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第五章 転生忍者吸血鬼出現編
第三百二十話 転生忍者、マグと協力
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こいつもわりと器用な奴だな。まさか不浄を人型にしてマガミの相手をさせるとは。
しかもさっきの影響で俺の全身の痛みも増している。姫様がいれば治療できたかも知れないが、こいつの狙いが姫様である以上、近づけさせるわけにもいかないから。ここは我慢する他ないだろう。
とにかく不浄が体を蝕もうとしているがチャクラで抑え込む。その分戦闘で使えるチャクラが減るが仕方ない。
「まだまだいきますよ!」
ドルドの背中から腕が生えてくる。またあの腕か。あいつ散々アイツのことを馬鹿馬鹿言いながらこの戦い方。なんだよあいつ、実は大叔父大好きだろう。
「さっきよりも数は多いですよ! さぁどうしますか?」
ドルドが自信満々に言い放つ。どうしますか、と言われてもな。来る拳は避けて――隙をついてだ。
「忍法・嵐狼之口!」
印を結び、風の狼がドルドに飛んでいき腕に噛み付いた。不浄でないほうの腕な。
「くっ、貴様!」
風の狼の牙が深く食い込み、そして片腕が千切れた。ふぅ、兄貴っぽい忍法にしては上出来だ。
「すぐにでも殺して差し上げますよ!」
切れた腕の付け根を押さえながらドルドが叫ぶ。と、同時に俺はドルドに向けて走った。
「正面からくるとは愚かな!」
「お前がな」
「は? なっ!」
ある程度近づいたところで直角に曲がると、背後からこっちに向かってきていた不浄の円盤がドルドのもう一本の腕を切った。
ドルドから悲鳴が上がる。自分の技でやられるとはな。
ふぅ、しかしこいつは思ったよりも行動が読みやすい。弱体化してると読まれた時は多少は焦ったがこれならなんとかなりそうだ。
それに何より――
「……この間抜け。火蜥蜴の息吹!」
マグの手から放出された炎がドルドを呑み込み、火達磨になって転げ回った。結構効いてるな。
そうこれだ。何気にマグの協力が大きい。当たりさえすれば攻撃もしっかりドルドに聞いてるし。
「糞が! 餓鬼と劣等種が調子に乗りやがって」
ドルドが憤る。随分と口汚いセリフも飛び出るようになったな。
「おうおう、随分と口調が乱れてきたな」
「……もう余裕ない」
「黙れ!」
俺とマグの挑発めいたセリフに更に怒りを強めるドルド。それが余裕ない証拠だっての。
それにしても、劣等種? なんとも妙な言い回しに感じた。俺に対して言ったのかと思ったが、その時の目線はマグに向いていた気がするし。
それはともかく、ドルドにダメージは与えているが決め手に掛けるな。力に制限がかかってるせいで俺も使える忍法に限りがある。
それでもさっきまで十印程度まで使えたが、不浄を抑え込んでいるから今だと精々八印までだ。
ふむ、ならここは――
「はぁ!」
手を色々考えていると、立ち上がったドルドが新しい腕を生やしてみせた。
腕が切れても戻るのかよ。本当吸血鬼ってのは化け物だな。
「ふぅふぅ、少し取り乱したな。だが」
「忍法・篝火狐鳴!」
「くっ、まだ話している途中だろう!」
そんなのいちいち聞いてられるか。忍法によって放たれた火狐がドルドに襲いかかる。
「くそ、こんなもの!」
「マグ! 風を頼む! それを巻き込むように」
「……そういうこと。風精霊の怒り!」
マグの精霊魔法で竜巻がドルドと非狐を呑み込んだ。そして火狐が炎となりそして竜巻に巻き込まれ逆に火が強まり火炎旋風へと変化した。
「ぐうおぉぉおぉおぉおおぉおおお!」
炎の竜巻の中でドルドが叫ぶ。
「はぁ、助かったぜマグ」
「……ジンとの連携がうまく言った」
あぁ、そうだな。マグも微笑んでる。ダメージが通って嬉しいのかも知れないな。
ふぅ、しかしこっちもチャクラを抑えるには小さな力で大きな効果を生む必要があるかなら。
これは本当に上手く言った。だけど、何故か兄貴の顔がちらつく。もし見てたら俺の魔法を参考にしたな! とでも得意がりそうだ。若干ウザい。
「クソがあぁあああああああ!」
なんてことを思っていたらドルドが空へと逃げた。背中に不浄で出来た翼が生えていた。
「はぁはぁ……」
満月をバックに肩が上下しているのがわかる。だいぶ息遣いが荒いな。ダメージは少なくはないだろう。
「――決めましたよ」
決めた?
「最初に狙うべきは、お前だ!」
「……むっ!」
そしてマグ目掛けて急降下した。あいつ、俺じゃなくてマグから狙ったか!
「雑魚でも組まれると厄介ですからね!」
「……雑魚? 舐めるな」
「いえいえ、雑魚なんだよ劣等種が――」
「アオオォオオオオォオォオオン!」
その時だったマグに迫るドルドの横から雄叫びを上げてマガミが突撃した。全身に風を纏いまるで竜巻の如く変化したマガミがだ。
「ガハァアアァアァアアア!」
そしてマガミの突撃をモロに受けたドルドが上空へとふっ飛ばされる。
全くよく空に舞う奴だな――
しかもさっきの影響で俺の全身の痛みも増している。姫様がいれば治療できたかも知れないが、こいつの狙いが姫様である以上、近づけさせるわけにもいかないから。ここは我慢する他ないだろう。
とにかく不浄が体を蝕もうとしているがチャクラで抑え込む。その分戦闘で使えるチャクラが減るが仕方ない。
「まだまだいきますよ!」
ドルドの背中から腕が生えてくる。またあの腕か。あいつ散々アイツのことを馬鹿馬鹿言いながらこの戦い方。なんだよあいつ、実は大叔父大好きだろう。
「さっきよりも数は多いですよ! さぁどうしますか?」
ドルドが自信満々に言い放つ。どうしますか、と言われてもな。来る拳は避けて――隙をついてだ。
「忍法・嵐狼之口!」
印を結び、風の狼がドルドに飛んでいき腕に噛み付いた。不浄でないほうの腕な。
「くっ、貴様!」
風の狼の牙が深く食い込み、そして片腕が千切れた。ふぅ、兄貴っぽい忍法にしては上出来だ。
「すぐにでも殺して差し上げますよ!」
切れた腕の付け根を押さえながらドルドが叫ぶ。と、同時に俺はドルドに向けて走った。
「正面からくるとは愚かな!」
「お前がな」
「は? なっ!」
ある程度近づいたところで直角に曲がると、背後からこっちに向かってきていた不浄の円盤がドルドのもう一本の腕を切った。
ドルドから悲鳴が上がる。自分の技でやられるとはな。
ふぅ、しかしこいつは思ったよりも行動が読みやすい。弱体化してると読まれた時は多少は焦ったがこれならなんとかなりそうだ。
それに何より――
「……この間抜け。火蜥蜴の息吹!」
マグの手から放出された炎がドルドを呑み込み、火達磨になって転げ回った。結構効いてるな。
そうこれだ。何気にマグの協力が大きい。当たりさえすれば攻撃もしっかりドルドに聞いてるし。
「糞が! 餓鬼と劣等種が調子に乗りやがって」
ドルドが憤る。随分と口汚いセリフも飛び出るようになったな。
「おうおう、随分と口調が乱れてきたな」
「……もう余裕ない」
「黙れ!」
俺とマグの挑発めいたセリフに更に怒りを強めるドルド。それが余裕ない証拠だっての。
それにしても、劣等種? なんとも妙な言い回しに感じた。俺に対して言ったのかと思ったが、その時の目線はマグに向いていた気がするし。
それはともかく、ドルドにダメージは与えているが決め手に掛けるな。力に制限がかかってるせいで俺も使える忍法に限りがある。
それでもさっきまで十印程度まで使えたが、不浄を抑え込んでいるから今だと精々八印までだ。
ふむ、ならここは――
「はぁ!」
手を色々考えていると、立ち上がったドルドが新しい腕を生やしてみせた。
腕が切れても戻るのかよ。本当吸血鬼ってのは化け物だな。
「ふぅふぅ、少し取り乱したな。だが」
「忍法・篝火狐鳴!」
「くっ、まだ話している途中だろう!」
そんなのいちいち聞いてられるか。忍法によって放たれた火狐がドルドに襲いかかる。
「くそ、こんなもの!」
「マグ! 風を頼む! それを巻き込むように」
「……そういうこと。風精霊の怒り!」
マグの精霊魔法で竜巻がドルドと非狐を呑み込んだ。そして火狐が炎となりそして竜巻に巻き込まれ逆に火が強まり火炎旋風へと変化した。
「ぐうおぉぉおぉおぉおおぉおおお!」
炎の竜巻の中でドルドが叫ぶ。
「はぁ、助かったぜマグ」
「……ジンとの連携がうまく言った」
あぁ、そうだな。マグも微笑んでる。ダメージが通って嬉しいのかも知れないな。
ふぅ、しかしこっちもチャクラを抑えるには小さな力で大きな効果を生む必要があるかなら。
これは本当に上手く言った。だけど、何故か兄貴の顔がちらつく。もし見てたら俺の魔法を参考にしたな! とでも得意がりそうだ。若干ウザい。
「クソがあぁあああああああ!」
なんてことを思っていたらドルドが空へと逃げた。背中に不浄で出来た翼が生えていた。
「はぁはぁ……」
満月をバックに肩が上下しているのがわかる。だいぶ息遣いが荒いな。ダメージは少なくはないだろう。
「――決めましたよ」
決めた?
「最初に狙うべきは、お前だ!」
「……むっ!」
そしてマグ目掛けて急降下した。あいつ、俺じゃなくてマグから狙ったか!
「雑魚でも組まれると厄介ですからね!」
「……雑魚? 舐めるな」
「いえいえ、雑魚なんだよ劣等種が――」
「アオオォオオオオォオォオオン!」
その時だったマグに迫るドルドの横から雄叫びを上げてマガミが突撃した。全身に風を纏いまるで竜巻の如く変化したマガミがだ。
「ガハァアアァアァアアア!」
そしてマガミの突撃をモロに受けたドルドが上空へとふっ飛ばされる。
全くよく空に舞う奴だな――
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