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第五章 転生忍者吸血鬼出現編
幕間 弟子入りしたいロイス 其の十二
しおりを挟む 私はメラク様に師事し、厳しい訓練を続けてきた。ときには山に潜りキノコを摂取し、時には山を上りキノコを採取し、時には山を下りキノコを採取する日々――キノコしか採ってねぇえええぇええ!
いやいやどうなってるのこれ? くっ、とにかく何がなんだかわからないがとにかくメラク様は私にキノコだけを採取させた。その都度キノコについてうんちく付きでだ。
おかげでキノコについてはあれから更に詳しくなった。だが肝心の魔法については未だに新しい魔法の一つも覚えてない。
ただ、全く役に立てなかったと言うとそうでもない。師匠の教えて自然の魔力を身近に感じられるようになった。
こういった自然界に存在する魔力の源がマナと言うが、これまでは全くといっていいほど知ることが出来なかったものだ。しかし、このマナをある程度感じ取れるようになったことで――
「師匠、目的のプラチナトリュフはこっちです」
「おお! 凄いじゃないかロイス。私よりもキノコの生えている場所がわかるにようになってるじゃないか」
「ふっ、まぁ私にかかれはこれぐらいは」
そう! 自然のマナを感じ取れるようになったおかげで、キノコの生えている場所をばっちり掴めるようになったのだ!
「て、やっぱキノコじゃねぇかぁあぁあああぁあ!」
「どうしたんだい急に叫んで?」
師匠がぽかんとした顔を見せたが、叫びたくもなる。いや、まぁ他にも役立ちそうだけど、現状キノコ採りしか出来てないから使いみちがキノコ探ししかない。何だこの宝の持ち腐れ。
「ふぅ、それにしてもまさかここまでやれるようになるとはね。どうやら、いよいよあんたに先祖代々伝わる秘密を教える時が来てしまったようだね」
「え? 先祖代々伝わるですか!」
「うむ。ただし、このことは絶対誰にも言っちゃいけないよ」
き、きききき、き、キタアアァアァアアアァアアアアアァア!
遂に来た! キタコレ! 何故かずっとキノコ採りしかやらせてもらえなかったけど、そんな私にも遂に日の目を見る時がやってきたのだ。
はは、見たかチェストめそしてメラめ! 私は遂にここまで来た! 師匠に認められ! 先祖代々伝わる秘密の魔法を教えて貰うことになったのだ!
「それでどうだい? 守れるかい?」
「勿論です。チェストにもメラにもいいません!」
「そうかい……随分と具体的な名前を出すんだね……まぁいいさね。ではこっちにおいで」
そして私はメラク師匠に着いていき、最強の伝説級魔法を教わることになった。一体どんな魔法なのか期待が膨らむ!
「さぁ着いた。ここだよ。こっちを見てみな!」
「は、はい師匠!」
そして私は手招きしてくる師匠の近くに寄り、メラク師匠の示す場所を見た。青白く光るキノコが生えていた。
「て、キノコぉおぉおぉおぉおお!?」
「シッ! 静かにしな! 誰かに聞かれたらどうするんだい!」
メラク師匠が人差し指を立てて目つきを厳しくさせた。いや、でも、何故まだキノコなんだ。
「このキノコはねマナタケといって非常に希少なキノコとして知られているのさ」
「マナタケ?」
「そうさ。マナという物質を大量に含んだキノコでね」
マナ? そう言われてみると確かにこのキノコからかなり濃密なマナが感じ取れる。
「そのおかげでこのキノコはとても旨いのさ。ただ旨いだけじゃなく魔法士の魔力を補ったりする薬の原料としても重宝されている。ただしさっきも言ったようにとても希少でね。この辺りでも今の時期だけしか採れないのさ。だからこれは我が家でも本来は門外不出の秘密の場所だった。だけど、ロイスあんたの一生懸命さに私は心を打たれた。だから特別に教えてあげるよ」
「え? あ、はい! ありがとうございます!」
なんとメラク師匠が教えたかったのは魔法ではなく、特殊なキノコだったのか。とは言えマナを大量に含んだマナタケは魔法士にとっては喉から手が出るほどに欲しい代物。
それをこうして教えてくれるとは、期待したものとは違ったが、師匠には感謝しないとな。
「さ、これを採っていくよ。ただし採り過ぎたら駄目だからね」
「わかりました師匠!」
そして私はメラク師匠と一緒に袋にマナタケを採取し山を降りていく。
師匠はキノコを採取した後、帰り際に必ず山に感謝の言葉を述べる。山の恵みに対する礼儀なんだそうな。
……この師匠の姿勢を見ていれば、メラが何故食べもしないのに鳥を狩ったことで怒りだしたのかよくわかる気がするな。
「ロイス。今日は家にきな。このマナタケを使った料理をごちそうして上げるよ」
「え? い、いいのですか!」
「勿論さ。そういえばあんたを案内するのは初めてだったね」
「はは、何度か小屋にはいきましたがあいつが入れてくれませんでしたからね」
「うん? あいつ?」
「メラですよ。もうひとりの姉弟子のメラです」
「……なんだいそのもうひとりって?」
「え? はは嫌だなあ師匠。あ、そういえば家にいくならこっちではなくて逆では? むしろ山の上にあるわけですし」
「山の上? ロイスあんたさっきから何を言って――」
「へへ、遂に見つけたぜ」
メラク師匠が不思議そうに小首を傾げたその時、森の中から数人の男たちがやってきて師匠と私を取り囲んだ。
「よぉ婆さん。探したぜ」
「な、なな、なんだいあんた達は!」
メラク師匠が慌てたように叫ぶ。しかし、穏やかじゃないな。こいつら武器を持っている。
「俺達はきのこたけのこ盗賊団だ。主に人様の山に勝手に入ってキノコやタケノコをせしめるのが仕事だ。
「地味だなおい!」
思わず突っ込んでしまった。そんな地味な盗賊がいるとは。
「う、うるせぇ! 馬鹿にするんじゃねぇぞ!」
「てか、兄貴このガキは一体なんですかい?」
「知るか。おい! お前は何だ!」
「ふふ、聞いて驚け。私はその方の一番の弟子になった男だ!」
「一番の、弟子?」
盗賊共が目をパチクリさせた。一番弟子ではないのが残念だが一番の弟子になれたのだから間違いではない。
「なんだかわからねぇが、とにかくだ。おい婆さんその袋をよこしな。この時期だきっとその中には貴重なマナタケがたっぷり入ってるんだろう?」
「な、あんたこれが目当てなのかい!」
へっへっへ、と盗賊共がいかにもとった笑みを浮かべた。ふむ、しかしこいつら馬鹿なのか? まさかこんなキノコ専門の盗人として暮らしているような連中がメラク師匠にかてるわけないだろう。
「お前ら痛い目を見ない内に立ち去るなら今のうちだぞ」
「は? おいおい、このガキ何言ってるんだ? 痛い目を見るって、フザケたこと抜かしてるとキノコみたいにむしり取るぞオラッ!」
「やれるものなったやってみろ。ファイヤーボール!」
「は? グハッ!?」
「「「「なっ!?」」」」
盗賊の一人を魔法で倒したらあっさりと気絶した。何だやっぱり大したことないじゃないか――
おしらせ
今後の改稿についてなど最新の近況ボードにて書かせて頂いております。
本作の書籍版2巻が発売中!1巻と合わせてどうぞ宜しくお願い致します!
いやいやどうなってるのこれ? くっ、とにかく何がなんだかわからないがとにかくメラク様は私にキノコだけを採取させた。その都度キノコについてうんちく付きでだ。
おかげでキノコについてはあれから更に詳しくなった。だが肝心の魔法については未だに新しい魔法の一つも覚えてない。
ただ、全く役に立てなかったと言うとそうでもない。師匠の教えて自然の魔力を身近に感じられるようになった。
こういった自然界に存在する魔力の源がマナと言うが、これまでは全くといっていいほど知ることが出来なかったものだ。しかし、このマナをある程度感じ取れるようになったことで――
「師匠、目的のプラチナトリュフはこっちです」
「おお! 凄いじゃないかロイス。私よりもキノコの生えている場所がわかるにようになってるじゃないか」
「ふっ、まぁ私にかかれはこれぐらいは」
そう! 自然のマナを感じ取れるようになったおかげで、キノコの生えている場所をばっちり掴めるようになったのだ!
「て、やっぱキノコじゃねぇかぁあぁあああぁあ!」
「どうしたんだい急に叫んで?」
師匠がぽかんとした顔を見せたが、叫びたくもなる。いや、まぁ他にも役立ちそうだけど、現状キノコ採りしか出来てないから使いみちがキノコ探ししかない。何だこの宝の持ち腐れ。
「ふぅ、それにしてもまさかここまでやれるようになるとはね。どうやら、いよいよあんたに先祖代々伝わる秘密を教える時が来てしまったようだね」
「え? 先祖代々伝わるですか!」
「うむ。ただし、このことは絶対誰にも言っちゃいけないよ」
き、きききき、き、キタアアァアァアアアァアアアアアァア!
遂に来た! キタコレ! 何故かずっとキノコ採りしかやらせてもらえなかったけど、そんな私にも遂に日の目を見る時がやってきたのだ。
はは、見たかチェストめそしてメラめ! 私は遂にここまで来た! 師匠に認められ! 先祖代々伝わる秘密の魔法を教えて貰うことになったのだ!
「それでどうだい? 守れるかい?」
「勿論です。チェストにもメラにもいいません!」
「そうかい……随分と具体的な名前を出すんだね……まぁいいさね。ではこっちにおいで」
そして私はメラク師匠に着いていき、最強の伝説級魔法を教わることになった。一体どんな魔法なのか期待が膨らむ!
「さぁ着いた。ここだよ。こっちを見てみな!」
「は、はい師匠!」
そして私は手招きしてくる師匠の近くに寄り、メラク師匠の示す場所を見た。青白く光るキノコが生えていた。
「て、キノコぉおぉおぉおぉおお!?」
「シッ! 静かにしな! 誰かに聞かれたらどうするんだい!」
メラク師匠が人差し指を立てて目つきを厳しくさせた。いや、でも、何故まだキノコなんだ。
「このキノコはねマナタケといって非常に希少なキノコとして知られているのさ」
「マナタケ?」
「そうさ。マナという物質を大量に含んだキノコでね」
マナ? そう言われてみると確かにこのキノコからかなり濃密なマナが感じ取れる。
「そのおかげでこのキノコはとても旨いのさ。ただ旨いだけじゃなく魔法士の魔力を補ったりする薬の原料としても重宝されている。ただしさっきも言ったようにとても希少でね。この辺りでも今の時期だけしか採れないのさ。だからこれは我が家でも本来は門外不出の秘密の場所だった。だけど、ロイスあんたの一生懸命さに私は心を打たれた。だから特別に教えてあげるよ」
「え? あ、はい! ありがとうございます!」
なんとメラク師匠が教えたかったのは魔法ではなく、特殊なキノコだったのか。とは言えマナを大量に含んだマナタケは魔法士にとっては喉から手が出るほどに欲しい代物。
それをこうして教えてくれるとは、期待したものとは違ったが、師匠には感謝しないとな。
「さ、これを採っていくよ。ただし採り過ぎたら駄目だからね」
「わかりました師匠!」
そして私はメラク師匠と一緒に袋にマナタケを採取し山を降りていく。
師匠はキノコを採取した後、帰り際に必ず山に感謝の言葉を述べる。山の恵みに対する礼儀なんだそうな。
……この師匠の姿勢を見ていれば、メラが何故食べもしないのに鳥を狩ったことで怒りだしたのかよくわかる気がするな。
「ロイス。今日は家にきな。このマナタケを使った料理をごちそうして上げるよ」
「え? い、いいのですか!」
「勿論さ。そういえばあんたを案内するのは初めてだったね」
「はは、何度か小屋にはいきましたがあいつが入れてくれませんでしたからね」
「うん? あいつ?」
「メラですよ。もうひとりの姉弟子のメラです」
「……なんだいそのもうひとりって?」
「え? はは嫌だなあ師匠。あ、そういえば家にいくならこっちではなくて逆では? むしろ山の上にあるわけですし」
「山の上? ロイスあんたさっきから何を言って――」
「へへ、遂に見つけたぜ」
メラク師匠が不思議そうに小首を傾げたその時、森の中から数人の男たちがやってきて師匠と私を取り囲んだ。
「よぉ婆さん。探したぜ」
「な、なな、なんだいあんた達は!」
メラク師匠が慌てたように叫ぶ。しかし、穏やかじゃないな。こいつら武器を持っている。
「俺達はきのこたけのこ盗賊団だ。主に人様の山に勝手に入ってキノコやタケノコをせしめるのが仕事だ。
「地味だなおい!」
思わず突っ込んでしまった。そんな地味な盗賊がいるとは。
「う、うるせぇ! 馬鹿にするんじゃねぇぞ!」
「てか、兄貴このガキは一体なんですかい?」
「知るか。おい! お前は何だ!」
「ふふ、聞いて驚け。私はその方の一番の弟子になった男だ!」
「一番の、弟子?」
盗賊共が目をパチクリさせた。一番弟子ではないのが残念だが一番の弟子になれたのだから間違いではない。
「なんだかわからねぇが、とにかくだ。おい婆さんその袋をよこしな。この時期だきっとその中には貴重なマナタケがたっぷり入ってるんだろう?」
「な、あんたこれが目当てなのかい!」
へっへっへ、と盗賊共がいかにもとった笑みを浮かべた。ふむ、しかしこいつら馬鹿なのか? まさかこんなキノコ専門の盗人として暮らしているような連中がメラク師匠にかてるわけないだろう。
「お前ら痛い目を見ない内に立ち去るなら今のうちだぞ」
「は? おいおい、このガキ何言ってるんだ? 痛い目を見るって、フザケたこと抜かしてるとキノコみたいにむしり取るぞオラッ!」
「やれるものなったやってみろ。ファイヤーボール!」
「は? グハッ!?」
「「「「なっ!?」」」」
盗賊の一人を魔法で倒したらあっさりと気絶した。何だやっぱり大したことないじゃないか――
おしらせ
今後の改稿についてなど最新の近況ボードにて書かせて頂いております。
本作の書籍版2巻が発売中!1巻と合わせてどうぞ宜しくお願い致します!
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第四章大会編の一部を幕間という章に移動する作業を行ってます。ご不便をおかけしますができるだけ急ぐように致します。書籍の3巻は12月17日から出荷される予定です。書籍発売と同時にレンタルに移行する話もあります。詳しくは近況ボードにて書かせて頂いておりますので一読頂けると嬉しく思いますm(_ _)m
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