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第一章 追放された召喚師編
第17話 王国からの脱出
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「おはようにゃ~」
部屋から出てきたフェレスが瞼をさすり欠伸を見せた。その姿が可愛らしく思える。
背伸びに合わせて胸部が上下に揺れた。意外とある。頬が熱くなるのを感じて思わず目をそらしてしまった。
「その、おはよう。朝食を食べたら出ようか」
「わかったにゃ。これで国から出ることになるんだにゃ」
「うん。そうだね」
フェレスにそう答えた後、僕は食堂で一緒に朝食を取った。朝は軽めでスープの中にパンを浸し中心に半熟卵を落としたものだった。
それとは別にサラダと果実を絞ったジュースがついていた。昨晩の夕食といい朝食といい味も良く当たりだろう。
「満腹だにゃ~」
「よかったよかった」
フェレスが満足げに目を細めていた。見ているだけで何となく癒される。
「プッ――」
「どうしたにゃ?」
「はは。ほっぺにパンくずがついてるよ」
右のほっぺについていたソレを指で取ってあげた。フェレスの顔が紅くなる。
「あ、ご、ごめんつい」
「べ、別に謝ることじゃないにゃ。ありがとうにゃ!」
お礼を言ってくれたが女の子のほっぺたに気安く触るのは頂けないのだろう。今後気をつけないといけないかな。ただ妙に胸の鼓動が高鳴ってる気がした。
「そ、それじゃあ出ようか」
「う、うん。そうするにゃ」
フードを被ったフェレスと一緒に宿を出た。ここから町を出て砦に向かい紹介状を見せればいよいよ隣国カシオン共和国――
「うん?」
「え?」
「にゃ?」
次の行き先に胸を膨らませているところでバッタリと見知った顔と遭遇した。宿から出たところに丁度良く、いやタイミング悪くあの奴隷商連中が通りがかったのである。
流石にこれだけ近くだと向こうもこっちに気がついたようだ。
「て、テメェら!」
「逃げるよフェレス!」
「にゃっ!?」
僕はフェレスの手を取って道を疾駆した。
「お前ら早く追いかけろ!」
「「「へいっ!」」」
奴隷商に命じられた取り巻きが追いかけてくるのがわかった。相手は三人だ。ただフェレスはともかく僕は元の足の速さにそこまで自信はない。
それなら作戦で補うべきだ。
「誰が助けて! 強盗に追いかけられてるんですぅ!」
「にゃにゃ!?」
声を張り上げて叫んだ。フェレスが驚いているのがわかる。
「お前町中で堂々と何してやがる!」
「な、違う!」
「何が違うんだい。あんな若い子にいい大人が恥ずかしくないのか!」
「おい衛兵を呼べ!」
よし作戦は成功だ。町の住人がいい感じに取り巻き連中の足止めをしてくれている。
「マークやるにゃ」
「こういう悪知恵も必要ってことさ」
僕たちは衛兵に挨拶して町を出た。すぐに標識を召喚しそのまま砦に向かう。
連中が僕たちの移動先に気がつくかわからないが、出来るだけ急いだ方がいいだろう。
砦が見えてきたので標識を放して近づく。幸い昨日の兵士とは違う人間が対応してくれた。
「ふむ。確かに冒険者ギルドからの招待状だな。わかった通っていいぞ」
兵士は潔く門を通してくれた。冒険者ギルドの紹介ということで通行税も必要ないらしい。
フェレスの言う通り冒険者として登録しておいてよかった。
「これでもう奴隷商に追いかけられることもないね」
「うん! マークありがとうにゃ!」
「わわっ!」
門を抜けた後フェレスに抱きつかれて凄く慌ててしまった。衝動的なんだろうが女の子に密着されるのに慣れてないのである。そんな自分がちょっと情けなく思った。
何はともあれ、これでついに僕たちはプロスクリ王国を出ることが出来たのである――
部屋から出てきたフェレスが瞼をさすり欠伸を見せた。その姿が可愛らしく思える。
背伸びに合わせて胸部が上下に揺れた。意外とある。頬が熱くなるのを感じて思わず目をそらしてしまった。
「その、おはよう。朝食を食べたら出ようか」
「わかったにゃ。これで国から出ることになるんだにゃ」
「うん。そうだね」
フェレスにそう答えた後、僕は食堂で一緒に朝食を取った。朝は軽めでスープの中にパンを浸し中心に半熟卵を落としたものだった。
それとは別にサラダと果実を絞ったジュースがついていた。昨晩の夕食といい朝食といい味も良く当たりだろう。
「満腹だにゃ~」
「よかったよかった」
フェレスが満足げに目を細めていた。見ているだけで何となく癒される。
「プッ――」
「どうしたにゃ?」
「はは。ほっぺにパンくずがついてるよ」
右のほっぺについていたソレを指で取ってあげた。フェレスの顔が紅くなる。
「あ、ご、ごめんつい」
「べ、別に謝ることじゃないにゃ。ありがとうにゃ!」
お礼を言ってくれたが女の子のほっぺたに気安く触るのは頂けないのだろう。今後気をつけないといけないかな。ただ妙に胸の鼓動が高鳴ってる気がした。
「そ、それじゃあ出ようか」
「う、うん。そうするにゃ」
フードを被ったフェレスと一緒に宿を出た。ここから町を出て砦に向かい紹介状を見せればいよいよ隣国カシオン共和国――
「うん?」
「え?」
「にゃ?」
次の行き先に胸を膨らませているところでバッタリと見知った顔と遭遇した。宿から出たところに丁度良く、いやタイミング悪くあの奴隷商連中が通りがかったのである。
流石にこれだけ近くだと向こうもこっちに気がついたようだ。
「て、テメェら!」
「逃げるよフェレス!」
「にゃっ!?」
僕はフェレスの手を取って道を疾駆した。
「お前ら早く追いかけろ!」
「「「へいっ!」」」
奴隷商に命じられた取り巻きが追いかけてくるのがわかった。相手は三人だ。ただフェレスはともかく僕は元の足の速さにそこまで自信はない。
それなら作戦で補うべきだ。
「誰が助けて! 強盗に追いかけられてるんですぅ!」
「にゃにゃ!?」
声を張り上げて叫んだ。フェレスが驚いているのがわかる。
「お前町中で堂々と何してやがる!」
「な、違う!」
「何が違うんだい。あんな若い子にいい大人が恥ずかしくないのか!」
「おい衛兵を呼べ!」
よし作戦は成功だ。町の住人がいい感じに取り巻き連中の足止めをしてくれている。
「マークやるにゃ」
「こういう悪知恵も必要ってことさ」
僕たちは衛兵に挨拶して町を出た。すぐに標識を召喚しそのまま砦に向かう。
連中が僕たちの移動先に気がつくかわからないが、出来るだけ急いだ方がいいだろう。
砦が見えてきたので標識を放して近づく。幸い昨日の兵士とは違う人間が対応してくれた。
「ふむ。確かに冒険者ギルドからの招待状だな。わかった通っていいぞ」
兵士は潔く門を通してくれた。冒険者ギルドの紹介ということで通行税も必要ないらしい。
フェレスの言う通り冒険者として登録しておいてよかった。
「これでもう奴隷商に追いかけられることもないね」
「うん! マークありがとうにゃ!」
「わわっ!」
門を抜けた後フェレスに抱きつかれて凄く慌ててしまった。衝動的なんだろうが女の子に密着されるのに慣れてないのである。そんな自分がちょっと情けなく思った。
何はともあれ、これでついに僕たちはプロスクリ王国を出ることが出来たのである――
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