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第四章 暗殺者の選択編
第139話 続く特別試合
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『さてご来場の皆様。ここでなんとサプラーーーーイズ! 今回はこれより特別試合が更に一つ用意されております!』
パトリエが闘技場から立ち去った後、司会者が闘技場の中心に立ち盛大に発表した。一度は落ち着いた熱気が再燃し周囲から歓声が鳴り響いた。
『いいですね盛り上がってますね! そんな皆様に更に朗報! なんと次の試合は観客の皆様が直接参加出来るのです! その前に――注目の特別選手の入場だーーーーーー!』
司会者が声を張り上げると同時にツカツカと一人の少女が入場し闘技場に近づいてきた。それは癖のある銀髪が特徴的な少女だった。顔は整っているがアーモンド型の瞳からはどこか挑戦的な印象も見受けられる。
「誰かと思えば随分と若い女じゃねぇか」
「いやぁしかし美人だねぇ」
「あれと戦うのか? 余裕で勝っちまいそうだが」
「しょ、勝負しながら、サ、触っちゃおうかな……」
入場した少女を見た観客が好き勝手言っているな。しかし余裕で勝てそうか。まぁ見た目でしか判断できないならそう思えても仕方ないか。
『どうやら皆様、彼女がまさ若くて驚いているようですね。ですが! なんとこの選手こそ先ほど圧倒的な強さを見せつけてくれたパトリエ選手の妹であるネイラ選手なのです!」
司会者の説明を聞きまだ若い少女だと侮っていた観客たちの様相も変わった。
「お、おいおいマジかよ! あのパトリエに妹がいたのかよ!」
「てことはやっぱり凄腕なのか?」
『なお今回特別に試合をしてくれることになったネイラ選手はこの若さで既にB級の冒険者として活躍しております! つまり実力は折り紙付き!』
観客の疑問に答えるように司会者が説明した。しかしB級冒険者か。パトリエがA級だったからそれより一つ下らしいが、司会者の話しぶりから察するにあの年齢でB級というのはそう多くないのかもしれない。
『さて、先程も話した通り今回はこのネイラ選手と戦いたいという方を募集したいと思います! 参加するには最低でも賭け金として金貨一枚! そしてネイラ選手に勝利した方には賭け金の十倍の払い戻しをお約束致します!』
司会者の説明で更に観客席が盛り上がった。十倍というのはそれだけ魅力的ということか。
『さぁどなたかいらっしゃいますか? このネイラ選手に挑もうという猛者は!』
「俺がやってやろうじゃねぇかーーーーーー!」
闘技場に向けて誰かの声が響いた。同時に一人の男が観客席から飛びだし司会者に金貨五枚を投げ渡した後ネイラの前に立った。
『おお! 何と自ら名乗りを上げてくれる猛者が現れました! それでは簡単な自己紹介をお願い致します!』
「俺は元冒険者のゴローだ! この腕っぷしでブイブイ言わせてきた俺がそこの嬢ちゃんに人生の厳しさって奴を教えてやるぜ!」
ゴローと名乗った男が鼻息を粗くさせた。随分と体格のいい男だ。身長は軽く二メートルは超えていて肩幅も拾い。
『自己紹介ありがとうございます。では武器はそこに用意されたものから選んでご使用ください。全て刃を無くしてありますがそれでも負傷した際は自己責任となりますのでご理解ください!』
司会者に言われゴローが持ってきたのは両刃の戦斧だった。刃がないとはいえあれで殴られたら軽い怪我では済まないだろうな。
一方でネイラが手にしたのは鎖製の鞭だった。
『それでは早速始めてもらいましょう! ゴロー挑戦者VSネイラ選手! ファイト!』
司会者の合図と同時にゴローが飛び出し斧を振り下ろした。しかしネイラは危なげなくその攻撃を避けゴローに鞭を浴びせる。
「フンッ! こんなもの俺の鍛え上げられた肉体に効くものか! スキル【頑丈!】」
ゴローがスキルを使用した。名前から察するに体を頑丈にするといったところか。鍛え上げた筋肉にスキルが重なりゴローの肉体は筋肉の鎧と化したようだな。
「これで終わりだ!」
ゴローが回転しながら斧を振るった。だがその回転に合わせるようにネイラも動きゴローの体に鎖を巻き付けていく。
「な、なんだぁ!?」
ネイラの鞭に縛られゴローが叫んだ。まさか自分の技を逆に利用されるとは思っていなかったのだろう。
「くそ、こんなものムギギッ――」
ゴローが力を込めるが鎖が解けることはなくむしろギリギリと締め付けていく。そういう特別な縛り方をしたのだろうな。
「い、いて! くそ、解けない上にグイグイ食い込んでいやがる!」
「はぁ。あんたじゃ私の相手なんて無理。すぐに降参しないと――その体を引きちぎるわよ?」
「ヒッ、わ、わかった負けだ! 降参だ!」
ネイラの冷たい視線を浴びてゴローが慌てて降参を宣言した。するとネイラの鞭が緩みゴローは地面に倒れこんだ。
『勝負あり! 勝者ネイラ選手!』
司会者が宣言すると観客から歓声が上がり、ネイラがそれに応えるように手を挙げた。今の試合ネイラにとっては準備運動にもなってないな。それぐらいの余裕が感じられる――
パトリエが闘技場から立ち去った後、司会者が闘技場の中心に立ち盛大に発表した。一度は落ち着いた熱気が再燃し周囲から歓声が鳴り響いた。
『いいですね盛り上がってますね! そんな皆様に更に朗報! なんと次の試合は観客の皆様が直接参加出来るのです! その前に――注目の特別選手の入場だーーーーーー!』
司会者が声を張り上げると同時にツカツカと一人の少女が入場し闘技場に近づいてきた。それは癖のある銀髪が特徴的な少女だった。顔は整っているがアーモンド型の瞳からはどこか挑戦的な印象も見受けられる。
「誰かと思えば随分と若い女じゃねぇか」
「いやぁしかし美人だねぇ」
「あれと戦うのか? 余裕で勝っちまいそうだが」
「しょ、勝負しながら、サ、触っちゃおうかな……」
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「お、おいおいマジかよ! あのパトリエに妹がいたのかよ!」
「てことはやっぱり凄腕なのか?」
『なお今回特別に試合をしてくれることになったネイラ選手はこの若さで既にB級の冒険者として活躍しております! つまり実力は折り紙付き!』
観客の疑問に答えるように司会者が説明した。しかしB級冒険者か。パトリエがA級だったからそれより一つ下らしいが、司会者の話しぶりから察するにあの年齢でB級というのはそう多くないのかもしれない。
『さて、先程も話した通り今回はこのネイラ選手と戦いたいという方を募集したいと思います! 参加するには最低でも賭け金として金貨一枚! そしてネイラ選手に勝利した方には賭け金の十倍の払い戻しをお約束致します!』
司会者の説明で更に観客席が盛り上がった。十倍というのはそれだけ魅力的ということか。
『さぁどなたかいらっしゃいますか? このネイラ選手に挑もうという猛者は!』
「俺がやってやろうじゃねぇかーーーーーー!」
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『おお! 何と自ら名乗りを上げてくれる猛者が現れました! それでは簡単な自己紹介をお願い致します!』
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司会者に言われゴローが持ってきたのは両刃の戦斧だった。刃がないとはいえあれで殴られたら軽い怪我では済まないだろうな。
一方でネイラが手にしたのは鎖製の鞭だった。
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司会者の合図と同時にゴローが飛び出し斧を振り下ろした。しかしネイラは危なげなくその攻撃を避けゴローに鞭を浴びせる。
「フンッ! こんなもの俺の鍛え上げられた肉体に効くものか! スキル【頑丈!】」
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「これで終わりだ!」
ゴローが回転しながら斧を振るった。だがその回転に合わせるようにネイラも動きゴローの体に鎖を巻き付けていく。
「な、なんだぁ!?」
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「くそ、こんなものムギギッ――」
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「い、いて! くそ、解けない上にグイグイ食い込んでいやがる!」
「はぁ。あんたじゃ私の相手なんて無理。すぐに降参しないと――その体を引きちぎるわよ?」
「ヒッ、わ、わかった負けだ! 降参だ!」
ネイラの冷たい視線を浴びてゴローが慌てて降参を宣言した。するとネイラの鞭が緩みゴローは地面に倒れこんだ。
『勝負あり! 勝者ネイラ選手!』
司会者が宣言すると観客から歓声が上がり、ネイラがそれに応えるように手を挙げた。今の試合ネイラにとっては準備運動にもなってないな。それぐらいの余裕が感じられる――
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