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第二章 新天地での活躍編
第39話 作戦成功?
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「にゃ~! 相手はパニクってるにゃ! マークが作ってくれたチャンスにゃ畳み掛けるにゃ~!」
フェレスの声がハッキリと聞こえてきた。僕の意図をしっかり汲み取ってくれたんだ。
この作戦は僕たちだけでは成り立たない。細い横穴からの攻撃は警戒されてしまうと効果は薄まる。
少しでも相手が狙いを定められないよう穴から穴へ移動はしたがそれにも限界がある。
僕たちのパターンは洞窟の片翼に集中しているからだ。洞窟の構造上どうしてもそうならざるを得ないからだ。
トンネルを深く作ろうとすると魔力の消費は激しくなるし反対側にトンネルを通す手段は限られてくる。
だけどこれでもう心配はいらない。フェレスや皆が援護に回ってくれているならゴブリンの統率は乱れる。
「助かった――でもこの後どうするの?」
「急いでここから出ます! チャンスは今しかない!」
マジュにそう答える。大丈夫なの? といった顔を見せたけどゴブリンの意識は今僕たちから外れてる筈だ。
悪賢いゴブリンだけど地頭がいいわけではない。だから二つのことに同時に対処出来ないんだ。
「見ての通りゴブリンはフェレス達の対処に追われているからここから消えました。今なら移動できます」
そう。横穴の中に既にゴブリンの姿はない。罠には気をつけないと行けないけどこのまま出れる筈だ。
この隙に僕とマジュは一緒に横穴から出た。ただ僕たちの役目はこれで終わりではない。
「ちょ! すぐそこにロードが!」
「大丈夫。今はこっちに気がついてない」
横穴を出た直後にゴブリンロードの巨体が見えた。だけどロードの顔はフェレスと戦うゴブリンに向いている。
「標識召喚・騒音禁止――」
召喚した標識を立てた。これは騒音とあるけど標識から範囲内に沈黙を生む。これで僕たちの動きに気づかれにくくなる筈だ。
「ねぇマーク。こんなロードが近くにいる状況でどうするつもりなの?」
「ロードの後ろに回り込むんだ。そこでマジュの一番強力な魔法を撃ち込んで欲しい。火力はさっきの魔法で上げるから」
「き、気づかれない?」
「この標識で周囲には僕たちの音が聞こえていない。今なら大丈夫だよ」
心配するマジュに説明し安心させた後で僕たちはゴブリンロードを横目にその背後に移動していた。
そこで僕は火気厳禁の標識を立てマジュに呼びかける。
「これで火全般の威力が上がってます」
「わかった。やってみるわ――火魔法・ファイヤーボム!」
魔法が行使されマジュの杖の先端に渦を巻くようにして炎が集まっていった。
大きな球体に変貌し真っ赤に染まった灼熱の球がゴブリンロードに向けて飛んでいく。
後ろを向いたロードの背中にマジュの魔法が炸裂した。大爆発が起こりその巨体が業火に飲み込まれる。
「凄い――これならロードも一溜まりもないよ」
「……私が一番ビックリよ。あの横穴で使った魔法もそうだったけど、本来こんなとんでもない威力なんて無いんだから」
マジュが呆気にとらわれていた。本来の威力はわからないけど火気厳禁の効果が相当だというのはわかった気がする。
「グォオォオォオォォォォオオオオ!」
ゴブリンロードが雄叫びを上げた。炎が消え黒焦げとなったゴブリンロードが僕たちを振り返る。
ダメージは相当なものだと思うけど、トドメを刺すには至らなかった。ここまでやれば音が消えようと関係ない。
ゴブリンロードに完全に気づかれただろう。
「マジュもう一発行ける!?」
「大分魔力が減ってるけど後一発ぐらいなら――え?」
マジュを目を白黒させた。なぜならゴブリンロードが玉座代わりにしていた岩を両手で引っこ抜き持ち上げていたからだ。
とんでもないパワーだ。しかも持ち上げた岩を僕たちに向けて投げつけてくる。
「そ、そんなこれじゃあ間に合わない!」
マジュの声は恐怖に震えていた。さっきの魔法は発動までに時間が掛かる。このタイミングだと間に合わないだろう。
だけど――僕にとっては寧ろチャンスと言えた。
「標識召喚――一方通行!」
騒音禁止の標識を消すと同時に一方通行の標識を立てた。この標識が強制的に移動する方向を限定させる。
つまり飛んできた大岩はこの標識によって反発し跳ね返るようにして投げたゴブリンロードの下へ戻っていった。
「グ、グォォオオオ――」
跳ね返った大岩をゴブリンロードは受け止めきれず激突したことで岩が割れ頭蓋骨が砕ける音を残しゴブリンロードの巨体も背中から倒れていった。
洞窟が揺れ土煙が上がった。そしてその後ゴブリンロードが起き上がることはなかった――僕たちはゴブリンロードに勝てたんだ。
フェレスの声がハッキリと聞こえてきた。僕の意図をしっかり汲み取ってくれたんだ。
この作戦は僕たちだけでは成り立たない。細い横穴からの攻撃は警戒されてしまうと効果は薄まる。
少しでも相手が狙いを定められないよう穴から穴へ移動はしたがそれにも限界がある。
僕たちのパターンは洞窟の片翼に集中しているからだ。洞窟の構造上どうしてもそうならざるを得ないからだ。
トンネルを深く作ろうとすると魔力の消費は激しくなるし反対側にトンネルを通す手段は限られてくる。
だけどこれでもう心配はいらない。フェレスや皆が援護に回ってくれているならゴブリンの統率は乱れる。
「助かった――でもこの後どうするの?」
「急いでここから出ます! チャンスは今しかない!」
マジュにそう答える。大丈夫なの? といった顔を見せたけどゴブリンの意識は今僕たちから外れてる筈だ。
悪賢いゴブリンだけど地頭がいいわけではない。だから二つのことに同時に対処出来ないんだ。
「見ての通りゴブリンはフェレス達の対処に追われているからここから消えました。今なら移動できます」
そう。横穴の中に既にゴブリンの姿はない。罠には気をつけないと行けないけどこのまま出れる筈だ。
この隙に僕とマジュは一緒に横穴から出た。ただ僕たちの役目はこれで終わりではない。
「ちょ! すぐそこにロードが!」
「大丈夫。今はこっちに気がついてない」
横穴を出た直後にゴブリンロードの巨体が見えた。だけどロードの顔はフェレスと戦うゴブリンに向いている。
「標識召喚・騒音禁止――」
召喚した標識を立てた。これは騒音とあるけど標識から範囲内に沈黙を生む。これで僕たちの動きに気づかれにくくなる筈だ。
「ねぇマーク。こんなロードが近くにいる状況でどうするつもりなの?」
「ロードの後ろに回り込むんだ。そこでマジュの一番強力な魔法を撃ち込んで欲しい。火力はさっきの魔法で上げるから」
「き、気づかれない?」
「この標識で周囲には僕たちの音が聞こえていない。今なら大丈夫だよ」
心配するマジュに説明し安心させた後で僕たちはゴブリンロードを横目にその背後に移動していた。
そこで僕は火気厳禁の標識を立てマジュに呼びかける。
「これで火全般の威力が上がってます」
「わかった。やってみるわ――火魔法・ファイヤーボム!」
魔法が行使されマジュの杖の先端に渦を巻くようにして炎が集まっていった。
大きな球体に変貌し真っ赤に染まった灼熱の球がゴブリンロードに向けて飛んでいく。
後ろを向いたロードの背中にマジュの魔法が炸裂した。大爆発が起こりその巨体が業火に飲み込まれる。
「凄い――これならロードも一溜まりもないよ」
「……私が一番ビックリよ。あの横穴で使った魔法もそうだったけど、本来こんなとんでもない威力なんて無いんだから」
マジュが呆気にとらわれていた。本来の威力はわからないけど火気厳禁の効果が相当だというのはわかった気がする。
「グォオォオォオォォォォオオオオ!」
ゴブリンロードが雄叫びを上げた。炎が消え黒焦げとなったゴブリンロードが僕たちを振り返る。
ダメージは相当なものだと思うけど、トドメを刺すには至らなかった。ここまでやれば音が消えようと関係ない。
ゴブリンロードに完全に気づかれただろう。
「マジュもう一発行ける!?」
「大分魔力が減ってるけど後一発ぐらいなら――え?」
マジュを目を白黒させた。なぜならゴブリンロードが玉座代わりにしていた岩を両手で引っこ抜き持ち上げていたからだ。
とんでもないパワーだ。しかも持ち上げた岩を僕たちに向けて投げつけてくる。
「そ、そんなこれじゃあ間に合わない!」
マジュの声は恐怖に震えていた。さっきの魔法は発動までに時間が掛かる。このタイミングだと間に合わないだろう。
だけど――僕にとっては寧ろチャンスと言えた。
「標識召喚――一方通行!」
騒音禁止の標識を消すと同時に一方通行の標識を立てた。この標識が強制的に移動する方向を限定させる。
つまり飛んできた大岩はこの標識によって反発し跳ね返るようにして投げたゴブリンロードの下へ戻っていった。
「グ、グォォオオオ――」
跳ね返った大岩をゴブリンロードは受け止めきれず激突したことで岩が割れ頭蓋骨が砕ける音を残しゴブリンロードの巨体も背中から倒れていった。
洞窟が揺れ土煙が上がった。そしてその後ゴブリンロードが起き上がることはなかった――僕たちはゴブリンロードに勝てたんだ。
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