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第三章 冒険者となった暗殺者編
第45話 何かやってきたから殺気を込めてみた
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薬草採取も終えたし俺は適当も森から出た。その間も森の生き物に襲われはしたがどれも大したことはなかった。
まぁ薬草採取の依頼がE級で可能な依頼だからな。こんなもんなんだろう。
さて。森から出て戻ろうと街へと足を向けようとしたその時だ。
「邪魔だ人間! 殺すぞ!」
何やら必至な形相で走ってきた女がそんなこと口にして殺気をぶつけてきた。俺はつい反射的に殺気で返してしまった。
「ヒウッ……」
女が奇妙な声を上げてその場で尻もちをついた。よく見ると頭に角が生えているな。作り物ではなさそうだ。首には首輪も嵌められていて手枷足枷もされている。
「クッ、こ、殺せ!」
そして尻もちをついた女が突然そんなことをいいだした。いやいや、いきなり殺せと言われてもな。
「一応俺は普通に生きていくと決めたからな。殺せと言われたから殺すってことはしないぞ」
「ふ、普通? お前のような普通がいてたまるか!」
何か文句言われたぞ。初対面で酷い言われようだな。ま、普通ではないことは自分でも理解しているつもりだが、だからこそ普通に生きていこうと決めたわけだからな。
「大体そんな殺気をぶつけておいて殺さないはないだろう! 責任とれ!」
いや、何の責任だよ。殺気ぶつけられたから条件反射的に殺気で返しただけなんだがな。
「見つけたぞ! メス奴隷! もう逃げても無駄だ!」
「し、しまった!」
女の対応に困っていると何か後ろから叫ぶ声が聞こえてきた。見ると鎧の男が険しい顔で走ってきていた。何か長柄の武器を担いでいる。
あれはハルバードか。複合武器の一種だな。
男の登場でさっきから殺せ殺せうるさかった女が焦っているな。首輪と枷からしてきっと奴隷だったのだろう。この世界の奴隷制度はよく知らないが地球の中世時代と変わらない扱いなのかもな。
「おい! お前は誰だ!」
そして近くに来た男が俺にも問いかけてきた。初対面なのに随分と乱暴な口調だな。眼の前の女といいこっちの世界では初対面でもこれが普通なのか?
「俺は冒険者だ。依頼を終わらせて帰ろうとしたらこの女と遭遇した」
まぁ聞かれたから一応返答はした。特に嘘はない。
「そうか。それは運が悪かったな」
「うん? そうなのか?」
男から突然運が悪いと言われたが、よくわからんな。確かに急にわけのわからない女に殺せ殺せ言われて鬱陶しく思うが。
「この女はゴイス様の扱っている奴隷だ。それを見られた以上このまま黙って帰すわけにはいかないってことだ」
ゴイス様ね。こいつはそいつに雇われているといったところか。しかしだからといって何故黙って帰せないかがわからんがな。
「でかしたぞグング! そいつを逃がすなよぉおお!」
そんな会話をしていたらまた大声が聞こえてきた。見ると馬車が土煙を上げながら猛スピードでやってきていた。随分とスピードの出る馬車もあったもんだな。
「ヒヒィィイイィィイイイン!」
馬が鳴き馬車が止まった。キキキィー! という音でも聞こえそうなぐらいの勢いだな。急ブレーキでも掛けたかのようだ。
だが、手綱を握っているこいつの顔、どこか見覚えがあるな――
まぁ薬草採取の依頼がE級で可能な依頼だからな。こんなもんなんだろう。
さて。森から出て戻ろうと街へと足を向けようとしたその時だ。
「邪魔だ人間! 殺すぞ!」
何やら必至な形相で走ってきた女がそんなこと口にして殺気をぶつけてきた。俺はつい反射的に殺気で返してしまった。
「ヒウッ……」
女が奇妙な声を上げてその場で尻もちをついた。よく見ると頭に角が生えているな。作り物ではなさそうだ。首には首輪も嵌められていて手枷足枷もされている。
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そして尻もちをついた女が突然そんなことをいいだした。いやいや、いきなり殺せと言われてもな。
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何か文句言われたぞ。初対面で酷い言われようだな。ま、普通ではないことは自分でも理解しているつもりだが、だからこそ普通に生きていこうと決めたわけだからな。
「大体そんな殺気をぶつけておいて殺さないはないだろう! 責任とれ!」
いや、何の責任だよ。殺気ぶつけられたから条件反射的に殺気で返しただけなんだがな。
「見つけたぞ! メス奴隷! もう逃げても無駄だ!」
「し、しまった!」
女の対応に困っていると何か後ろから叫ぶ声が聞こえてきた。見ると鎧の男が険しい顔で走ってきていた。何か長柄の武器を担いでいる。
あれはハルバードか。複合武器の一種だな。
男の登場でさっきから殺せ殺せうるさかった女が焦っているな。首輪と枷からしてきっと奴隷だったのだろう。この世界の奴隷制度はよく知らないが地球の中世時代と変わらない扱いなのかもな。
「おい! お前は誰だ!」
そして近くに来た男が俺にも問いかけてきた。初対面なのに随分と乱暴な口調だな。眼の前の女といいこっちの世界では初対面でもこれが普通なのか?
「俺は冒険者だ。依頼を終わらせて帰ろうとしたらこの女と遭遇した」
まぁ聞かれたから一応返答はした。特に嘘はない。
「そうか。それは運が悪かったな」
「うん? そうなのか?」
男から突然運が悪いと言われたが、よくわからんな。確かに急にわけのわからない女に殺せ殺せ言われて鬱陶しく思うが。
「この女はゴイス様の扱っている奴隷だ。それを見られた以上このまま黙って帰すわけにはいかないってことだ」
ゴイス様ね。こいつはそいつに雇われているといったところか。しかしだからといって何故黙って帰せないかがわからんがな。
「でかしたぞグング! そいつを逃がすなよぉおお!」
そんな会話をしていたらまた大声が聞こえてきた。見ると馬車が土煙を上げながら猛スピードでやってきていた。随分とスピードの出る馬車もあったもんだな。
「ヒヒィィイイィィイイイン!」
馬が鳴き馬車が止まった。キキキィー! という音でも聞こえそうなぐらいの勢いだな。急ブレーキでも掛けたかのようだ。
だが、手綱を握っているこいつの顔、どこか見覚えがあるな――
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