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第三章 冒険者となった暗殺者編
第68話 バックを頼る愚か者
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「ちょっとリョウガ暴虐の狼ってあの?」
「あぁ。まさか向こうからノコノコ現れるとはな」
どうやらマリスは暴虐の狼の事を覚えていたようだな。今回の護衛で馬車を狙ってきた連中も暴虐の狼だった。
「お前ら随分とバックがついていることで強気なようだが、俺たちは冒険者だぞ。そんな脅しが通用すると思っているのか?」
「お前らこそ何言ってやがる。冒険者だから通じるんだろうが。うちの頭はこれまでも何人もの冒険者を屠ってきたんだ。同じ目にあいたくねぇだろう?」
この様子だと俺たちが冒険者なのを知った上で絡んできたようだな。とは言えやはり頭が悪い。
「その頭がどれだけ強いか知らんが、それでお前らが強くなったわけじゃないだろう」
「そういうことね。丁度いいからあんたら私が叩きのめしてあげる!」
マリスが拳を鳴らしながら前に出た。もうやる気満々だな。
「リョウガここは私に任せて。さっきの勝負結局いいところなかったし」
マリスはさっきの件を気にしていたのか。あれはあれで勝ちを拾おうと思えば拾えたんだがマリスが意地を張ったからな。
「おいおい嬢ちゃんが一人で俺等を相手するってか?」
「いいねぇ。床の上ならいつでも相手してやるぜ」
「あんたらみたいな下品な人間お断りよ」
「何だと! 下手でに出てれば調子に乗りやがって!」
叫び男の一人がマリスに手を伸ばしたがマリスはその腕を取り地面に倒して関節を決めた。というかボキッとあっさり折った。
「ギャアァアア! 腕が俺の腕がぁあぁあああ!」
地面を転がり情けない声で喚く男が鬱陶しく感じる。
「て、テメェこんなことしてタダで済むと思ってるのか!」
「知らないわよ。そっちこそ今からギルドに突き出してやるから覚悟しなさい」
そこから先はマリスの独壇場だった。男たちは本当にバックが頼りだけの口だけ連中だったようでマリス一人に手も足も出ずボコボコにされて地面を舐める結果となった。
「ハイ終わりっと」
両手でホコリを払うようにパンパンッと手を叩いてマリスが言った。暴虐の狼は所詮烏合の衆だったようだな。
「お前ら! 何をやっている!」
声がした方を振り返るとそこには体格のいい一人の男が立っていた。格好からして衛兵なようだな。丁度いいからマリスに打ちのめされ気を失っている連中について説明した。
「ふむ。こいつらは暴虐の狼の連中なのか。お前たち、詳しく話を聞きたいから詰め所まで来てもらおうか」
そう言うと衛兵が仲間を呼び気を失っている連中を纏めて連れて行こうとした。この連中については後は任せておけばいいか。
そしてついていった先の詰所で俺たちが冒険者であることを伝えるとギルドにも報告するという話になった。護衛の依頼で来ていることも伝えているが、どうやら暴虐の狼には手配書もまわるようになったらしく今なら報奨金も支払われるらしい。
「ねぇリョウガ。今回は私が倒したんだし少しは報奨金分けてもらえるよね?」
詰所から出た後、マリスが媚びるように聞いてきた。やれやれこいつは何を当然のことを。
「あの連中の報奨金が出たら全部お前の物だ。マリスが一人でやったんだからな」
「え? いいの?」
「逆に何で悪いと思ったんだ?」
俺が答えるとマリスが満面の笑みで喜んだ。まぁこれで金は問題なく返して貰えそうだ。
そうこうしているうちにいい時間になったので俺たちが宿に戻るとダリバたちも戻ってきていた。
「よぉお二人さん。デートは楽しんで来たかい?」
「な、なな、デートって何、何言ってるのよ!」
宿に戻った俺たちに向けて掛けられたスカーレッドの言葉にマリスが随分と慌てていた。全くこいつはマリスを誂うのが好きだな。
「丁度良かったぜ。今夜は依頼人が晩飯を奢ってくれるそうだぜ」
「え? いいの!」
「はい。今回は皆様の助けもあって無事荷物を送り届ける事が出来ました。その御礼です」
奢りと言われてマリスが目を輝かせていた。そう言えばそろそろ食事の時間でもあるか。そこで合流した俺たちはその足で酒場に向かうこととなった――
「あぁ。まさか向こうからノコノコ現れるとはな」
どうやらマリスは暴虐の狼の事を覚えていたようだな。今回の護衛で馬車を狙ってきた連中も暴虐の狼だった。
「お前ら随分とバックがついていることで強気なようだが、俺たちは冒険者だぞ。そんな脅しが通用すると思っているのか?」
「お前らこそ何言ってやがる。冒険者だから通じるんだろうが。うちの頭はこれまでも何人もの冒険者を屠ってきたんだ。同じ目にあいたくねぇだろう?」
この様子だと俺たちが冒険者なのを知った上で絡んできたようだな。とは言えやはり頭が悪い。
「その頭がどれだけ強いか知らんが、それでお前らが強くなったわけじゃないだろう」
「そういうことね。丁度いいからあんたら私が叩きのめしてあげる!」
マリスが拳を鳴らしながら前に出た。もうやる気満々だな。
「リョウガここは私に任せて。さっきの勝負結局いいところなかったし」
マリスはさっきの件を気にしていたのか。あれはあれで勝ちを拾おうと思えば拾えたんだがマリスが意地を張ったからな。
「おいおい嬢ちゃんが一人で俺等を相手するってか?」
「いいねぇ。床の上ならいつでも相手してやるぜ」
「あんたらみたいな下品な人間お断りよ」
「何だと! 下手でに出てれば調子に乗りやがって!」
叫び男の一人がマリスに手を伸ばしたがマリスはその腕を取り地面に倒して関節を決めた。というかボキッとあっさり折った。
「ギャアァアア! 腕が俺の腕がぁあぁあああ!」
地面を転がり情けない声で喚く男が鬱陶しく感じる。
「て、テメェこんなことしてタダで済むと思ってるのか!」
「知らないわよ。そっちこそ今からギルドに突き出してやるから覚悟しなさい」
そこから先はマリスの独壇場だった。男たちは本当にバックが頼りだけの口だけ連中だったようでマリス一人に手も足も出ずボコボコにされて地面を舐める結果となった。
「ハイ終わりっと」
両手でホコリを払うようにパンパンッと手を叩いてマリスが言った。暴虐の狼は所詮烏合の衆だったようだな。
「お前ら! 何をやっている!」
声がした方を振り返るとそこには体格のいい一人の男が立っていた。格好からして衛兵なようだな。丁度いいからマリスに打ちのめされ気を失っている連中について説明した。
「ふむ。こいつらは暴虐の狼の連中なのか。お前たち、詳しく話を聞きたいから詰め所まで来てもらおうか」
そう言うと衛兵が仲間を呼び気を失っている連中を纏めて連れて行こうとした。この連中については後は任せておけばいいか。
そしてついていった先の詰所で俺たちが冒険者であることを伝えるとギルドにも報告するという話になった。護衛の依頼で来ていることも伝えているが、どうやら暴虐の狼には手配書もまわるようになったらしく今なら報奨金も支払われるらしい。
「ねぇリョウガ。今回は私が倒したんだし少しは報奨金分けてもらえるよね?」
詰所から出た後、マリスが媚びるように聞いてきた。やれやれこいつは何を当然のことを。
「あの連中の報奨金が出たら全部お前の物だ。マリスが一人でやったんだからな」
「え? いいの?」
「逆に何で悪いと思ったんだ?」
俺が答えるとマリスが満面の笑みで喜んだ。まぁこれで金は問題なく返して貰えそうだ。
そうこうしているうちにいい時間になったので俺たちが宿に戻るとダリバたちも戻ってきていた。
「よぉお二人さん。デートは楽しんで来たかい?」
「な、なな、デートって何、何言ってるのよ!」
宿に戻った俺たちに向けて掛けられたスカーレッドの言葉にマリスが随分と慌てていた。全くこいつはマリスを誂うのが好きだな。
「丁度良かったぜ。今夜は依頼人が晩飯を奢ってくれるそうだぜ」
「え? いいの!」
「はい。今回は皆様の助けもあって無事荷物を送り届ける事が出来ました。その御礼です」
奢りと言われてマリスが目を輝かせていた。そう言えばそろそろ食事の時間でもあるか。そこで合流した俺たちはその足で酒場に向かうこととなった――
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