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第四章 暗殺者の選択編
第147話 本気のネイラVS暗殺者
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『さぁお集まりいただいた皆々様おまたせ致しました! これよりネイラ選手とリョウガ選手による本気の試合を執り行いたいと思います! なお今回は通常の試合と同じく賭けを受け付けております。制限時間は一〇分です! 注目の試合この波に乗りたいという方はお急ぎください!』
司会者が観客席に向けてアピールすると一斉に客たちが動き出した。全く運営もしっかりしているな。もっともそれに文句をいうつもりもないが。
そしてよく見るとイザベラもしっかりその中に混じっていた。
「愛しのお兄様が見ている以上、貴方には絶対に負けないから!」
抜いた剣の切っ先を俺に向けながらネイラが宣戦布告してきた。本来の武器を手にしたからか随分と強気だな。
さて、気になる蛇腹剣だが柄に蛇が巻き付いたような装飾が施されてはいるが一見すると普通の長剣か。全長は九十センチといったところだろう。
だが、もしあれが俺の知識にある蛇腹剣であるなら見た目の長さはあてにならないだろうな。
「お兄様~! しっかり見ていてくださいね。必ず勝ちますから~!」
ネイラが観客席に向かって手を降った。見るとパトリエがゴードン側の席に立っていた。ネイラに気がついたのか軽く手を振り返している。
その視線がふと俺に移った。その視線からはどこか探りを入れてきているような感情も見受けられたが悪意は感じられない。それは冒険者としての興味から来るものなのかもな。
『タイムアップ! それではこれよりリョウガ選手VSネイラ選手の試合を開始致します!』
「さぁ行くわよ!」
司会者がテンション高く宣言し観客席が盛り上がる中、早速ネイラが仕掛けてきた。剣を振ると同時に刃が分裂し鞭のような靭やかさで俺に迫る。
縦横無尽に動き回り複雑な軌道で相手を切りつける。それが蛇腹剣の特徴。俺のいた世界では空想の中でしか存在しなかった武器だが現実に見るとこうなるか。
蛇腹剣のなに恥じない蛇を思わせる挙動。しかもかなり速い。ネイラの操る蛇腹剣は高速の軌道変化で俺の頭上を取りそのまま槍のように迫ってきた。
「中々の不思議武器だな」
一歩引き迫る一撃を躱した。だが地面に突き刺さった刃はモグラのように地中を動き回り今度は足元から俺に襲いかかってきた。しかし全長九十センチ程度の武器だが、これまでの動きを見ると刃だけで五メートルは伸びるようになってるな。
思った通り見た目のリーチは当てにならなかったが結局のところ攻撃してくる刃は一つだ。
「勝ったわ!」
「それは甘いんじゃないか」
俺は体を捻り下からの攻撃も躱す。ネイラの舌打ちが聞こえたが――さて、ある程度動きも確認出来たしそろそろこっちからも行くか。
思考とほぼ同時に俺は地面を蹴り彼我の距離を一気に詰めた。
結局のところ蛇腹剣であっても懐に潜り込んでしまえば関係ない――かと思ったがその時には蛇腹剣が伸縮し本の剣に戻っていた。
鎖の鞭よりも圧倒的に戻りが早いな。近づいた俺にネイラが剣を振るうが軽く飛んで避けネイラのがら空きの顔面に拳を放った。
しかしネイラの首がグニャリと折れ攻撃を躱した。更に軟体生物のような独特の動きで俺の背後を取ってくる。
だが、惑わされはしない背後から攻撃を仕掛けてくるネイラに俺の肘が炸裂した。
「クッ!」
短いうめき声を上げネイラが飛び退いた。しかし――浅いか……。
司会者が観客席に向けてアピールすると一斉に客たちが動き出した。全く運営もしっかりしているな。もっともそれに文句をいうつもりもないが。
そしてよく見るとイザベラもしっかりその中に混じっていた。
「愛しのお兄様が見ている以上、貴方には絶対に負けないから!」
抜いた剣の切っ先を俺に向けながらネイラが宣戦布告してきた。本来の武器を手にしたからか随分と強気だな。
さて、気になる蛇腹剣だが柄に蛇が巻き付いたような装飾が施されてはいるが一見すると普通の長剣か。全長は九十センチといったところだろう。
だが、もしあれが俺の知識にある蛇腹剣であるなら見た目の長さはあてにならないだろうな。
「お兄様~! しっかり見ていてくださいね。必ず勝ちますから~!」
ネイラが観客席に向かって手を降った。見るとパトリエがゴードン側の席に立っていた。ネイラに気がついたのか軽く手を振り返している。
その視線がふと俺に移った。その視線からはどこか探りを入れてきているような感情も見受けられたが悪意は感じられない。それは冒険者としての興味から来るものなのかもな。
『タイムアップ! それではこれよりリョウガ選手VSネイラ選手の試合を開始致します!』
「さぁ行くわよ!」
司会者がテンション高く宣言し観客席が盛り上がる中、早速ネイラが仕掛けてきた。剣を振ると同時に刃が分裂し鞭のような靭やかさで俺に迫る。
縦横無尽に動き回り複雑な軌道で相手を切りつける。それが蛇腹剣の特徴。俺のいた世界では空想の中でしか存在しなかった武器だが現実に見るとこうなるか。
蛇腹剣のなに恥じない蛇を思わせる挙動。しかもかなり速い。ネイラの操る蛇腹剣は高速の軌道変化で俺の頭上を取りそのまま槍のように迫ってきた。
「中々の不思議武器だな」
一歩引き迫る一撃を躱した。だが地面に突き刺さった刃はモグラのように地中を動き回り今度は足元から俺に襲いかかってきた。しかし全長九十センチ程度の武器だが、これまでの動きを見ると刃だけで五メートルは伸びるようになってるな。
思った通り見た目のリーチは当てにならなかったが結局のところ攻撃してくる刃は一つだ。
「勝ったわ!」
「それは甘いんじゃないか」
俺は体を捻り下からの攻撃も躱す。ネイラの舌打ちが聞こえたが――さて、ある程度動きも確認出来たしそろそろこっちからも行くか。
思考とほぼ同時に俺は地面を蹴り彼我の距離を一気に詰めた。
結局のところ蛇腹剣であっても懐に潜り込んでしまえば関係ない――かと思ったがその時には蛇腹剣が伸縮し本の剣に戻っていた。
鎖の鞭よりも圧倒的に戻りが早いな。近づいた俺にネイラが剣を振るうが軽く飛んで避けネイラのがら空きの顔面に拳を放った。
しかしネイラの首がグニャリと折れ攻撃を躱した。更に軟体生物のような独特の動きで俺の背後を取ってくる。
だが、惑わされはしない背後から攻撃を仕掛けてくるネイラに俺の肘が炸裂した。
「クッ!」
短いうめき声を上げネイラが飛び退いた。しかし――浅いか……。
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