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第四章 暗殺者の選択編
第156話 冒険者と衛兵
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「ま、ざっとそんなところだ」
ゴングが再会したガーズに状況を説明した。顔なじみという事もありゴングが説明した方が早いだろうという判断からだった。
「そうか。冒険者同士のいざこざなんて珍しくないが強盗となれば話ば別だな」
ゴングの話を聞いたガーズは一緒に来ていた衛兵たちと話をしゴングたちを狙った冒険者連中を鎖を使用して捕縛していった。
衛兵からすればゴング側が嘘をついていた可能性も否定できないが、気絶した連中が武器を手にしていた事や周辺の目撃者の証言から信じてくれたようだ。
「こっちも仕事だからな。後で確認してお前たちに問題があったなら改めて事情を聞くことになると思う」
「それで問題ないぜ。お前も大変だな」
「ハハッ。お互い様だろう。しかしお前、いつの間にこっちに来てたんだ?」
ガーズがゴングに問いかけた。若干砕けた感じになったのはそれだけ気心がしれた相手ということなのだろう。
「俺はたまたま護衛の仕事でここに来てるだけだ。こいつらと一緒にな」
「護衛、そうかオークションがあるからな。それなら納得だ」
ゴングから話を聞いて頷くガーズ。オークションの事もあり護衛でトルネイルに来ている冒険者は多いのだろう。
「お前の方はどうなんだ? ここで長いのか?」
「あぁ。俺は五年前からここに赴任してな」
「ガーズはこっちでいい相手も出来たからな。もう離れられないだろうよ」
「たく、あんな可愛い嫁さん見つけて隅に置けないぜ」
ガーズとゴングが話していると一緒に来ていた仲間がからかうように言ってきた。ガーズの顔が若干朱色に染まる。
「そうか。結婚したのか。良かったじゃねぇか」
「ま、まぁ正確にはこれからだけどな。このオークションが終わってから式をあげる予定なんだよ」
照れくさそうに語るガーズ。そんな彼の様子を微笑ましそうに見るゴングだ。
「どっちにしろおめでたいことだ。落ち着いたら一杯奢らせろよ」
「あぁわかった。再会できて良かったよ。じゃあ俺は仕事に戻るよ」
「わかったしっかりな」
そしてゴングごガーズは互いに握手を交わし別れた。捕まった連中については衛兵からギルドに連絡いくことだろう。
「お友だちだったのですね」
「あぁ。昔馴染みって奴だな。ガキの頃はよく遊んだもんだ」
「そうなんだ。そういう友だちがいるっていいものだよね……」
ゴングとクルスの会話にマリスも感想を述べた。笑顔を見せるがどことなく淋しげでもあった。
「――ま、昔の友だちが必ずしもいい奴とは限らねぇからな。今の仲間を大事にしてくのが一番だと思うぜ」
「そうですね。マリスにも信頼できる仲間がいるのですからそれでいいではありませんか」
マリスの表情から何かを察したのか、ゴングもクルスもどこか励ますような言葉をマリスに掛けた。その気持ちが嬉しかったのかマリスが笑顔を覗かせた。
「うん。そうだね」
「あぁ。じゃ、折角だからな。ちょっと見て回ってから戻るか」
「そうですね」
そしてマリスたちはトルネイルを眺めて回るのだった――
ゴングが再会したガーズに状況を説明した。顔なじみという事もありゴングが説明した方が早いだろうという判断からだった。
「そうか。冒険者同士のいざこざなんて珍しくないが強盗となれば話ば別だな」
ゴングの話を聞いたガーズは一緒に来ていた衛兵たちと話をしゴングたちを狙った冒険者連中を鎖を使用して捕縛していった。
衛兵からすればゴング側が嘘をついていた可能性も否定できないが、気絶した連中が武器を手にしていた事や周辺の目撃者の証言から信じてくれたようだ。
「こっちも仕事だからな。後で確認してお前たちに問題があったなら改めて事情を聞くことになると思う」
「それで問題ないぜ。お前も大変だな」
「ハハッ。お互い様だろう。しかしお前、いつの間にこっちに来てたんだ?」
ガーズがゴングに問いかけた。若干砕けた感じになったのはそれだけ気心がしれた相手ということなのだろう。
「俺はたまたま護衛の仕事でここに来てるだけだ。こいつらと一緒にな」
「護衛、そうかオークションがあるからな。それなら納得だ」
ゴングから話を聞いて頷くガーズ。オークションの事もあり護衛でトルネイルに来ている冒険者は多いのだろう。
「お前の方はどうなんだ? ここで長いのか?」
「あぁ。俺は五年前からここに赴任してな」
「ガーズはこっちでいい相手も出来たからな。もう離れられないだろうよ」
「たく、あんな可愛い嫁さん見つけて隅に置けないぜ」
ガーズとゴングが話していると一緒に来ていた仲間がからかうように言ってきた。ガーズの顔が若干朱色に染まる。
「そうか。結婚したのか。良かったじゃねぇか」
「ま、まぁ正確にはこれからだけどな。このオークションが終わってから式をあげる予定なんだよ」
照れくさそうに語るガーズ。そんな彼の様子を微笑ましそうに見るゴングだ。
「どっちにしろおめでたいことだ。落ち着いたら一杯奢らせろよ」
「あぁわかった。再会できて良かったよ。じゃあ俺は仕事に戻るよ」
「わかったしっかりな」
そしてゴングごガーズは互いに握手を交わし別れた。捕まった連中については衛兵からギルドに連絡いくことだろう。
「お友だちだったのですね」
「あぁ。昔馴染みって奴だな。ガキの頃はよく遊んだもんだ」
「そうなんだ。そういう友だちがいるっていいものだよね……」
ゴングとクルスの会話にマリスも感想を述べた。笑顔を見せるがどことなく淋しげでもあった。
「――ま、昔の友だちが必ずしもいい奴とは限らねぇからな。今の仲間を大事にしてくのが一番だと思うぜ」
「そうですね。マリスにも信頼できる仲間がいるのですからそれでいいではありませんか」
マリスの表情から何かを察したのか、ゴングもクルスもどこか励ますような言葉をマリスに掛けた。その気持ちが嬉しかったのかマリスが笑顔を覗かせた。
「うん。そうだね」
「あぁ。じゃ、折角だからな。ちょっと見て回ってから戻るか」
「そうですね」
そしてマリスたちはトルネイルを眺めて回るのだった――
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