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幕間
第二百八十八話 転生忍者、ピッツァをご馳走になる
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ヤバイから魔道具が出来たという知らせを受けたと何故かゼンラから聞いた。ついでにピッツァもご馳走してくれるということなのでマグや姫様も連れて町まで向かった。
「しかし、ゼンラも来るんだな」
「あっはっは! ピッツァは大好物なのだ」
そうなのか。ということはゼンラはピッツァを食べたことがあるということだな。
「あっはっは! ピッツァは良いぞ。見た目が全裸っぽいからな!」
「やめてくれ食欲を失う!」
何なんだよ見た目が全裸っぽい食い物って。嫌な予感しかしなくなったぞ。
色々と不安はあったが、俺達は街に降りた。そしてヤバイが構えているという店に向かった。
「……これか」
「なんとも奇抜な店なのじゃ」
「ピィ~……」
「……不気味」
「クゥ~ン」
「キキィ……」
『いやいや、これはなんとも前衛的な造りだと私は思いますよ!』
エンサイ以外は理解が出来ない造りだ。やたらぐねぐねしてるし色も毒々しい。屋根は何かキノコっぽいが色が色だけに毒キノコっぽく見えてしまう。
「ん~ん~? よく来たねちみぃ」
入口の前に何かボタンがあったので押すと建物から外観とは異なる軽快なメロディーが流れてきてヤバイが出迎えてくれた。
促され中に入る。この外観で中は一体どうなってるのかと不安に思ったが、寧ろ中は妙に色合いがカラフルで、外観とは間逆な印象を与えた。
カラフル過ぎて目がチカチカしてくるぐらいだ。コンセプトがよくわからない。
「これが完成品だよちみぃ」
ヤバイがそう言って腕輪を一本持ってきた。
よかったデザインはまともだ……しかしこれは意外だった。俺としては前にマシムから貰った袋状かもしくは瓶のままになると思っていたが腕輪とは。ただサイズがちょっと小さい気がする。
「これに収納出来るのか?」
「ん~ん~? 収納したいものに腕輪を翳して念じるだけで入るようになっているんだよちみぃ。それとその腕輪はサイズが自動的に調整されるようになっているからねちみぃ」
サイズが不安だったがそれはヤバイの説明で払拭された。実際に嵌めてみると腕輪本体が伸縮して腕に合わせてぴったりと嵌ってくれた。
そして試しにリングナイフを置いて腕輪を翳し念じてみる。スポンっと腕輪にナイフが収納された。
「おお! 何という不思議な道具なのだ! まるで妖術なのじゃ!」
「ピィ~! ピィ~!」
「……凄く便利」
「アンッ!」
「ウキィ♪」
『なんとも不思議な魔道具でありますな。しかしこれであればもう荷物に悩まされることもなさそうおですぞ主殿!』
相変わらずエンサイの反応だけ現実的だ。
それにしても妖術か。姫様からするとそう思えるのかもな。そして姫様の頭上ではホウライが楽しそうに鳴いている。
「入れたものはどう出せば?」
「ん~ん~? 同じだよちみぃ。出したいものを思い浮かべて腕輪を翳して念じればいいのだよ」
ヤバイに言われて試してみるとリングナイフが出てきた。ヤバいな。これは便利すぎる。
「あっはっは! 凄いではないか。これであれば服だけを瞬時に収納し全裸にすることが出来るな!」
「ヤバイ! ゼンラにはこれ絶対売るなよ!」
「ん~ん~? どうしたんだいちみぃ?」
不思議そうにしているがゼンラにこんなものを渡したらある意味鬼に金棒だ。
「ん~ん~? ちなみに元の機能も残してあるからねぇ。前と同じ名前を呼ぶやり方で生物も腕輪に収納出来るんだよちみぃ~」
なるほど。ちなみに念じるだけで収納出来るようにしなかったのはそれだと道具と同じ場所に収納されることになるからだ。仕組みはよくわからないが腕輪の中で生物と物で収納される場所を変えているようでその際に上手く分けるのに元の名前を呼んだら吸い込むという方式をそのまま採用したらしい。
「ん~ん~? 腕輪は頑丈に作ってはあるけど破壊されないようには注意するんだよちみぃ」
「破壊されるとどうなるんだ?」
「ん~ん~? 中のものが異空間を漂うことになるのさ。回収は難しいだろうねぇちみぃ」
そういうことか。沢山の物を収納出来るのは嬉しいが壊れたら水の泡だから気をつけないとな。
「あ、あのぉ、ここなんですか?」
「何だこの不気味な建物は……」
「お、ジンがいたぞ」
ヤバイと話していたらデックにデトラ、そしてミモザがやってきて合流した。やっぱりこの面妖な外観と中の違いに戸惑っているようだな。
「ん~ん~? 皆揃ったようだねぇちみぃ。ならミーと一緒に庭に出ようかちみぃ」
そして俺達はヤバイに着いていき庭に出た。庭にはあの蛙から手に入れた窯を利用して作ったと思われる竈があった。窯としての雰囲気は残っているがところどころに手が入っている。竈としてはかなり使いやすくなってそうだ。
「ん~ん~? さぁちみたちに美味しいピッツァをご馳走しよう」
ヤバイがピッツァとやらを作ってくれる。小麦粉を利用した生地にチーズを乗せて焼くのが基本的な作り方のようだが、あの素材を利用した竈なら絶妙な焼き加減が再現出来るらしい。
本来なら竈は薪を焚べて熱を得るがこの魔道具なら竈そのものから火が発生し焼き上げてくれる。全く便利な物だな。
「ん~ん~? 出来たんだよちみたちぃ。まずは基本のチーズとトマトソースだけのプレーンピッツァなのさちみぃ」
ヤバイがそう言って俺達にピッツァとやらを振る舞ってくれた。
「あっはっは! これなのだ! このピッツァは実に全裸っぽい!」
「なぁジン。全裸っぽいってなんだ?」
「俺に聞くなよ……」
デックが不思議そうにしているがわかるわけもない。ただそういう風に聞くと本当に全裸っぽく見えるから参る。勘弁してくれ。
とは言え、これは旨いな。チーズのとろりとした感触とトマトの酸味、それに生地のカリッとした食感も相まって食が進む。
「むむむ、このピッツァというのは実に美味いのじゃ!」
「ピーピー♪」
口に含むなりくわっと目を見開き姫様が感嘆した。姫様は随分とピッツァが気に入ったようだ。ホウライも生地を啄んで嬉しそうにしている。
「キキィ!」
「ガウガウ!」
エンコウとマガミもガツガツ食べてるな。エンコウなんて子猿状態なのにもう二枚目だ。
「ん~ん~? ピッツァはトッピングでもまた違った味わいがあるのだよちみぃ」
『主殿、果物や野菜を乗せるとまた実に美味ですぞ!』
「野菜を乗せるとあっさりして美味しいです!」
エンサイは肉類よりは普段から野菜や果物を好む。それがトッピングにもあらわれているな。デトラも植物が好きだし。
「肉を乗せるとガツンッとくるな!」
「ふむ、豚も牛もいけるな」
デックとミモザもご満悦な様子だ。二人は肉体派だから肉類が好みらしい。
「このピザを切る道具は実に便利なのじゃ!」
「ピィ~」
姫様が楽しそうに刃が円形の道具でピザを切っていた。切り分けるのが楽になるらしい。
「ん~ん~? それは刃はキジムナの卵の殻で柄は王槍ラビットの角で出来てるのだよちみぃ」
「本当かよ……あれだけの素材を手に入れた理由これだったのかよ」
「ん~ん~? それは余った部位で作っただけなのだよちみぃ。もちろん必要な魔道具分の素材はわけてあるのだよちみぃ」
ヤバイが教えてくれた。そ、そりゃそうだよな。ただ窯に関しては完全にこれ用だったみたいだけど。
「あっはっは! やはり私にはこのプレーンがあっているな。服を着る(トッピング)のは合わん」
もはや俺にはゼンラの言っている意味が理解できない。
「ん~ん~? パスタも出来たのだよ。食べてみたまえ」
パスタ? 見てみると蕎麦の麺を太くしたようなものだった。色は白くソースを絡めて食べるようだ。
「あっはっは、ふむこれも旨いな」
「まさかそれも全裸っぽいのか?」
「あっはっは、これは普通に美味いぞ」
本当に基準がわからん!
まぁでも確かにこれも旨いな。麺はもちもちしていて挽き肉に野菜を加えたソースとやらと良く合う。
『これも美味いですな。今ひらめいたのですが茄子を巻いてみるというのは如何かな?』
エンサイがそんな提案をしてきたけど、いや如何かなと言われてもな……
「ヤバイさん眼鏡が曇ってますよ」
「ん~ん~? 焼きたてだとどうしてもこうなるのさちみぃ」
いや、なら拭けば良くないか?
「ウキィ!」
するとエンコウがヤバイの肩にのって眼鏡を外してみせた。そしてうっしっしと笑っている。そういえば基本悪戯好きだったな。
「あぅううう、眼鏡眼鏡~」
「……はい?」
すると突如ヤバイが両手を振って慌てだした。何か様子がおかしい、というか。
「お、おいおい! すげー美人じゃん!」
「というか、じょ、女性だったのか……」
デックとミモザが驚いていた。そう眼鏡を外した途端、そこには整った顔の美女が立っていた。印象がぜんぜん違うぞ。
「あうっ!」
そして何もないところでパタンっとコケた。
「あいたたた、うぅ、眼鏡を返してくらさ~い」
何か舌っ足らずだ。そして、急に幼くなった気もする。
「あら皆やってるわね」
「酒残ってるんだろうな?」
「あっはっは、皆も来たか」
「あ、ヤバイちゃん眼鏡外してる~」
「うふふ、やっぱりヤバイちゃんは眼鏡を外していた方がエロ可愛いわよね」
「てめぇこの野郎! 眼鏡取ったら変わり過ぎなんだこの野郎!」
するとぞろぞろと馴染みの冒険者やドクがやってきた。
「いや、本当に女だったのかヤバイ」
「何だ知らなかったのか? まぁ眼鏡をしてると言動が変わってるからな。取るとドジっ子なのによ」
ダガーが教えてくれた。取るとドジっ子なのか……
「あぁこの声はご招待した皆さん! 今からピザをあいた! パスタをきゃぁああぁあ!」
「ドジっ子だ」
「ドジっ子だな……」
「ドジっ子ですね……」
コケたりこぼしたりとまさにドジっ子だった。流石にかわいそうに思えたのかエンコウが眼鏡を戻してあげる。
「ん~ん~? 全く研究者にとって眼鏡は命と同じなのだよちみぃ。今後は気をつけたまえ」
「キィ……」
もとに戻ったヤバイに向けてエンコウが反省のポーズを取った。変化が激しすぎだろうヤバイよ……
それにしても、うん、本当に冒険者絡みにまともなのがいないな!
「しかし、ゼンラも来るんだな」
「あっはっは! ピッツァは大好物なのだ」
そうなのか。ということはゼンラはピッツァを食べたことがあるということだな。
「あっはっは! ピッツァは良いぞ。見た目が全裸っぽいからな!」
「やめてくれ食欲を失う!」
何なんだよ見た目が全裸っぽい食い物って。嫌な予感しかしなくなったぞ。
色々と不安はあったが、俺達は街に降りた。そしてヤバイが構えているという店に向かった。
「……これか」
「なんとも奇抜な店なのじゃ」
「ピィ~……」
「……不気味」
「クゥ~ン」
「キキィ……」
『いやいや、これはなんとも前衛的な造りだと私は思いますよ!』
エンサイ以外は理解が出来ない造りだ。やたらぐねぐねしてるし色も毒々しい。屋根は何かキノコっぽいが色が色だけに毒キノコっぽく見えてしまう。
「ん~ん~? よく来たねちみぃ」
入口の前に何かボタンがあったので押すと建物から外観とは異なる軽快なメロディーが流れてきてヤバイが出迎えてくれた。
促され中に入る。この外観で中は一体どうなってるのかと不安に思ったが、寧ろ中は妙に色合いがカラフルで、外観とは間逆な印象を与えた。
カラフル過ぎて目がチカチカしてくるぐらいだ。コンセプトがよくわからない。
「これが完成品だよちみぃ」
ヤバイがそう言って腕輪を一本持ってきた。
よかったデザインはまともだ……しかしこれは意外だった。俺としては前にマシムから貰った袋状かもしくは瓶のままになると思っていたが腕輪とは。ただサイズがちょっと小さい気がする。
「これに収納出来るのか?」
「ん~ん~? 収納したいものに腕輪を翳して念じるだけで入るようになっているんだよちみぃ。それとその腕輪はサイズが自動的に調整されるようになっているからねちみぃ」
サイズが不安だったがそれはヤバイの説明で払拭された。実際に嵌めてみると腕輪本体が伸縮して腕に合わせてぴったりと嵌ってくれた。
そして試しにリングナイフを置いて腕輪を翳し念じてみる。スポンっと腕輪にナイフが収納された。
「おお! 何という不思議な道具なのだ! まるで妖術なのじゃ!」
「ピィ~! ピィ~!」
「……凄く便利」
「アンッ!」
「ウキィ♪」
『なんとも不思議な魔道具でありますな。しかしこれであればもう荷物に悩まされることもなさそうおですぞ主殿!』
相変わらずエンサイの反応だけ現実的だ。
それにしても妖術か。姫様からするとそう思えるのかもな。そして姫様の頭上ではホウライが楽しそうに鳴いている。
「入れたものはどう出せば?」
「ん~ん~? 同じだよちみぃ。出したいものを思い浮かべて腕輪を翳して念じればいいのだよ」
ヤバイに言われて試してみるとリングナイフが出てきた。ヤバいな。これは便利すぎる。
「あっはっは! 凄いではないか。これであれば服だけを瞬時に収納し全裸にすることが出来るな!」
「ヤバイ! ゼンラにはこれ絶対売るなよ!」
「ん~ん~? どうしたんだいちみぃ?」
不思議そうにしているがゼンラにこんなものを渡したらある意味鬼に金棒だ。
「ん~ん~? ちなみに元の機能も残してあるからねぇ。前と同じ名前を呼ぶやり方で生物も腕輪に収納出来るんだよちみぃ~」
なるほど。ちなみに念じるだけで収納出来るようにしなかったのはそれだと道具と同じ場所に収納されることになるからだ。仕組みはよくわからないが腕輪の中で生物と物で収納される場所を変えているようでその際に上手く分けるのに元の名前を呼んだら吸い込むという方式をそのまま採用したらしい。
「ん~ん~? 腕輪は頑丈に作ってはあるけど破壊されないようには注意するんだよちみぃ」
「破壊されるとどうなるんだ?」
「ん~ん~? 中のものが異空間を漂うことになるのさ。回収は難しいだろうねぇちみぃ」
そういうことか。沢山の物を収納出来るのは嬉しいが壊れたら水の泡だから気をつけないとな。
「あ、あのぉ、ここなんですか?」
「何だこの不気味な建物は……」
「お、ジンがいたぞ」
ヤバイと話していたらデックにデトラ、そしてミモザがやってきて合流した。やっぱりこの面妖な外観と中の違いに戸惑っているようだな。
「ん~ん~? 皆揃ったようだねぇちみぃ。ならミーと一緒に庭に出ようかちみぃ」
そして俺達はヤバイに着いていき庭に出た。庭にはあの蛙から手に入れた窯を利用して作ったと思われる竈があった。窯としての雰囲気は残っているがところどころに手が入っている。竈としてはかなり使いやすくなってそうだ。
「ん~ん~? さぁちみたちに美味しいピッツァをご馳走しよう」
ヤバイがピッツァとやらを作ってくれる。小麦粉を利用した生地にチーズを乗せて焼くのが基本的な作り方のようだが、あの素材を利用した竈なら絶妙な焼き加減が再現出来るらしい。
本来なら竈は薪を焚べて熱を得るがこの魔道具なら竈そのものから火が発生し焼き上げてくれる。全く便利な物だな。
「ん~ん~? 出来たんだよちみたちぃ。まずは基本のチーズとトマトソースだけのプレーンピッツァなのさちみぃ」
ヤバイがそう言って俺達にピッツァとやらを振る舞ってくれた。
「あっはっは! これなのだ! このピッツァは実に全裸っぽい!」
「なぁジン。全裸っぽいってなんだ?」
「俺に聞くなよ……」
デックが不思議そうにしているがわかるわけもない。ただそういう風に聞くと本当に全裸っぽく見えるから参る。勘弁してくれ。
とは言え、これは旨いな。チーズのとろりとした感触とトマトの酸味、それに生地のカリッとした食感も相まって食が進む。
「むむむ、このピッツァというのは実に美味いのじゃ!」
「ピーピー♪」
口に含むなりくわっと目を見開き姫様が感嘆した。姫様は随分とピッツァが気に入ったようだ。ホウライも生地を啄んで嬉しそうにしている。
「キキィ!」
「ガウガウ!」
エンコウとマガミもガツガツ食べてるな。エンコウなんて子猿状態なのにもう二枚目だ。
「ん~ん~? ピッツァはトッピングでもまた違った味わいがあるのだよちみぃ」
『主殿、果物や野菜を乗せるとまた実に美味ですぞ!』
「野菜を乗せるとあっさりして美味しいです!」
エンサイは肉類よりは普段から野菜や果物を好む。それがトッピングにもあらわれているな。デトラも植物が好きだし。
「肉を乗せるとガツンッとくるな!」
「ふむ、豚も牛もいけるな」
デックとミモザもご満悦な様子だ。二人は肉体派だから肉類が好みらしい。
「このピザを切る道具は実に便利なのじゃ!」
「ピィ~」
姫様が楽しそうに刃が円形の道具でピザを切っていた。切り分けるのが楽になるらしい。
「ん~ん~? それは刃はキジムナの卵の殻で柄は王槍ラビットの角で出来てるのだよちみぃ」
「本当かよ……あれだけの素材を手に入れた理由これだったのかよ」
「ん~ん~? それは余った部位で作っただけなのだよちみぃ。もちろん必要な魔道具分の素材はわけてあるのだよちみぃ」
ヤバイが教えてくれた。そ、そりゃそうだよな。ただ窯に関しては完全にこれ用だったみたいだけど。
「あっはっは! やはり私にはこのプレーンがあっているな。服を着る(トッピング)のは合わん」
もはや俺にはゼンラの言っている意味が理解できない。
「ん~ん~? パスタも出来たのだよ。食べてみたまえ」
パスタ? 見てみると蕎麦の麺を太くしたようなものだった。色は白くソースを絡めて食べるようだ。
「あっはっは、ふむこれも旨いな」
「まさかそれも全裸っぽいのか?」
「あっはっは、これは普通に美味いぞ」
本当に基準がわからん!
まぁでも確かにこれも旨いな。麺はもちもちしていて挽き肉に野菜を加えたソースとやらと良く合う。
『これも美味いですな。今ひらめいたのですが茄子を巻いてみるというのは如何かな?』
エンサイがそんな提案をしてきたけど、いや如何かなと言われてもな……
「ヤバイさん眼鏡が曇ってますよ」
「ん~ん~? 焼きたてだとどうしてもこうなるのさちみぃ」
いや、なら拭けば良くないか?
「ウキィ!」
するとエンコウがヤバイの肩にのって眼鏡を外してみせた。そしてうっしっしと笑っている。そういえば基本悪戯好きだったな。
「あぅううう、眼鏡眼鏡~」
「……はい?」
すると突如ヤバイが両手を振って慌てだした。何か様子がおかしい、というか。
「お、おいおい! すげー美人じゃん!」
「というか、じょ、女性だったのか……」
デックとミモザが驚いていた。そう眼鏡を外した途端、そこには整った顔の美女が立っていた。印象がぜんぜん違うぞ。
「あうっ!」
そして何もないところでパタンっとコケた。
「あいたたた、うぅ、眼鏡を返してくらさ~い」
何か舌っ足らずだ。そして、急に幼くなった気もする。
「あら皆やってるわね」
「酒残ってるんだろうな?」
「あっはっは、皆も来たか」
「あ、ヤバイちゃん眼鏡外してる~」
「うふふ、やっぱりヤバイちゃんは眼鏡を外していた方がエロ可愛いわよね」
「てめぇこの野郎! 眼鏡取ったら変わり過ぎなんだこの野郎!」
するとぞろぞろと馴染みの冒険者やドクがやってきた。
「いや、本当に女だったのかヤバイ」
「何だ知らなかったのか? まぁ眼鏡をしてると言動が変わってるからな。取るとドジっ子なのによ」
ダガーが教えてくれた。取るとドジっ子なのか……
「あぁこの声はご招待した皆さん! 今からピザをあいた! パスタをきゃぁああぁあ!」
「ドジっ子だ」
「ドジっ子だな……」
「ドジっ子ですね……」
コケたりこぼしたりとまさにドジっ子だった。流石にかわいそうに思えたのかエンコウが眼鏡を戻してあげる。
「ん~ん~? 全く研究者にとって眼鏡は命と同じなのだよちみぃ。今後は気をつけたまえ」
「キィ……」
もとに戻ったヤバイに向けてエンコウが反省のポーズを取った。変化が激しすぎだろうヤバイよ……
それにしても、うん、本当に冒険者絡みにまともなのがいないな!
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