4 / 40
第一章 モンスターとの出会い編
第3話 ダンジョンで見つけた初モンスター
しおりを挟む
何かすぐに隠れてしまったけど見間違いではなかった筈だ。しかしあれはまさか噂のダンジョンに出るというモンスター?
二本足で活動する犬型のモンスターは聞いたことがある。確かコボルトという筈だ。武器も扱ってきて結構手強いタイプとネットで見た気がする。
ただ――俺の知識にあるコボルトと比べると随分と小さい気がした。まるで子犬のような……。
とは言え見てしまった以上黙ってもいられない。俺はナイフを手にゆっくりとさっきのコボルトらしきものがいた場所に近づいていく。
するとそこには所々に岩もあったのだが、そこから尻を出してブルブル震えている何かがいた。尾には尻尾が生えていた。おそらく犬の尻尾だ。
てか、もしかしてこわがられている?
「あの――」
「――ッ!?」
俺が声を掛けると尻がビクッと跳ね上がり、尻が岩に引っ込んだかと思えばそっと顔を出してきた。
「キャウン!?」
かと思えば俺を確認してすぐに岩の中に引っ込んだ。あ、そうかナイフを持っていたから怯えたのか。
というか、これ全く襲ってくる気配がないな。寧ろ本当に怖がってる感じで逆に悪い気がしてきた。
「ごめんごめん。脅かすつもりはなかったんだ」
俺は岩の裏側を覗き込んでコボルトと思われるモンスターに声を掛けた。端っこで不安そうな顔でこっちを見ていた。
いや本当罪悪感しかわかないわこれ。しかもやっぱり思ったより小柄だ。感覚的には子どものコボルトつまり子コボルトといった様相だ。
「その、本当にごめん。でもどうしてここに? て、ここはダンジョンなんだから別にモンスターがいるのはおかしくないのか」
とにかくナイフはしまって子コボルトに一生懸命話しかけた。すると段々と子コボルトの警戒心がとけてきたのかこっちを気にする様子を見せてきた。
興味を持ってくれたのかな? とそう思えた時――
――グ~~と子コボルトのお腹がなった。えっとこれってもしかしなくても。
「もしかしてお腹へってるのか?」
「ク~ン……」
子コボルトがか細く鳴いた。そうか、そりゃそうだよな。どう見てもこのダンジョンの中でご飯とか用意できないもんな。きっと空腹で食べ物を探しにきたんだろうなこの子も。
そんな子に対して俺はナイフを突きつけてしまったのだからなんとも情けないことだなと思う。
「ちょっと待ってろ」
俺はそう子コボルトに伝え鍋のある場所に戻り、容器にライスとカレーをよそって子コボルトの元に戻った。
さっき俺の方を見ていたのはきっとカレーの匂いにつられてきたのだろう。
「ほら。これカレーっていうんだ。良かったら食べてくれ」
そう言って俺は子コボルトの側にカレーの入った器を置いた。
「ワウ?」
「あぁ食べていいんだぞ」
俺がそう伝えると子コボルトが目を輝かせた。そしてカレーと一緒に念のため持ってきておいたスプーンを握り眺めている。
コボルトは武器も扱うと聞いたけどどうやら手先が器用なようだ。だから俺はジェスチャーでスプーンの使い方を見せてやると子コボルトも見よう見まねでスプーンを扱いカレーを掬って食べ始めた。
「ワウ! ワウワウワウワウ!」
すると子コボルトが嬉しそうにカレーを食べ始めた。余程気に入ったのか満面の笑みを浮かべていた。見ていてなんとも微笑ましく思った。
モンスターにはもっと恐ろしいイメージを持っていたのだけど、これはちょっと改めないといけなさそうだな。
「クゥ~ン……」
そして器のカレーを食べきった子コボルトが今度は甘えたような声ですり寄ってきた。
「もしかしておかわりが欲しいのか?」
「ワウ!」
「はは。いいぞ。カレーはまだあるしな。ほらこっちに来いよ」
俺は子コボルトを連れて拠点にしてある場所まで戻った。そこで鍋のカレーを盛り食べさせてあげる。ご飯もルーも少し多めに入れてあげたら随分と満足そうにしていたよ――
二本足で活動する犬型のモンスターは聞いたことがある。確かコボルトという筈だ。武器も扱ってきて結構手強いタイプとネットで見た気がする。
ただ――俺の知識にあるコボルトと比べると随分と小さい気がした。まるで子犬のような……。
とは言え見てしまった以上黙ってもいられない。俺はナイフを手にゆっくりとさっきのコボルトらしきものがいた場所に近づいていく。
するとそこには所々に岩もあったのだが、そこから尻を出してブルブル震えている何かがいた。尾には尻尾が生えていた。おそらく犬の尻尾だ。
てか、もしかしてこわがられている?
「あの――」
「――ッ!?」
俺が声を掛けると尻がビクッと跳ね上がり、尻が岩に引っ込んだかと思えばそっと顔を出してきた。
「キャウン!?」
かと思えば俺を確認してすぐに岩の中に引っ込んだ。あ、そうかナイフを持っていたから怯えたのか。
というか、これ全く襲ってくる気配がないな。寧ろ本当に怖がってる感じで逆に悪い気がしてきた。
「ごめんごめん。脅かすつもりはなかったんだ」
俺は岩の裏側を覗き込んでコボルトと思われるモンスターに声を掛けた。端っこで不安そうな顔でこっちを見ていた。
いや本当罪悪感しかわかないわこれ。しかもやっぱり思ったより小柄だ。感覚的には子どものコボルトつまり子コボルトといった様相だ。
「その、本当にごめん。でもどうしてここに? て、ここはダンジョンなんだから別にモンスターがいるのはおかしくないのか」
とにかくナイフはしまって子コボルトに一生懸命話しかけた。すると段々と子コボルトの警戒心がとけてきたのかこっちを気にする様子を見せてきた。
興味を持ってくれたのかな? とそう思えた時――
――グ~~と子コボルトのお腹がなった。えっとこれってもしかしなくても。
「もしかしてお腹へってるのか?」
「ク~ン……」
子コボルトがか細く鳴いた。そうか、そりゃそうだよな。どう見てもこのダンジョンの中でご飯とか用意できないもんな。きっと空腹で食べ物を探しにきたんだろうなこの子も。
そんな子に対して俺はナイフを突きつけてしまったのだからなんとも情けないことだなと思う。
「ちょっと待ってろ」
俺はそう子コボルトに伝え鍋のある場所に戻り、容器にライスとカレーをよそって子コボルトの元に戻った。
さっき俺の方を見ていたのはきっとカレーの匂いにつられてきたのだろう。
「ほら。これカレーっていうんだ。良かったら食べてくれ」
そう言って俺は子コボルトの側にカレーの入った器を置いた。
「ワウ?」
「あぁ食べていいんだぞ」
俺がそう伝えると子コボルトが目を輝かせた。そしてカレーと一緒に念のため持ってきておいたスプーンを握り眺めている。
コボルトは武器も扱うと聞いたけどどうやら手先が器用なようだ。だから俺はジェスチャーでスプーンの使い方を見せてやると子コボルトも見よう見まねでスプーンを扱いカレーを掬って食べ始めた。
「ワウ! ワウワウワウワウ!」
すると子コボルトが嬉しそうにカレーを食べ始めた。余程気に入ったのか満面の笑みを浮かべていた。見ていてなんとも微笑ましく思った。
モンスターにはもっと恐ろしいイメージを持っていたのだけど、これはちょっと改めないといけなさそうだな。
「クゥ~ン……」
そして器のカレーを食べきった子コボルトが今度は甘えたような声ですり寄ってきた。
「もしかしておかわりが欲しいのか?」
「ワウ!」
「はは。いいぞ。カレーはまだあるしな。ほらこっちに来いよ」
俺は子コボルトを連れて拠点にしてある場所まで戻った。そこで鍋のカレーを盛り食べさせてあげる。ご飯もルーも少し多めに入れてあげたら随分と満足そうにしていたよ――
402
お気に入りに追加
911
あなたにおすすめの小説
追放されてから数年間ダンジョンに篭り続けた結果、俺は死んだことになっていたので、あいつを後悔させてやることにした
チドリ正明@不労所得発売中!!
ファンタジー
世間で高い評価を集め、未来を担っていく次世代のパーティーとして名高いAランクパーティーである【月光】に所属していたゲイルは、突如として理不尽な理由でパーティーを追放されてしまった。 これ以上何を言っても無駄だと察したゲイルはパーティーリーダーであるマクロスを見返そうと、死を覚悟してダンジョンに篭り続けることにした。 それから月日が経ち、数年後。 ゲイルは危険なダンジョン内で生と死の境界線を幾度となく彷徨うことで、この世の全てを掌握できるであろう力を手に入れることに成功した。 そしてゲイルは心に秘めた復讐心に従うがままに、数年前まで活動拠点として構えていた国へ帰還すると、そこで衝撃の事実を知ることになる。 なんとゲイルは既に死んだ扱いになっており、【月光】はガラッとメンバーを変えて世界最強のパーティーと呼ばれるまで上り詰めていたのだ。 そこでゲイルはあることを思いついた。 「あいつを後悔させてやろう」 ゲイルは冒険者として最低のランクから再び冒険を始め、マクロスへの復讐を目論むのだった。
【完結】兄の事を皆が期待していたので僕は離れます
まりぃべる
ファンタジー
一つ年上の兄は、国の為にと言われて意気揚々と村を離れた。お伽話にある、奇跡の聖人だと幼き頃より誰からも言われていた為、それは必然だと。
貧しい村で育った弟は、小さな頃より家の事を兄の分までせねばならず、兄は素晴らしい人物で対して自分は凡人であると思い込まされ、自分は必要ないのだからと弟は村を離れる事にした。
そんな弟が、自分を必要としてくれる人に会い、幸せを掴むお話。
☆まりぃべるの世界観です。緩い設定で、現実世界とは違う部分も多々ありますがそこをあえて楽しんでいただけると幸いです。
☆現実世界にも同じような名前、地名、言葉などがありますが、関係ありません。
庭にできた異世界で丸儲け。破格なクエスト報酬で社畜奴隷からニートになる。〜投資額に応じたスキルを手に入れると現実世界でも無双していました〜
k-ing ★書籍発売中
ファンタジー
※元々執筆していたものを加筆して、キャラクターを少し変更したリメイク版です。
ブラック企業に勤めてる服部慧は毎日仕事に明け暮れていた。残業続きで気づけば寝落ちして仕事に行く。そんな毎日を過ごしている。
慧の唯一の夢はこの社会から解放されるために"FIRE"することだった。
FIREとは、Financial Independence Retire Earlyの頭文字をとり、「経済的な自立を実現させて、仕事を早期に退職する生活スタイル」という意味を持っている。簡単に言えば、働かずにお金を手に入れて生活をすることを言う。
慧は好きなことして、ゆっくりとニート生活することを夢見ている。
普段通りに仕事を終えソファーで寝落ちしていると急に地震が起きた。地震速報もなく夢だったのかと思い再び眠るが、次の日、庭に大きな穴が空いていた。
どこか惹かれる穴に入ると、脳内からは無機質なデジタル音声が聞こえてきた。
【投資信託"全世界株式インデックス・ファンド"を所持しているため、一部パラメーターが上昇します】
庭の穴は異世界に繋がっており、投資額に応じてスキルを手に入れる世界だった。しかも、クエストをクリアしないと現実世界には戻れないようだ。
そして、クエストをクリアして戻ってきた慧の手に握られていたのはクエスト報酬と素材売却で手に入れた大金。
これは異世界で社畜会社員が命がけでクエストを達成し、金稼ぎをするそんな物語だ。
【完結】小さなフェンリルを拾ったので、脱サラして配信者になります~強さも可愛さも無双するモフモフがバズりまくってます。目指せスローライフ!〜
むらくも航
ファンタジー
ブラック企業で働き、心身が疲労している『低目野やすひろ』。彼は苦痛の日々に、とにかく“癒し”を求めていた。
そんな時、やすひろは深夜の夜道で小犬のような魔物を見つける。これが求めていた癒しだと思った彼は、小犬を飼うことを決めたのだが、実は小犬の正体は伝説の魔物『フェンリル』だったらしい。
それをきっかけに、エリートの友達に誘われ配信者を始めるやすひろ。結果、強さでも無双、可愛さでも無双するフェンリルは瞬く間にバズっていき、やすひろはある決断をして……?
のんびりほのぼのとした現代スローライフです。
他サイトにも掲載中。
【完結】『飯炊き女』と呼ばれている騎士団の寮母ですが、実は最高位の聖女です
葉桜鹿乃
恋愛
ルーシーが『飯炊き女』と、呼ばれてそろそろ3年が経とうとしている。
王宮内に兵舎がある王立騎士団【鷹の爪】の寮母を担っているルーシー。
孤児院の出で、働き口を探してここに配置された事になっているが、実はこの国の最も高貴な存在とされる『金剛の聖女』である。
王宮という国で一番安全な場所で、更には周囲に常に複数人の騎士が控えている場所に、本人と王族、宰相が話し合って所属することになったものの、存在を秘する為に扱いは『飯炊き女』である。
働くのは苦では無いし、顔を隠すための不細工な丸眼鏡にソバカスと眉を太くする化粧、粗末な服。これを襲いに来るような輩は男所帯の騎士団にも居ないし、聖女の力で存在感を常に薄めるようにしている。
何故このような擬態をしているかというと、隣国から聖女を狙って何者かが間者として侵入していると言われているためだ。
隣国は既に瘴気で汚れた土地が多くなり、作物もまともに育たないと聞いて、ルーシーはしばらく隣国に行ってもいいと思っているのだが、長く冷戦状態にある隣国に行かせるのは命が危ないのでは、と躊躇いを見せる国王たちをルーシーは説得する教養もなく……。
そんな折、ある日の月夜に、明日の雨を予見して変装をせずに水汲みをしている時に「見つけた」と言われて振り向いたそこにいたのは、騎士団の中でもルーシーに優しい一人の騎士だった。
※感想の取り扱いは近況ボードを参照してください。
※小説家になろう様でも掲載予定です。
【一秒クッキング】追放された転生人は最強スキルより食にしか興味がないようです~元婚約者と子犬と獣人族母娘との旅~
御峰。
ファンタジー
転生を果たした主人公ノアは剣士家系の子爵家三男として生まれる。
十歳に開花するはずの才能だが、ノアは生まれてすぐに才能【アプリ】を開花していた。
剣士家系の家に嫌気がさしていた主人公は、剣士系のアプリではなく【一秒クッキング】をインストールし、好きな食べ物を食べ歩くと決意する。
十歳に才能なしと判断され婚約破棄されたが、元婚約者セレナも才能【暴食】を開花させて、実家から煙たがれるようになった。
紆余曲折から二人は再び出会い、休息日を一緒に過ごすようになる。
十二歳になり成人となったノアは晴れて(?)実家から追放され家を出ることになった。
自由の身となったノアと家出元婚約者セレナと可愛らしい子犬は世界を歩き回りながら、美味しいご飯を食べまくる旅を始める。
その旅はやがて色んな国の色んな事件に巻き込まれるのだが、この物語はまだ始まったばかりだ。
※ファンタジーカップ用に書き下ろし作品となります。アルファポリス優先投稿となっております。
現代ダンジョンで成り上がり!
カメ
ファンタジー
現代ダンジョンで成り上がる!
現代の世界に大きな地震が全世界同時に起こると共に、全世界にダンジョンが現れた。
舞台はその後の世界。ダンジョンの出現とともに、ステータスが見れる様になり、多くの能力、スキルを持つ人たちが現れる。その人達は冒険者と呼ばれる様になり、ダンジョンから得られる貴重な資源のおかげで稼ぎが多い冒険者は、多くの人から憧れる職業となった。
四ノ宮翔には、いいスキルもステータスもない。ましてや呪いをその身に受ける、呪われた子の称号を持つ存在だ。そんな彼がこの世界でどう生き、成り上がるのか、その冒険が今始まる。
じいちゃんから譲られた土地に店を開いた。そしたら限界集落だった店の周りが都会になっていた。
ゆうらしあ
ファンタジー
死ぬ間際、俺はじいちゃんからある土地を譲られた。
木に囲まれてるから陽当たりは悪いし、土地を管理するのにも金は掛かるし…此処だと売ったとしても買う者が居ない。
何より、世話になったじいちゃんから譲られたものだ。
そうだ。この雰囲気を利用してカフェを作ってみよう。
なんか、まぁ、ダラダラと。
で、お客さんは井戸端会議するお婆ちゃんばっかなんだけど……?
「おぉ〜っ!!? 腰が!! 腰が痛くないよ!?」
「あ、足が軽いよぉ〜っ!!」
「あの時みたいに頭が冴えるわ…!!」
あ、あのー…?
その場所には何故か特別な事が起こり続けて…?
これは後々、地球上で異世界の扉が開かれる前からのお話。
※HOT男性向けランキング1位達成
※ファンタジーランキング 24h 3位達成
※ゆる〜く、思うがままに書いている作品です。読者様もゆる〜く呼んで頂ければ幸いです。カクヨムでも投稿中。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる