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正義のミカタ第1章~電脳生存者(サイバーサバイバー)~
第7話(第1章エピローグ)後日談
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「でも、重之君、ちょっぴり可哀想ね……」
次の日、警視庁捜査一課。
猫詩谷が、捜査後の報告をわざわざしに来てくれた。お嬢も聞きに来ている。
藤原は、取り調べ中、ショックでほとんど話もしなかったという。ただ、源重之を造った理由については、たった一言、「研究・実験のために創ったにすぎない」とだけ語ったらしい。
あの後、源重之は二度とネット上に現れることはなかった。
おそらく、本当にウイルスで自然消滅したのだろう。
……確かに嫌な奴だったけど、他に彼を救う方法はなかったのだろうか……。
「大丈夫だよ。あいつ、今も元気だから」とお嬢。
「なんでわかるんだよ。ネット上に姿を現してないのに」
「だって、ここにいるから」
そう言って、お嬢はCDを取り出した。
「それ、確かスパイウェアの――」
「猫詩谷さんと月下君が所長さんの気を引いている間に、こっそり重之君をこの中にコピーしといたのさ。
君たちが、重之君の命を救ったんだよ。
今日は、報告を聞くついでにこのCDを証拠として提出しようと思ってね」
「六花ちゃん――」
「お嬢……。
君は、最高だな!」
ぼくら三人は、しばし歓喜に包まれた。
そこへ、
「月下君、六花ちゃん」
崇皇先輩がやってきた。
「あ、先輩」
「どうしたんだい、崇皇さん」
「昨日、事件解決したんだって? おめでとう」
「お嬢のおかげです」
「えっへん」
「でね、今夜みんなで食べに行かない? お金はぜーんぶ、亀追君のおごりよ!」
「崇皇さんが言うので仕方なく……」
亀追さんは言った。
「君は払いたまえよ、月下君」
「せこいこと言わないの!」
崇皇先輩は言った。
「誰のためだと思ってるの? 猫詩谷ちゃんもいらっしゃい」
「え、いいんですか!」
猫詩谷は感激して言った。
なんだかんだ言って、自分も食べ物に目がなかったりするのだ。
――なんだ、今夜食事ってそういうことか。
「行こう、月下君」
お嬢が呼んでいる。
みんなが待っている。
「うん」
ぼくは答えて歩き出した。
〈第1章・了〉
次の日、警視庁捜査一課。
猫詩谷が、捜査後の報告をわざわざしに来てくれた。お嬢も聞きに来ている。
藤原は、取り調べ中、ショックでほとんど話もしなかったという。ただ、源重之を造った理由については、たった一言、「研究・実験のために創ったにすぎない」とだけ語ったらしい。
あの後、源重之は二度とネット上に現れることはなかった。
おそらく、本当にウイルスで自然消滅したのだろう。
……確かに嫌な奴だったけど、他に彼を救う方法はなかったのだろうか……。
「大丈夫だよ。あいつ、今も元気だから」とお嬢。
「なんでわかるんだよ。ネット上に姿を現してないのに」
「だって、ここにいるから」
そう言って、お嬢はCDを取り出した。
「それ、確かスパイウェアの――」
「猫詩谷さんと月下君が所長さんの気を引いている間に、こっそり重之君をこの中にコピーしといたのさ。
君たちが、重之君の命を救ったんだよ。
今日は、報告を聞くついでにこのCDを証拠として提出しようと思ってね」
「六花ちゃん――」
「お嬢……。
君は、最高だな!」
ぼくら三人は、しばし歓喜に包まれた。
そこへ、
「月下君、六花ちゃん」
崇皇先輩がやってきた。
「あ、先輩」
「どうしたんだい、崇皇さん」
「昨日、事件解決したんだって? おめでとう」
「お嬢のおかげです」
「えっへん」
「でね、今夜みんなで食べに行かない? お金はぜーんぶ、亀追君のおごりよ!」
「崇皇さんが言うので仕方なく……」
亀追さんは言った。
「君は払いたまえよ、月下君」
「せこいこと言わないの!」
崇皇先輩は言った。
「誰のためだと思ってるの? 猫詩谷ちゃんもいらっしゃい」
「え、いいんですか!」
猫詩谷は感激して言った。
なんだかんだ言って、自分も食べ物に目がなかったりするのだ。
――なんだ、今夜食事ってそういうことか。
「行こう、月下君」
お嬢が呼んでいる。
みんなが待っている。
「うん」
ぼくは答えて歩き出した。
〈第1章・了〉
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