クラスで馬鹿にされてた俺、実は最強の暗殺者、異世界で見事に無双してしまう~今更命乞いしても遅い、虐められてたのはただのフリだったんだからな~

空地大乃

文字の大きさ
上 下
117 / 177
第四章 暗殺者の選択編

第115話 一発で終わった試合

しおりを挟む
 スキルを使ったゴングは確かにかなり肉体的に強化されているようだった。数倍ぐらいには跳ね上がっていたのかもしれない。

 だが――ゴングは大の字になって倒れていた。確かにスキルで強くはなったのだが、鳩尾に一発撃ち込んだだけであっさり決着がついてしまった。まぁ長引かせる気もなかったが。

「ちょっとゴング! 何あっさりのびてんのよ! 折角私が多少は褒めてやったっていうのに!」

 するとパルコが猛ダッシュでやってきて寝ているゴングの頭を上げて頬に往復ビンタしていた。一体何で怒ってるのかさっぱりだが。

「君、流石に負けた相手にそれは気の毒に思えるのだが……」

 モンドが苦笑気味にパルコに声をかけていた。

「いいんですよ。ほらさっさと起きなさいよ!」
「んぁ、何だ? 俺は一体どうなったんだ?」
 
 パルコの最後の一発が村中に鳴り響いたのと同時にゴングが意識を取り戻した。

「随分とあっさり決着がついたと思ったが、あの嬢ちゃんの方が強いんじゃないか?」
「いいぞ嬢ちゃん。あんたの方がおもしれぇや」

 物珍しそうに見に来ていた村人たちからドッと笑いが起きた。目覚めたゴングはわけがわからないといった顔をしている。

「う~ん、確かに随分とゴングについて熱く語っていたから逆に腹を立ててるのかもね」

 マリスがやってきてそんなことを言った。どうやら俺とゴングの戦いが始まる直前まで、パルコはゴングについて饒舌に語っていたらしい。

「俺が、負けたのか、しかも一発で……」
「そうさ。見事な完敗だよ。もうあんたリョウガに偉そうなこと言えないねぇ」

 ポツリと呟くゴングに向けて笑いながらイザベラが言い放った。

「ちょ、イザベラ。少しは負けたゴングの気持ちも考えた方が……」

 クルスはゴングに気を使ってかイザベラに注意を促そうとしていた。

「いや、いいんだ。俺が負けたのは事実だ。しかも言い訳のしようがないぐらいあっさりとな」

 俯きながら気弱な台詞をゴングが吐露した。そのまま顔をモンドに向ける。

「モンドさん。悪いが俺はこの護衛から抜けることにする。こんな無様な姿を晒してこのままってわけにはグべッ!」

 ゴングは意気消沈してか仕事を投げ出すような発言をしてみせたが、その横っ面をパルコが杖で殴りつけていた。ゴングは気が抜けていたからかモロにダメージを受けているようだな。

「お、おまえ、何しやがる!」
「何しやがるじゃないわよこの馬鹿! 確かにあんたは負けたわよ。笑えるぐらいあっさりね。でもだからって受けた仕事を途中で投げ出すとか何考えてるのよ! あんたそんないい加減な気持ちでC級冒険者になったわけ!」

 パルコがゴングに怒りをぶつけた。その気迫に周囲も圧倒されている。

「見た目は幼いのに結構言うものだね」

 マリスが感心していた。見た目はともかくパルコの言い分はもっともだな。投げ出すぐらいなら最初から護衛依頼なんて受けるべきじゃない。

「クッ、女にはわからねぇよ。こっちはあいつに負けたら仕事をおりろとまで言ってんだ! それなのに負けた俺がおめおめと残れるかよ!」

「だったら他にやることあるでしょうが!」

 そう言ってパルコが俺たちに体を向けゴングの頭を杖で殴った。

「ほら! 先ず謝る!」
「グッ! す、済まなかった。勝手に弱いと決めつけてお前のことを見下してた。本当に申し訳ないと思っている」

 パルコに促されゴングが深々と頭を下げてきた。パルコに言われたからというわけではないようで、寧ろパルコに言われてきっかけが出来たといったところか。

 どっちにしろ俺にはどうでもいいことだがな。特に気にもしてない。

「別に構わない。俺は依頼人に従って試合しただけだ。負けたら止めるなんて取り決めもなかった筈だからな」
「リョウガの言うとおりだ。同時にパルコの言っていることも正しい。幾ら負けたからと言って勝手に護衛を止められても困るのは私たちなのだからね」

 モンドが眉を寄せて言い放った。諭すような言い方でもある。

「う、それは確かに、勝手な真似をして申し訳ありませんでした」

 ゴングはモンドにも謝罪の言葉を述べていた。試合前に比べると随分と態度が変わったな。

「わかればいいのだよ。とにかくこれで互いの実力もわかったわけだし、今後の仕事もやりやすくなることだろう。結果的に良かったじゃないか」
  
 そう言ってモンドが笑った。

「いいぞ! なんだかわかんねぇけど感動した!」
「リョウガってのまだ若いのに大した強さだぜ!」
「ゴングってのも腐らず頑張れよ~」
「パルコちゃん可愛いのに気が強いそのギャップがたまらない尊い!」

 周囲の村人も湧き上がっていた。ゴングを慰める声もあればパルコを褒めたり推したりする声もあった。

 そして試合も終わり俺たちは宿に戻った。それからはゴングが俺に絡んでくることもなくなったな。煩わしさがなくなくなったから多少はありがたいのかもな――
しおりを挟む
感想 11

あなたにおすすめの小説

同級生の女の子を交通事故から庇って異世界転生したけどその子と会えるようです

砂糖琉
ファンタジー
俺は楽しみにしていることがあった。 それはある人と話すことだ。 「おはよう、優翔くん」 「おはよう、涼香さん」 「もしかして昨日も夜更かししてたの? 目の下クマができてるよ?」 「昨日ちょっと寝れなくてさ」 「何かあったら私に相談してね?」 「うん、絶対する」 この時間がずっと続けばいいと思った。 だけどそれが続くことはなかった。 ある日、学校の行き道で彼女を見つける。 見ていると横からトラックが走ってくる。 俺はそれを見た瞬間に走り出した。 大切な人を守れるなら後悔などない。 神から貰った『コピー』のスキルでたくさんの人を救う物語。

俺だけ永久リジェネな件 〜パーティーを追放されたポーション生成師の俺、ポーションがぶ飲みで得た無限回復スキルを何故かみんなに狙われてます!〜

早見羽流
ファンタジー
ポーション生成師のリックは、回復魔法使いのアリシアがパーティーに加入したことで、役たたずだと追放されてしまう。 食い物に困って余ったポーションを飲みまくっていたら、気づくとHPが自動で回復する「リジェネレーション」というユニークスキルを発現した! しかし、そんな便利なスキルが放っておかれるわけもなく、はぐれ者の魔女、孤高の天才幼女、マッドサイエンティスト、魔女狩り集団、最強の仮面騎士、深窓の令嬢、王族、謎の巨乳魔術師、エルフetc、ヤバい奴らに狙われることに……。挙句の果てには人助けのために、危険な組織と対決することになって……? 「俺はただ平和に暮らしたいだけなんだぁぁぁぁぁ!!!」 そんなリックの叫びも虚しく、王国中を巻き込んだ動乱に巻き込まれていく。 無双あり、ざまぁあり、ハーレムあり、戦闘あり、友情も恋愛もありのドタバタファンタジー!

うっかり『野良犬』を手懐けてしまった底辺男の逆転人生

野良 乃人
ファンタジー
辺境の田舎街に住むエリオは落ちこぼれの底辺冒険者。 普段から無能だの底辺だのと馬鹿にされ、薬草拾いと揶揄されている。 そんなエリオだが、ふとした事がきっかけで『野良犬』を手懐けてしまう。 そこから始まる底辺落ちこぼれエリオの成り上がりストーリー。 そしてこの世界に存在する宝玉がエリオに力を与えてくれる。 うっかり野良犬を手懐けた底辺男。冒険者という枠を超え乱世での逆転人生が始まります。 いずれは王となるのも夢ではないかも!? ◇世界観的に命の価値は軽いです◇ カクヨムでも同タイトルで掲載しています。

クラス転移、異世界に召喚された俺の特典が外れスキル『危険察知』だったけどあらゆる危険を回避して成り上がります

まるせい
ファンタジー
クラスごと集団転移させられた主人公の鈴木は、クラスメイトと違い訓練をしてもスキルが発現しなかった。 そんな中、召喚されたサントブルム王国で【召喚者】と【王候補】が協力をし、王選を戦う儀式が始まる。 選定の儀にて王候補を選ぶ鈴木だったがここで初めてスキルが発動し、数合わせの王族を選んでしまうことになる。 あらゆる危険を『危険察知』で切り抜けツンデレ王女やメイドとイチャイチャ生活。 鈴木のハーレム生活が始まる!

雑用係の回復術士、【魔力無限】なのに専属ギルドから戦力外通告を受けて追放される〜ケモ耳少女とエルフでダンジョン攻略始めたら『伝説』になった〜

霞杏檎
ファンタジー
祝【コミカライズ決定】!! 「使えん者はいらん……よって、正式にお前には戦力外通告を申し立てる。即刻、このギルドから立ち去って貰おう!! 」 回復術士なのにギルド内で雑用係に成り下がっていたフールは自身が専属で働いていたギルドから、何も活躍がないと言う理由で戦力外通告を受けて、追放されてしまう。 フールは回復術士でありながら自己主張の低さ、そして『単体回復魔法しか使えない』と言う能力上の理由からギルドメンバーからは舐められ、S級ギルドパーティのリーダーであるダレンからも馬鹿にされる存在だった。 しかし、奴らは知らない、フールが【魔力無限】の能力を持っていることを…… 途方に暮れている道中で見つけたダンジョン。そこで傷ついた”ケモ耳銀髪美少女”セシリアを助けたことによって彼女はフールの能力を知ることになる。 フールに助けてもらったセシリアはフールの事を気に入り、パーティの前衛として共に冒険することを決めるのであった。 フールとセシリアは共にダンジョン攻略をしながら自由に生きていくことを始めた一方で、フールのダンジョン攻略の噂を聞いたギルドをはじめ、ダレンはフールを引き戻そうとするが、フールの意思が変わることはなかった…… これは雑用係に成り下がった【最強】回復術士フールと"ケモ耳美少女"達が『伝説』のパーティだと語られるまでを描いた冒険の物語である! (160話で完結予定) 元タイトル 「雑用係の回復術士、【魔力無限】なのに専属ギルドから戦力外通告を受けて追放される〜でも、ケモ耳少女とエルフでダンジョン攻略始めたら『伝説』になった。噂を聞いたギルドが戻ってこいと言ってるがお断りします〜」

Sランク昇進を記念して追放された俺は、追放サイドの令嬢を助けたことがきっかけで、彼女が押しかけ女房のようになって困る!

仁徳
ファンタジー
シロウ・オルダーは、Sランク昇進をきっかけに赤いバラという冒険者チームから『スキル非所持の無能』とを侮蔑され、パーティーから追放される。 しかし彼は、異世界の知識を利用して新な魔法を生み出すスキル【魔学者】を使用できるが、彼はそのスキルを隠し、無能を演じていただけだった。 そうとは知らずに、彼を追放した赤いバラは、今までシロウのサポートのお陰で強くなっていたことを知らずに、ダンジョンに挑む。だが、初めての敗北を経験したり、その後借金を背負ったり地位と名声を失っていく。 一方自由になったシロウは、新な町での冒険者活動で活躍し、一目置かれる存在となりながら、追放したマリーを助けたことで惚れられてしまう。手料理を振る舞ったり、背中を流したり、それはまるで押しかけ女房だった! これは、チート能力を手に入れてしまったことで、無能を演じたシロウがパーティーを追放され、その後ソロとして活躍して無双すると、他のパーティーから追放されたエルフや魔族といった様々な追放少女が集まり、いつの間にかハーレムパーティーを結成している物語!

称号は神を土下座させた男。

春志乃
ファンタジー
「真尋くん! その人、そんなんだけど一応神様だよ! 偉い人なんだよ!」 「知るか。俺は常識を持ち合わせないクズにかける慈悲を持ち合わせてない。それにどうやら俺は死んだらしいのだから、刑務所も警察も法も無い。今ここでこいつを殺そうが生かそうが俺の自由だ。あいつが居ないなら地獄に落ちても同じだ。なあ、そうだろう? ティーンクトゥス」 「す、す、す、す、す、すみませんでしたあぁあああああああ!」 これは、馬鹿だけど憎み切れない神様ティーンクトゥスの為に剣と魔法、そして魔獣たちの息づくアーテル王国でチートが過ぎる男子高校生・水無月真尋が無自覚チートの親友・鈴木一路と共に神様の為と言いながら好き勝手に生きていく物語。 主人公は一途に幼馴染(女性)を想い続けます。話はゆっくり進んでいきます。 ※教会、神父、などが出てきますが実在するものとは一切関係ありません。 ※対応できない可能性がありますので、誤字脱字報告は不要です。 ※無断転載は厳に禁じます

ボッチはハズレスキル『状態異常倍加』の使い手

Outlook!
ファンタジー
経緯は朝活動始まる一分前、それは突然起こった。床が突如、眩い光が輝き始め、輝きが膨大になった瞬間、俺を含めて30人のクラスメイト達がどこか知らない所に寝かされていた。 俺達はその後、いかにも王様っぽいひとに出会い、「七つの剣を探してほしい」と言われた。皆最初は否定してたが、俺はこの世界に残りたいがために今まで閉じていた口を開いた。 そしてステータスを確認するときに、俺は驚愕する他なかった。 理由は簡単、皆の授かった固有スキルには強スキルがあるのに対して、俺が授かったのはバットスキルにも程がある、状態異常倍加だったからだ。 ※不定期更新です。ゆっくりと投稿していこうと思いますので、どうかよろしくお願いします。 カクヨム、小説家になろう、エブリスタにも投稿しています。

処理中です...