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ラブ米書いてみた~セカンドシーズン~
第7話 雪華以上の男嫌い
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昼休み。
俺は二年の教室に一応向かってみたが、前来た時と同じく、雪華はいなかった。どこにいるんだ、あいつ。
学校中をさまよってみる。
食堂にも中庭にもいない。
あ、そうだ、ケータイ…………
…………雪華の番号知らない。
彼氏が彼女の番号を知らないのはおかしい。今度会ったら聞いておかないと。
あ、そうだ、屋上。
こんな天気のいい日だ、きっとあいつ、ひなたぼっこしながら弁当を食ってるに違いない。
待ってろ、今行くぞ☆
俺は、屋上への階段を上った。
屋上に出ると、誰かの話し声が聞こえる。
黒いストレートの長髪の女と、艶のある黒い短髪の雪華がいた。
長髪の女は和服の似合いそうな、雪華と日本情緒的な雰囲気が似ている美人だ。確か、学校内でも一、二位を争う男子人気の……名前なんだっけ。
「……下田狗郎先輩と付き合ってるって本当なの? 雪華……」
「夜貴子、誰から聞いたんだ、そんな話……」
「みんな知ってるわよ。あの男が学校中に自慢して回ってるから」
「っ……あの、ド阿呆が……。付き合ってはいない。ただの友達だ」
「友達? 男が……友達? 雪華……どうして? 中学の時、男は女の敵だって、十分思い知ったでしょう?」
「夜貴子……?」
「男は、女の下僕よ。友達など、論外。男なんかに、雪華は渡さない……」
……
……えー……?
何、この危ない会話。
「あの~……雪華?」
「あ、先輩」
雪華に声をかけると、雪華が気づいた。
長髪の女も、こちらを睨む。
「下田……狗郎……」
「あの……一緒に弁当……無理、ですよ、ね」
「天誅!!」
長髪の女が持っていた箸を投げつけた。
「ギャ――ッ!!」
箸が俺の顔をかすめて壁に刺さる。
何この人やばい!
「こらっ、夜貴子! 壁に穴開けちゃダメだろ」
雪華が夜貴子とかいう女をたしなめる。
「やだ、私ったら……穴が開くなんて……」
「俺の心配をしろ! もう少しで俺に穴が開くところだよ!」
「貴方なんか、どうなっても構わないわよ」
夜貴子が言い捨てた。
「よくも、私の雪華をたぶらかしたわね! 下田狗郎……赦さない……!」
「雪華、通訳してくれ。この子、多分日本語をよく知らないだけだろ? 帰国子女なんだよな?」
「通訳しますと、『よくも、私の雪華をたぶらかしたわね! 下田狗郎……赦さない……!』になりますけど」雪華は相変わらずの無表情で言った。
「そのまんま言ってるだけじゃねーか!」
「すいません、私、女の子にもてるもので」
と、雪華は自分で言った。「ちなみにこの子は中学からの友人で、御門夜貴子と言います」
「敵に名乗る必要はないわ、雪華」
夜貴子は雪華を守るようにしながら、俺を睨みつける。
「敵、って……雪華、この子……」
「ええ、私と同じ、いや、それ以上の男嫌いです」
「雪華を呼び捨てしないで。呼び捨てていいのは私だけよ!」
「男嫌いとかそれ以前に何かアブノーマルな感じがするんだが……」
なんか、この夜貴子って子と雪華を一緒にしてはいけない気がする。美人なのに俺でもひくな、夜貴子ちゃん。
「夜貴子、落ち着け。友達になると最終的に決めたのは私だ。こんなアホ面した男ふぜいに、この私がたぶらかされるわけないだろう?」
「失礼にもホドがあると思うんだけど!」
あれ? 俺、なんか泣きそう。
「それもそうだけど……」
夜貴子が納得しているようだ。激しく無念。
「下田狗郎……これだけは言っておくわ。納得いかないけど、何故か雪華と貴方はお友達。あくまでお友達」
何回も言わないで。くじけそう……。
「もし友達の範囲を超えた行動をしたら……『この世には女以外いらないと思わないか同盟』の会長として、貴方を粛清するわ!」
「何その反社会的同盟!?」
「略して『男死ね同盟』です」
雪華が補足説明した。
「略って言えるのソレ!?」
「とりあえず、立ち話していても仕方ないので、さっさとお昼食べませんか?」
言いながら、既に雪華は弁当を広げ始めている。絶対こいつ、自分が腹減ってるだけだ。
「男と一緒に昼ごはん? 変な病気うつされそう。狂犬病とか」夜貴子が顔をしかめた。
「犬扱い!?」
「それもそうだな。じゃあ、先輩帰って下さい」
「チクショー! あんまりだ!」
結局その日の昼は、狼路と食べた。
〈続く〉
俺は二年の教室に一応向かってみたが、前来た時と同じく、雪華はいなかった。どこにいるんだ、あいつ。
学校中をさまよってみる。
食堂にも中庭にもいない。
あ、そうだ、ケータイ…………
…………雪華の番号知らない。
彼氏が彼女の番号を知らないのはおかしい。今度会ったら聞いておかないと。
あ、そうだ、屋上。
こんな天気のいい日だ、きっとあいつ、ひなたぼっこしながら弁当を食ってるに違いない。
待ってろ、今行くぞ☆
俺は、屋上への階段を上った。
屋上に出ると、誰かの話し声が聞こえる。
黒いストレートの長髪の女と、艶のある黒い短髪の雪華がいた。
長髪の女は和服の似合いそうな、雪華と日本情緒的な雰囲気が似ている美人だ。確か、学校内でも一、二位を争う男子人気の……名前なんだっけ。
「……下田狗郎先輩と付き合ってるって本当なの? 雪華……」
「夜貴子、誰から聞いたんだ、そんな話……」
「みんな知ってるわよ。あの男が学校中に自慢して回ってるから」
「っ……あの、ド阿呆が……。付き合ってはいない。ただの友達だ」
「友達? 男が……友達? 雪華……どうして? 中学の時、男は女の敵だって、十分思い知ったでしょう?」
「夜貴子……?」
「男は、女の下僕よ。友達など、論外。男なんかに、雪華は渡さない……」
……
……えー……?
何、この危ない会話。
「あの~……雪華?」
「あ、先輩」
雪華に声をかけると、雪華が気づいた。
長髪の女も、こちらを睨む。
「下田……狗郎……」
「あの……一緒に弁当……無理、ですよ、ね」
「天誅!!」
長髪の女が持っていた箸を投げつけた。
「ギャ――ッ!!」
箸が俺の顔をかすめて壁に刺さる。
何この人やばい!
「こらっ、夜貴子! 壁に穴開けちゃダメだろ」
雪華が夜貴子とかいう女をたしなめる。
「やだ、私ったら……穴が開くなんて……」
「俺の心配をしろ! もう少しで俺に穴が開くところだよ!」
「貴方なんか、どうなっても構わないわよ」
夜貴子が言い捨てた。
「よくも、私の雪華をたぶらかしたわね! 下田狗郎……赦さない……!」
「雪華、通訳してくれ。この子、多分日本語をよく知らないだけだろ? 帰国子女なんだよな?」
「通訳しますと、『よくも、私の雪華をたぶらかしたわね! 下田狗郎……赦さない……!』になりますけど」雪華は相変わらずの無表情で言った。
「そのまんま言ってるだけじゃねーか!」
「すいません、私、女の子にもてるもので」
と、雪華は自分で言った。「ちなみにこの子は中学からの友人で、御門夜貴子と言います」
「敵に名乗る必要はないわ、雪華」
夜貴子は雪華を守るようにしながら、俺を睨みつける。
「敵、って……雪華、この子……」
「ええ、私と同じ、いや、それ以上の男嫌いです」
「雪華を呼び捨てしないで。呼び捨てていいのは私だけよ!」
「男嫌いとかそれ以前に何かアブノーマルな感じがするんだが……」
なんか、この夜貴子って子と雪華を一緒にしてはいけない気がする。美人なのに俺でもひくな、夜貴子ちゃん。
「夜貴子、落ち着け。友達になると最終的に決めたのは私だ。こんなアホ面した男ふぜいに、この私がたぶらかされるわけないだろう?」
「失礼にもホドがあると思うんだけど!」
あれ? 俺、なんか泣きそう。
「それもそうだけど……」
夜貴子が納得しているようだ。激しく無念。
「下田狗郎……これだけは言っておくわ。納得いかないけど、何故か雪華と貴方はお友達。あくまでお友達」
何回も言わないで。くじけそう……。
「もし友達の範囲を超えた行動をしたら……『この世には女以外いらないと思わないか同盟』の会長として、貴方を粛清するわ!」
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「犬扱い!?」
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〈続く〉
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