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第2章 入団までの1年間(1)、新たな攻略対象との出会い
26:アルフォンス(アルフレッド)の朝の応接間(1)
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「フレド様?あ”・・・?」
そう、オレこと<レイ皇国の王弟殿下>にして<元第三騎士団副騎士団長>、さらには<A級冒険者>のアルフォンス(アルフレッド)は、発言主を睨みつけた。
あいつの側近候補のジン・バトラーとかいう男を・・・・・・だ。
青の応接間と呼ばれた豪奢な室内に先ほど以上の緊張した空気が流れるのが分かる。
オレのせいだろう。
だが、気にしない。いまのオレは、完全に頭に血が上っている状態だ。
(<フレド>と愛称で呼ばせるほどあいつはこの男と親しいのか!?)
怒りと焦りのような感情がないまぜになっているのが分かる。
昨日あいつが、侍女のメアリや冒険者ギルド受付嬢のロゼに<甘いほほ笑み>を浮かべたとき以上の衝撃を受けていた。
あいつは男であるにも関わらず。
<女>と親しい気に話すより、<男>と親しいという事実の方が衝撃なんて、皮肉なものだ。
本当に腹が立つ。
思わず、舌打ちがもれた。
「あ・・・あの・・・。いや、フレド様、遅いなぁと思って・・・いや、思いまして・・・・・・」
(また愛称で呼びやがった)
そう言い訳のようにつぶやいたジンとかいう男のセリフで、オレの殺気が瞬時に膨らむ。
だが、抑えられない。
一触即発の空気が流れ、扉の前に立つメアリとかいう侍女が「ヒュッ」と息をのんだ。
しかし・・・・・・。
「アルフォンス殿下、ご無礼をして申し訳ございません。身分を隠されたいとは知らず・・・・・・」
そう言いながら、メガネでは隠しきれないその端正な顔にある眉尻をさげながら、もう1人の男・・・・・・アイオスが言い放った。
どうやらこの殺気は、自分の失態によるものだと思ったらしい。
そういえば、さっきまでオレが王弟であることを言い当てられて、イラッときていたんだった。
(ああ、今となっちゃそんなのどうだっていいんだよ!)
・・・・・・と思いつつ、ふと気づく。
オレの殺気は、自分で言うのもなんだが、かなりエグい。
その気にあてられても、平然としながら声をかけられるこのアイオスとかいう男は、もしかしたら<かなりの実力者>なのかもしれない。
少し興味がわいてきた。
気分が上昇して、問いかける。
「あいつには王弟だって言うなよ。やりづらいからな。
だけどなんで、オレが王弟だと分かった?」
そう聞くと、アイオスは少し気まずげに扉の前に立つ侍女メアリに目線をなげる。
(・・・なるほど)
確かに昨日、あの侍女の前でオレ自身が<元第三騎士団副騎士団長>と名乗っていたことを思い出す。
もちろんロッド騎士団長に世話になった<元第三騎士団副騎士団長>は<王弟>以外にも何人もいる。
だが、オレに会って、<確信した>・・・というところか。
「アルフォンス殿下の髪は黒がお強いとはいえ、レイ皇国王族特有の<青みがかった髪>をされていますから」
青い髪は一般庶民にも貴族にもいるが、いわゆる<ロビンズエッグブルー>と言われる色味を帯びているのはレイ皇国の王族だけと言われている。
もちろん一般庶民には知られていないが、高位貴族には割と知られている事実だ。
つまり見る人が見れば一発で分かる。
(ああ、そうだった。
そもそもそのせいもあり、平民として生きていたオレが先代の遺児であると認定されたのだった。
これを知っているいうことは、目の前のアイオスは割と高位貴族の出身なのか?
なら、魔法の腕は、かなりのものかもしれないな。
もしかしたら剣の腕も・・・・・・)
そう思考を巡らせたあと、あることを思い出して、思わず舌打ちが漏れる。
アイオスが入ってきたときの仕草だ。
確か<右足をかばうように>歩いていた・・・。もしかしたら、アイオスの右足は<義足>なのかもしれない。
だとしたら、剣は振れないだろう。
(昨日のあいつに続いて、面白い奴を見つけたと思ったのに残念だ)
考えに耽っていると、アイオスが話しかけてきた。
「アルフォンス殿下は、強者と闘うのが好きという噂を聞いたことがあります。
フレデリック様は、確かに天才と噂されていますが、現在は記憶の一部欠けていますので・・・不安でございまして。
昨日の夕方、フレデリック様は<元気がなさそうな>様子でしたので、もしかしたら殿下のご不興を買ったのではないかと・・・・」
カチンと来た。
(オレと会っていたのに、<元気がなさそう>だと・・・?つまりオレといるのは嫌だったというのか?!)
そんな疑念が渦まいて、イライラが止まらない。
なぜだか胸もすげぇ締め付けられた。
なんだこれ・・・・・・病気かよ・・・・!!
(くそ、忌々しいっ)と思いつつも、なんとか不敵な笑みを浮かべるのに成功する。
「ああ、大丈夫だ。むしろ期待以上だったぜ?
だから、今日から俺はあいつと一緒に魔獣狩りに行こうと思っているんだ。
・・・・グラナダ迷宮に」
そう、オレこと<レイ皇国の王弟殿下>にして<元第三騎士団副騎士団長>、さらには<A級冒険者>のアルフォンス(アルフレッド)は、発言主を睨みつけた。
あいつの側近候補のジン・バトラーとかいう男を・・・・・・だ。
青の応接間と呼ばれた豪奢な室内に先ほど以上の緊張した空気が流れるのが分かる。
オレのせいだろう。
だが、気にしない。いまのオレは、完全に頭に血が上っている状態だ。
(<フレド>と愛称で呼ばせるほどあいつはこの男と親しいのか!?)
怒りと焦りのような感情がないまぜになっているのが分かる。
昨日あいつが、侍女のメアリや冒険者ギルド受付嬢のロゼに<甘いほほ笑み>を浮かべたとき以上の衝撃を受けていた。
あいつは男であるにも関わらず。
<女>と親しい気に話すより、<男>と親しいという事実の方が衝撃なんて、皮肉なものだ。
本当に腹が立つ。
思わず、舌打ちがもれた。
「あ・・・あの・・・。いや、フレド様、遅いなぁと思って・・・いや、思いまして・・・・・・」
(また愛称で呼びやがった)
そう言い訳のようにつぶやいたジンとかいう男のセリフで、オレの殺気が瞬時に膨らむ。
だが、抑えられない。
一触即発の空気が流れ、扉の前に立つメアリとかいう侍女が「ヒュッ」と息をのんだ。
しかし・・・・・・。
「アルフォンス殿下、ご無礼をして申し訳ございません。身分を隠されたいとは知らず・・・・・・」
そう言いながら、メガネでは隠しきれないその端正な顔にある眉尻をさげながら、もう1人の男・・・・・・アイオスが言い放った。
どうやらこの殺気は、自分の失態によるものだと思ったらしい。
そういえば、さっきまでオレが王弟であることを言い当てられて、イラッときていたんだった。
(ああ、今となっちゃそんなのどうだっていいんだよ!)
・・・・・・と思いつつ、ふと気づく。
オレの殺気は、自分で言うのもなんだが、かなりエグい。
その気にあてられても、平然としながら声をかけられるこのアイオスとかいう男は、もしかしたら<かなりの実力者>なのかもしれない。
少し興味がわいてきた。
気分が上昇して、問いかける。
「あいつには王弟だって言うなよ。やりづらいからな。
だけどなんで、オレが王弟だと分かった?」
そう聞くと、アイオスは少し気まずげに扉の前に立つ侍女メアリに目線をなげる。
(・・・なるほど)
確かに昨日、あの侍女の前でオレ自身が<元第三騎士団副騎士団長>と名乗っていたことを思い出す。
もちろんロッド騎士団長に世話になった<元第三騎士団副騎士団長>は<王弟>以外にも何人もいる。
だが、オレに会って、<確信した>・・・というところか。
「アルフォンス殿下の髪は黒がお強いとはいえ、レイ皇国王族特有の<青みがかった髪>をされていますから」
青い髪は一般庶民にも貴族にもいるが、いわゆる<ロビンズエッグブルー>と言われる色味を帯びているのはレイ皇国の王族だけと言われている。
もちろん一般庶民には知られていないが、高位貴族には割と知られている事実だ。
つまり見る人が見れば一発で分かる。
(ああ、そうだった。
そもそもそのせいもあり、平民として生きていたオレが先代の遺児であると認定されたのだった。
これを知っているいうことは、目の前のアイオスは割と高位貴族の出身なのか?
なら、魔法の腕は、かなりのものかもしれないな。
もしかしたら剣の腕も・・・・・・)
そう思考を巡らせたあと、あることを思い出して、思わず舌打ちが漏れる。
アイオスが入ってきたときの仕草だ。
確か<右足をかばうように>歩いていた・・・。もしかしたら、アイオスの右足は<義足>なのかもしれない。
だとしたら、剣は振れないだろう。
(昨日のあいつに続いて、面白い奴を見つけたと思ったのに残念だ)
考えに耽っていると、アイオスが話しかけてきた。
「アルフォンス殿下は、強者と闘うのが好きという噂を聞いたことがあります。
フレデリック様は、確かに天才と噂されていますが、現在は記憶の一部欠けていますので・・・不安でございまして。
昨日の夕方、フレデリック様は<元気がなさそうな>様子でしたので、もしかしたら殿下のご不興を買ったのではないかと・・・・」
カチンと来た。
(オレと会っていたのに、<元気がなさそう>だと・・・?つまりオレといるのは嫌だったというのか?!)
そんな疑念が渦まいて、イライラが止まらない。
なぜだか胸もすげぇ締め付けられた。
なんだこれ・・・・・・病気かよ・・・・!!
(くそ、忌々しいっ)と思いつつも、なんとか不敵な笑みを浮かべるのに成功する。
「ああ、大丈夫だ。むしろ期待以上だったぜ?
だから、今日から俺はあいつと一緒に魔獣狩りに行こうと思っているんだ。
・・・・グラナダ迷宮に」
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