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第二章 冒険者登録編
第58話 土から生まれた?
しおりを挟む「マァ~マッ! マァ~」
「はわわ~可愛いすぎでしゅよぉ~」
眼の前で秋月がデレデレしていた。相手はいつの間にかここにいたモンスターだ。しかし語彙が崩れるぐらいメロメロだな。気持ちはよくわかるが。
「それにしてもどこから来たのやら」
「それなんですけど、話を聞く限りもしかしてその消えた芽が成長した姿なんじゃないかなぁ?」
秋月が思いついた考えを言ってくれた。そう言われてみると確かに――
頭に乗ってる蔕から見て植物系のモンスターだと考えれば合点がいく。俺は何となく畑の穴を見た。
「――何か丁度よく収まりそうな。なぁ、ちょっとここに入ってみてもらってもいいかな?」
「マッ!」
モンスターが穴に入るといい感じに収まっていた。いや頭は出る形だがそれにしても収まりがいい。
「マァ~マッ!」
鳴きながら手足をバタバタさせると土が崩れてスッポリと埋もれてしまった。頭だけが出ている状態だが何だか楽しそうである。
「マ~♪」
「きゃわわ~!」
秋月がはしゃいでいた。何故埋もれたのかわからないが、やはりあの芽が成長した姿なのかもしれない。
「もしかして元々ここで生えてた芽が君なのか?」
「マ~♪ マ~マ~!」
「ワンワン!」
「ピキィ~!」
「えっと何て?」
「あぁ。どうやらそうだって言ってるみたいだ」
モコとラムがこのモンスターの言いたいことを察してくれたようだった。そしてモコとラムが言いたいことを俺は何となく理解できてしまう。
「ワン!」
「ピキィ!」
モコとラムが俺にすり寄ってきて鳴き声を上げた。これは――このモンスターも一緒にいられないか? ということか。
「仲間として迎え入れられないかってことだよな。う~んそうだな」
「悩む必要ないじゃないですか! こんなに懐いているんだし」
「マ~♪」
土から這い出てきたその子が俺に抱きついて縋るように声を上げた。クッ、確かにこれは拒否する理由がない!
「わかった。君も一緒に暮らそうか」
「マッ! マ~マ~♪」
とても嬉しそうだ。その姿に俺も自然と笑顔になってしまう。
「そうなると名前を決めてあげないとですね」
「あ~確かに。どんなのがいいかなぁ」
秋月の言われ俺も新しい仲間の姿を見ながら考えてみる。色からオレンジ? 流石に安直すぎるか。
「あ、あの私が思いついた名前があるんですが聞いてもらってもいいですか?」
「おお。それは助かるよ。教えてもらっても?」
「は、はい。マールなんてどうかなって」
秋月が考えた名前を口にした。マールか――確かに鳴き声がマ~だしまんまるとした顔も特徴的なことを考えるとピッタリかもしれない。
「名前だけどマールでどうかな?」
「マッ! マァ~マァ~♪」
聞いてみたが、おお、何だか嬉しそうだぞ。気に入ってくれたようだな。
「よし! それならお前は今日からマールだ!」
「マァ~♪」
抱き上げるとマールが嬉しそうに鳴いた。これでまた一匹新しい仲間が増えたわけだ。何だかこのダンジョンも賑やかになってきたな――
「はわわ~可愛いすぎでしゅよぉ~」
眼の前で秋月がデレデレしていた。相手はいつの間にかここにいたモンスターだ。しかし語彙が崩れるぐらいメロメロだな。気持ちはよくわかるが。
「それにしてもどこから来たのやら」
「それなんですけど、話を聞く限りもしかしてその消えた芽が成長した姿なんじゃないかなぁ?」
秋月が思いついた考えを言ってくれた。そう言われてみると確かに――
頭に乗ってる蔕から見て植物系のモンスターだと考えれば合点がいく。俺は何となく畑の穴を見た。
「――何か丁度よく収まりそうな。なぁ、ちょっとここに入ってみてもらってもいいかな?」
「マッ!」
モンスターが穴に入るといい感じに収まっていた。いや頭は出る形だがそれにしても収まりがいい。
「マァ~マッ!」
鳴きながら手足をバタバタさせると土が崩れてスッポリと埋もれてしまった。頭だけが出ている状態だが何だか楽しそうである。
「マ~♪」
「きゃわわ~!」
秋月がはしゃいでいた。何故埋もれたのかわからないが、やはりあの芽が成長した姿なのかもしれない。
「もしかして元々ここで生えてた芽が君なのか?」
「マ~♪ マ~マ~!」
「ワンワン!」
「ピキィ~!」
「えっと何て?」
「あぁ。どうやらそうだって言ってるみたいだ」
モコとラムがこのモンスターの言いたいことを察してくれたようだった。そしてモコとラムが言いたいことを俺は何となく理解できてしまう。
「ワン!」
「ピキィ!」
モコとラムが俺にすり寄ってきて鳴き声を上げた。これは――このモンスターも一緒にいられないか? ということか。
「仲間として迎え入れられないかってことだよな。う~んそうだな」
「悩む必要ないじゃないですか! こんなに懐いているんだし」
「マ~♪」
土から這い出てきたその子が俺に抱きついて縋るように声を上げた。クッ、確かにこれは拒否する理由がない!
「わかった。君も一緒に暮らそうか」
「マッ! マ~マ~♪」
とても嬉しそうだ。その姿に俺も自然と笑顔になってしまう。
「そうなると名前を決めてあげないとですね」
「あ~確かに。どんなのがいいかなぁ」
秋月の言われ俺も新しい仲間の姿を見ながら考えてみる。色からオレンジ? 流石に安直すぎるか。
「あ、あの私が思いついた名前があるんですが聞いてもらってもいいですか?」
「おお。それは助かるよ。教えてもらっても?」
「は、はい。マールなんてどうかなって」
秋月が考えた名前を口にした。マールか――確かに鳴き声がマ~だしまんまるとした顔も特徴的なことを考えるとピッタリかもしれない。
「名前だけどマールでどうかな?」
「マッ! マァ~マァ~♪」
聞いてみたが、おお、何だか嬉しそうだぞ。気に入ってくれたようだな。
「よし! それならお前は今日からマールだ!」
「マァ~♪」
抱き上げるとマールが嬉しそうに鳴いた。これでまた一匹新しい仲間が増えたわけだ。何だかこのダンジョンも賑やかになってきたな――
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