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第四章 暗殺者の選択編
第175話 なだれ込む狂気
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「空からも来てるぞ! バリスタで撃墜しろ!」
トルネイルの都市に突如訪れた危機。衛兵たちは対応に追われていた。閉めた門には破城槌を叩きつけられたような音が続き、空からは怪鳥が攻め込んでくる。
衛兵たちが門の上から弓で怪鳥を狙い、塔からは巨大なバリスタが顔を出し怪鳥めがけて長大な矢を放った。矢は魔法が込められているのか途中で燃え上がり怪鳥により大きなダメージを与える。
地上では投石機が準備され怪鳥は勿論だが、門の外に集まる魔獣に向けても発射された。岩だけではなく魔法の爆弾も混ぜられたことで門の外では爆音が響き渡る事となった。
だが怪鳥と魔獣の数は多く、特に空からの侵入を防ぎきることは出来なかった。
「抜けた化け物は仕方ない! 中の冒険者に任せてこっちに集中するんだ!」
ガーズが叫び仲間たちも頷き返した。幸い門はまだ破られていない。とにかく魔獣の侵入は防がなければ――そう考えたガーズだったが、直後轟音と共に門が破壊されその思いは脆くも崩れ去った。
「フン。この程度で俺様を阻もうなんざ甘いんだよ」
「な、人だと?」
衛兵の一人が目を白黒させた。どうやら魔獣によって破られたのかと思ったようだが門を破壊したのは一人の人間だった。
だが、ただの人間ではないのはガーズにも理解できた。その巨体は勿論だが発せられる圧が大きくその眼光も鋭い。
そして門が破壊されたことで獰猛な笑みを浮かべる男の背後から次々と魔獣がなだれ込んできた。
「た、戦え! ここでなんとしても食い止めるんだ」
「全員で食い止めるぞ!」
「「「「ウォォオォォオオオオオ!」」」
気持ちを奮い立たせるように声を上げる衛兵たちだったが――その身は魔獣の爪によってあっさり切り裂かれていった。理性を持たない魔獣相手に人の肉体はあまりに脆い。
「貴様、一体何者だ! 何故こんな真似を!」
仲間たちの死を目の当たりにしてガーズが叫んだ。ガーズも援護したかっただろうが眼の前の男から目を離すことが出来なかった。
「何者かだと? ハハッ、だったら冥土の土産に覚えておけ。俺様は七頭の一頭――怒涛の獅子の頭ラオズ・キングだ」
「七頭、だと? まさかあの盗賊団か――」
その名称を聞き苦虫を噛み潰したような顔になるガーズ。すると魔獣に紛れて多数の盗賊たちがその横を通り過ぎていった。
「頭! 当然好きにやっていいんだよな?」
「そうだ。大暴れしてこい!」
「ま、待て!」
「待つわけねぇだろ」
声を上げるガーズだったが、刹那その喉笛が引き裂かれ鮮血が吹き出した。
「あ、が、ぁ」
「よぇえよぇえ。準備運動にもなりゃしねぇぜ。やっぱりお前ら程度じゃ俺様の相手にはならねぇな」
ガーズの首を刈ったのはラオズの指から伸びた爪だった。その右腕は獅子の腕のように変化していた。
「あ、あぁ――」
地面に倒れたガーズはペンダントを取り出し光の消え始めた瞳でその中を見た。掠れた声で何かを呟いていたが直後にその手が地面に落ちた。
ラオズがガーズの手からペンダントを奪い中を見る。
「フンッ、女の似顔絵か。女々しい野郎だ」
そう言ってラオズがペンダントを砕いた。破片を地面にばらまきながら街の奥に目を向ける。
「確か情報じゃ凄腕の冒険者が護衛に入ってるんだったな。折角だからそいつとやってみるか。ガハハハハハハッ――」
ラオズが大声で笑い歩き始めると狂気のような叫び声と悲鳴が辺りに響いていった。
トルネイルの都市に突如訪れた危機。衛兵たちは対応に追われていた。閉めた門には破城槌を叩きつけられたような音が続き、空からは怪鳥が攻め込んでくる。
衛兵たちが門の上から弓で怪鳥を狙い、塔からは巨大なバリスタが顔を出し怪鳥めがけて長大な矢を放った。矢は魔法が込められているのか途中で燃え上がり怪鳥により大きなダメージを与える。
地上では投石機が準備され怪鳥は勿論だが、門の外に集まる魔獣に向けても発射された。岩だけではなく魔法の爆弾も混ぜられたことで門の外では爆音が響き渡る事となった。
だが怪鳥と魔獣の数は多く、特に空からの侵入を防ぎきることは出来なかった。
「抜けた化け物は仕方ない! 中の冒険者に任せてこっちに集中するんだ!」
ガーズが叫び仲間たちも頷き返した。幸い門はまだ破られていない。とにかく魔獣の侵入は防がなければ――そう考えたガーズだったが、直後轟音と共に門が破壊されその思いは脆くも崩れ去った。
「フン。この程度で俺様を阻もうなんざ甘いんだよ」
「な、人だと?」
衛兵の一人が目を白黒させた。どうやら魔獣によって破られたのかと思ったようだが門を破壊したのは一人の人間だった。
だが、ただの人間ではないのはガーズにも理解できた。その巨体は勿論だが発せられる圧が大きくその眼光も鋭い。
そして門が破壊されたことで獰猛な笑みを浮かべる男の背後から次々と魔獣がなだれ込んできた。
「た、戦え! ここでなんとしても食い止めるんだ」
「全員で食い止めるぞ!」
「「「「ウォォオォォオオオオオ!」」」
気持ちを奮い立たせるように声を上げる衛兵たちだったが――その身は魔獣の爪によってあっさり切り裂かれていった。理性を持たない魔獣相手に人の肉体はあまりに脆い。
「貴様、一体何者だ! 何故こんな真似を!」
仲間たちの死を目の当たりにしてガーズが叫んだ。ガーズも援護したかっただろうが眼の前の男から目を離すことが出来なかった。
「何者かだと? ハハッ、だったら冥土の土産に覚えておけ。俺様は七頭の一頭――怒涛の獅子の頭ラオズ・キングだ」
「七頭、だと? まさかあの盗賊団か――」
その名称を聞き苦虫を噛み潰したような顔になるガーズ。すると魔獣に紛れて多数の盗賊たちがその横を通り過ぎていった。
「頭! 当然好きにやっていいんだよな?」
「そうだ。大暴れしてこい!」
「ま、待て!」
「待つわけねぇだろ」
声を上げるガーズだったが、刹那その喉笛が引き裂かれ鮮血が吹き出した。
「あ、が、ぁ」
「よぇえよぇえ。準備運動にもなりゃしねぇぜ。やっぱりお前ら程度じゃ俺様の相手にはならねぇな」
ガーズの首を刈ったのはラオズの指から伸びた爪だった。その右腕は獅子の腕のように変化していた。
「あ、あぁ――」
地面に倒れたガーズはペンダントを取り出し光の消え始めた瞳でその中を見た。掠れた声で何かを呟いていたが直後にその手が地面に落ちた。
ラオズがガーズの手からペンダントを奪い中を見る。
「フンッ、女の似顔絵か。女々しい野郎だ」
そう言ってラオズがペンダントを砕いた。破片を地面にばらまきながら街の奥に目を向ける。
「確か情報じゃ凄腕の冒険者が護衛に入ってるんだったな。折角だからそいつとやってみるか。ガハハハハハハッ――」
ラオズが大声で笑い歩き始めると狂気のような叫び声と悲鳴が辺りに響いていった。
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