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第二章 サムジャともふもふ編
第114話 サムジャ、邪神の眷属を警戒する
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チョロリとした四つ目。そして体中から生えた無数の手と口。蝙蝠のような翼に捻じくれた角――そんなおぞましい造形をした像が突如動き出した。
「あはははは! やったぞ! あんな粗末な命でもたまには役立つものだな!」
恐らくこの現象を引き起こした張本人であろうハデルが狂喜乱舞した。どうやらこのおぞましい化け物を動かすために神官のアグールの心臓を利用したようだな。
奴は邪神の眷属のダエーワと言っていた。それが本当ならかなり厄介な相手ということになる。
そしてこうも言っていた、本来は聖女の心臓が必要だと。つまりセイラはこいつを動かすために利用されようとしていたのか。
『グォォオォオ……』
「チッ、なんておぞましいやつだ!」
マスカが語気を荒げる。般若の仮面で顔は隠れているが、動揺しているのは感じられた。
「さぁダエーワよ! 我ら邪天教に歯向かう愚か者共に天罰を――」
その時だった――ダエーワから伸びた腕がハデルを捕らえ持ち上げていく。
「へ? だ、ダエーワよ! 私ではない! 奴らを罰して欲しいのです!」
『足りぬぅ――あんなものではとてもォ、足りぬのダァアァア』
「な!? ま、待ってくれ! 私は忠実なる信徒、ウワァアアァアアアァアアアアア!」
そしてハデルはダエーワによって口に放り込まれ、そのままバリバリと食べられてしまった。咀嚼されている途中でも悲鳴は聞こえてきた。そう簡単に死ねなかったのだろう。
自業自得だな。しかし、この様子だと、これから一体何をしでかすかわかったものでは――と言った側から腕がパピィに伸びた。
「ワンワン!」
パピィは影を操作し、腕を切りつけ逃れようとするが、切っても切っても腕はすぐに再生する。
「居合忍法・抜刀影分身!」
パピィに加勢する。パピィに迫る腕を俺の数珠丸が切り裂いていく。するとダエーワの大量の口から一斉に呻き声が聞こえてきた。
「あぁあぁあああ、なんだァ、ごれわぁああぁああああ、おぞましい! おぞましい力ダァアアァアァアアアア!」
ダエーワが身を捩って暴れだす。苦しんでいるのか?
「おい! 暴れだしたぞ!」
「あぁ、これは一旦こっから出たほうが良さそうだ」
伸びた腕がそこらを殴りつけ、口から吐き出された液体が周囲を溶解していく。匂いも酷いな。立ち込める煙も如何にも体に悪そうだ。
これは瘴気の可能性が高い。俺は数珠丸のおかげで助かってるが、急いで皆に知らせたほうがいいだろう。
「急ぐぞ!」
「あぁ、パピィも!」
「アンッ!」
そして俺たちは地下から出て教会の入り口まで急いで戻る。そこには何事かと集まった信徒達の姿も在った。良かった全員集まってそうだ。
「シノ! 大丈夫だったの?」
「な、何か凄くおぞましい声が聞こえてきたような?」
ルンとセイラが不安そうに声を掛けてきた。
「そうだ。細かいことを話してる時間はない。お前たちも急いでこっから出ろ。とんでもないのが暴れだすぞ!」
「と、とんでもないのだって?」
「とにかく出ましょう!」
そして全員で教会堂から出ると、天井を突き破り巨大化したダエーワが姿を見せた。
『足りぬぅうぅぅうう! もっと命をぉぉおぉぉおぉォォオオォオォオ!』
叫んでるな。やれやれ、どうやらアグールとハデルじゃ足りなかったようだな。まぁあの二人じゃ下手したら腹を壊してもおかしくなさそうだが。
「うそ、ちょっと見てみたんだけど……」
ルンが目を丸くさせていた。俺はルンが何を見たか聞いてみる。
「鑑定か? 見れたのかルン?」
「えっと、スキルはなんか理解できない文字の羅列だったんだけど、レベルがね、66って……」
おいおい、レベル66とか流石に無理が過ぎるぞ。あのダクネイルでさえレベル42だ。それでも死にそうな目にあったのに。
「でもね、その横に25って出てるの。なんだろうこれ?」
ルンが困惑した顔を見せる。レベルが66で、その横に25……あ!
「そうか! わかったぞ! あのダエーワの本来のレベルは66なのは間違いないのだろうが召喚が完全じゃないんだ!」
ハデルはあの像にダエーワの魂か精神か、とにかく降ろすことで召喚を試みたのだろう。しかし、アグールの生贄では不完全にしかならず、ハデルを食べても完全には程遠いんだ。
「なるほど。レベル25なら何とかなりそうだな」
「あぁ、ただセイラだけはなんとしても奴の魔の手から守らないといけないな」
「え? 私ですか?」
「あぁ……ショックかもしれないがハデルは本来セイラを生贄にあれを召喚しようとしていたんだ。だが、それが間に合わずアグールで試してしまった。その結果があれだ。まぁ召喚したハデルも食われたけどな」
「そ、そんな――」
セイラがわなわなと肩を揺らした。やっぱりショックは大きいか。
「とにかく、もしセイラが取り込まれると完全体になってしまうかもしれない。パピィ頼むセイラを守ってやってくれ」
「ワンワン!」
パピィが任せてと言わんばかりに吠えた。さて、問題はアレをどう倒すかだな――
「あはははは! やったぞ! あんな粗末な命でもたまには役立つものだな!」
恐らくこの現象を引き起こした張本人であろうハデルが狂喜乱舞した。どうやらこのおぞましい化け物を動かすために神官のアグールの心臓を利用したようだな。
奴は邪神の眷属のダエーワと言っていた。それが本当ならかなり厄介な相手ということになる。
そしてこうも言っていた、本来は聖女の心臓が必要だと。つまりセイラはこいつを動かすために利用されようとしていたのか。
『グォォオォオ……』
「チッ、なんておぞましいやつだ!」
マスカが語気を荒げる。般若の仮面で顔は隠れているが、動揺しているのは感じられた。
「さぁダエーワよ! 我ら邪天教に歯向かう愚か者共に天罰を――」
その時だった――ダエーワから伸びた腕がハデルを捕らえ持ち上げていく。
「へ? だ、ダエーワよ! 私ではない! 奴らを罰して欲しいのです!」
『足りぬぅ――あんなものではとてもォ、足りぬのダァアァア』
「な!? ま、待ってくれ! 私は忠実なる信徒、ウワァアアァアアアァアアアアア!」
そしてハデルはダエーワによって口に放り込まれ、そのままバリバリと食べられてしまった。咀嚼されている途中でも悲鳴は聞こえてきた。そう簡単に死ねなかったのだろう。
自業自得だな。しかし、この様子だと、これから一体何をしでかすかわかったものでは――と言った側から腕がパピィに伸びた。
「ワンワン!」
パピィは影を操作し、腕を切りつけ逃れようとするが、切っても切っても腕はすぐに再生する。
「居合忍法・抜刀影分身!」
パピィに加勢する。パピィに迫る腕を俺の数珠丸が切り裂いていく。するとダエーワの大量の口から一斉に呻き声が聞こえてきた。
「あぁあぁあああ、なんだァ、ごれわぁああぁああああ、おぞましい! おぞましい力ダァアアァアァアアアア!」
ダエーワが身を捩って暴れだす。苦しんでいるのか?
「おい! 暴れだしたぞ!」
「あぁ、これは一旦こっから出たほうが良さそうだ」
伸びた腕がそこらを殴りつけ、口から吐き出された液体が周囲を溶解していく。匂いも酷いな。立ち込める煙も如何にも体に悪そうだ。
これは瘴気の可能性が高い。俺は数珠丸のおかげで助かってるが、急いで皆に知らせたほうがいいだろう。
「急ぐぞ!」
「あぁ、パピィも!」
「アンッ!」
そして俺たちは地下から出て教会の入り口まで急いで戻る。そこには何事かと集まった信徒達の姿も在った。良かった全員集まってそうだ。
「シノ! 大丈夫だったの?」
「な、何か凄くおぞましい声が聞こえてきたような?」
ルンとセイラが不安そうに声を掛けてきた。
「そうだ。細かいことを話してる時間はない。お前たちも急いでこっから出ろ。とんでもないのが暴れだすぞ!」
「と、とんでもないのだって?」
「とにかく出ましょう!」
そして全員で教会堂から出ると、天井を突き破り巨大化したダエーワが姿を見せた。
『足りぬぅうぅぅうう! もっと命をぉぉおぉぉおぉォォオオォオォオ!』
叫んでるな。やれやれ、どうやらアグールとハデルじゃ足りなかったようだな。まぁあの二人じゃ下手したら腹を壊してもおかしくなさそうだが。
「うそ、ちょっと見てみたんだけど……」
ルンが目を丸くさせていた。俺はルンが何を見たか聞いてみる。
「鑑定か? 見れたのかルン?」
「えっと、スキルはなんか理解できない文字の羅列だったんだけど、レベルがね、66って……」
おいおい、レベル66とか流石に無理が過ぎるぞ。あのダクネイルでさえレベル42だ。それでも死にそうな目にあったのに。
「でもね、その横に25って出てるの。なんだろうこれ?」
ルンが困惑した顔を見せる。レベルが66で、その横に25……あ!
「そうか! わかったぞ! あのダエーワの本来のレベルは66なのは間違いないのだろうが召喚が完全じゃないんだ!」
ハデルはあの像にダエーワの魂か精神か、とにかく降ろすことで召喚を試みたのだろう。しかし、アグールの生贄では不完全にしかならず、ハデルを食べても完全には程遠いんだ。
「なるほど。レベル25なら何とかなりそうだな」
「あぁ、ただセイラだけはなんとしても奴の魔の手から守らないといけないな」
「え? 私ですか?」
「あぁ……ショックかもしれないがハデルは本来セイラを生贄にあれを召喚しようとしていたんだ。だが、それが間に合わずアグールで試してしまった。その結果があれだ。まぁ召喚したハデルも食われたけどな」
「そ、そんな――」
セイラがわなわなと肩を揺らした。やっぱりショックは大きいか。
「とにかく、もしセイラが取り込まれると完全体になってしまうかもしれない。パピィ頼むセイラを守ってやってくれ」
「ワンワン!」
パピィが任せてと言わんばかりに吠えた。さて、問題はアレをどう倒すかだな――
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『砂魔法の建国者~砂属性なんて使えないと砂漠に追放されたから砂の城でのんびりスローライフ満喫してた筈なのにいつの間にか巨大国家に成長してた!~』という新作をはじめました。こちらも興味が湧きましたら宜しくお願い致しますm(__)m
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