109 / 125
第二章 サムジャともふもふ編
第108話 サムジャと試練のダンジョン 其の六
しおりを挟む
牛若丸の記憶から手に入ったスキルは存外使える代物だった。これまで防御は忍法で壁を作るか、変わり身で凌ぐかだったが、それに虚影が加わったことで、防御の幅が広がった。
一瞬攻撃がすり抜けるだけだが、魂力もそこまで消費しないしな。俺はタイミングを合わせるのは得意だから有効に扱える。
おかげでここから先も随分と楽になった。もっとも楽と言っても余裕ってことは全くなかったがな。
さて、ある程度進んだところで出てきたのは見栄えの良い骸骨だったわけだが。
「我はエルダーリッチなり!」
うん。知性あるアンデッドなようだが、エルダーリッチか。死霊を操る事のできる骸骨で、魑魅魍魎が俺に向けて一斉に襲いかかってきた。
「居合忍法・抜刀雷鏈!」
雷が連鎖し呼び出された魑魅魍魎を消し去っていく。エルダーリッチが随分と悔しがっていた。
「ならばこれだ! ボーンランチャー!」
無数の骨の槍がエルダーリッチから発射され、襲い掛かってくる。それらを避けていくが何発かは躱しきれない位置にあった、が。
「虚影!」
骨の槍が俺の体をすり抜けていった。何ぃ! と驚いたエルダーリッチの顎骨が外れそうになっていた。
その隙に一気に距離を詰める。
「居合忍法・抜刀影分身!」
「ぐぉおぉおぉおぉお!」
斬撃の雨を受けてエルダーリッチが消え去った。
ふぅ、これでどれぐらいまで来たのか。残り時間は既に四十を切っていた。
ここまでにそれなりに宝も手に入った。強化魔法薬なんかもあったが、実は今もそれを使用してエルダーリッチを倒している。
攻略中、全くレベルが上がらないのが厄介だ。アンデッド系はレベルが上がらない?
いや、そんな話は聞いたこと無いな。そもそも最初のダンジョンで倒したのがアンデッドだし。
なにか特殊な事情があるのかもな。さて、宝箱を見つけた。これも影分身で開いてもらったがすると今度は如何にもニンジャと言った見た目の人物が姿を見せた。
『俺は加藤段蔵の記憶だ』
「またか……戦って実力を示せというのか?」
『戦う必要はない』
すると加藤段蔵が四人に増えた。
『この中から本物の俺を見つけろ。ただし、チャンスは一度だ』
戦わなくてもいいのか。どうやら知恵比べ的な試練なようだ。試練で来てるのに更に試練とはな。
『ちなみにこの四人で本当のことを言っているのは一人だ』
『それがヒントになる』
『では先ず俺から』
「本物はあんただ」
『は?』
なにか色々言っていたが、すぐにわかったので答えた。
『……何故そう思う?』
「いや、魂を感じたのあんただけだし……」
この四人で俺が指摘した奴だけから魂の力を感じた。ヒントを聞くまでもない。
『……見事だ』
そして加藤段蔵は消え、スキルに加藤段蔵の記憶が追加された。更に手に入ったスキルは【幻魔眼・刹那の術】だった。
どうやらこれは目を見た相手に幻覚を見せる忍法なようだ。俺が見た相手ではないが、目を見た相手は一瞬ではあるが確実に幻覚を見るらしい。
ただ、この忍法はよく出るアンデッド相手だと効果が薄いようだ。折角覚えたのにどうも実感がわかないな。
『カカッ、此処まで来るとはな。だがここまでだ』
「おいおいこいつかよ」
そして次の場所に現れたのはドラウグルだった。まさかここで相まみえるとはな。
そしてドラウグル腐肉を膨張させて攻めてきた。
こいつ、前に戦ったのよりは強いな。パワーもスピードも段違いだ。
『たかがレベル6でレベル20の俺様に勝てると思ったら大間違いだ!』
こいつは鑑定が使えたんだったな。こっちのレベルはそれでバレたようだが、相手は自分のレベルもあっさり明かした。
レベル20か……確かに手強いな。前戦った奴の四倍だ。
だけど一度は戦った相手だ。それに負けるわけにもいかない。
「ちょこまかと!」
「居合忍法・抜刀幻魔眼・刹那の術!」
ここで試しに新しく覚えた忍法を使ってみた。ドラウグルは知識があるから通じるかも知れない。俺と目があったその瞬間、ドラウグルの動きが止まった。幻覚に見舞われたのだろうが、その無防備なドラウグルに刃が食い込んだ。
「グヌゥゥウゥウウ!」
苦しそうにドラウグルが呻く。しかし、これは思ったより使えるかも知れないな。
「居合忍法・抜刀爆撃燕返し!」
そして怯んだドラウグルに更に追撃。肉体が二回弾けそのまま消え去った。
一瞬攻撃がすり抜けるだけだが、魂力もそこまで消費しないしな。俺はタイミングを合わせるのは得意だから有効に扱える。
おかげでここから先も随分と楽になった。もっとも楽と言っても余裕ってことは全くなかったがな。
さて、ある程度進んだところで出てきたのは見栄えの良い骸骨だったわけだが。
「我はエルダーリッチなり!」
うん。知性あるアンデッドなようだが、エルダーリッチか。死霊を操る事のできる骸骨で、魑魅魍魎が俺に向けて一斉に襲いかかってきた。
「居合忍法・抜刀雷鏈!」
雷が連鎖し呼び出された魑魅魍魎を消し去っていく。エルダーリッチが随分と悔しがっていた。
「ならばこれだ! ボーンランチャー!」
無数の骨の槍がエルダーリッチから発射され、襲い掛かってくる。それらを避けていくが何発かは躱しきれない位置にあった、が。
「虚影!」
骨の槍が俺の体をすり抜けていった。何ぃ! と驚いたエルダーリッチの顎骨が外れそうになっていた。
その隙に一気に距離を詰める。
「居合忍法・抜刀影分身!」
「ぐぉおぉおぉおぉお!」
斬撃の雨を受けてエルダーリッチが消え去った。
ふぅ、これでどれぐらいまで来たのか。残り時間は既に四十を切っていた。
ここまでにそれなりに宝も手に入った。強化魔法薬なんかもあったが、実は今もそれを使用してエルダーリッチを倒している。
攻略中、全くレベルが上がらないのが厄介だ。アンデッド系はレベルが上がらない?
いや、そんな話は聞いたこと無いな。そもそも最初のダンジョンで倒したのがアンデッドだし。
なにか特殊な事情があるのかもな。さて、宝箱を見つけた。これも影分身で開いてもらったがすると今度は如何にもニンジャと言った見た目の人物が姿を見せた。
『俺は加藤段蔵の記憶だ』
「またか……戦って実力を示せというのか?」
『戦う必要はない』
すると加藤段蔵が四人に増えた。
『この中から本物の俺を見つけろ。ただし、チャンスは一度だ』
戦わなくてもいいのか。どうやら知恵比べ的な試練なようだ。試練で来てるのに更に試練とはな。
『ちなみにこの四人で本当のことを言っているのは一人だ』
『それがヒントになる』
『では先ず俺から』
「本物はあんただ」
『は?』
なにか色々言っていたが、すぐにわかったので答えた。
『……何故そう思う?』
「いや、魂を感じたのあんただけだし……」
この四人で俺が指摘した奴だけから魂の力を感じた。ヒントを聞くまでもない。
『……見事だ』
そして加藤段蔵は消え、スキルに加藤段蔵の記憶が追加された。更に手に入ったスキルは【幻魔眼・刹那の術】だった。
どうやらこれは目を見た相手に幻覚を見せる忍法なようだ。俺が見た相手ではないが、目を見た相手は一瞬ではあるが確実に幻覚を見るらしい。
ただ、この忍法はよく出るアンデッド相手だと効果が薄いようだ。折角覚えたのにどうも実感がわかないな。
『カカッ、此処まで来るとはな。だがここまでだ』
「おいおいこいつかよ」
そして次の場所に現れたのはドラウグルだった。まさかここで相まみえるとはな。
そしてドラウグル腐肉を膨張させて攻めてきた。
こいつ、前に戦ったのよりは強いな。パワーもスピードも段違いだ。
『たかがレベル6でレベル20の俺様に勝てると思ったら大間違いだ!』
こいつは鑑定が使えたんだったな。こっちのレベルはそれでバレたようだが、相手は自分のレベルもあっさり明かした。
レベル20か……確かに手強いな。前戦った奴の四倍だ。
だけど一度は戦った相手だ。それに負けるわけにもいかない。
「ちょこまかと!」
「居合忍法・抜刀幻魔眼・刹那の術!」
ここで試しに新しく覚えた忍法を使ってみた。ドラウグルは知識があるから通じるかも知れない。俺と目があったその瞬間、ドラウグルの動きが止まった。幻覚に見舞われたのだろうが、その無防備なドラウグルに刃が食い込んだ。
「グヌゥゥウゥウウ!」
苦しそうにドラウグルが呻く。しかし、これは思ったより使えるかも知れないな。
「居合忍法・抜刀爆撃燕返し!」
そして怯んだドラウグルに更に追撃。肉体が二回弾けそのまま消え去った。
0
お気に入りに追加
880
あなたにおすすめの小説
職種がら目立つの自重してた幕末の人斬りが、異世界行ったらとんでもない事となりました
飼猫タマ
ファンタジー
幕末最強の人斬りが、異世界転移。
令和日本人なら、誰しも知ってる異世界お約束を何も知らなくて、毎度、悪戦苦闘。
しかし、並々ならぬ人斬りスキルで、逆境を力技で捩じ伏せちゃう物語。
『骨から始まる異世界転生』の続き。
異世界転生したらたくさんスキルもらったけど今まで選ばれなかったものだった~魔王討伐は無理な気がする~
宝者来価
ファンタジー
俺は異世界転生者カドマツ。
転生理由は幼い少女を交通事故からかばったこと。
良いとこなしの日々を送っていたが女神様から異世界に転生すると説明された時にはアニメやゲームのような展開を期待したりもした。
例えばモンスターを倒して国を救いヒロインと結ばれるなど。
けれど与えられた【今まで選ばれなかったスキルが使える】 戦闘はおろか日常の役にも立つ気がしない余りものばかり。
同じ転生者でイケメン王子のレイニーに出迎えられ歓迎される。
彼は【スキル:水】を使う最強で理想的な異世界転生者に思えたのだが―――!?
※小説家になろう様にも掲載しています。
異世界転生はどん底人生の始まり~一時停止とステータス強奪で快適な人生を掴み取る!
夢・風魔
ファンタジー
若くして死んだ男は、異世界に転生した。恵まれた環境とは程遠い、ダンジョンの上層部に作られた居住区画で孤児として暮らしていた。
ある日、ダンジョンモンスターが暴走するスタンピードが発生し、彼──リヴァは死の縁に立たされていた。
そこで前世の記憶を思い出し、同時に転生特典のスキルに目覚める。
視界に映る者全ての動きを停止させる『一時停止』。任意のステータスを一日に1だけ奪い取れる『ステータス強奪』。
二つのスキルを駆使し、リヴァは地上での暮らしを夢見て今日もダンジョンへと潜る。
*カクヨムでも先行更新しております。
捨て子の僕が公爵家の跡取り⁉~喋る聖剣とモフモフに助けられて波乱の人生を生きてます~
伽羅
ファンタジー
物心がついた頃から孤児院で育った僕は高熱を出して寝込んだ後で自分が転生者だと思い出した。そして10歳の時に孤児院で火事に遭遇する。もう駄目だ! と思った時に助けてくれたのは、不思議な聖剣だった。その聖剣が言うにはどうやら僕は公爵家の跡取りらしい。孤児院を逃げ出した僕は聖剣とモフモフに助けられながら生家を目指す。
異世界転移は分解で作成チート
キセル
ファンタジー
黒金 陽太は高校の帰り道の途中で通り魔に刺され死んでしまう。だが、神様に手違いで死んだことを伝えられ、元の世界に帰れない代わりに異世界に転生することになった。
そこで、スキルを使って分解して作成(創造?)チートになってなんやかんやする物語。
※処女作です。作者は初心者です。ガラスよりも、豆腐よりも、濡れたティッシュよりも、凄い弱いメンタルです。下手でも微笑ましく見ていてください。あと、いいねとかコメントとかください(′・ω・`)。
1~2週間に2~3回くらいの投稿ペースで上げていますが、一応、不定期更新としておきます。
よろしければお気に入り登録お願いします。
あ、小説用のTwitter垢作りました。
@W_Cherry_RAITOというやつです。よろしければフォローお願いします。
………それと、表紙を書いてくれる人を募集しています。
ノベルバ、小説家になろうに続き、こちらにも投稿し始めました!
ユニークスキルの名前が禍々しいという理由で国外追放になった侯爵家の嫡男は世界を破壊して創り直します
かにくくり
ファンタジー
エバートン侯爵家の嫡男として生まれたルシフェルトは王国の守護神から【破壊の後の創造】という禍々しい名前のスキルを授かったという理由で王国から危険視され国外追放を言い渡されてしまう。
追放された先は王国と魔界との境にある魔獣の谷。
恐ろしい魔獣が闊歩するこの地に足を踏み入れて無事に帰った者はおらず、事実上の危険分子の排除であった。
それでもルシフェルトはスキル【破壊の後の創造】を駆使して生き延び、その過程で救った魔族の親子に誘われて小さな集落で暮らす事になる。
やがて彼の持つ力に気付いた魔王やエルフ、そして王国の思惑が複雑に絡み大戦乱へと発展していく。
鬱陶しいのでみんなぶっ壊して創り直してやります。
※小説家になろうにも投稿しています。
ノーアビリティと宣告されたけど、実は一番大事なものを 盗める能力【盗聖】だったので無双する
名無し
ファンタジー
16歳になったら教会で良いアビリティを貰い、幼馴染たちと一緒にダンジョンを攻略する。それが子供の頃からウォールが見ていた夢だった。
だが、彼が運命の日に教会で受け取ったのはノーアビリティという現実と不名誉。幼馴染たちにも見限られたウォールは、いっそ盗賊の弟子にでもなってやろうと盗賊の隠れ家として噂されている山奥の宿舎に向かった。
そこでウォールが出会ったのは、かつて自分と同じようにノーアビリティを宣告されたものの、後になって強力なアビリティを得た者たちだった。ウォールは彼らの助力も得て、やがて最高クラスのアビリティを手にすることになる。
【長編・完結】300歳エルフは、まだ森には帰りませんよ。 〜目まぐるしく過ぎた日々と、お茶を飲むひと時を。〜
BBやっこ
ファンタジー
300歳、エルフでいえば人生の折り返しも落ち着く。そろそろ世帯を持て、と煩さ方から言われる年頃だ。森で暮らすエルフが引き篭もりと言われる由縁は、エルフの秘密になるのか?判断はつかない。
100歳、多種族で言えば人生を終えている頃、200歳までに交流を楽しむ。
300歳はそろそろ世帯を持て!とうるさ方が言ってくる頃。まだ、男盛りのエルフは瞬く間に変わっていく世界をまだまだ愛でたい。
『ですので、まだ森には帰りませんよ。』
見た目はお兄さん、中身は好々爺。300歳エルフのひと息吐くにはお茶と覚書きを共に。
<アクレイオスの文書、保管方法。>
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる