クラスで馬鹿にされてた俺、実は最強の暗殺者、異世界で見事に無双してしまう~今更命乞いしても遅い、虐められてたのはただのフリだったんだからな~

空地大乃

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第四章 暗殺者の選択編

第142話 それは護衛の仕事じゃないと思うが

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『……誰も姿を見せませんが?』
「あれ?」

 司会者が苦笑気味に言うとイザベラが目を白黒させて辺りを確認した。そんな素振りを見せたところで俺がいくわけもないんだがな。

「お~いリョウガ~リョウガく~ん。そんな勿体ぶらないでいいからさ。ほらほら出番だよ~」

 ついには猫なで声で俺を呼び出したイザベラだが、わざわざ俺が行く理由がない。

「呼んでいるが行かないのかい?」

 口元を緩めながらゴルドーが俺に聞いてきた。勿論俺が勝手に名指しされたことを理解したうえでの質問だろうがな。

「行く理由がない」
「ふむ。しかし興味があるね。君があのネイラと戦ったらどうなるか。実に気になる」

 ゴルドーは暗に俺が賭けに乗るよう促しているようだが仕事と関係ないところで余計な労力を払う気はない。

「どうかなリョウガ。市長もこういっていることだしちょっと腕試しのつもりで挑んでみては?」
「……悪いが遠慮しておく」
「仕事としてお願いしても駄目かね?」
「今回の依頼はあくまで護衛。見世物にされる為ではない筈だが?」
「ハハッ、これは中々手厳しい」

 どうやらゴルドーとモンドは俺に闘技場に立って欲しいようだがそれをやるメリットが俺にはない。

「それならば追加依頼としてならどうかな? 金貨二十五枚だそうじゃないか」
「ふむ。それならば私からも同額だそう。これなら悪い話ではないのではないか? 勿論勝ち負けに関係なくだ」
「でるだけで金貨五十枚ってこと!? 凄いじゃんリョウガ!」

 パルコが興奮気味に言ってきた。確かに試合に出るだけで金貨五十枚は一見悪くない話だが――

「気乗りはしないな」
「えぇ、金貨五十枚だよ? 普通にやってたらそうそう貰えない報酬だよ?」

 パルコはこう言うが、これまでそれなりに稼いで来ているからな。勿論金があって困ることはないが大衆の目に晒されてまでやることじゃない。

「やれやれ相変わらずですね。そういう強引なところ改めた方がいいと思いますよ」

 観客席の階段を降りてきた男がゴルドーとモンドに向けて言った。

「おお、パトリエじゃないか。先程はいい試合を見せてもらったよ」
「それはどうも。しかし今後は遠慮させて頂きたいところですね」

 俺たちに近づいてきたのは先程まで闘技場で試合をしていたA級冒険者のパトリエだった。

「君が出てくれるだけで興行的には大助かりなんだがねぇ」
「私はあくまで冒険者。こういうところで戦うのが仕事ではないのですよ。それはおそらく彼もそうなのでしょう」

 パトリエが俺を見ながら諭すように言った。俺もそのとおりだとは思う。

「おいみろよあれ!」
「パトリエ選手じゃない?」
「本当だパトリエだぞ!」

 パトリエに気がついた観客たちが騒ぎ始めた。近づいてこようとしているのもいるがゴルドーの護衛たちが間に入って止めていた。

「相変わらずの人気だねぇ」
「別に人気物になりたいわけではないのだが」
「お兄様!」

 パトリエがゴルドーに気がついたのと同時にネイラも気がついたのかパトリエを呼んでいた。

「見に来てくれたのですね! どうでしたか私の戦いは!」
「あぁ。成長したな驚いたよ」

 パトリエの答えを聞いてネイラの表情が明るくなった。兄妹の中はいいってことか。

「リョウガ! まだそこにいたのかよ。頼むよここまでおりてきてくれよ~」

 すると俺に気がついたのかイザベラが泣き落とすように言ってきた。そんな顔されてもやる気はないんだが――
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