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第四章 暗殺者の選択編
第99話 進化したラミア
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「ふぅぅう。随分と頭がスッキリした気がするよ」
頭の再生したラミアがそんなことを言った。表情にもどことなく余裕がにじみ出ている。
「これが進化するってことなんだねぇ。内側から力が溢れてきているのがわかるよ」
進化――ラミアが進化したってことか。突然のことだがキッカケがあるとしたらあの触手だろう。あの時、触手がラミアの体内に入ったことで肉体に何かしらの変化が起きて進化に至ったわけか。
「進化って……腕が四本に増えただけじゃない」
「そう思うかい?」
マリスが進化したラミアの印象を語った。だがそんなマリスに挑発的な態度でラミアが応じた。
確かにマリスの言う通り見た目の変化だけなら腕が増えたぐらいか。だが――
「パワーは大分上がってるな。進化したことで戦闘力自体は相当跳ね上がってると見ていいだろう」
「え? そ、そんなに?」
俺の話を聞いてマリスが目を丸くさせた。そこまでとは思ってなかったのかもな。
「……リョウガ、私なにか役に立てることあるかな?」
「ない。いても足手まといだ」
マリスに聞かれたので率直に答えた。進化前のラミアを追い詰める程度にはなっていたマリスだが、その程度では今のラミアを相手するのは厳しいだろう。
「そう。わかったわ――ナツ! 逃げるわよ!」
「え? ちょ!」
マリスがひょいとナツを持ち上げ駆け出した。ナツは驚きの声を上げている。
「逃げるって、マリス姉ちゃん! でも!」
「いいから早く! ここはリョウガに任せるのよ!」
どうやらナツを連れてこの場から逃げ出す事を決めたようだ。理解が早くて助かる。それでも意地を張って残るなどといい出したら流石に面倒見きれないからな。
「逃げたかい。ま、いいさ。あんな餌にしかならない連中、狩ろうと思えば何時でも狩れるからねぇ」
そう言ってラミアがチロチロと舌を伸ばした。俺を見る目つきが厳しくなり、かと思えば尻尾を地面に突き刺した。
「先ず狩るべきはあんただよ!」
ラミアが叫んだ。土中に潜り込んだラミアの尻尾は高速で地中を進みながら裂けるように分かれていき俺の足元からスパイクのように突き出てきた。
範囲を広げることで逃げ道を塞いできたか。だがわかっていれば避けようはある。おれは跳躍し先鋭した尻尾から逃れた。
するとラミアの胴体が伸び上半身が俺に迫ってきた。両手の五指から研ぎ澄まされた爪が伸び俺目掛けて連続で振り回してくる。
俺は空中で体を回転させながら攻撃を全て空振らせる。
「チッ、これを躱すかい」
「寧ろ近づいてくれて助かったぞ」
回転した勢いをそのままにラミアの胴体に足刀をお見まいした。スパンっと切り株状態となり、ラミアの上半身と下半身が離れ離れになる。
「これで勝ったと思ったかい?」
切断されたにも関わらず言葉を発しラミアが笑みをこぼした。すると上半身から下半分が生え、逆に下半身からは上半身が生えてきた。
つまり、ラミアが完全に分裂した。
「残念だったねぇ」
「今の私はこれぐらいじゃ死なないのさ」
「「寧ろそっちが不利になったねぇ」」
二体に分かれたラミアの声が重なった。なるほどね。進化したことでちょっとは面倒な相手になったか――
頭の再生したラミアがそんなことを言った。表情にもどことなく余裕がにじみ出ている。
「これが進化するってことなんだねぇ。内側から力が溢れてきているのがわかるよ」
進化――ラミアが進化したってことか。突然のことだがキッカケがあるとしたらあの触手だろう。あの時、触手がラミアの体内に入ったことで肉体に何かしらの変化が起きて進化に至ったわけか。
「進化って……腕が四本に増えただけじゃない」
「そう思うかい?」
マリスが進化したラミアの印象を語った。だがそんなマリスに挑発的な態度でラミアが応じた。
確かにマリスの言う通り見た目の変化だけなら腕が増えたぐらいか。だが――
「パワーは大分上がってるな。進化したことで戦闘力自体は相当跳ね上がってると見ていいだろう」
「え? そ、そんなに?」
俺の話を聞いてマリスが目を丸くさせた。そこまでとは思ってなかったのかもな。
「……リョウガ、私なにか役に立てることあるかな?」
「ない。いても足手まといだ」
マリスに聞かれたので率直に答えた。進化前のラミアを追い詰める程度にはなっていたマリスだが、その程度では今のラミアを相手するのは厳しいだろう。
「そう。わかったわ――ナツ! 逃げるわよ!」
「え? ちょ!」
マリスがひょいとナツを持ち上げ駆け出した。ナツは驚きの声を上げている。
「逃げるって、マリス姉ちゃん! でも!」
「いいから早く! ここはリョウガに任せるのよ!」
どうやらナツを連れてこの場から逃げ出す事を決めたようだ。理解が早くて助かる。それでも意地を張って残るなどといい出したら流石に面倒見きれないからな。
「逃げたかい。ま、いいさ。あんな餌にしかならない連中、狩ろうと思えば何時でも狩れるからねぇ」
そう言ってラミアがチロチロと舌を伸ばした。俺を見る目つきが厳しくなり、かと思えば尻尾を地面に突き刺した。
「先ず狩るべきはあんただよ!」
ラミアが叫んだ。土中に潜り込んだラミアの尻尾は高速で地中を進みながら裂けるように分かれていき俺の足元からスパイクのように突き出てきた。
範囲を広げることで逃げ道を塞いできたか。だがわかっていれば避けようはある。おれは跳躍し先鋭した尻尾から逃れた。
するとラミアの胴体が伸び上半身が俺に迫ってきた。両手の五指から研ぎ澄まされた爪が伸び俺目掛けて連続で振り回してくる。
俺は空中で体を回転させながら攻撃を全て空振らせる。
「チッ、これを躱すかい」
「寧ろ近づいてくれて助かったぞ」
回転した勢いをそのままにラミアの胴体に足刀をお見まいした。スパンっと切り株状態となり、ラミアの上半身と下半身が離れ離れになる。
「これで勝ったと思ったかい?」
切断されたにも関わらず言葉を発しラミアが笑みをこぼした。すると上半身から下半分が生え、逆に下半身からは上半身が生えてきた。
つまり、ラミアが完全に分裂した。
「残念だったねぇ」
「今の私はこれぐらいじゃ死なないのさ」
「「寧ろそっちが不利になったねぇ」」
二体に分かれたラミアの声が重なった。なるほどね。進化したことでちょっとは面倒な相手になったか――
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