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第四章 暗殺者の選択編
第166話 恥
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「このキノコ頭のこと知ってるのかい?」
やってきたモンドに先ず聞いたのはイザベラだった。キノコ頭と聞きモンドがプッと吹き出す。
「はは、確かにこれは大きなキノコだ。シータケ伯爵家とは何度か仕事で会ったことがあってね。その時にこの男の事も見ている。しかし父親はどうにも息子に甘いようでな。おかげで随分と奔放な人間に育ってしまったようだ」
モンドは言葉を選んだようだが、ようは親が甘やかして育ったからこんな我儘な性格になったと言いたいのだろう。確かにシータケは父親に甘やかされたお坊ちゃんって感じだな。
「こいつマリスにも自分の奴隷になれとか言ってたわよね」
パルコが呆れ眼でつぶやいた。モンドの耳がピクリと反応する。
「やれやれ私や娘の身を守ってくれている護衛にまでそんな態度とはな」
「マリスさん大丈夫でしたか?」
呆れるモンドの横でエンデルが心配そうにマリスに話しかけていた。
「あ、うん。私は大丈夫だよ。ネイラが言い返してくれたし」
「別に私はこいつの言動が気に入らなかっただけよ」
マリスはエンデルに微笑んで言葉を返した。話に出されたネイラは照れくさそうに頬を掻いている。
「シータケ様! 気づかれましたか!」
テンションの高い男の声がした。見るとシータケが目を覚まして上半身を起こしていた。
「僕は一体?」
「お目覚めかなシータケ殿」
目覚めたシータケにモンドが話しかけた。モンドの存在に気がついたシータケが目をパチクリさせる。
「お前は確か商人の」
「お久しぶりですね。しかし此度は私の護衛に随分と勝手な事を言ってくれたようで。幾ら伯爵家の子息と言えど節操は保ってもらいたいところですがな」
「な、なんだと! 商人風情が偉そうに! この僕はシータケ伯爵家の跡取りだぞ!」
モンドに対しても偉そうな態度を変えないその姿勢はある意味感心するな。だが下の方は節操がないようだがな。
「やれやれ困ったお人だ。しかしそれならば今すぐに戻られた方がいいのでは? そのような粗相をされては伯爵家の面目丸つぶれですぞ?」
「は?」
モンドがシータケのズボンに指を向けるもシータケはまだ自分の置かれた状況に気がついていないようだ。
「は! し、シータケ様大変です、お、お召し物が――」
呆然としてるシータケと違い護衛の男は気がついたようだ。すっかり股間の濡れたシータケに耳打ちするとシータケの顔がみるみる内に赤くなっていった。
「くっ、こ、この僕が! クソ覚えてろよ!」
勢いよく立ち上がりシータケが護衛といっしょに逃げ去っていった。周囲ではそんな彼の姿を見ながらヒソヒソする男女。あれは色んな意味で有名になれたようだな。
「ザマァないわね。お兄ちゃんを馬鹿にするからこうなるのよ」
「やれやれ。お前には少し反省してもらわないといかないんだがな」
逃げるシータケを目にし腕組みしネイラが言い放った。パトリエはそんなネイラのやり方を好ましく思ってないようだがそこから先はあの二人の問題だ。
「失礼いたしました。いますぐ片付けますので少々お時間を――」
その後すぐにスタッフがやってきた片付けを始めた。まぁ食べるところでこんな真似されては溜まったもんじゃないだろうなとは思う。
「一部の料理は台無しだな。ここのオーナーには私から事情を話してシータケ家に請求が行くよう伝えておこう」
嘆息まじりにモンドが言った。料理そのものが駄目になったということはないだろうが気分的なものもあるからな。あいつの周囲にあった料理は実際一度厨房に戻されたようだし。
もっとも冒険者はこの程度気にしたりしないようだな。シータケがいなくなったことでイザベラやゴングも残った食事に手を付けているぞ。
「お兄ちゃんたち格好いい! もしかして冒険者なの?」
「ウキィ♪」
その時、俺の後ろから子どもの声がした。見ると七歳児程度の男の子がキラキラした目でこっちを見ていた。
「なんだリョウガの知り合いか?」
「いや初対面だ」
「君、パパとママは?」
男の子に気がついたゴングが俺に聞いてきたが当然知らない子だ。そしてパルコが目線を合わせて子どもに話しかけていた。
「なんか色んな人に挨拶しててつまらないんだ。でもこっちを見てたらキノコのモンスターに立ち向かってて格好良かったよ!」
パルコの問いかけに答える子ども。キノコのモンスター……あぁシータケのことか。どうやらこの子どもから見れば俺たちがモンスターを追い払ったように見えたらしいな。しかし――肩に乗ってる猿はペットか。そういえば前にそんな奴もいたな――
やってきたモンドに先ず聞いたのはイザベラだった。キノコ頭と聞きモンドがプッと吹き出す。
「はは、確かにこれは大きなキノコだ。シータケ伯爵家とは何度か仕事で会ったことがあってね。その時にこの男の事も見ている。しかし父親はどうにも息子に甘いようでな。おかげで随分と奔放な人間に育ってしまったようだ」
モンドは言葉を選んだようだが、ようは親が甘やかして育ったからこんな我儘な性格になったと言いたいのだろう。確かにシータケは父親に甘やかされたお坊ちゃんって感じだな。
「こいつマリスにも自分の奴隷になれとか言ってたわよね」
パルコが呆れ眼でつぶやいた。モンドの耳がピクリと反応する。
「やれやれ私や娘の身を守ってくれている護衛にまでそんな態度とはな」
「マリスさん大丈夫でしたか?」
呆れるモンドの横でエンデルが心配そうにマリスに話しかけていた。
「あ、うん。私は大丈夫だよ。ネイラが言い返してくれたし」
「別に私はこいつの言動が気に入らなかっただけよ」
マリスはエンデルに微笑んで言葉を返した。話に出されたネイラは照れくさそうに頬を掻いている。
「シータケ様! 気づかれましたか!」
テンションの高い男の声がした。見るとシータケが目を覚まして上半身を起こしていた。
「僕は一体?」
「お目覚めかなシータケ殿」
目覚めたシータケにモンドが話しかけた。モンドの存在に気がついたシータケが目をパチクリさせる。
「お前は確か商人の」
「お久しぶりですね。しかし此度は私の護衛に随分と勝手な事を言ってくれたようで。幾ら伯爵家の子息と言えど節操は保ってもらいたいところですがな」
「な、なんだと! 商人風情が偉そうに! この僕はシータケ伯爵家の跡取りだぞ!」
モンドに対しても偉そうな態度を変えないその姿勢はある意味感心するな。だが下の方は節操がないようだがな。
「やれやれ困ったお人だ。しかしそれならば今すぐに戻られた方がいいのでは? そのような粗相をされては伯爵家の面目丸つぶれですぞ?」
「は?」
モンドがシータケのズボンに指を向けるもシータケはまだ自分の置かれた状況に気がついていないようだ。
「は! し、シータケ様大変です、お、お召し物が――」
呆然としてるシータケと違い護衛の男は気がついたようだ。すっかり股間の濡れたシータケに耳打ちするとシータケの顔がみるみる内に赤くなっていった。
「くっ、こ、この僕が! クソ覚えてろよ!」
勢いよく立ち上がりシータケが護衛といっしょに逃げ去っていった。周囲ではそんな彼の姿を見ながらヒソヒソする男女。あれは色んな意味で有名になれたようだな。
「ザマァないわね。お兄ちゃんを馬鹿にするからこうなるのよ」
「やれやれ。お前には少し反省してもらわないといかないんだがな」
逃げるシータケを目にし腕組みしネイラが言い放った。パトリエはそんなネイラのやり方を好ましく思ってないようだがそこから先はあの二人の問題だ。
「失礼いたしました。いますぐ片付けますので少々お時間を――」
その後すぐにスタッフがやってきた片付けを始めた。まぁ食べるところでこんな真似されては溜まったもんじゃないだろうなとは思う。
「一部の料理は台無しだな。ここのオーナーには私から事情を話してシータケ家に請求が行くよう伝えておこう」
嘆息まじりにモンドが言った。料理そのものが駄目になったということはないだろうが気分的なものもあるからな。あいつの周囲にあった料理は実際一度厨房に戻されたようだし。
もっとも冒険者はこの程度気にしたりしないようだな。シータケがいなくなったことでイザベラやゴングも残った食事に手を付けているぞ。
「お兄ちゃんたち格好いい! もしかして冒険者なの?」
「ウキィ♪」
その時、俺の後ろから子どもの声がした。見ると七歳児程度の男の子がキラキラした目でこっちを見ていた。
「なんだリョウガの知り合いか?」
「いや初対面だ」
「君、パパとママは?」
男の子に気がついたゴングが俺に聞いてきたが当然知らない子だ。そしてパルコが目線を合わせて子どもに話しかけていた。
「なんか色んな人に挨拶しててつまらないんだ。でもこっちを見てたらキノコのモンスターに立ち向かってて格好良かったよ!」
パルコの問いかけに答える子ども。キノコのモンスター……あぁシータケのことか。どうやらこの子どもから見れば俺たちがモンスターを追い払ったように見えたらしいな。しかし――肩に乗ってる猿はペットか。そういえば前にそんな奴もいたな――
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