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第五章 転生忍者吸血鬼出現編
幕間 弟子入りしたいロイス 其の三
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なんて日だ! 私はメルク様に弟子入りしに来ただけだというのにわけのわからない女(美人で胸も大きいが)に暴言を吐かれ、何故かメラク様でもないのに弟子入りを拒否され帰れと冷たくあしらわれ、その上で外で待っていたらゴリラに追いかけられるとは!
というかなんでゴリラだ! 何でゴリラがここにいるんだ! しかも凄まじい怪力のゴリラが!
とにかくそのゴリラに不覚にも遅れを取り、ほんのちょっとだけピンチっぽいことになったその時、わけのわからない掛け声とともに毬栗頭の少年がゴリラに飛び蹴りをかまして助け、い、いや余計なお世話をしてくれたのだ!
「いやぁ危なかったっすねぇ。あのゴリラこのあたりにちょいちょい出るんっすよ」
「ベ、別に危なくなんかなかったし、やろうと思えばいつでも出来たが、ま、まぁとりあえずは感謝してやろう。ほんのちょっと隙を作ってくれれば私の魔法で瞬殺だったんだがな。瞬殺、そうあの程度瞬殺だったのさ」
「そ、そうなんっすか? 余計なことをしてしまったすかね?」
毬栗頭の少年は後頭部を擦って申し訳無さそうな顔を見せた。な、なんて素直なやつだ! 逆にちょっと悪い気がしてくるじゃないか!
「いや、まぁでもあれだ。万が一ということもありえたしな。そこはありがとうと伝えておこう」
「本当っすか! なら良かったっす!」
途端に笑顔になったなわかりやすい奴だ。で、かと思えば今度は私の顔をじっと見てきた。
なんだ? 確かに私はイケメン魔法士だが、男にマジマジと見られてもそんなに嬉しく、いや、ま、まさかこいつそういうことなのか!
「何をジロジロと見ているんだ! 言っておくが私にそっちの気はないぞ!」
「そっちの気は? それはわからないっすが、あんたをどっかで見たことがある気がするんっすよねぇ」
「どこか? ふふふ、そうか。いやいや参ったな。将来エイガ家を背負って立つと言われし期待の星。このロイス・エイガの名前がこんな山奥にまで伝わっているとは」
思わずキメ顔で語ってしまった。やれやれ目立ちたくないのだがな。
「ロイス……あぁあああぁ! 思い出したっす! 貴方、ジンくんの兄のロイスっすね!」
「は?」
な、なんでそこで弟の名前が?
「お前、弟の知り合いなのか?」
「はい! ジンくんのおかげで今の僕があると言っても過言ではないっす! いやしかし驚いたっすね。魔法大会でジンくんにコテンパンにやられていたのは覚えていたっすが」
「そういうことは覚えてなくていい!」
「あ、失礼したっす。どうも僕は思ったことをついそのまま言ってしまうっす」
余計悪いわ! 大体コテンパンって、いやそれなりにはやられたけど!
「それで、ジンくんの兄であるあんたがどうしてここに?」
質問を受けたが、そもそもで言えばそれは私が聞きたいことでもあるんだがな。ゴリラを蹴りで倒すような脳筋が何でこんなところにいるんだか。
まぁいいか。
「ふっ、実は私はこの山奥で暮らしているあの伝説の大魔導師。メラク・エイガ様に弟子入りしようと思ってわざわざやってきたのだ。まぁ君には縁がない話とは思うが――」
「え! 師匠に弟子入りっすか!」
「……今なんと言った?」
あれ? おかしいな? 私の空耳かな?
今この男から師匠と聞こえたような? 師匠? 今の話の流れだと、メラク様が? いやいやまさか。
「師匠っす! あ、申し遅れましたが僕はメラク師匠の弟子をしているチェストっす!」
「…………」
「えっと? どうしたっすか? 急にうつ伏せになって……苦しくないっすか?」
「放っといてくれ」
くそ、まさかと思ったがこんな蹴りでゴリラと戦うようなのがよりにもよってメラク様の弟子だと!
しかもこれで行くと私が弟子入りしたとしてこの脳筋が兄弟子ということになるじゃないか! 私が、私が一番弟子の予定だったのに!
「いやぁそれにしても驚きっすね。まさかジンくんの兄が師匠に弟子入りに来るとは」
仕方ないから結局私はこのチェストというのについていくことにした。どうやら逃げてるうちに小屋から結構離れていたようだし。
「ところで何で師匠に弟子入りしに来たのに、あんなところでゴリラに襲われていたっすか?」
「うるさい。それはこっちが聞きたいぐらいだ。確かにメラク様に弟子入りに来たつもりなのに肝心のメラク様はいないし」
「え? 師匠いないっすか?」
「あぁいない。そうだお前はどこ行ったか知らないのか?」
「う~ん、そもそも師匠がどこかに行くとも僕は聞いていないっす」
聞いていない? しかし確かにいなかったぞ。
「小屋に誰もいなかったっすか?」
「いや、なんだか妙な女はいたがな」
「妙な女っすか? え? 誰っすか?」
「知らんがいきなり人を焼き殺そうとする恐ろしい女だ」
「なんすかそれ! ヤバい人じゃないっすか!」
そうだよ。そのヤバいのがまさにその小屋にいたんだよ。
「ま、まぁ見た目と胸の大きさは中々ではあったがな」
「あ、ついたっすね」
そうこうしているうちにさっきの小屋に戻ってきた。すると小屋が開いて中からあの女が出てきたわけだが。
「あ、何だいるじゃないっすか。し――」
「チェストーーーーーーーー!」
「ぶべしッ!?」
チェストがあの女に向けて手を上げた瞬間、奇声を上げた女の手から炎が放たれてチェストの顔面が爆発した。
て!
「えぇええぇええぇええええ!?」
お、おい大丈夫かよ! てか何だこいつ! いきなりメラク様の弟子を爆破して燃やすとか!
するとつかつかとあの女がやってきて、チェストの襟をむんずとつかみそのまま小屋まで連れて行ってしまった。
「うぅ、いきなり酷いっす」
「酷いじゃないよこの馬鹿! 余計なこと言ってるんじゃないよ! いいかい――」
「えぇ! 何でそんな真似を……」
「私は面倒事はゴメンだといつも言ってるだろう! いいから言うとおりにしな!」
「で、でも僕そういうの苦手、わわ、ちょ、ナチュラルに消し炭にしようとしないで欲しいっす! わかったっすから!」
な、何かよくわからないが、小屋の中で荒っぽいやり取りがあったのはわかった。
するとチェストとあの女が小屋から出てきて私の前までやってきたのだが。
「えっと、この人はメラ姉さんです……」
するとチェストがあの女を紹介してきたのだが、は? 何だと!
「姉さん! は? お前たち姉弟だったのかよ!」
「いや、そっちの姉さんというわけじゃなくてっす……」
そっちの姉さんじゃない? その背後で何故か仁王立ちのメラという女が睨みを効かせているんだが……
いや、待てよ、この場合の姉さんって、ま、まさか!
「お前の姉弟子ってことか!」
「は、はぁ、まぁ、そんな感じっす」
そ、そんな……つまり私は例え弟子入りしても一番弟子どころか、さ、三番弟子――
「あぁ! またうつ伏せに! 大丈夫っすか! 一体どうしたっすか!」
「もう、放っておいてくれ……」
うぅ、私の計画がどんどん遠のいていく――
というかなんでゴリラだ! 何でゴリラがここにいるんだ! しかも凄まじい怪力のゴリラが!
とにかくそのゴリラに不覚にも遅れを取り、ほんのちょっとだけピンチっぽいことになったその時、わけのわからない掛け声とともに毬栗頭の少年がゴリラに飛び蹴りをかまして助け、い、いや余計なお世話をしてくれたのだ!
「いやぁ危なかったっすねぇ。あのゴリラこのあたりにちょいちょい出るんっすよ」
「ベ、別に危なくなんかなかったし、やろうと思えばいつでも出来たが、ま、まぁとりあえずは感謝してやろう。ほんのちょっと隙を作ってくれれば私の魔法で瞬殺だったんだがな。瞬殺、そうあの程度瞬殺だったのさ」
「そ、そうなんっすか? 余計なことをしてしまったすかね?」
毬栗頭の少年は後頭部を擦って申し訳無さそうな顔を見せた。な、なんて素直なやつだ! 逆にちょっと悪い気がしてくるじゃないか!
「いや、まぁでもあれだ。万が一ということもありえたしな。そこはありがとうと伝えておこう」
「本当っすか! なら良かったっす!」
途端に笑顔になったなわかりやすい奴だ。で、かと思えば今度は私の顔をじっと見てきた。
なんだ? 確かに私はイケメン魔法士だが、男にマジマジと見られてもそんなに嬉しく、いや、ま、まさかこいつそういうことなのか!
「何をジロジロと見ているんだ! 言っておくが私にそっちの気はないぞ!」
「そっちの気は? それはわからないっすが、あんたをどっかで見たことがある気がするんっすよねぇ」
「どこか? ふふふ、そうか。いやいや参ったな。将来エイガ家を背負って立つと言われし期待の星。このロイス・エイガの名前がこんな山奥にまで伝わっているとは」
思わずキメ顔で語ってしまった。やれやれ目立ちたくないのだがな。
「ロイス……あぁあああぁ! 思い出したっす! 貴方、ジンくんの兄のロイスっすね!」
「は?」
な、なんでそこで弟の名前が?
「お前、弟の知り合いなのか?」
「はい! ジンくんのおかげで今の僕があると言っても過言ではないっす! いやしかし驚いたっすね。魔法大会でジンくんにコテンパンにやられていたのは覚えていたっすが」
「そういうことは覚えてなくていい!」
「あ、失礼したっす。どうも僕は思ったことをついそのまま言ってしまうっす」
余計悪いわ! 大体コテンパンって、いやそれなりにはやられたけど!
「それで、ジンくんの兄であるあんたがどうしてここに?」
質問を受けたが、そもそもで言えばそれは私が聞きたいことでもあるんだがな。ゴリラを蹴りで倒すような脳筋が何でこんなところにいるんだか。
まぁいいか。
「ふっ、実は私はこの山奥で暮らしているあの伝説の大魔導師。メラク・エイガ様に弟子入りしようと思ってわざわざやってきたのだ。まぁ君には縁がない話とは思うが――」
「え! 師匠に弟子入りっすか!」
「……今なんと言った?」
あれ? おかしいな? 私の空耳かな?
今この男から師匠と聞こえたような? 師匠? 今の話の流れだと、メラク様が? いやいやまさか。
「師匠っす! あ、申し遅れましたが僕はメラク師匠の弟子をしているチェストっす!」
「…………」
「えっと? どうしたっすか? 急にうつ伏せになって……苦しくないっすか?」
「放っといてくれ」
くそ、まさかと思ったがこんな蹴りでゴリラと戦うようなのがよりにもよってメラク様の弟子だと!
しかもこれで行くと私が弟子入りしたとしてこの脳筋が兄弟子ということになるじゃないか! 私が、私が一番弟子の予定だったのに!
「いやぁそれにしても驚きっすね。まさかジンくんの兄が師匠に弟子入りに来るとは」
仕方ないから結局私はこのチェストというのについていくことにした。どうやら逃げてるうちに小屋から結構離れていたようだし。
「ところで何で師匠に弟子入りしに来たのに、あんなところでゴリラに襲われていたっすか?」
「うるさい。それはこっちが聞きたいぐらいだ。確かにメラク様に弟子入りに来たつもりなのに肝心のメラク様はいないし」
「え? 師匠いないっすか?」
「あぁいない。そうだお前はどこ行ったか知らないのか?」
「う~ん、そもそも師匠がどこかに行くとも僕は聞いていないっす」
聞いていない? しかし確かにいなかったぞ。
「小屋に誰もいなかったっすか?」
「いや、なんだか妙な女はいたがな」
「妙な女っすか? え? 誰っすか?」
「知らんがいきなり人を焼き殺そうとする恐ろしい女だ」
「なんすかそれ! ヤバい人じゃないっすか!」
そうだよ。そのヤバいのがまさにその小屋にいたんだよ。
「ま、まぁ見た目と胸の大きさは中々ではあったがな」
「あ、ついたっすね」
そうこうしているうちにさっきの小屋に戻ってきた。すると小屋が開いて中からあの女が出てきたわけだが。
「あ、何だいるじゃないっすか。し――」
「チェストーーーーーーーー!」
「ぶべしッ!?」
チェストがあの女に向けて手を上げた瞬間、奇声を上げた女の手から炎が放たれてチェストの顔面が爆発した。
て!
「えぇええぇええぇええええ!?」
お、おい大丈夫かよ! てか何だこいつ! いきなりメラク様の弟子を爆破して燃やすとか!
するとつかつかとあの女がやってきて、チェストの襟をむんずとつかみそのまま小屋まで連れて行ってしまった。
「うぅ、いきなり酷いっす」
「酷いじゃないよこの馬鹿! 余計なこと言ってるんじゃないよ! いいかい――」
「えぇ! 何でそんな真似を……」
「私は面倒事はゴメンだといつも言ってるだろう! いいから言うとおりにしな!」
「で、でも僕そういうの苦手、わわ、ちょ、ナチュラルに消し炭にしようとしないで欲しいっす! わかったっすから!」
な、何かよくわからないが、小屋の中で荒っぽいやり取りがあったのはわかった。
するとチェストとあの女が小屋から出てきて私の前までやってきたのだが。
「えっと、この人はメラ姉さんです……」
するとチェストがあの女を紹介してきたのだが、は? 何だと!
「姉さん! は? お前たち姉弟だったのかよ!」
「いや、そっちの姉さんというわけじゃなくてっす……」
そっちの姉さんじゃない? その背後で何故か仁王立ちのメラという女が睨みを効かせているんだが……
いや、待てよ、この場合の姉さんって、ま、まさか!
「お前の姉弟子ってことか!」
「は、はぁ、まぁ、そんな感じっす」
そ、そんな……つまり私は例え弟子入りしても一番弟子どころか、さ、三番弟子――
「あぁ! またうつ伏せに! 大丈夫っすか! 一体どうしたっすか!」
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