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第二章 サムジャともふもふ編
第102話 サムジャと恒次の試練
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「お前は転生したと言っていたが魂の死は永遠の死だ。二度と転生することは叶わないだろう。それでもこの試練を受けるか?」
「あぁ、勿論受けるさ」
我ながら即答だったと思う。確かに全く迷う気持ちがなかったわけじゃないが、何かを得るためにリスクが付きまとうのは今に始まったことではない。
「……悩みもしなかったな」
「そもそも悩んでる時間が勿体ないしな。こうして話している間も、俺が滞在できる時間が減ってきてるんだろう?」
「確かにそのとおりだ。しかし、普通はもう少し躊躇するものだ。これを聞いて止めた者も少なくなかったぞ」
「そうか。そういえば過去にも受けたのもいるってことは、この試練を突破出来たのは何人いたんだ?」
「人の感覚で言えば私は魂を持ってから一万と二千年ほどになるが、その間でこの試験を乗り越えられたのは十二人ぐらいだな」
……一瞬意外といるなと思ってしまったが一万と二千年間に十二人か……
「失敗したのは何人だ?」
「そんなものは面倒だから覚えていない」
それだけ失敗した連中の方が多いってことか。最初の話だとここに来るのも難しいって話だったが一万二千年も生きていればそれなりの数がいたのか。
「怖気づいたか?」
「まさか。寧ろ俺が十三人目になってやろうって気合が入った」
「そうか。ついでに言っておくがお前のような低いレベルで乗り越えたものなど過去には誰ひとりとしていないぞ」
今、それ言うかね。そもそもこのレベルでここまで来るのが異例って話だからそれはそうなんだろうが。
「とにかく、試験には挑む。ところで魂の力ってのは減ったら減りっぱなしか?」
「魂の力も体力のように時間が経てば自然と回復する」
それを聞いて少しは安心した。
「……一つぐらい教えておいてやるか。ダンジョン内には魂の力が回復するソーマという聖薬が手に入ることがある」
「それは貴重な情報をありがとうな。しかし魂が入るダンジョンでも宝があるんだな」
「入るが持ち出すことは出来ない。もっとも手に入るのも薬やスクロールなどが殆どだが、ここにはかつての天職持ちの記憶が残っていることもある。場合によっては役立つかもな」
なるほど……持ち出すことが出来ない分、すぐに使用する宝というのが大前提にあるんだな。
後は記憶か。それが何かはわからないが気には止めておくかな。
「では、試練の門を開くぞ。最後の確認だが、受けるんだな?」
「無論だ」
「わかった」
そして男が手をかざすと目の前に骨で出来た門が現れ、ギギギィ、と言う鈍いきしみ音を奏でて開いた。
門は骸骨が口を開いたような様相になっていて一層不気味だ。
「全く悪趣味だな」
「同感だ」
いや、恒次が作ったんじゃないのか?
まぁいいか。とにかく俺は門の中へ足を踏み入れた。
「その試練を乗り越えない限りはもう出てこれない。そしてタイミリミットを過ぎたら元の世界にもどれないからな。残り時間にも気をつけることだ」
最後に恒次はそう言い残して門が閉まった。魂は時間で回復するが問題はその時間があまりないってことか。
そして俺はダンジョンに足を踏み入れることとなった。途端に暗闇から解放されいかにもダンジョンといった様相の場所に一人取り残されていた。
……そういえば残り時間ってどうやったらわかるんだろうか? 感覚で掴めとでも?
一応ステータスを確認してみた。するとステータスに今までなかった数字が浮かび上がっていた。
どうやらこれが残り時間のようだ。数字は残り二三九とあるな。更に小さな数字があるから間違いないだろう。
二三九は時間で見るんだろうな。十日だからそんなものだろう。右の小さな数字も減ってるし。
さてと、のんびりステータスを眺めてばかりもいられない。とにかく試験を乗り越えるためにこのダンジョンを攻略しなければいけない。
とりあえず進むが、不気味な洞窟だ。何故か墓が多い。
「ウォオォォオォオン」
「ウァ、ウ、ウヴ、ヴゥ」
「ア"」
すると墓のある地面が盛り上がり、わらわらとゾンビが出てきた。なるほど。だから墓が多いんだな。
「居合忍法・抜刀火吹!」
ゾンビといえば火だろうということで忍法で発生させた火でゾンビを焼き払っていく。
予想通りゾンビは火に弱かった。この程度なら問題ないな。レベルの低さを恒次は気にしていたようだが、最初のあたりはまだそこまで強い敵がでるわけでもないのか。
「「「「「「「「「「ウォオオオオォオオオォオオン」」」」」」」」」」
前言撤回。数が多すぎる。何だコイツらわらわらと。
一体一体は大したことなくてもこれだけいると手間だ。三桁は確実にいるし。
「居合忍法・抜刀爆炎陣!」
だが、相手を一掃するのにはこの忍法が役立つ。俺を中心に爆炎が拡がるからな。一発で十数体は倒したか。
……確かに便利だが、これだけでも殲滅するには十回は繰り返す必要がある。しかもまだまだ攻略は始まったばかりだ。魂がどれぐらい持つかもわからないのに無闇矢鱈とスキルを連発するわけにはいかない。
これは結構厄介だな。もっとも目的は迷宮攻略だ。倒す必要のあるゾンビだけ見極めていくしかないか……
「あぁ、勿論受けるさ」
我ながら即答だったと思う。確かに全く迷う気持ちがなかったわけじゃないが、何かを得るためにリスクが付きまとうのは今に始まったことではない。
「……悩みもしなかったな」
「そもそも悩んでる時間が勿体ないしな。こうして話している間も、俺が滞在できる時間が減ってきてるんだろう?」
「確かにそのとおりだ。しかし、普通はもう少し躊躇するものだ。これを聞いて止めた者も少なくなかったぞ」
「そうか。そういえば過去にも受けたのもいるってことは、この試練を突破出来たのは何人いたんだ?」
「人の感覚で言えば私は魂を持ってから一万と二千年ほどになるが、その間でこの試験を乗り越えられたのは十二人ぐらいだな」
……一瞬意外といるなと思ってしまったが一万と二千年間に十二人か……
「失敗したのは何人だ?」
「そんなものは面倒だから覚えていない」
それだけ失敗した連中の方が多いってことか。最初の話だとここに来るのも難しいって話だったが一万二千年も生きていればそれなりの数がいたのか。
「怖気づいたか?」
「まさか。寧ろ俺が十三人目になってやろうって気合が入った」
「そうか。ついでに言っておくがお前のような低いレベルで乗り越えたものなど過去には誰ひとりとしていないぞ」
今、それ言うかね。そもそもこのレベルでここまで来るのが異例って話だからそれはそうなんだろうが。
「とにかく、試験には挑む。ところで魂の力ってのは減ったら減りっぱなしか?」
「魂の力も体力のように時間が経てば自然と回復する」
それを聞いて少しは安心した。
「……一つぐらい教えておいてやるか。ダンジョン内には魂の力が回復するソーマという聖薬が手に入ることがある」
「それは貴重な情報をありがとうな。しかし魂が入るダンジョンでも宝があるんだな」
「入るが持ち出すことは出来ない。もっとも手に入るのも薬やスクロールなどが殆どだが、ここにはかつての天職持ちの記憶が残っていることもある。場合によっては役立つかもな」
なるほど……持ち出すことが出来ない分、すぐに使用する宝というのが大前提にあるんだな。
後は記憶か。それが何かはわからないが気には止めておくかな。
「では、試練の門を開くぞ。最後の確認だが、受けるんだな?」
「無論だ」
「わかった」
そして男が手をかざすと目の前に骨で出来た門が現れ、ギギギィ、と言う鈍いきしみ音を奏でて開いた。
門は骸骨が口を開いたような様相になっていて一層不気味だ。
「全く悪趣味だな」
「同感だ」
いや、恒次が作ったんじゃないのか?
まぁいいか。とにかく俺は門の中へ足を踏み入れた。
「その試練を乗り越えない限りはもう出てこれない。そしてタイミリミットを過ぎたら元の世界にもどれないからな。残り時間にも気をつけることだ」
最後に恒次はそう言い残して門が閉まった。魂は時間で回復するが問題はその時間があまりないってことか。
そして俺はダンジョンに足を踏み入れることとなった。途端に暗闇から解放されいかにもダンジョンといった様相の場所に一人取り残されていた。
……そういえば残り時間ってどうやったらわかるんだろうか? 感覚で掴めとでも?
一応ステータスを確認してみた。するとステータスに今までなかった数字が浮かび上がっていた。
どうやらこれが残り時間のようだ。数字は残り二三九とあるな。更に小さな数字があるから間違いないだろう。
二三九は時間で見るんだろうな。十日だからそんなものだろう。右の小さな数字も減ってるし。
さてと、のんびりステータスを眺めてばかりもいられない。とにかく試験を乗り越えるためにこのダンジョンを攻略しなければいけない。
とりあえず進むが、不気味な洞窟だ。何故か墓が多い。
「ウォオォォオォオン」
「ウァ、ウ、ウヴ、ヴゥ」
「ア"」
すると墓のある地面が盛り上がり、わらわらとゾンビが出てきた。なるほど。だから墓が多いんだな。
「居合忍法・抜刀火吹!」
ゾンビといえば火だろうということで忍法で発生させた火でゾンビを焼き払っていく。
予想通りゾンビは火に弱かった。この程度なら問題ないな。レベルの低さを恒次は気にしていたようだが、最初のあたりはまだそこまで強い敵がでるわけでもないのか。
「「「「「「「「「「ウォオオオオォオオオォオオン」」」」」」」」」」
前言撤回。数が多すぎる。何だコイツらわらわらと。
一体一体は大したことなくてもこれだけいると手間だ。三桁は確実にいるし。
「居合忍法・抜刀爆炎陣!」
だが、相手を一掃するのにはこの忍法が役立つ。俺を中心に爆炎が拡がるからな。一発で十数体は倒したか。
……確かに便利だが、これだけでも殲滅するには十回は繰り返す必要がある。しかもまだまだ攻略は始まったばかりだ。魂がどれぐらい持つかもわからないのに無闇矢鱈とスキルを連発するわけにはいかない。
これは結構厄介だな。もっとも目的は迷宮攻略だ。倒す必要のあるゾンビだけ見極めていくしかないか……
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