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第四章 暗殺者の選択編
第136話 モンドとゴルドー
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戻ってすぐにエンデルが途中で起きたことを説明していた。その後ゴルドーに出会った事も話すとモンドがゴルドーと挨拶を交わす。
「これはこれは市長。お久しぶりです」
「久しぶりだね君も元気そうで何よりだよ」
モンドがゴルドーと挨拶をかわしたあとモンドが俺に目を向けた。
「リョウガもご苦労さま。どうやら途中で娘が襲われたようだね。君に同行させて良かったよ」
「本当にリョウガさんのおかげで助かりました」
モンドにお礼を言われた。エンデルも微笑みかけてきたが俺としてはやるべきことをやっただけだ。褒められるようなことではない。
「今回雇った護衛はかなり優秀なようだね。いい冒険者を見つけたものだ」
「はは、確かに。彼には今回初めて依頼したが予想通りの腕前でしたよ」
「うむ。そうだなこれだけの腕があるなら今度は私もお願いしたいぐらいだよ」
そんな話を二人で交わしていた。仕事が増えるのは悪いことではないがそれ以外には特に興味はなかった。二人の話はそのままエンデルの話題に移っていく。
「それにしてもエンデルも随分と美しく成長したものだ。久しぶりに見て驚いたよ」
「はは、そう言って頂けると光栄ですね」
「うむ。流石は育て方も一級だな。これなら――」
そこまでいったゴルドーの視線がエンデルに向けられた。どことなく値踏みするような目だった。
「やったね! また勝ったよ!」
「へぇ。やるじゃないイザベラ」
その時耳に届いたのは興奮したイザベラの声だった。どうやら次の賭けでも的中したようだな。この試合は魔物や魔獣を集めて生き残ったのが勝ちというものだったらしく賭けの対象が増える分当てるのは難しそうだが、イザベラは賭けに関しての嗅覚が優れているのかもな。
「彼女たちも護衛かな?」
「そうです。今回はリョウガも含めて六人雇ってますからな。皆、腕は確かですよ」
「ほう。それならこの後楽しんで貰えるかもしれないな」
この後、か、妙に意味深な発言だな。
『さぁ会場の皆様お待たせいたしました! 今回の目玉となる特別試合を開始致します! 先ずは今をときめく新進気鋭のA級冒険者! パトリエ選手の入場です!』
ふと試合場に響き渡る声。見ると闘技場の中心にメガネを掛けた男の姿。その手にはマイクのような物も握られていた。あれも魔導具の一種なのだろう。
そして出入り口から姿を見せたのは鎧姿で銀髪の美丈夫だった。そしてパトリエという冒険者が姿を見せた途端コロシアム内の盛り上がりが増した。
女のファンも多いのか黄色い声援も飛び交う。もっとも入ってきたパトリエは特に声援に答えることもなくどこか面白くなさそうでもある。
「いやはや、やはり大した人気だね」
「うむ。今回の目玉だからな。君も彼を見たくてきたのだろう?」
「勿論。彼の噂は私も耳にしていましたからね」
ゴルドーがモンドとそんな会話をしていた。モンドが見たいと言っていた試合はこれか。確かにパトリエという男から発せられる空気はこれまでの冒険者と異なる。これがこの世界のA級の実力ということか。
「しかし市長。彼をよく説得できましたね」
「最初はなかなか首を縦に振ってくれなかったが今回は護衛を依頼するのと一緒にギルドマスターを通してお願いしてもらったのだよ」
モンドに聞かれゴルドーが答えた。その話を聞いてしっくりきた。パトリエが面白くなさそうなのは今回の試合に参加するのが不本意だったからなのだろう。
観衆の目に晒され見世物扱いされてるようで気分が悪いのかもな。その気持ちはわからなくもない。
『パトリエ選手は今回開かれるオークションの護衛たちのリーダーとしても期待される程の逸材! そんなパトリエ選手が相手するのは――この魔獣たちだ!』
闘技場に立つ男が派手なリアクションを見せると同時に屈強な男たちの手によって巨大な檻が三つ運ばれてきた。檻にはカバーが掛けられていて今はまだその姿が確認できない。
そして闘技場まで運ばれると同時にカバーが外され中身が顕になったわけだが――
「これはこれは市長。お久しぶりです」
「久しぶりだね君も元気そうで何よりだよ」
モンドがゴルドーと挨拶をかわしたあとモンドが俺に目を向けた。
「リョウガもご苦労さま。どうやら途中で娘が襲われたようだね。君に同行させて良かったよ」
「本当にリョウガさんのおかげで助かりました」
モンドにお礼を言われた。エンデルも微笑みかけてきたが俺としてはやるべきことをやっただけだ。褒められるようなことではない。
「今回雇った護衛はかなり優秀なようだね。いい冒険者を見つけたものだ」
「はは、確かに。彼には今回初めて依頼したが予想通りの腕前でしたよ」
「うむ。そうだなこれだけの腕があるなら今度は私もお願いしたいぐらいだよ」
そんな話を二人で交わしていた。仕事が増えるのは悪いことではないがそれ以外には特に興味はなかった。二人の話はそのままエンデルの話題に移っていく。
「それにしてもエンデルも随分と美しく成長したものだ。久しぶりに見て驚いたよ」
「はは、そう言って頂けると光栄ですね」
「うむ。流石は育て方も一級だな。これなら――」
そこまでいったゴルドーの視線がエンデルに向けられた。どことなく値踏みするような目だった。
「やったね! また勝ったよ!」
「へぇ。やるじゃないイザベラ」
その時耳に届いたのは興奮したイザベラの声だった。どうやら次の賭けでも的中したようだな。この試合は魔物や魔獣を集めて生き残ったのが勝ちというものだったらしく賭けの対象が増える分当てるのは難しそうだが、イザベラは賭けに関しての嗅覚が優れているのかもな。
「彼女たちも護衛かな?」
「そうです。今回はリョウガも含めて六人雇ってますからな。皆、腕は確かですよ」
「ほう。それならこの後楽しんで貰えるかもしれないな」
この後、か、妙に意味深な発言だな。
『さぁ会場の皆様お待たせいたしました! 今回の目玉となる特別試合を開始致します! 先ずは今をときめく新進気鋭のA級冒険者! パトリエ選手の入場です!』
ふと試合場に響き渡る声。見ると闘技場の中心にメガネを掛けた男の姿。その手にはマイクのような物も握られていた。あれも魔導具の一種なのだろう。
そして出入り口から姿を見せたのは鎧姿で銀髪の美丈夫だった。そしてパトリエという冒険者が姿を見せた途端コロシアム内の盛り上がりが増した。
女のファンも多いのか黄色い声援も飛び交う。もっとも入ってきたパトリエは特に声援に答えることもなくどこか面白くなさそうでもある。
「いやはや、やはり大した人気だね」
「うむ。今回の目玉だからな。君も彼を見たくてきたのだろう?」
「勿論。彼の噂は私も耳にしていましたからね」
ゴルドーがモンドとそんな会話をしていた。モンドが見たいと言っていた試合はこれか。確かにパトリエという男から発せられる空気はこれまでの冒険者と異なる。これがこの世界のA級の実力ということか。
「しかし市長。彼をよく説得できましたね」
「最初はなかなか首を縦に振ってくれなかったが今回は護衛を依頼するのと一緒にギルドマスターを通してお願いしてもらったのだよ」
モンドに聞かれゴルドーが答えた。その話を聞いてしっくりきた。パトリエが面白くなさそうなのは今回の試合に参加するのが不本意だったからなのだろう。
観衆の目に晒され見世物扱いされてるようで気分が悪いのかもな。その気持ちはわからなくもない。
『パトリエ選手は今回開かれるオークションの護衛たちのリーダーとしても期待される程の逸材! そんなパトリエ選手が相手するのは――この魔獣たちだ!』
闘技場に立つ男が派手なリアクションを見せると同時に屈強な男たちの手によって巨大な檻が三つ運ばれてきた。檻にはカバーが掛けられていて今はまだその姿が確認できない。
そして闘技場まで運ばれると同時にカバーが外され中身が顕になったわけだが――
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