102 / 178
第四章 暗殺者の選択編
第100話 進化したラミアの力
しおりを挟む
「「さぁさぁどうしたんだい? さっきまでの威勢が感じられないよ!」」
二体に増えたラミアが休むことなく攻撃を繰り出してきた。元が一体だっただけに互いの連携はよく取れている。もしかしたら思考も共有しているのかもしれないな。
ラミアの言うように今は守りに集中しこいつらの動きを観察していた。パワーもスピードも確かに上がっていたが、やはり二体になると一体だった時に比べたらそれぞれの力は分散されてしまっている。
それでもそれぞれが進化前のラミアより能力が上なのは確かだ。進化後の成長がそれだけ著しいという事だろう。
とりあえず、一つ試してみるか。俺は攻撃の一瞬の隙をついて回し蹴りを放った。二体のラミアの胴体が両断され地面に転がった。
「くっ! こいつまだこんなに力が!」
「だけど無駄だよ!」
両断されたラミアの上半身から下半身が生えてきた。一方で下半身には変化がない。
「何だ? 今度は四つ子になるかと思ったがしないのか?」
「……数だけ増やせばいいってもんじゃないからね」
挑発したつもりだがラミアは意外と冷静に答えてきたな。ただこれでハッキリした。やはり数を増やせばそれぞれの力は弱まるのだろう。
それを理解しているからこそこれ以上数を増やすつもりはないってことか。
「私らの数は増えないけどねぇ面白いのを見せてやるよ」
俺がそう考えているともう一体のラミアが指をパチンッと鳴らした。すると残っていた二つの下半身がそれぞれ大蛇へと姿を変え俺に襲いかかってきた。
「言うほど面白くもない芸だな」
大蛇の動きはそこらで徘徊している獣と変わらない。対処するのも難しくはなかった。
二匹の大蛇の頭を掴み潰す。それで終わりだ。
「こんな小細工を見せて何がしたかったんだ?」
「フンッ、お前は私たちを舐めすぎだね」
ラミアが答えると同時に頭を潰したはずの大蛇が俺の体に巻き付いてきた。二匹の大蛇がグイグイと俺の体を締めつけてくる。
「そのまま全身の骨を砕いてしまいな!」
「それは無理だな」
大蛇に命じるラミアだが、力を込めて締めつけてきた大蛇を千切ってやった。俺からすればこの程度ロープに縛られているのと大して変わらない。
「チッ、可愛げのない餌だねぇ」
言ってラミアが顔を歪めた。やれやれ。俺はこいつらの中では腹を満たす餌確定ってわけか。しかし――千切られた筈の大蛇が再びつなぎ合わさり元の姿に戻ろうとしていた。
やはり、こいつら再生力が極端に上がっているな。ただ再生するだけではなく千切れた部分を大蛇に変えたりも出来るようだ。中々に多才だな。
「色々と試してみるか」
一つ思いつき、俺は息を大きく吸い込み大きく飛び退いた。
「「逃げる気かい!」」
俺の行為を見てラミアたちが量目を見開いて叫んだ。だが当然逃げるつもりなど毛頭ない。俺は大蛇とラミアをまとめて視界に収め口から炎を吐き出した。巨大な炎が大蛇とラミアを包み込む。
「「グウゥウゥウ! こんな真似まで出来るなんてねぇ!」」
ラミアの声が揃った。炎の中で大蛇はのたうち回っている。その内に黒く変色し大蛇は炭化していくがラミアはそうはいかなかった。
「鬱陶しい炎だね!」
今度はラミアが変色した息を吐き出した。一瞬にして紫煙があたりを包み込む。毒の息か――
二体に増えたラミアが休むことなく攻撃を繰り出してきた。元が一体だっただけに互いの連携はよく取れている。もしかしたら思考も共有しているのかもしれないな。
ラミアの言うように今は守りに集中しこいつらの動きを観察していた。パワーもスピードも確かに上がっていたが、やはり二体になると一体だった時に比べたらそれぞれの力は分散されてしまっている。
それでもそれぞれが進化前のラミアより能力が上なのは確かだ。進化後の成長がそれだけ著しいという事だろう。
とりあえず、一つ試してみるか。俺は攻撃の一瞬の隙をついて回し蹴りを放った。二体のラミアの胴体が両断され地面に転がった。
「くっ! こいつまだこんなに力が!」
「だけど無駄だよ!」
両断されたラミアの上半身から下半身が生えてきた。一方で下半身には変化がない。
「何だ? 今度は四つ子になるかと思ったがしないのか?」
「……数だけ増やせばいいってもんじゃないからね」
挑発したつもりだがラミアは意外と冷静に答えてきたな。ただこれでハッキリした。やはり数を増やせばそれぞれの力は弱まるのだろう。
それを理解しているからこそこれ以上数を増やすつもりはないってことか。
「私らの数は増えないけどねぇ面白いのを見せてやるよ」
俺がそう考えているともう一体のラミアが指をパチンッと鳴らした。すると残っていた二つの下半身がそれぞれ大蛇へと姿を変え俺に襲いかかってきた。
「言うほど面白くもない芸だな」
大蛇の動きはそこらで徘徊している獣と変わらない。対処するのも難しくはなかった。
二匹の大蛇の頭を掴み潰す。それで終わりだ。
「こんな小細工を見せて何がしたかったんだ?」
「フンッ、お前は私たちを舐めすぎだね」
ラミアが答えると同時に頭を潰したはずの大蛇が俺の体に巻き付いてきた。二匹の大蛇がグイグイと俺の体を締めつけてくる。
「そのまま全身の骨を砕いてしまいな!」
「それは無理だな」
大蛇に命じるラミアだが、力を込めて締めつけてきた大蛇を千切ってやった。俺からすればこの程度ロープに縛られているのと大して変わらない。
「チッ、可愛げのない餌だねぇ」
言ってラミアが顔を歪めた。やれやれ。俺はこいつらの中では腹を満たす餌確定ってわけか。しかし――千切られた筈の大蛇が再びつなぎ合わさり元の姿に戻ろうとしていた。
やはり、こいつら再生力が極端に上がっているな。ただ再生するだけではなく千切れた部分を大蛇に変えたりも出来るようだ。中々に多才だな。
「色々と試してみるか」
一つ思いつき、俺は息を大きく吸い込み大きく飛び退いた。
「「逃げる気かい!」」
俺の行為を見てラミアたちが量目を見開いて叫んだ。だが当然逃げるつもりなど毛頭ない。俺は大蛇とラミアをまとめて視界に収め口から炎を吐き出した。巨大な炎が大蛇とラミアを包み込む。
「「グウゥウゥウ! こんな真似まで出来るなんてねぇ!」」
ラミアの声が揃った。炎の中で大蛇はのたうち回っている。その内に黒く変色し大蛇は炭化していくがラミアはそうはいかなかった。
「鬱陶しい炎だね!」
今度はラミアが変色した息を吐き出した。一瞬にして紫煙があたりを包み込む。毒の息か――
20
お気に入りに追加
659
あなたにおすすめの小説

転生貴族の移動領地~家族から見捨てられた三子の俺、万能な【スライド】スキルで最強領地とともに旅をする~
名無し
ファンタジー
とある男爵の三子として転生した主人公スラン。美しい海辺の辺境で暮らしていたが、海賊やモンスターを寄せ付けなかった頼りの父が倒れ、意識不明に陥ってしまう。兄姉もまた、スランの得たスキル【スライド】が外れと見るや、彼を見捨ててライバル貴族に寝返る。だが、そこから【スライド】スキルの真価を知ったスランの逆襲が始まるのであった。

【完結】初級魔法しか使えない低ランク冒険者の少年は、今日も依頼を達成して家に帰る。
アノマロカリス
ファンタジー
少年テッドには、両親がいない。
両親は低ランク冒険者で、依頼の途中で魔物に殺されたのだ。
両親の少ない保険でやり繰りしていたが、もう金が尽きかけようとしていた。
テッドには、妹が3人いる。
両親から「妹達を頼む!」…と出掛ける前からいつも約束していた。
このままでは家族が離れ離れになると思ったテッドは、冒険者になって金を稼ぐ道を選んだ。
そんな少年テッドだが、パーティーには加入せずにソロ活動していた。
その理由は、パーティーに参加するとその日に家に帰れなくなるからだ。
両親は、小さいながらも持ち家を持っていてそこに住んでいる。
両親が生きている頃は、父親の部屋と母親の部屋、子供部屋には兄妹4人で暮らしていたが…
両親が死んでからは、父親の部屋はテッドが…
母親の部屋は、長女のリットが、子供部屋には、次女のルットと三女のロットになっている。
今日も依頼をこなして、家に帰るんだ!
この少年テッドは…いや、この先は本編で語ろう。
お楽しみくださいね!
HOTランキング20位になりました。
皆さん、有り難う御座います。


転生した体のスペックがチート
モカ・ナト
ファンタジー
とある高校生が不注意でトラックに轢かれ死んでしまう。
目覚めたら自称神様がいてどうやら異世界に転生させてくれるらしい
このサイトでは10話まで投稿しています。
続きは小説投稿サイト「小説家になろう」で連載していますので、是非見に来てください!

帰って来た勇者、現代の世界を引っ掻きまわす
黄昏人
ファンタジー
ハヤトは15歳、中学3年生の時に異世界に召喚され、7年の苦労の後、22歳にて魔族と魔王を滅ぼして日本に帰還した。帰還の際には、莫大な財宝を持たされ、さらに身につけた魔法を始めとする能力も保持できたが、マナの濃度の低い地球における能力は限定的なものであった。しかし、それでも圧倒的な体力と戦闘能力、限定的とは言え魔法能力は現代日本を、いや世界を大きく動かすのであった。
4年前に書いたものをリライトして載せてみます。

凡人がおまけ召喚されてしまった件
根鳥 泰造
ファンタジー
勇者召喚に巻き込まれて、異世界にきてしまった祐介。最初は勇者の様に大切に扱われていたが、ごく普通の才能しかないので、冷遇されるようになり、ついには王宮から追い出される。
仕方なく冒険者登録することにしたが、この世界では希少なヒーラー適正を持っていた。一年掛けて治癒魔法を習得し、治癒剣士となると、引く手あまたに。しかも、彼は『強欲』という大罪スキルを持っていて、倒した敵のスキルを自分のものにできるのだ。
それらのお蔭で、才能は凡人でも、数多のスキルで能力を補い、熟練度は飛びぬけ、高難度クエストも熟せる有名冒険者となる。そして、裏では気配消去や不可視化スキルを活かして、暗殺という裏の仕事も始めた。
異世界に来て八年後、その暗殺依頼で、召喚勇者の暗殺を受けたのだが、それは祐介を捕まえるための罠だった。祐介が暗殺者になっていると知った勇者が、改心させよう企てたもので、その後は勇者一行に加わり、魔王討伐の旅に同行することに。
最初は脅され渋々同行していた祐介も、勇者や仲間の思いをしり、どんどん勇者が好きになり、勇者から告白までされる。
だが、魔王を討伐を成し遂げるも、魔王戦で勇者は祐介を庇い、障害者になる。
祐介は、勇者の嘘で、病院を作り、医師の道を歩みだすのだった。

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

パーティーを追放されるどころか殺されかけたので、俺はあらゆる物をスキルに変える能力でやり返す
名無し
ファンタジー
パーティー内で逆境に立たされていたセクトは、固有能力取得による逆転劇を信じていたが、信頼していた仲間に裏切られた上に崖から突き落とされてしまう。近隣で活動していたパーティーのおかげで奇跡的に一命をとりとめたセクトは、かつての仲間たちへの復讐とともに、助けてくれた者たちへの恩返しを誓うのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる