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第三章 冒険者となった暗殺者編
第72話 狙われた男
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「いやいや本当にこれは素晴らしい。私も随分と探したの物ですが、これほどの物よく手に入れる事が出来ましたね」
モンドは依頼人が販売した品を見て随分と喜んでいた。渡していたのはお酒だったがこっちの世界でも貴重で高価な酒というのはあるようだ。
「喜んで頂き何よりです」
「ハハハッ。本当にいい取り引きが出来ました。ところで実は私も色々と取り扱っている品がありましてね。この機会に如何ですか?」
モンドから依頼人に提案があった。どうやら逆にモンドの方から商品を提供しようというつもりらしい。
「それは興味深いですね。一体どのような品で?」
「色々やっているのですが今は奴隷なんて如何かな? 丁度いい奴隷が入ったんですよ」
「え?」
奴隷の言葉にマリスが反応した。目から動揺が感じられるな。奴隷商人に捕まっていたことがあるのが原因だろう。
「申し訳ありません。折角のお申し出なのですがうちでは奴隷の扱いはないのですよ」
「ほう。そうでしたからそれは残念」
モンドはスッと目を細めたがすぐに笑顔に戻った。
「では奴隷以外で何かがあれば、もしかしたら役立つこともあるかもしれませんよ。うちでは珍しい薬なども扱っているので」
「薬――それなら! 白蝋病に効く薬はある!」
マリスが会話に割って入った。これは正直褒められたものではないが、確か以前もその病気について触れていたな。父親がかかっているんだったか。
「……白蝋病とはまた珍しい病名を。まさかどなたかが?」
「……父さんがかかっているの」
伏し目がちにマリスが答えた。その様子を見て、フム、とモンドが顎を擦った。
「残念だが白蝋病に効く薬は今は無くてね」
「そ、そうなんだね。ごめんなさい突然口を挟んで」
マリスが謝罪した。自分のやったことが失礼だったという認識はあるようだ。父親絡みで感情を抑えられなかったのだろう。
「構わないよ。ところでその角といい君はもしかして半魔かな?」
「……そうだけど何か?」
マリスの目つきが尖った。やれやれ感情が顔に出すぎるな。もう少し冷静になれないものか。
「おっと気に触ったのなら申し訳ない。商売人の悪い癖だ。気になったことはつい口にしてしまう」
「ハハハッ。確かにそういうところはありますね」
「うむ。もっとも貴方は随分と人が良さそうですからな。口で失敗はなさそうだ」
笑顔を見せながらモンドが答えた。これはあまり褒め言葉とは思えないがな。
「おっとつい話し込んでしまった。今回は本当にいい品をありがとうございます」
「いえいえこちらこそ。取り引きについてはまた色々聞いてみたいですね」
「それは勿論。良ければまた予定が合う時にでも――」
そんな話を二人がしている時、明らかな殺気が瞬時に近づいてきた。既にそれは迫っていた。黒装束を纏っていて手にはナイフを所持している。
「どういうつもりだ?」
「――ッ!?」
黒装束に身を包まれた男はどうやらモンドの命を狙いに来たようだが俺が割って入りそれを阻んだ。
モンドは依頼人の取引相手だからな。流石に見過ごすわけにはいかない。
「――あんた強いな」
「うん?」
黒装束の男がナイフを手放し大きく飛び退いた。随分と身体能力高い奴でそのまま屋根の上に飛び移り俺たちを見下ろしてくる。
「――命拾いしたな」
それだけを言い残し屋根から消え去った。と言っても気配はわかる。
「リョウガ追いかけないと!」
「依頼人を放置していけないだろう」
慌てるマリスに答えた。今回は直接依頼人の命が狙われたわけでもないからな。
「いや本当に助かった! これは感謝してもしきれない」
するとモンドが俺の手を掴み御礼をいいつつブンブンを腕を上下させた。結果的に命を救ったことになるから感謝しているってところか。
しかしさっきの奴、敢えて追いかけるまではしなかったが、なんとなく俺と同じ匂いがしたな――
モンドは依頼人が販売した品を見て随分と喜んでいた。渡していたのはお酒だったがこっちの世界でも貴重で高価な酒というのはあるようだ。
「喜んで頂き何よりです」
「ハハハッ。本当にいい取り引きが出来ました。ところで実は私も色々と取り扱っている品がありましてね。この機会に如何ですか?」
モンドから依頼人に提案があった。どうやら逆にモンドの方から商品を提供しようというつもりらしい。
「それは興味深いですね。一体どのような品で?」
「色々やっているのですが今は奴隷なんて如何かな? 丁度いい奴隷が入ったんですよ」
「え?」
奴隷の言葉にマリスが反応した。目から動揺が感じられるな。奴隷商人に捕まっていたことがあるのが原因だろう。
「申し訳ありません。折角のお申し出なのですがうちでは奴隷の扱いはないのですよ」
「ほう。そうでしたからそれは残念」
モンドはスッと目を細めたがすぐに笑顔に戻った。
「では奴隷以外で何かがあれば、もしかしたら役立つこともあるかもしれませんよ。うちでは珍しい薬なども扱っているので」
「薬――それなら! 白蝋病に効く薬はある!」
マリスが会話に割って入った。これは正直褒められたものではないが、確か以前もその病気について触れていたな。父親がかかっているんだったか。
「……白蝋病とはまた珍しい病名を。まさかどなたかが?」
「……父さんがかかっているの」
伏し目がちにマリスが答えた。その様子を見て、フム、とモンドが顎を擦った。
「残念だが白蝋病に効く薬は今は無くてね」
「そ、そうなんだね。ごめんなさい突然口を挟んで」
マリスが謝罪した。自分のやったことが失礼だったという認識はあるようだ。父親絡みで感情を抑えられなかったのだろう。
「構わないよ。ところでその角といい君はもしかして半魔かな?」
「……そうだけど何か?」
マリスの目つきが尖った。やれやれ感情が顔に出すぎるな。もう少し冷静になれないものか。
「おっと気に触ったのなら申し訳ない。商売人の悪い癖だ。気になったことはつい口にしてしまう」
「ハハハッ。確かにそういうところはありますね」
「うむ。もっとも貴方は随分と人が良さそうですからな。口で失敗はなさそうだ」
笑顔を見せながらモンドが答えた。これはあまり褒め言葉とは思えないがな。
「おっとつい話し込んでしまった。今回は本当にいい品をありがとうございます」
「いえいえこちらこそ。取り引きについてはまた色々聞いてみたいですね」
「それは勿論。良ければまた予定が合う時にでも――」
そんな話を二人がしている時、明らかな殺気が瞬時に近づいてきた。既にそれは迫っていた。黒装束を纏っていて手にはナイフを所持している。
「どういうつもりだ?」
「――ッ!?」
黒装束に身を包まれた男はどうやらモンドの命を狙いに来たようだが俺が割って入りそれを阻んだ。
モンドは依頼人の取引相手だからな。流石に見過ごすわけにはいかない。
「――あんた強いな」
「うん?」
黒装束の男がナイフを手放し大きく飛び退いた。随分と身体能力高い奴でそのまま屋根の上に飛び移り俺たちを見下ろしてくる。
「――命拾いしたな」
それだけを言い残し屋根から消え去った。と言っても気配はわかる。
「リョウガ追いかけないと!」
「依頼人を放置していけないだろう」
慌てるマリスに答えた。今回は直接依頼人の命が狙われたわけでもないからな。
「いや本当に助かった! これは感謝してもしきれない」
するとモンドが俺の手を掴み御礼をいいつつブンブンを腕を上下させた。結果的に命を救ったことになるから感謝しているってところか。
しかしさっきの奴、敢えて追いかけるまではしなかったが、なんとなく俺と同じ匂いがしたな――
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