クラスで馬鹿にされてた俺、実は最強の暗殺者、異世界で見事に無双してしまう~今更命乞いしても遅い、虐められてたのはただのフリだったんだからな~

空地大乃

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第四章 暗殺者の選択編

第113話 勝負したがるゴング

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「待てゴング! ここでこれ以上揉め事を起こすべきじゃない!」

 そこで制止の言葉とともにクルスが間に割って入ってきた。今のゴングはいつ俺に手を出してきてもおかしくないだろう。そうなれば俺もそれ相応の対応を取るしかなくなる。

 クルスはそれをなんとなく察したのだろう。正しい判断だと思う。

「勘違いするなクルス。俺は暴力でこの場を何とかしようなんて考えてねぇし私怨でどうにかしようってわけでもねぇ。だがな無能が一緒じゃ安心して仕事なんて出来ねぇだろうが」

 どうやらゴングはまだ俺が無能であることを引き合いに出してこの話を続けたいようだ。

「だから俺がお前の実力を試してやるって言ってんだ。モンドからの許可も俺が取ってやる。それが決まったら俺と勝負しろ。それで全員を納得させたら動向を認めてやるよ」
「――お前に護衛を決める権限なんてないだろう?」
「戦ってお前が文字通り無能だとわかればモンドだって納得するだろうさ」

 ゴングが鼻息荒く言い放った。力で物事を判断するタイプってことか。わかりやすいタイプではあるが。

「部屋はどうかな? 不便はないかい?」

 このタイミングで間がいいのか悪いのかモンドが部屋を見に来た。当然ゴングが話しかける。

「ちょうど良かった。モンドさん今からこのリョウガと一つ手合わせしたいと思ってるんですよ。立会人になってもらえますか?」
「何? 君と彼がかい? ふむ……」

 ゴングからの提案を受けモンドが考え込んだ。クルスの言うように厄介事を避けるタイプならやめるよう言ってくると思うが……そうはならない気がした。

「どうやらゴングは君の実力に懸念があるらしい。それに私も興味はある。どうかなリョウガ? 一つ勝負を受けて貰えないか?」
「――依頼人の貴方がそう言うなら従いますよ」
「よし! 決まりだな!」
 
 モンドの発言によってゴングが張り切りだした。余程自信があるようだな。
 そのまま俺たちは一旦宿から出ることにする。

「リョウガどこ行くの?」

 部屋から出てきた俺にマリスが話しかけてきた。ゴングも一緒なことで何かを察したのかもしれない。

「ちょっとゴングと戦ってくるだけだ」
「は? 一体どうしてそんなことになってるのよ!」

 結局マリスを含めた他の連中も俺たちの様子に気がついて外に出てきた。試合ということでモンドの付き人らしき黒服が村長に許可も貰ってきたようだ。

 村の中央の比較的広い場所で俺とゴングが向かい合う。すると自然と村人も集まりだした。

「どうやら試合と聞いて村人も見学に来たようだ」
「まぁ娯楽も多くないだろうからね。自然とこうなるんだろうさ」
「あ、あの、怪我などされないよう、き、気をつけてください――」

 モンドの隣にはエンデルの姿もあった。モンドが連れてきたのかもしれない。

「念の為言っておくがあくまで試合。今後の仕事に影響が出るようなことにならないよう気をつけてくれたまえ」

 モンドから念を押された。当然だが殺すまでやるわけにはいかないということだ。まぁ一応は一緒に仕事する相手なのだからな。

 もっとも向こうは俺が負けたら抜けさせるつもりらしいが、直接モンドにそのことは言っていない。俺が無様に負けでもすれば勝手にそういう判断になるとでも思っているのかもな。

「盛り上がってきたねぇ。こういうの嫌いじゃないよ」
「はぁリョウガもこういうの面倒そうにしてるかと思えば、結局相手したりするのよね」

 イザベラとマリスの声が聞こえてきた。イザベラは楽しんでるようだがマリスは呆れてるようだ。勿論俺も乗り気ではなかったが依頼人がそれを望むなら仕方がない。

「全く結局こうなるんだもんね」

 パルコの声も聞こえた。ため息まじりだがなんとなく予感はあったようだ。

「先に言っておくぜ。俺のスキルは【三分間の闘争心】。発動してから三分間俺の身体能力は大幅に強化される」
「随分と親切なことだな」
「無能を相手するんだ。これぐらい教えてやらないとな」

 そう言ってゴングが拳を打ち鳴らした。両拳には金属製の拳鍔ナックルダスターが嵌められていた。拳メインで戦うタイプなようだな。

「ちょっと待ってろ」
 
 俺にそう断りを入れてゴングがパルコの下へ向かった。

「これを鳴らしてくれ。それを合図にする」

 そう言ってゴングが手渡したのは小さなゴングだった。

「待たせたな。パルコがあれを鳴らしたら開始だ。いいな?」
「……わかった」
「じゃあ行くよ~」

 そして今、パルコの手で試合開始のゴングが鳴らされたのだった――
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