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第二章 新天地での活躍編
第36話 マークの指示
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「今回はマジュが鍵になりますので僕と一緒に来てもらえますか?」
「え? 私?」
僕がそう切り出すとマジュは随分と驚いていた。まさか名指しされるとは思っていなかったかもしれない。
「……あたしは一緒じゃなくていいにゃん?」
するとフェレスが僕に同行しなくていいか確認してきた。
う~ん僕の作戦は人数が多ければいいというものでもないからね。ただ罠は警戒しておきたい。
「今回はフェレスとは別行動がいいと思う」
「――ふ~ん。そうなのかにゃ。べ、別にいいけどにゃ!」
何故かフェレスの機嫌が悪い気がした。少し怒ってるようでもある。
気にはなるがあまりのんびりしてる時間はないだろう。僕は更に必要な事を伝えた。
「アニン、ウルの力を借りたいのだけどいいかな?」
「あ、はい。それは勿論。ウル、マークを助けて上げて」
「ガウ」
アニンに言われウルが僕のそばまでやってきた。狼のウルならスペースはそこまでとらない。今回の作戦では僕側にそこまで人数を割けないからウルの存在は重要だ。
「マーク。作戦についてもう少し詳しく聞いてもいいかな?」
ブレブは僕が何をしようとしているか確認してきた。今回扱う標識は一言で表すのは中々難しい。
だから何をしようとしているかに絞って伝えた。
「作戦としては僕たちが囮になりゴブリンを引き付けた後、マジュの魔法でカウンターを仕掛けます。それが陽動として働いている隙に後から奇襲を掛けて頂けますか?」
僕がそう伝えるとブレブたちが目を丸くさせた。
「それを――君たち二人とウルだけで行うのか?」
「流石に危険では……」
ブレブとアニンが心配そうに声を上げた。ゴブリンの数を考えると確かに無茶にも思えるかもしれない。
「むしろそういう作戦なら私の出番な気もするけどねぇ」
「あ、あたしだって得意にゃん!」
ユニーとフェレスがそうアピールしてきたが今回に関しては魔法が使えるマジュがもっとも適している。
「今回はマジュの火魔法が大事になるので」
「待った待った! 確かに私は火魔法が扱えるけど、いくらなんでもあんな数のゴブリンをまとめて相手出来る自信はないわよ!」
マジュが慌てて僕に訴えてきた。ゴブリンの数を見て腰が引けたのだろう。その気もちもわかなくはない。
だがこの作戦は彼女がいないと成立しないのだ。
「大丈夫です。僕の標識召喚でサポート出来ますので安心してください」
「あ、あの不思議な召喚魔法で? う、う~ん……」
「マジュ。この役目頼まれてくれないか? マークの力は頼りになる。それにやはり戻って報告したとしても戦力がすぐに揃うとは限らない。可能ならここで叩いておきたいところなんだ」
ここでブレブの後押しがあった。その考えには共感出来る。
そもそも今回のゴブリン討伐にしても思った程の人数は集まらなかったという話だった。
それであれば一旦退いてギルドに報告したとしてもすぐに対応出来るとは限らないだろう。
「――ふぅ、しかたないわね。こうなったら私も覚悟を決めるわよ。だからマークお願いね」
「勿論。全力でサポートします」
よしこれで行動に移せる。
「では僕たちは作戦を開始します。フェレス。ここから先はお互い離れた状態での連携が大事になる。でもフェレスならきっとそれを察せられると信じてるよ」
この作戦はタイミングが大事でもある。実は同じパーティーのフェレスと敢えて別行動するのもそこが大きい。
だけどフェレスならきっと僕の意図を理解し奇襲を成功させてくれるはずだ。
「――あたしを信じての作戦かにゃ?」
「勿論だよ。一緒に頑張ろうね」
「……えへ、えへへ。わ、わかったにゃん! だからマークも張り切っていくにゃ!」
「あ、うん。勿論」
結構大変な役目だと思うのだけどフェレスが機嫌良さそうに笑っていた。
さっきまで不機嫌に思えたけど何でだろうか? やっぱり女の子は難しい――
「え? 私?」
僕がそう切り出すとマジュは随分と驚いていた。まさか名指しされるとは思っていなかったかもしれない。
「……あたしは一緒じゃなくていいにゃん?」
するとフェレスが僕に同行しなくていいか確認してきた。
う~ん僕の作戦は人数が多ければいいというものでもないからね。ただ罠は警戒しておきたい。
「今回はフェレスとは別行動がいいと思う」
「――ふ~ん。そうなのかにゃ。べ、別にいいけどにゃ!」
何故かフェレスの機嫌が悪い気がした。少し怒ってるようでもある。
気にはなるがあまりのんびりしてる時間はないだろう。僕は更に必要な事を伝えた。
「アニン、ウルの力を借りたいのだけどいいかな?」
「あ、はい。それは勿論。ウル、マークを助けて上げて」
「ガウ」
アニンに言われウルが僕のそばまでやってきた。狼のウルならスペースはそこまでとらない。今回の作戦では僕側にそこまで人数を割けないからウルの存在は重要だ。
「マーク。作戦についてもう少し詳しく聞いてもいいかな?」
ブレブは僕が何をしようとしているか確認してきた。今回扱う標識は一言で表すのは中々難しい。
だから何をしようとしているかに絞って伝えた。
「作戦としては僕たちが囮になりゴブリンを引き付けた後、マジュの魔法でカウンターを仕掛けます。それが陽動として働いている隙に後から奇襲を掛けて頂けますか?」
僕がそう伝えるとブレブたちが目を丸くさせた。
「それを――君たち二人とウルだけで行うのか?」
「流石に危険では……」
ブレブとアニンが心配そうに声を上げた。ゴブリンの数を考えると確かに無茶にも思えるかもしれない。
「むしろそういう作戦なら私の出番な気もするけどねぇ」
「あ、あたしだって得意にゃん!」
ユニーとフェレスがそうアピールしてきたが今回に関しては魔法が使えるマジュがもっとも適している。
「今回はマジュの火魔法が大事になるので」
「待った待った! 確かに私は火魔法が扱えるけど、いくらなんでもあんな数のゴブリンをまとめて相手出来る自信はないわよ!」
マジュが慌てて僕に訴えてきた。ゴブリンの数を見て腰が引けたのだろう。その気もちもわかなくはない。
だがこの作戦は彼女がいないと成立しないのだ。
「大丈夫です。僕の標識召喚でサポート出来ますので安心してください」
「あ、あの不思議な召喚魔法で? う、う~ん……」
「マジュ。この役目頼まれてくれないか? マークの力は頼りになる。それにやはり戻って報告したとしても戦力がすぐに揃うとは限らない。可能ならここで叩いておきたいところなんだ」
ここでブレブの後押しがあった。その考えには共感出来る。
そもそも今回のゴブリン討伐にしても思った程の人数は集まらなかったという話だった。
それであれば一旦退いてギルドに報告したとしてもすぐに対応出来るとは限らないだろう。
「――ふぅ、しかたないわね。こうなったら私も覚悟を決めるわよ。だからマークお願いね」
「勿論。全力でサポートします」
よしこれで行動に移せる。
「では僕たちは作戦を開始します。フェレス。ここから先はお互い離れた状態での連携が大事になる。でもフェレスならきっとそれを察せられると信じてるよ」
この作戦はタイミングが大事でもある。実は同じパーティーのフェレスと敢えて別行動するのもそこが大きい。
だけどフェレスならきっと僕の意図を理解し奇襲を成功させてくれるはずだ。
「――あたしを信じての作戦かにゃ?」
「勿論だよ。一緒に頑張ろうね」
「……えへ、えへへ。わ、わかったにゃん! だからマークも張り切っていくにゃ!」
「あ、うん。勿論」
結構大変な役目だと思うのだけどフェレスが機嫌良さそうに笑っていた。
さっきまで不機嫌に思えたけど何でだろうか? やっぱり女の子は難しい――
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