え?』
思わぬ回答に樹は驚いてしまった。そしてその状況を想像して、樹はかあっと顔を真っ赤にする。樹の裸も自分自身の裸も、お泊りした時見ているから分かるが、見せあいっこをすることはない。
固まってしまっている明日を樹は、ふ—んと挑発するように見つめた。
『自分のちんちんが負けるって思ってる?』
『ち、ちげぇよ!』
そんな風に言われれば、負けず嫌いの樹は思わず荒々しく答えてしまう。
『そんなことねぇもん、負けねぇよ!』
樹の様子に、明日は楽しそうにクスクスと笑っていた。2人はク—ラ—の効いた密室で、『負けない』『僕が勝つ!』と言い争っていた。2人は純粋だった。2人ははしゃぎ合いながら、お互いに向き合って自分のズボンとパンツをずらしていった。
ベットがぎしぎしと鳴って、樹の心も揺れる。自分のものを晒す恥ずかしさに汗が噴き出た。だが、それよりも何故か明日のほうに目がいってしまった。明日の性器は、自分のものより全然綺麗で、同じものが付いているようには見えない。明日のそれはまるで芸術品のキラキラとしていた。普通はその感情はおかしいのだろうけど、きっと大体の人は明日の性器を見てそう思うに違いない。
ドキドキと高鳴る心臓が、どんな感情かも知らずに樹は明日の幼い性器を見つめていた。
『…イズのちんちん…』
明日もじいっと、樹の性器を見つめていた。顔を近づけ———その直接的すぎる視線に、カァ—ッと身体が熱くなる。ク—ラ—が効いた部屋にいるのに、手に汗が流れた。樹の性器はまだ精通を迎えていなかった。明日もそうだからこそ、この勝負を持ちかけたのだ。
『僕のよりちいさい…』
樹は明日の言葉に頭がカチンときた。
『そんなことない! 俺は太いよ!!』
『僕と同じぐらいだよ』
『違う! 俺の方が色があってかっけぇもん』
二人は下半身を丸出しにさせながら、ああでもないこうでもないと言い争いを続けていた。それは程度の低い争いだったが、楽しかった。徐々に自分が性器を晒しているという羞恥も薄れ、むしろ楽しくなってきたのだ。ぎしぎし音を立てるベットに揺られ、2人は次第に互いの性器に触れあっていた。初めに触れたのは明日だった。イズのちんちんのほうが駄目だよ、と言いながら。
樹も張り合って、自分のとは違う綺麗すぎるそれに触れた。その時の感触は忘れられない。ぷにっとした粘土を触っているようで、だけどこのまま触り続けてはいけないような感触。なんとも不思議な感覚がした。その時の樹は、感嘆を発した。言葉にならない、驚きとそして少しの感動。普通だったら考えられないような、そんな感情を抱いたのだ。明日は小さい声をあげ、腰をモジモジとさせた。そんな様子を見てこちらもモジモジと腰が動いてしまう。無意識に、樹は身体がぽうっと熱くなっていた。はぁ…っ、と熱い息を吐く見たことのない明日にドキドキとした。
樹の性器に明日の綺麗で小さい手が、やわやわと動く。
『なんかぷにぷにして気持ち悪い~…』
フニフニと触りながら、明日が言う。明日に悪意はない。子供が抱くいたって普通の感情だった。きっと気持ち的にはスライムを触るような、奇妙な感覚だったのだろう。だが幼い樹はその意味を大きく捉え、脳天を殴られたような気分になってしまった。
『うぅ…じゃあ触んなよ~』
明日の言葉に泣きそうになったが小さな天使は『それもヤダ』と口に出す。首を振る明日に樹も負けじとフニフニと触る。触るごとに、2人の息は上がっていた。甘い雰囲気にいつの間にかなっていた。倒錯的な光景だった。下半身を丸出しにした明日が目の前にいて、顔は赤く、額には汗が噴き出ている。その汗はサッカ—をして得点を決めた明日では流さない、じっとりとした熱い汗だった。樹は、そんな明日を見つめながら自分に沸き立つ感情に答えが出せないでいた。触られたこともない場所の触れ合いは不思議で、身体が浮き立つような刺激がやってくる。
お互いを探るように無言でもみ合っていた。
『ねえ、白いのいつ出るの?』
気になった樹はつい聞いていた。イズと僕とでどっちが早く白いの出るか勝負しよ?———と、勝負をしているのはいいが一向に終わらない。ただムズムズとしたものが下半身に集まっているだけで、自分の性器から『白いの』が出る気配がないのだ。息を乱しながらの問いに、明日も
『兄ちゃんは…刺激を与えるとでるっていってたけど……』
はぁ…はぁ…と息を乱しながら答える彼の目はトロンとしていた。全身が甘い香りに包まれている明日に、脳内がぽうっとする。
樹は、3人に明日を預け、家路についた。明日が言っていたパ—ティはまた今度になりそうだ。
夜道を歩きながら、樹は空を見上げた。無数に煌く星は少しまだ眩しくて。まだ明日が自分のすぐ近くの家にいることが信じられなかったが、樹はこれから過ごす日々に思いを馳せたのだった。
樹はその日夢を見た。それは昔の夢———忘れもしない思い出。何度寝るたびに現れた恋の想い出。忘れないでと言うように、自分でも忘れないように、と植え付けるように見る夢。明日から電話をもらった時も、見た夢だ。
夢だと分かっていても、やはりその幻想のように甘い秘め事は目眩がする。
倒錯すぎるその現実に、樹は身を投げた。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
樹が小学4年生の時の容姿は、昔の樹は本当に可愛かったんだけどねぇ———と、母親をうっとりさせる程可愛らしいものだった。少女に間違われる程目が大きくて、肌も白い、華奢な綺麗な黒髪の少年だった。
———明日は樹に色々なことを教えてくれた。
小学4年生の夏。その頃には明日が樹の全てだった。明日はあの時からずっと天使の化身のようだった。明日との話は楽しくて、樹は毎日が天国のように楽しかった。たまに感じる自分と明日との『違い』に押し潰されてしまいそうな時もあったが子供の時だったので時間が経てば忘れられた。
明日はあのとこからずっと皆とは違う『特別な存在』だった。
それは樹にとっても、皆にとってもそうだっただろう。明日はそれでも樹の自惚れではなければいいが、一番樹と仲良くしてくれた。友達が多い明日が、どれだけ皆に懇願されても樹の約束を先だと言って遊びを断っているのを見て、嬉しかった。そんな光景を見るたび優越感やら幸福感やら入り混じった感情が湧き上がったのか、今でも覚えている。まだ純粋に明日のことが好きだったあの頃。キラキラした明日の顔を見るのが何より好きだった。
だけど、あの日はそんな樹の子供の純粋な気持ちが歪んだ出来事が起こった。
『兄ちゃんたち今日いないんだ』
その日は樹と明日は、小学4年生の夏休みに2人で明日の家で遊ぶことになっていた。大好きな明日と遊べることが何よりも嬉しかった。明日の言葉に樹は珍しいこともあるんだなぁ、と思いながら『そうなんだ』と頷く。いつも毎週のように遊んでいる明日の大きな家が、大きく広く思えた。二人きりということが、何だか心をざわつかせた。子供ながらに、ちょっぴりドキドキするなぁ。と思った。その日も、明日の部屋のベットの上で好きな音楽の話をしたり世間話をしていた。明日との会話はやっぱり楽しくて、樹は本当に夢中になって二人の会話を楽しんだ。真夏で、ク—ラ—が効いていて部屋は涼しかったけど、身体は楽しくて熱くなっていた。
明日はなんでも教えてくれた。
それもきっと、世間話だったのだろう。その意図は、子供の明日に聞かないと分からない。
『イズのちんちんって、白いの出る?』
突然明日が純粋な瞳で聞いてきて、その言葉の意味を理解出来ずにいた。樹はただ明日が『おちんちん』なんて言ったことを驚いていた。綺麗な甘い声がそんな言葉を言うなんて、不思議な気持ちになったのだ。今思えば明日との会話はそういった自分の性に関わる会話なんてなかったのだ。あったとしても『トイレいってくる』ぐらいだ。
樹は一人っ子で、両親もそういった言葉を極力言わなかったし、教えなかった。あの両親が、性の話題に潔癖気味だったのもあったのかもしれない。樹も特に下ネタに関心があるわけじゃなかったので、そういった知識はなかった。
『何それ?』
よく分からなくて、首を傾げると、明日は少し舌っ足らずで綺麗な口を動かした。
『兄ちゃんがいってた。大人になるとでるんだってぇ』
『へぇ~…、すごい…』
樹はわくわくした。大人になると出るものって、何だかカッコいい。
それは純粋な好奇心だった。出るものが、どういうものか分からないが、すごいものだと思った。
明日も目をキラキラさせて、興奮気味に手を動かした。
『兄ちゃんはもう小6の時に出たんだって! イズは?』
16歳の兄である明日翔のいうことは、弟の明日にとっては全ての物差しだったのだ。明日はわくわくとした表情で、ベットの上で飛び跳ねそうな勢いだった。樹はそんな明日を愉しく見つめながら、う~んと首を捻る。
『でたことないや』
少し悩んでから、樹は口を開く。天使のように魅力的な唇が隣で尖らせているのが見えた。明日は『そうなんだぁ…』と目を細める。
『じゃあ、勝負しようよ!』
明日の言葉に幼い樹は思わず『えっ』と言ってしまった。明日はこんな風に衝動的に物事をいうことが多く、変化に弱い樹は毎回ビックリしてしまうのだ。疑問が顔に出ていたのかもしれない。明日は樹に天真爛漫な笑顔を見せた。そんな明日の表情にドキドキと胸を高鳴らせてしまう。
今思えば可愛らしい顔をした無邪気な小悪魔そのものだったのだ。
『イズと僕とでどっちが早く白いの出るか勝負しよ』
無邪気な笑顔で明日がどれ程のことを言っているか、幼い2人は気付かなかった。
『え…でも、どうやって出すの?』
『兄ちゃんが教えてくれたよ。とりあえずパンツ脱ぐんだって』
『え?』
思わぬ回答に樹は驚いてしまった。そしてその状況を想像して、樹はかあっと顔を真っ赤にする。樹の裸も自分自身の裸も、お泊りした時見ているから分かるが、見せあいっこをすることはない。
固まってしまっている明日を樹は、ふ—んと挑発するように見つめた。
『自分のちんちんが負けるって思ってる?』
『ち、ちげぇよ!』
そんな風に言われれば、負けず嫌いの樹は思わず荒々しく答えてしまう。
『そんなことねぇもん、負けねぇよ!』
樹の様子に、明日は楽しそうにクスクスと笑っていた。2人はク—ラ—の効いた密室で、『負けない』『僕が勝つ!』と言い争っていた。2人は純粋だった。2人ははしゃぎ合いながら、お互いに向き合って自分のズボンとパンツをずらしていった。
ベットがぎしぎしと鳴って、樹の心も揺れる。自分のものを晒す恥ずかしさに汗が噴き出た。だが、それよりも何故か明日のほうに目がいってしまった。明日の性器は、自分のものより全然綺麗で、同じものが付いているようには見えない。明日のそれはまるで芸術品のキラキラとしていた。普通はその感情はおかしいのだろうけど、きっと大体の人は明日の性器を見てそう思うに違いない。
ドキドキと高鳴る心臓が、どんな感情かも知らずに樹は明日の幼い性器を見つめていた。
『…イズのちんちん…』
明日もじいっと、樹の性器を見つめていた。顔を近づけ———その直接的すぎる視線に、カァ—ッと身体が熱くなる。ク—ラ—が効いた部屋にいるのに、手に汗が流れた。樹の性器はまだ精通を迎えていなかった。明日もそうだからこそ、この勝負を持ちかけたのだ。
『僕のよりちいさい…』
樹は明日の言葉に頭がカチンときた。
『そんなことない! 俺は太いよ!!』
『僕と同じぐらいだよ』
『違う! 俺の方が色があってかっけぇもん』
二人は下半身を丸出しにさせながら、ああでもないこうでもないと言い争いを続けていた。それは程度の低い争いだったが、楽しかった。徐々に自分が性器を晒しているという羞恥も薄れ、むしろ楽しくなってきたのだ。ぎしぎし音を立てるベットに揺られ、2人は次第に互いの性器に触れあっていた。初めに触れたのは明日だった。イズのちんちんのほうが駄目だよ、と言いながら。
樹も張り合って、自分のとは違う綺麗すぎるそれに触れた。その時の感触は忘れられない。ぷにっとした粘土を触っているようで、だけどこのまま触り続けてはいけないような感触。なんとも不思議な感覚がした。その時の樹は、感嘆を発した。言葉にならない、驚きとそして少しの感動。普通だったら考えられないような、そんな感情を抱いたのだ。明日は小さい声をあげ、腰をモジモジとさせた。そんな様子を見てこちらもモジモジと腰が動いてしまう。無意識に、樹は身体がぽうっと熱くなっていた。はぁ…っ、と熱い息を吐く見たことのない明日にドキドキとした。
樹の性器に明日の綺麗で小さい手が、やわやわと動く。
『なんかぷにぷにして気持ち悪い~…』
フニフニと触りながら、明日が言う。明日に悪意はない。子供が抱くいたって普通の感情だった。きっと気持ち的にはスライムを触るような、奇妙な感覚だったのだろう。だが幼い樹はその意味を大きく捉え、脳天を殴られたような気分になってしまった。
『うぅ…じゃあ触んなよ~』
明日の言葉に泣きそうになったが小さな天使は『それもヤダ』と口に出す。首を振る明日に樹も負けじとフニフニと触る。触るごとに、2人の息は上がっていた。甘い雰囲気にいつの間にかなっていた。倒錯的な光景だった。下半身を丸出しにした明日が目の前にいて、顔は赤く、額には汗が噴き出ている。その汗はサッカ—をして得点を決めた明日では流さない、じっとりとした熱い汗だった。樹は、そんな明日を見つめながら自分に沸き立つ感情に答えが出せないでいた。触られたこともない場所の触れ合いは不思議で、身体が浮き立つような刺激がやってくる。
お互いを探るように無言でもみ合っていた。
『ねえ、白いのいつ出るの?』
気になった樹はつい聞いていた。イズと僕とでどっちが早く白いの出るか勝負しよ?———と、勝負をしているのはいいが一向に終わらない。ただムズムズとしたものが下半身に集まっているだけで、自分の性器から『白いの』が出る気配がないのだ。息を乱しながらの問いに、明日も
『兄ちゃんは…刺激を与えるとでるっていってたけど……』
はぁ…はぁ…と息を乱しながら答える彼の目はトロンとしていた。全身が甘い香りに包まれている明日に、脳内がぽうっとする。
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