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第二章 サムジャともふもふ編

第94話 サムジャの追手

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 黒い鎧姿の魔物とワイバーンが襲いかかってきた。間違いなく宿に泊まっていた俺たちを狙ってきたものだろう。

 何故場所がわかったのか、という点で考えるならやはり考えられるのはハデルしかない。何か痕跡が残っていたか。
 
 まぁわりと目立つやりかただった気もするからな。そこは仕方ないのかもしれない。

「ギャァアアアアァアッス!」

 ワイバーンが空中から火球を次々と撃ってきた。地面にあたるごとに小爆発が起こる。更に尻尾を振って毒の棘もばら撒いてきた。

 そして地上からは黒鎧の槍攻撃だ。そこそこ鬱陶しい。数珠丸がある俺に毒は効かないし棘はある程度当たる覚悟だ。

 土纏の効果で防御力は上がっている。

「居合忍法・氷床の術!」

 黒鎧が鬱陶しいから忍法で地面を凍らせた。黒鎧の動きが鈍った。凍った地面に足を取られているからだ。

「居合忍法・抜刀雷咆燕返し!」

 更に居合忍法で直線状に雷を放つ。燕返し分と合わせて二発ワイバーンに命中し、呻き声を上げてワイバーンが鎧の上に落ちてきた。

 氷で足を取られて動けない黒鎧はその直撃を受けぺしゃんこになってしまう。

 どうやらこれで倒せたようだ。う~ん、終わってみれば意外とあっさりだったな。

「お、おわったのか?」
「あぁ、悪かったな。迷惑掛けてしまって」
「だからいいって。気にするな。でも、も、もう大丈夫だよな?」

 宿の主人が心配そうにしていた。気配を探ってみたがとりあえずもう何か来る様子はない。

「油断は出来ないが、多分大丈夫だと思うぞ」
「そうか。なら良かった。シノも気をつけろよ。何かいるか?」
「大丈夫。いや、水を一杯もらおうかな」
「わかった。持ってきてやるよ」

 流石に喉が乾いたからな。しかし主人にはもうしわけないな。そういえばワイバーンは尻尾には毒があるが、それを除けば肉は旨いんだよな。

 主人が来る前にワイバーンの解体を済ませた。水を持ってきた主人が驚いていた。

「これ、シノがやったのか?」
「あぁ、ワイバーンを解体した。肉が使えないかなと思ったんだけどどうかな?」
「ワイバーンだって!? そんなのが来てたのか……だけど高級肉だぞ?」
「いいんだ。世話になったしあんたの料理は旨いから有効活用してくれ」
「……わかった。受け取るよ。その代わりとびきり旨い飯作ってやるからな!」
「期待してるよ」

 そして俺は厨房までワイバーンの肉を運んだ。それにもお礼を言われたものだ。

 後は黒い鎧だが、鎧そのものが残ったし何か価値があるかもな。一応影風呂敷で槍も一緒にしまっておこう。

 グレムリンは魔石が採れる魔物だ。しっかり回収しておいた。食材としては全くつかえないけどな。

 さてと、今の戦いでレベルも上がっていた。ステータスを確認してみる。


ステータス
名前:シノ・ビローニン
レベル:6
天職:サムジャ
スキル
早熟晩成、刀縛り、居合、居合忍法、居合省略、抜刀燕返し、抜刀フェイント、活力増強、抜刀増強、抜刀追忍、円殺陣、侍魂、忍体術、暗視、薬学の知識、手裏剣強化、チャクラ強化、チャクラ操作、苦無強化、気配遮断、気配察知、土錬金の術、土返しの術、土纏の術、堅牢石の術、鎌鼬の術、草刈の術、旋風の術、凩の術、風牙の術、烈風の術、火吹の術、烈火弾の術、爆撃の術、爆炎陣の術、烈火連弾の術、浄水の術、水霧の術、水手裏剣の術、水柱の術、落雷の術、雷鏈の術、雷咆の術、氷結弾の術、氷床の術、影分身の術、影走りの術、口寄せの術、影縫いの術、影風呂敷の術、影鎖の術、変わり身の術、変化の術

 スキルが大分増えてきたな。活力と抜刀が強化から増強に変わりより効果が高くなった。

 抜刀フェイントは抜刀すると見せかけてフェイントに使い、相手の出鼻をくじく。スキルとして使うことでより効果は大きくなるようだ。

 後は忍法だな。烈風の術は扇状に鋭利な風を放つ。烈火連弾は火球の連射。水柱は水の柱を発生させる。水系はいまのところあまり使ってないな。

 水のないところだとチャクラの消費が大きい上に効果が小さいからな。水霧はそれでも役立つ場面があるんだが。

 さて、喉を潤し、それから朝まで見張りを続けたが、流石にもう追手がやってくることはなかった。

 さて、今日も朝から忙しいことになりそうだ――





◇◆◇

「メイシルはどうした! 一体どこに行っている!」

 朝になりミレイユの部屋にダミールが怒鳴り込んだ。ミレイユから話したことはなかったが、流石にメイシルがいないことに気がついてしまったようだ。

「メイシルは半日、暇を与えました。午前中には戻ってくると思いますわ」
「暇だと……一体どこに行ったのだ!」
「それはわかりません。暇を与えたのですから自由にさせて構わないでしょう」
「ふざけるな! 今この屋敷の主は私だぞ! それなのに勝手なことばかりしおって!」
「あくまで代理でしょう。それにメイシルの主人は私です」

 もともとメイシルはミレイユの世話係としても任命されていた。なのでミレイユが暇を与えることには何の問題もない。

「貴様ら、揃いも揃って……もういい!」

 そしてダミールが部屋を出ていくのを認め、やれやれとミレイユは肩をすくめるのだった。
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