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第二章 冒険者登録編
第31話 天野川との再会
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そうだ。ホームセンターでの帰り道に、チンピラ冒険者に絡まれていた俺たちを助けてくれた子で、確か天野川と言っていたっけ。
「えっと、お、お久しぶりです」
「ん。君も久しぶり」
「ワウン♪」
天野川に撫でられてモコもご満悦だ。だが俺は割と気が気じゃない。すると俺の袖がクイクイっと引っ張られた。山守だった。
その目は、誰? と聞いているようでもあった。
「えっと、彼女は冒険者で、以前にちょっと絡まれていたところを助けてもらったんだ」
なんとも情けない話でもあるが、ここで嘘を言っても仕方ないからな。
「へ、へぇそうなんだ。随分と綺麗な人だから誰かと思っちゃった」
天野川の顔を見ながら山守が言った。天野川が美少女なのは確かだと思うが、あれ? なんだろう? なんか山守の言い方にトゲがあるような。
「私は天野川 雫。よろしく」
天野川は気にした様子もなく淡々と山守に自己紹介をしてくれた。
「あ、はい! こちらこそよろしくお願いします」
天野川の雰囲気に飲まれたのか山守もどこか恐縮していた。しかし天野川はクールビューティーって感じだな。
「……ところで貴方はここで何を?」
「あ、あぁ。実は冒険者として登録するために来ていたんだ」
「――登録? 貴方、冒険者じゃなかったの?」
天野川が怪訝そうな顔で言ってきた。その様子に俺はしまったと思ってしまった。そうだ、天野川には俺がモコを連れ歩いているところを見られてしまっているんだ。
その時には適当にごまかしておいたけど、よく考えてみれば冒険者でもないのにモンスターを連れ歩いていたのはおかしなことだ。
「……不思議に思っていたの。あの後、ギルドで貴方のことを調べてみたけど登録されてる様子はなかった。もし登録されていたら顔写真付きで素性がわかるはずだもの」
天野川の疑いが更に強まっているのがわかった。確かに今回の登録でも証明写真が必要となっていたし、結構いろいろ書かされたからな――それを考えたら俺の素性がバレるのは時間の問題だったのかもしれない。
だけど、このままだと不味い。下手したらモコやラムが捕まってしまう可能性もある。
「その、本当ごめん! 実は既にジョブは持っていて、その影響でモコとも仲良くなれていたんだ。だけど登録するタイミングがなくて――だけどジョブの力を悪用なんてしてないそれは誓うよ!」
俺は、とにかく天野川に納得してもらおうと色々と理由をまくし立てた。実際はその時にはまだジョブストーンを持っていなかったが、今はそんな事を言っている場合じゃない。
「そ、そうです! 私も証明します! 風間さんはいい人です!」
「ワンワン!」
「ピキィ!」
山守は勿論だが、モコもラムも俺を庇うようにして声を上げてくれた。そんな俺たちの姿を天野川がマジマジと見つめている。
「……話はわかった。だけどそれは私が決めることじゃない」
淡々と天野川が話した。あまりいい状況には思えないけど、天野川が決めることじゃないということは――
「だから今から一緒に来てもらう」
「うん? えっとそれは一体どこに?」
「ギルドマスターの部屋。そこでマスターに判断してもらう」
「ま、マジか……」
「マジ」
真顔で天野川に返された。それにしても登録したその日にギルドマスターに会うことになるなんて……これから俺たちは一体どうなってしまうんだか――
「えっと、お、お久しぶりです」
「ん。君も久しぶり」
「ワウン♪」
天野川に撫でられてモコもご満悦だ。だが俺は割と気が気じゃない。すると俺の袖がクイクイっと引っ張られた。山守だった。
その目は、誰? と聞いているようでもあった。
「えっと、彼女は冒険者で、以前にちょっと絡まれていたところを助けてもらったんだ」
なんとも情けない話でもあるが、ここで嘘を言っても仕方ないからな。
「へ、へぇそうなんだ。随分と綺麗な人だから誰かと思っちゃった」
天野川の顔を見ながら山守が言った。天野川が美少女なのは確かだと思うが、あれ? なんだろう? なんか山守の言い方にトゲがあるような。
「私は天野川 雫。よろしく」
天野川は気にした様子もなく淡々と山守に自己紹介をしてくれた。
「あ、はい! こちらこそよろしくお願いします」
天野川の雰囲気に飲まれたのか山守もどこか恐縮していた。しかし天野川はクールビューティーって感じだな。
「……ところで貴方はここで何を?」
「あ、あぁ。実は冒険者として登録するために来ていたんだ」
「――登録? 貴方、冒険者じゃなかったの?」
天野川が怪訝そうな顔で言ってきた。その様子に俺はしまったと思ってしまった。そうだ、天野川には俺がモコを連れ歩いているところを見られてしまっているんだ。
その時には適当にごまかしておいたけど、よく考えてみれば冒険者でもないのにモンスターを連れ歩いていたのはおかしなことだ。
「……不思議に思っていたの。あの後、ギルドで貴方のことを調べてみたけど登録されてる様子はなかった。もし登録されていたら顔写真付きで素性がわかるはずだもの」
天野川の疑いが更に強まっているのがわかった。確かに今回の登録でも証明写真が必要となっていたし、結構いろいろ書かされたからな――それを考えたら俺の素性がバレるのは時間の問題だったのかもしれない。
だけど、このままだと不味い。下手したらモコやラムが捕まってしまう可能性もある。
「その、本当ごめん! 実は既にジョブは持っていて、その影響でモコとも仲良くなれていたんだ。だけど登録するタイミングがなくて――だけどジョブの力を悪用なんてしてないそれは誓うよ!」
俺は、とにかく天野川に納得してもらおうと色々と理由をまくし立てた。実際はその時にはまだジョブストーンを持っていなかったが、今はそんな事を言っている場合じゃない。
「そ、そうです! 私も証明します! 風間さんはいい人です!」
「ワンワン!」
「ピキィ!」
山守は勿論だが、モコもラムも俺を庇うようにして声を上げてくれた。そんな俺たちの姿を天野川がマジマジと見つめている。
「……話はわかった。だけどそれは私が決めることじゃない」
淡々と天野川が話した。あまりいい状況には思えないけど、天野川が決めることじゃないということは――
「だから今から一緒に来てもらう」
「うん? えっとそれは一体どこに?」
「ギルドマスターの部屋。そこでマスターに判断してもらう」
「ま、マジか……」
「マジ」
真顔で天野川に返された。それにしても登録したその日にギルドマスターに会うことになるなんて……これから俺たちは一体どうなってしまうんだか――
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