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第二章 暗殺者の異世界ライフの始まり編
第29話 ダンジョンのお宝
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「全く。本当に大した奴だねあんたは」
ミトラが嘆息混じりに言った。その表情はどちらかと言えば呆れてるようでもあるがな。
しかしグレスと言う奴は本当に頓珍漢な事を言う奴だったな。まぁ実力も大したことなかったし、口だけの奴だった。
「おい見てみろ! 壁の一部が崩れて中に入れるようになったぞ!」
ゴーガンが興奮した様子で叫んだ。見てみると確かに壁が崩れて空洞になっている。
「リョウガ行ってみようぜ!」
「ウキィ!」
セラが俺の腕を引っ張りながら言い、モナもぴょんぴょんと跳ねた。どうやらワクワクしているらしい。
「仕方ないな」
溜息を吐いてから俺は壁の穴に向かった。中に入ると綺羅びやかな代物が視界に飛び込んできた。
「これがお宝って奴か」
「これは凄いねぇ」
「ハッハッハ! 全くだ。これは大収穫だぜ!」
どうやらここには金銀宝石が大量に隠されていたようだ。ミトラは目を丸くさせゴーガンは目の色が変わっている。
「ダンジョンって本当にお宝があるんだ」
「……ウキィ~」
セラも驚いていたがモナは微妙そうだ。まぁ猿のモナからすればこんな物に何の価値も見いだせないのだろう。バナナでも置いてあったほうが喜んだかもしれない。
「これは仲間も呼んで回収した方がいいな」
「このダンジョンを往復するのか?」
「あぁ。だがもう危険はないはずだ。あれがダンジョンの主だったならそれを倒した時点でここもダンジョンではなくなってる筈だからな」
それがゴーガンからの説明だった。それが本当だとしたらここまで来た道のりも随分と変わってそうだがな。
そして俺たちは一旦洞窟の出入り口まで戻ることにした。そこで気がついたが確かに規模が小さくなっている。山の大きさにあった広さに変化しているようだ。いやこれは戻ったと言うべきか。
おかげで行きと違い帰りは早いものだった。
「お前ら喜べ! ダンジョンの主を倒してお宝を見つけたぞ! お前らも運び出すの手伝ってくれ」
ゴーガンの話を聞き他の盗賊たちも色めきだった。その後は早いもので総出でお宝を回収した。一応俺も手伝ったけどな。
そしてその日は宴だと騒ぎ出した。全くこいつらは本当に酒を呑むのが好きだな。俺も誘われたが、当然断った。洞窟の外を見ると雨がすっかりやんでいた。
「雨……やんだね」
「あぁ」
「ウキィ……」
外を見ている俺に気がついたのかセラが隣に立って呟いた。短く答えるとモナも小さく鳴いた。
「なぁリョウガ。やっぱりここを出ていくのか?」
「あぁ。朝には出るつもりだ」
「――ッ!?」
俺が答えるとセラが喉を詰まらせたのがわかった。なんとも奇妙なことだ。こいつは俺のことを恨んでいた筈なのにな。
「なんだよ。私に戦い方教えるって言ったのに、約束破るのかよ!」
セラが叫んだ。周囲の盗賊たちがなんだなんだ? とこっちを見てくる。
「教えたさ。もうお前は基本的なことは出来ている。だからここから先は教わるんじゃなくお前自身が考えて身につけていけばいい」
俺がそう伝えるとセラの肩が震えていた。モナも心配そうに見ているがこれ以上特に何も言えることもないしな。
「もういいよ! お前なんてどこにでも行っちゃえ!」
「あぁ。まぁ適当にやるさ」
「クッ、馬鹿!」
そんな捨て台詞を吐いてセラはどっかにいった。やれやれ何がそんなに気に食わないんだかな。
「全く。あんたはもう少しいい方って物があるだろうさ」
ミトラがやってきて呆れ口調で言った。そう言われてもな。まぁとにかく俺は朝、ここを出ていくわけだが――
ミトラが嘆息混じりに言った。その表情はどちらかと言えば呆れてるようでもあるがな。
しかしグレスと言う奴は本当に頓珍漢な事を言う奴だったな。まぁ実力も大したことなかったし、口だけの奴だった。
「おい見てみろ! 壁の一部が崩れて中に入れるようになったぞ!」
ゴーガンが興奮した様子で叫んだ。見てみると確かに壁が崩れて空洞になっている。
「リョウガ行ってみようぜ!」
「ウキィ!」
セラが俺の腕を引っ張りながら言い、モナもぴょんぴょんと跳ねた。どうやらワクワクしているらしい。
「仕方ないな」
溜息を吐いてから俺は壁の穴に向かった。中に入ると綺羅びやかな代物が視界に飛び込んできた。
「これがお宝って奴か」
「これは凄いねぇ」
「ハッハッハ! 全くだ。これは大収穫だぜ!」
どうやらここには金銀宝石が大量に隠されていたようだ。ミトラは目を丸くさせゴーガンは目の色が変わっている。
「ダンジョンって本当にお宝があるんだ」
「……ウキィ~」
セラも驚いていたがモナは微妙そうだ。まぁ猿のモナからすればこんな物に何の価値も見いだせないのだろう。バナナでも置いてあったほうが喜んだかもしれない。
「これは仲間も呼んで回収した方がいいな」
「このダンジョンを往復するのか?」
「あぁ。だがもう危険はないはずだ。あれがダンジョンの主だったならそれを倒した時点でここもダンジョンではなくなってる筈だからな」
それがゴーガンからの説明だった。それが本当だとしたらここまで来た道のりも随分と変わってそうだがな。
そして俺たちは一旦洞窟の出入り口まで戻ることにした。そこで気がついたが確かに規模が小さくなっている。山の大きさにあった広さに変化しているようだ。いやこれは戻ったと言うべきか。
おかげで行きと違い帰りは早いものだった。
「お前ら喜べ! ダンジョンの主を倒してお宝を見つけたぞ! お前らも運び出すの手伝ってくれ」
ゴーガンの話を聞き他の盗賊たちも色めきだった。その後は早いもので総出でお宝を回収した。一応俺も手伝ったけどな。
そしてその日は宴だと騒ぎ出した。全くこいつらは本当に酒を呑むのが好きだな。俺も誘われたが、当然断った。洞窟の外を見ると雨がすっかりやんでいた。
「雨……やんだね」
「あぁ」
「ウキィ……」
外を見ている俺に気がついたのかセラが隣に立って呟いた。短く答えるとモナも小さく鳴いた。
「なぁリョウガ。やっぱりここを出ていくのか?」
「あぁ。朝には出るつもりだ」
「――ッ!?」
俺が答えるとセラが喉を詰まらせたのがわかった。なんとも奇妙なことだ。こいつは俺のことを恨んでいた筈なのにな。
「なんだよ。私に戦い方教えるって言ったのに、約束破るのかよ!」
セラが叫んだ。周囲の盗賊たちがなんだなんだ? とこっちを見てくる。
「教えたさ。もうお前は基本的なことは出来ている。だからここから先は教わるんじゃなくお前自身が考えて身につけていけばいい」
俺がそう伝えるとセラの肩が震えていた。モナも心配そうに見ているがこれ以上特に何も言えることもないしな。
「もういいよ! お前なんてどこにでも行っちゃえ!」
「あぁ。まぁ適当にやるさ」
「クッ、馬鹿!」
そんな捨て台詞を吐いてセラはどっかにいった。やれやれ何がそんなに気に食わないんだかな。
「全く。あんたはもう少しいい方って物があるだろうさ」
ミトラがやってきて呆れ口調で言った。そう言われてもな。まぁとにかく俺は朝、ここを出ていくわけだが――
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