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第三章 冒険者となった暗殺者編
第67話 本気ではなかった?
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「兄貴、あんなにあっさり負けを認めてよかったんですかい?」
広場を離れた後、ウドンがガロウに問いかけた。見るにガロウの言動に納得がいっていなかったようだ。
「いいんだよ。あのまま続けていたら俺だってマジにまっちまう」
「兄貴が、本気を? 確かにさっきは十閃を見破られていて驚きやしたが……まさか百閃を見せる気だったんじゃ」
「さぁな――」
ウドンの問いかけにはぐらかすように答えガロウは先を進んだ。その途中で呟く。
「――あいつは千閃でも足りなかったかもな。全くこんな気持ち久しぶりだ……」
「兄貴。何かいいましたかい?」
「なんでもねぇよ」
そして二人は街の喧騒の中に消えていった――
◇◆◇
「でも凄いよね。あのガロウも強そうだったけどそれでも余裕で勝てちゃうんだから」
広場を離れた後マリスがそんなことを言ってきた。しかし少々誤解があるな。
「言っておくがあのガロウは本気ではなかったぞ」
「え? そ、そうなの?」
「あぁ。もっと言えばウドンもそうだろう。何かしら力を持っていそうだがルール上それを発揮できなかっただけだ」
最初ルールではウドンからは手が出せなかったからな。それでは発揮できない力もあるだろう。
「そうだったんだ。じゃあ、ほ、本気だったらヤバかった?」
「どうかな。そういう意味では俺も一緒だからな」
ガロウは本気ではなかったが俺もそうだった。それでも本気でやりあったとして負けるつもりはないが、昇華したスキルがどの程度の力を持っているのか未知数な部分もある。
「そ、そうだよね! でもさ依頼とは別に金貨八十枚も稼いじゃうんだからやっぱり大した物よね」
マリスがホクホク顔で言った。自分の金でもないだろうに随分と嬉しそうだな。
「念のため言っておくが、俺が代わりになって得た賞金だからな。マリスお前はしっかり後で返せよ」
「え? い、いや、勿論よ! ちゃんと返すってば!」
一瞬焦った顔してたがな。ドサクサに紛れてこれで貸しが無くなったんだと思っていたら甘いからな。
そういうところは俺はしっかりしてるつもりだ。
「よぉ兄ちゃんさっきの戦い見てたぜ。すげぇよなあんたら」
俺とマリスが歩いていると五人組の男連中が俺たちに話しかけてきた。さっきの試合について一見感心しているようだが、見た目といい纏っている空気といいガラがいいとは言えない。
「実は俺たちさっきの試合でガロウって男の方に賭けていたんだけどよ、お前が勝ったから損しちまったんだ」
「だからさ。大金手に入ったんだし俺等にちょっと譲ってくれよ」
やっぱり碌な内容じゃなかったな。しかしこいつらさっきの試合見てて絡んでくるとはそんなに自信があるのか?
「とにかくここじゃなんだから向こうで話しようぜ」
「いや、馬鹿じゃないの? 逆にさっきのリョウガの強さ見てよくそんなマネ出来るわね」
マリスも俺と同じことを思ったようだな。アレを見ておきながら、絡んでくるんだからよっぽど自信があるかそれとも余程の馬鹿かどっちかだな。
「あぁ確かに強かった。だけど所詮個人の強さだろう? 言っておくが俺等は暴虐の狼のメンバーだ。それを敵に回してもいいことはないと思うぜ。さぁどうする?」
なるほど。強そうな連中とは思えなかったがどうやらバックがついているから強気になってるようだ。つまりこいつらは後者だったってことだな――
広場を離れた後、ウドンがガロウに問いかけた。見るにガロウの言動に納得がいっていなかったようだ。
「いいんだよ。あのまま続けていたら俺だってマジにまっちまう」
「兄貴が、本気を? 確かにさっきは十閃を見破られていて驚きやしたが……まさか百閃を見せる気だったんじゃ」
「さぁな――」
ウドンの問いかけにはぐらかすように答えガロウは先を進んだ。その途中で呟く。
「――あいつは千閃でも足りなかったかもな。全くこんな気持ち久しぶりだ……」
「兄貴。何かいいましたかい?」
「なんでもねぇよ」
そして二人は街の喧騒の中に消えていった――
◇◆◇
「でも凄いよね。あのガロウも強そうだったけどそれでも余裕で勝てちゃうんだから」
広場を離れた後マリスがそんなことを言ってきた。しかし少々誤解があるな。
「言っておくがあのガロウは本気ではなかったぞ」
「え? そ、そうなの?」
「あぁ。もっと言えばウドンもそうだろう。何かしら力を持っていそうだがルール上それを発揮できなかっただけだ」
最初ルールではウドンからは手が出せなかったからな。それでは発揮できない力もあるだろう。
「そうだったんだ。じゃあ、ほ、本気だったらヤバかった?」
「どうかな。そういう意味では俺も一緒だからな」
ガロウは本気ではなかったが俺もそうだった。それでも本気でやりあったとして負けるつもりはないが、昇華したスキルがどの程度の力を持っているのか未知数な部分もある。
「そ、そうだよね! でもさ依頼とは別に金貨八十枚も稼いじゃうんだからやっぱり大した物よね」
マリスがホクホク顔で言った。自分の金でもないだろうに随分と嬉しそうだな。
「念のため言っておくが、俺が代わりになって得た賞金だからな。マリスお前はしっかり後で返せよ」
「え? い、いや、勿論よ! ちゃんと返すってば!」
一瞬焦った顔してたがな。ドサクサに紛れてこれで貸しが無くなったんだと思っていたら甘いからな。
そういうところは俺はしっかりしてるつもりだ。
「よぉ兄ちゃんさっきの戦い見てたぜ。すげぇよなあんたら」
俺とマリスが歩いていると五人組の男連中が俺たちに話しかけてきた。さっきの試合について一見感心しているようだが、見た目といい纏っている空気といいガラがいいとは言えない。
「実は俺たちさっきの試合でガロウって男の方に賭けていたんだけどよ、お前が勝ったから損しちまったんだ」
「だからさ。大金手に入ったんだし俺等にちょっと譲ってくれよ」
やっぱり碌な内容じゃなかったな。しかしこいつらさっきの試合見てて絡んでくるとはそんなに自信があるのか?
「とにかくここじゃなんだから向こうで話しようぜ」
「いや、馬鹿じゃないの? 逆にさっきのリョウガの強さ見てよくそんなマネ出来るわね」
マリスも俺と同じことを思ったようだな。アレを見ておきながら、絡んでくるんだからよっぽど自信があるかそれとも余程の馬鹿かどっちかだな。
「あぁ確かに強かった。だけど所詮個人の強さだろう? 言っておくが俺等は暴虐の狼のメンバーだ。それを敵に回してもいいことはないと思うぜ。さぁどうする?」
なるほど。強そうな連中とは思えなかったがどうやらバックがついているから強気になってるようだ。つまりこいつらは後者だったってことだな――
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