116 / 125
第二章 サムジャともふもふ編
第115話 サムジャと眷属との戦い
しおりを挟む
見上げるほどデカいダエーワが動き出した。口から液体をダラダラと垂れ流している。
溶解液は地面に達するとジュージューと音を立てて道路を溶かし穴をあけ広げていく。しかもその直後に気化し瘴気として充満し始めた。
既に住人の避難は始まっている。駆けつけた冒険者が誘導してくれているし瘴気にあてられた人はセイラが離れた場所で治療に当たっていた。
パピィがセイラの前で目を光らせているがもしあの化け物に生贄と認識されたら厄介だ。
「二人に力の刻印を施すわね」
「助かる」
「忝ない」
ルンが俺たちに刻印を付与してくれた。そしてルンは火の刻印で火球で攻撃してくれるようだ。ルンはあまり近づかないほうがいいだろうしな。
「瘴気の平気な俺が先ず前に出る。マスカは相手を俺が引きつけている隙に援護をお願いしていいか?」
「わかった!」
そして宣言通り先ず俺が先手を打った。
「居合忍法・抜刀影分身業火竜巻三刃返し!」
我ながら長いと思うが、重ねられるスキル増し増しでやってみた。通常で抜刀影分身は十二可能だが、そこに新たに覚えた三刃で三十六に加え燕返しで更に倍の七十二、そこに業火弾と竜巻が加わった。
炎に包まれた七十二の竜巻がダエーワに襲いかかる。
「ぐぁあぁあううぉおぉおああぁああああ! あづーーーいぃいいいィィイィィイイ! ガァアァッ」
お? 聞いてるなしっかりと。炎に包み込まれ全身が焼け焦げていく。ひどい匂いが漂ってきた。
「……私の出番なくないか?」
マスカがちょっと不満そうに言った。目の前でダエーワが景気良く燃えている。焦げた肉片がボロボロと落ちてきた。
「あれ? もしかしてもう終わり?」
ルンが意外そうに呟いた。確かにこれで終わりなら拍子抜けだが――
「グァアアアラァアアァアァアガアアァアアァアア!」
しかし、炎に包まれ焦げた肉眼が落としたことで炎が消え、更にダエーワの肉体が再生していった。
「こいつ再生するのか?」
「……どうやら自己再生のスキル持ちなようだな」
マスカが答える。そういえば確かにかつてもそんなスキルがあったな。
「ど、どうするの? 再生持ちなんて……」
「厄介だが、無限に再生出来るものではない筈だ」
「あぁ。大体限界がある。しつこく攻撃するほかないな」
マスカが答え俺もうなずくが、どの程度で再生の効果が切れるかはやってみないとわからないのが難点だ。
「グォォォォオオオォオ!」
ダエーワが叫びあげ、全身から伸びた触手が襲いかかってきた。更に上空にどす黒い雲が現出しどんどんと膨張していく。
あれはちょっとヤバいな。
「パピィ! セイラを連れて雲の範囲から逃げろ! 他の全員もとにかく離れろ!」
そういいつつマスカの腕を取る。
「ちょ! な、何を!」
慌ててるが話してる暇はないな。ルンに駆け寄ってルンの腰にも腕を回す。
「ふぇ! そ、そんないきなり……」
「飛ぶぞ」
「はい?」
「居合省略・風舞の術!」
術を行使すると同時に突風で俺の体が宙を舞った。この忍法は風の力で大きく飛ぶことが出来る。
「ひゃぁ!」
「こ、これは凄いな――」
ルンは流石に空中でバランスを取れないと思い腰に手を回した。マスカは流石に運動神経がいいな。仮面ないとちょっとドジっ子なようだが。
「火吹の術!」
追ってくる触手は焼き払う。二人も抱えてるとあまり強力な術は使えないな。何とかなってはいるが。
そして範囲外に逃げた直後膨れ上がった雲から紫色の雨が降り注いだ。
建物や地面がどろどろに溶けていく。広範囲の瘴気の雨だ。全くこれでもかってぐらいはた迷惑な奴だな――
溶解液は地面に達するとジュージューと音を立てて道路を溶かし穴をあけ広げていく。しかもその直後に気化し瘴気として充満し始めた。
既に住人の避難は始まっている。駆けつけた冒険者が誘導してくれているし瘴気にあてられた人はセイラが離れた場所で治療に当たっていた。
パピィがセイラの前で目を光らせているがもしあの化け物に生贄と認識されたら厄介だ。
「二人に力の刻印を施すわね」
「助かる」
「忝ない」
ルンが俺たちに刻印を付与してくれた。そしてルンは火の刻印で火球で攻撃してくれるようだ。ルンはあまり近づかないほうがいいだろうしな。
「瘴気の平気な俺が先ず前に出る。マスカは相手を俺が引きつけている隙に援護をお願いしていいか?」
「わかった!」
そして宣言通り先ず俺が先手を打った。
「居合忍法・抜刀影分身業火竜巻三刃返し!」
我ながら長いと思うが、重ねられるスキル増し増しでやってみた。通常で抜刀影分身は十二可能だが、そこに新たに覚えた三刃で三十六に加え燕返しで更に倍の七十二、そこに業火弾と竜巻が加わった。
炎に包まれた七十二の竜巻がダエーワに襲いかかる。
「ぐぁあぁあううぉおぉおああぁああああ! あづーーーいぃいいいィィイィィイイ! ガァアァッ」
お? 聞いてるなしっかりと。炎に包み込まれ全身が焼け焦げていく。ひどい匂いが漂ってきた。
「……私の出番なくないか?」
マスカがちょっと不満そうに言った。目の前でダエーワが景気良く燃えている。焦げた肉片がボロボロと落ちてきた。
「あれ? もしかしてもう終わり?」
ルンが意外そうに呟いた。確かにこれで終わりなら拍子抜けだが――
「グァアアアラァアアァアァアガアアァアアァアア!」
しかし、炎に包まれ焦げた肉眼が落としたことで炎が消え、更にダエーワの肉体が再生していった。
「こいつ再生するのか?」
「……どうやら自己再生のスキル持ちなようだな」
マスカが答える。そういえば確かにかつてもそんなスキルがあったな。
「ど、どうするの? 再生持ちなんて……」
「厄介だが、無限に再生出来るものではない筈だ」
「あぁ。大体限界がある。しつこく攻撃するほかないな」
マスカが答え俺もうなずくが、どの程度で再生の効果が切れるかはやってみないとわからないのが難点だ。
「グォォォォオオオォオ!」
ダエーワが叫びあげ、全身から伸びた触手が襲いかかってきた。更に上空にどす黒い雲が現出しどんどんと膨張していく。
あれはちょっとヤバいな。
「パピィ! セイラを連れて雲の範囲から逃げろ! 他の全員もとにかく離れろ!」
そういいつつマスカの腕を取る。
「ちょ! な、何を!」
慌ててるが話してる暇はないな。ルンに駆け寄ってルンの腰にも腕を回す。
「ふぇ! そ、そんないきなり……」
「飛ぶぞ」
「はい?」
「居合省略・風舞の術!」
術を行使すると同時に突風で俺の体が宙を舞った。この忍法は風の力で大きく飛ぶことが出来る。
「ひゃぁ!」
「こ、これは凄いな――」
ルンは流石に空中でバランスを取れないと思い腰に手を回した。マスカは流石に運動神経がいいな。仮面ないとちょっとドジっ子なようだが。
「火吹の術!」
追ってくる触手は焼き払う。二人も抱えてるとあまり強力な術は使えないな。何とかなってはいるが。
そして範囲外に逃げた直後膨れ上がった雲から紫色の雨が降り注いだ。
建物や地面がどろどろに溶けていく。広範囲の瘴気の雨だ。全くこれでもかってぐらいはた迷惑な奴だな――
0
『砂魔法の建国者~砂属性なんて使えないと砂漠に追放されたから砂の城でのんびりスローライフ満喫してた筈なのにいつの間にか巨大国家に成長してた!~』という新作をはじめました。こちらも興味が湧きましたら宜しくお願い致しますm(__)m
お気に入りに追加
882
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?
みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。
ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる
色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
元ゲーマーのオタクが悪役令嬢? ごめん、そのゲーム全然知らない。とりま異世界ライフは普通に楽しめそうなので、設定無視して自分らしく生きます
みなみ抄花
ファンタジー
前世で死んだ自分は、どうやらやったこともないゲームの悪役令嬢に転生させられたようです。
女子力皆無の私が令嬢なんてそもそもが無理だから、設定無視して自分らしく生きますね。
勝手に転生させたどっかの神さま、ヒロインいじめとか勇者とか物語の盛り上げ役とかほんっと心底どうでも良いんで、そんなことよりチート能力もっとよこしてください。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
積みかけアラフォーOL、公爵令嬢に転生したのでやりたいことをやって好きに生きる!
ぽらいと
ファンタジー
アラフォー、バツ2派遣OLが公爵令嬢に転生したので、やりたいことを好きなようにやって過ごす、というほのぼの系の話。
悪役等は一切出てこない、優しい世界のお話です。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
妹が聖女の再来と呼ばれているようです
田尾風香
ファンタジー
ダンジョンのある辺境の地で回復術士として働いていたけど、父に呼び戻されてモンテリーノ学校に入学した。そこには、私の婚約者であるファルター殿下と、腹違いの妹であるピーアがいたんだけど。
「マレン・メクレンブルク! 貴様とは婚約破棄する!」
どうやらファルター殿下は、"低能"と呼ばれている私じゃなく、"聖女の再来"とまで呼ばれるくらいに成績の良い妹と婚約したいらしい。
それは別に構わない。国王陛下の裁定で無事に婚約破棄が成った直後、私に婚約を申し込んできたのは、辺境の地で一緒だったハインリヒ様だった。
戸惑う日々を送る私を余所に、事件が起こる。――学校に、ダンジョンが出現したのだった。
更新は不定期です。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
生活魔法は万能です
浜柔
ファンタジー
生活魔法は万能だ。何でもできる。だけど何にもできない。
それは何も特別なものではないから。人が歩いたり走ったりしても誰も不思議に思わないだろう。そんな魔法。
――そしてそんな魔法が人より少し上手く使えるだけのぼくは今日、旅に出る。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた
佐藤醤油
ファンタジー
貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。
僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。
魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。
言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。
この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。
小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。
------------------------------------------------------------------
お知らせ
「転生者はめぐりあう」 始めました。
------------------------------------------------------------------
注意
作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。
感想は受け付けていません。
誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
最強令嬢とは、1%のひらめきと99%の努力である
megane-san
ファンタジー
私クロエは、生まれてすぐに傷を負った母に抱かれてブラウン辺境伯城に転移しましたが、母はそのまま亡くなり、辺境伯夫妻の養子として育てていただきました。3歳になる頃には闇と光魔法を発現し、さらに暗黒魔法と膨大な魔力まで持っている事が分かりました。そしてなんと私、前世の記憶まで思い出し、前世の知識で辺境伯領はかなり大儲けしてしまいました。私の力は陰謀を企てる者達に狙われましたが、必〇仕事人バリの方々のおかげで悪者は一層され、無事に修行を共にした兄弟子と婚姻することが出来ました。……が、なんと私、魔王に任命されてしまい……。そんな波乱万丈に日々を送る私のお話です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる