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第四章 暗殺者の選択編
第129話 そこはスラムだった
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「魔法は掛けました。私は自らは戦えませんが怪我をしたら言ってください!」
クルスの魔法によりマリスとゴングに加護が与えられた。これによって肉体的に頑丈になる。
「これを鳴らしてくれ」
するとゴングがマリスに小さな鐘を投げて寄越した。それにマリスが目をパチクリさせる。
「わ、私がこれ鳴らすの?」
「そうだ。頼んだぜ!」
ゴングが両拳を合わせ打ち鳴らした。だが鐘を渡されたマリスはどうしていいのかわからず戸惑う。
「ごちゃごちゃ考えんな! とにかく鳴らせ! そしてまずは周囲の奴らを撃退するぞ!」
「う、うん分かったよ」
ゴングに促されたマリスは鐘を鳴らした。その途端にゴングがスキルを発動した。
「行くぜ!」
「私も――」
「待て! お前はクルスから出来るだけ離れず戦え! クルスは自分では戦えないからな!」
前に出ようとするマリスにゴングが叫んだ。確かにクルスは自分でも戦えないと言っていた。
「そうか、わかったわ。でも大丈夫?」
「三分以内ならな」
そしてゴングが向かってきた男に拳を叩き込んだ。
「ぐはっ!」
ゴングに殴られた男はそのまま吹き飛び壁に激突した。
「な、なんだこいつ! 強いぞ!」
「や、やべぇ!」
「だったら女だ女を狙え!」
「もう一人もヒョロいからね! こっちなら楽勝さ!」
声を上げ二人の男女がマリスとクルスに向けて襲いかかった。だが次の瞬間マリスの回転蹴りが二人を吹き飛ばした。
「がはっ!」
「ごふっ!」
「何? もう終わり?」
マリスが拍子抜けしたように呟いた。その前方ではゴングのコンビネーションによって相手がまとめて殴り飛ばされていく。
そしてゴングとマリスの活躍により襲いかかってきたゴロツキどもの大半は倒された。数の割には二人にとって手応えの感じられない相手だったようだ。
「どうやら無事に済んだようですね」
「あぁ。三分以内に終わったぜ」
「大したことなかったわね」
三人が集まり互いの健闘を称え合った。その時だった――三人の周囲にキラキラした粉が舞い落ちてくる。
「なんだろうこれ?」
「これは鱗粉?」
「――ッ!?」
マリスとクルスが疑問符を浮かべている中、ゴングだけがハッとした表情で飛び退いた。
「どうし、た、の――」
「これ、は、しま……」
マリスとクルスが地面に倒れた。ゴングの表情も険しくなる。
「チッ、一人逃したか。まぁでも上々だな」
ゴングの背中に届く声。ゆっくりと振り返るとサングラスをした男がヘラヘラした笑みを浮かべながら近づいてきた。
「テメェ、何しやがった?」
「言うわけないじゃん」
「でかしたぜリンプ」
「流石あんたの【鱗粉】スキルは役立つね」
「いや、あっさりバラすなよ!」
近づいてくる男女にリンプと呼ばれた男が突っ込んだ。だが周囲の奴らはリンプを揶揄するように笑っていた。
「さてと、残ったゴリラは私たちで始末しましょうか」
「誰がゴリラがこの野郎が」
「強がるなよ。お前だって多少は鱗粉の効果が出てるんだろう?」
「くっ……」
ゴングが奥歯を噛みしめる。図星だった。咄嗟に飛び退いたもののゴングも多少は粉を吸ってしまったのだ。恐らくこの鱗粉には吸った相手を痺れさせる効果がある。
おかげでゴングの手足には痺れた感覚があり、いつものようには動けそうにない。
「舐めるなよ。俺のスキルの強化があれば楽勝だ」
「それは嘘だな。お前はさっき三分以内ならと言っていた」
「あららもうとっくに三分はすぎてるわよねぇ」
ゴングの頬を冷たい汗が伝った。
「ま、こんなスラムに踏み込んできた自分たちを呪うのね」
女が言った。ゴングが構えを取るが表情に余裕が感じられない――
クルスの魔法によりマリスとゴングに加護が与えられた。これによって肉体的に頑丈になる。
「これを鳴らしてくれ」
するとゴングがマリスに小さな鐘を投げて寄越した。それにマリスが目をパチクリさせる。
「わ、私がこれ鳴らすの?」
「そうだ。頼んだぜ!」
ゴングが両拳を合わせ打ち鳴らした。だが鐘を渡されたマリスはどうしていいのかわからず戸惑う。
「ごちゃごちゃ考えんな! とにかく鳴らせ! そしてまずは周囲の奴らを撃退するぞ!」
「う、うん分かったよ」
ゴングに促されたマリスは鐘を鳴らした。その途端にゴングがスキルを発動した。
「行くぜ!」
「私も――」
「待て! お前はクルスから出来るだけ離れず戦え! クルスは自分では戦えないからな!」
前に出ようとするマリスにゴングが叫んだ。確かにクルスは自分でも戦えないと言っていた。
「そうか、わかったわ。でも大丈夫?」
「三分以内ならな」
そしてゴングが向かってきた男に拳を叩き込んだ。
「ぐはっ!」
ゴングに殴られた男はそのまま吹き飛び壁に激突した。
「な、なんだこいつ! 強いぞ!」
「や、やべぇ!」
「だったら女だ女を狙え!」
「もう一人もヒョロいからね! こっちなら楽勝さ!」
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「がはっ!」
「ごふっ!」
「何? もう終わり?」
マリスが拍子抜けしたように呟いた。その前方ではゴングのコンビネーションによって相手がまとめて殴り飛ばされていく。
そしてゴングとマリスの活躍により襲いかかってきたゴロツキどもの大半は倒された。数の割には二人にとって手応えの感じられない相手だったようだ。
「どうやら無事に済んだようですね」
「あぁ。三分以内に終わったぜ」
「大したことなかったわね」
三人が集まり互いの健闘を称え合った。その時だった――三人の周囲にキラキラした粉が舞い落ちてくる。
「なんだろうこれ?」
「これは鱗粉?」
「――ッ!?」
マリスとクルスが疑問符を浮かべている中、ゴングだけがハッとした表情で飛び退いた。
「どうし、た、の――」
「これ、は、しま……」
マリスとクルスが地面に倒れた。ゴングの表情も険しくなる。
「チッ、一人逃したか。まぁでも上々だな」
ゴングの背中に届く声。ゆっくりと振り返るとサングラスをした男がヘラヘラした笑みを浮かべながら近づいてきた。
「テメェ、何しやがった?」
「言うわけないじゃん」
「でかしたぜリンプ」
「流石あんたの【鱗粉】スキルは役立つね」
「いや、あっさりバラすなよ!」
近づいてくる男女にリンプと呼ばれた男が突っ込んだ。だが周囲の奴らはリンプを揶揄するように笑っていた。
「さてと、残ったゴリラは私たちで始末しましょうか」
「誰がゴリラがこの野郎が」
「強がるなよ。お前だって多少は鱗粉の効果が出てるんだろう?」
「くっ……」
ゴングが奥歯を噛みしめる。図星だった。咄嗟に飛び退いたもののゴングも多少は粉を吸ってしまったのだ。恐らくこの鱗粉には吸った相手を痺れさせる効果がある。
おかげでゴングの手足には痺れた感覚があり、いつものようには動けそうにない。
「舐めるなよ。俺のスキルの強化があれば楽勝だ」
「それは嘘だな。お前はさっき三分以内ならと言っていた」
「あららもうとっくに三分はすぎてるわよねぇ」
ゴングの頬を冷たい汗が伝った。
「ま、こんなスラムに踏み込んできた自分たちを呪うのね」
女が言った。ゴングが構えを取るが表情に余裕が感じられない――
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