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第二章 新天地での活躍編
第31話 マークの考えた作戦
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「この場を何とか出来ると言うなら是非お願いしたいところだね」
「皆が無事でいられるならそれが一番だと思います」
「マークなら間違いないにゃ。あたしも沢山助けられたにゃ」
「ま、俺ならその程度のゴブリン楽勝だがここはお前に任せておくか」
「私はやることはかわらない。あんたが駄目ならこの弓で何とか切り抜けるさ」
「…………」
フェレスを含めた六人が僕を支持してくれた。気になっていたアグレイに関しては無言を貫いていたが特に文句をいってくることもない。
「どうやら特に異論はないようだがキリンはどうだ?」
「詳しく知りたい気がするが、見たほうが早いと言うならそれで構わない」
ブレブは全員の意見を聞いてから僕に任せるか決めてくれたようだ。キリンも納得してくれている。
「ならマークお願いしていいか?」
「は、はい。わかりました」
意外だったがアグレイは結局沈黙を保っていた。おかげで話はスムーズに決まったが。
「あんた今回は否定しなかったね」
「フンッ。どうせここで文句言ったところで無駄だろう。ま、結果的に奴のせいで被害が大きくなってもお前らの自業自得だ」
憎まれ口を叩くアグレイだが当然そうはならないよう作戦を完遂する。
それが今の僕の務めだ。フェレスとウルの察知能力を頼りに僕はゴブリンが接近してくるのを待った。
「もうあの辺りまで来てるにゃ」
「ガルゥ」
フェレスが来る方向を指差しウルも警戒心を高めていた。やはり仲間がやられた場所を中心に広がるような陣形で集まって来てるようだ。
逆に言えば僕たちのことを把握しているわけじゃない。当然仲間がやられたわけだから警戒はしてるだろうけど相手の人数や今どのあたりに潜んでいるかまでは理解していないのだろう。
だからこそある程度バラけ投網を投げつけたような形で攻めてきているのだろう。
だが目標が定まっているのであれば対処のしようはある。そう僕の標識召喚なら――
「「「「「「「「ギャギャッ! ギャギャギャギャギャッ!」」」」」」」」
ゴブリンの耳障りな声が聞こえてきた。もう近い。数が多すぎてまるで暑くなってくると始まる蝉の大合唱だ。
もっとも蝉の方は情緒があるがゴブリンにはない。ただただ不快なだけだ。様子を見ている皆の中には耳を塞いでる者もいる。
精神衛生上良くないのでもう終わらせてしまおう。
「標識発動・ロータリー――」
僕の召喚魔法によって前もって標識が立っていた。ゴブリンの群れが近づいてきているのを認めその効果を発動させる。矢印三つが円状に並んだ標識でありこれだけ見ても何がなんだかわからないことだろう。
だがゴブリンの変化は如実だった。なぜならゴブリンの群れは標識近くに勝手に集まり標識を中心にぐるぐると周り始めたからだ。
「ギャギャ?……?」
「ギャッ?」
「ギャーギャー!」
ゴブリンたちも自分たちの行動に疑問を持ってるようだ。抜け出そうとしているようだが標識の効果でそうはいかない。
このロータリーの標識は表示の通り同じ場所をぐるぐると周り続けさせる効果がある。しかもこの効果は生物だけに限らない。
「あれがマークの魔法の効果か……」
真剣な目つきでブレブが言った。僕の魔法を見極めようとしているようにも思えた。
「このまま足止めして逃げるのが手なのかい?」
ユニーが聞いてきた。その手がないこともないけど――
「いえあまり離れると標識が消えてしまうので逃げるには不安があるんです。そこでユニーの矢とマジュの魔法をあそこに撃ち込んで貰えますか?」
「へ? あそこにかい?」
「でもあの数相手だと効果は薄いかもしれないわね」
僕が二人に頼むもユニーもマジュも疑問顔だ。
「大丈夫です。ただ技にしても魔法にしても一番威力の高い物をお願いしてもいいですか?」
僕が問いかけると二人は顔を見合わせそして頷いた。
「何か考えがあるんだね。わかったよ」
「私も最大の魔法をぶつけるわ」
よかった二人共快諾してくれた。これであのゴブリンは片付くはずだ。
「コンボアロー!」
「ファイヤーボール!」
二人が放ったスキルと魔法、ユニーのスキルは矢を連続発射するタイプでマジュは火球を放つ魔法だった。
マジュの撃った火球は成人した大人の頭部より一回り程大きな物だ。ユニーも結構な数の矢を連射してくれた。
そして――火球も矢も標識の範囲に入った瞬間ゴブリンのように周回を始め次々とゴブリンを射抜き燃やしていく。
「嘘、私の魔法あんな動きしないんだけど……」
「私のもだぜ。まさかこれも?」
「はい。標識を中心にエリアに入った物や魔法も同じように動くのです」
「すごいにゃ! あたしも試してみるにゃ! コンバットスロー!」
フェレスも後に続いてブーメランを投げる。元々回転しながら手元に戻ってくるブーメランだけど、標識の範囲内にいる限りゴブリンをなぎ倒しながらエリア内を周り続けていた。
マジュやユニーも攻撃を続け結局それからまもなくしてゴブリンは殲滅された――
「皆が無事でいられるならそれが一番だと思います」
「マークなら間違いないにゃ。あたしも沢山助けられたにゃ」
「ま、俺ならその程度のゴブリン楽勝だがここはお前に任せておくか」
「私はやることはかわらない。あんたが駄目ならこの弓で何とか切り抜けるさ」
「…………」
フェレスを含めた六人が僕を支持してくれた。気になっていたアグレイに関しては無言を貫いていたが特に文句をいってくることもない。
「どうやら特に異論はないようだがキリンはどうだ?」
「詳しく知りたい気がするが、見たほうが早いと言うならそれで構わない」
ブレブは全員の意見を聞いてから僕に任せるか決めてくれたようだ。キリンも納得してくれている。
「ならマークお願いしていいか?」
「は、はい。わかりました」
意外だったがアグレイは結局沈黙を保っていた。おかげで話はスムーズに決まったが。
「あんた今回は否定しなかったね」
「フンッ。どうせここで文句言ったところで無駄だろう。ま、結果的に奴のせいで被害が大きくなってもお前らの自業自得だ」
憎まれ口を叩くアグレイだが当然そうはならないよう作戦を完遂する。
それが今の僕の務めだ。フェレスとウルの察知能力を頼りに僕はゴブリンが接近してくるのを待った。
「もうあの辺りまで来てるにゃ」
「ガルゥ」
フェレスが来る方向を指差しウルも警戒心を高めていた。やはり仲間がやられた場所を中心に広がるような陣形で集まって来てるようだ。
逆に言えば僕たちのことを把握しているわけじゃない。当然仲間がやられたわけだから警戒はしてるだろうけど相手の人数や今どのあたりに潜んでいるかまでは理解していないのだろう。
だからこそある程度バラけ投網を投げつけたような形で攻めてきているのだろう。
だが目標が定まっているのであれば対処のしようはある。そう僕の標識召喚なら――
「「「「「「「「ギャギャッ! ギャギャギャギャギャッ!」」」」」」」」
ゴブリンの耳障りな声が聞こえてきた。もう近い。数が多すぎてまるで暑くなってくると始まる蝉の大合唱だ。
もっとも蝉の方は情緒があるがゴブリンにはない。ただただ不快なだけだ。様子を見ている皆の中には耳を塞いでる者もいる。
精神衛生上良くないのでもう終わらせてしまおう。
「標識発動・ロータリー――」
僕の召喚魔法によって前もって標識が立っていた。ゴブリンの群れが近づいてきているのを認めその効果を発動させる。矢印三つが円状に並んだ標識でありこれだけ見ても何がなんだかわからないことだろう。
だがゴブリンの変化は如実だった。なぜならゴブリンの群れは標識近くに勝手に集まり標識を中心にぐるぐると周り始めたからだ。
「ギャギャ?……?」
「ギャッ?」
「ギャーギャー!」
ゴブリンたちも自分たちの行動に疑問を持ってるようだ。抜け出そうとしているようだが標識の効果でそうはいかない。
このロータリーの標識は表示の通り同じ場所をぐるぐると周り続けさせる効果がある。しかもこの効果は生物だけに限らない。
「あれがマークの魔法の効果か……」
真剣な目つきでブレブが言った。僕の魔法を見極めようとしているようにも思えた。
「このまま足止めして逃げるのが手なのかい?」
ユニーが聞いてきた。その手がないこともないけど――
「いえあまり離れると標識が消えてしまうので逃げるには不安があるんです。そこでユニーの矢とマジュの魔法をあそこに撃ち込んで貰えますか?」
「へ? あそこにかい?」
「でもあの数相手だと効果は薄いかもしれないわね」
僕が二人に頼むもユニーもマジュも疑問顔だ。
「大丈夫です。ただ技にしても魔法にしても一番威力の高い物をお願いしてもいいですか?」
僕が問いかけると二人は顔を見合わせそして頷いた。
「何か考えがあるんだね。わかったよ」
「私も最大の魔法をぶつけるわ」
よかった二人共快諾してくれた。これであのゴブリンは片付くはずだ。
「コンボアロー!」
「ファイヤーボール!」
二人が放ったスキルと魔法、ユニーのスキルは矢を連続発射するタイプでマジュは火球を放つ魔法だった。
マジュの撃った火球は成人した大人の頭部より一回り程大きな物だ。ユニーも結構な数の矢を連射してくれた。
そして――火球も矢も標識の範囲に入った瞬間ゴブリンのように周回を始め次々とゴブリンを射抜き燃やしていく。
「嘘、私の魔法あんな動きしないんだけど……」
「私のもだぜ。まさかこれも?」
「はい。標識を中心にエリアに入った物や魔法も同じように動くのです」
「すごいにゃ! あたしも試してみるにゃ! コンバットスロー!」
フェレスも後に続いてブーメランを投げる。元々回転しながら手元に戻ってくるブーメランだけど、標識の範囲内にいる限りゴブリンをなぎ倒しながらエリア内を周り続けていた。
マジュやユニーも攻撃を続け結局それからまもなくしてゴブリンは殲滅された――
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