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第二章 サムジャともふもふ編
第92話 サムジャ、口寄せでピンチを救う?
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宿にセイラと戻り、ベッドに横になっていたマスカを診てもらった。かなり危険な状態には思えたが、セイラの魔法によって顔色も良くなり傷も塞がっていった。
やはりセイラは凄いな。スキルの効果で治療魔法の効果が上がっているとのことではあったが、それにしてもかなりのものだ。
マスカの様子も落ち着いてきたし後はこのまま寝かせておこう。
「でも、マスカが無事で良かった……セイラのおかげだね」
「はい。やはり聖女様の魔法は素晴らしいと思います。旦那様を見れるのはセイラ様だけです」
「そんな……でも、シノさんから聞きましたのでしっかり診させていただきますね」
ルンも安堵しセイラもメイシルへ真剣に受け答えしていた。
その時、ふとパピィに危険が迫っている予感がした。だから俺は口寄せの術でパピィを呼び戻した。
予感は当たっていた。パピィはかなりぐったりしている。すぐに駆け寄って容態を確認した。疑問に思ったのは怪我はしていたが、ここまでの状態になるほどとは思えなかったことだ。
「パピィちゃん!?」
「そんなパピィ! どうして!?」
セイラとルンも驚いている。俺はセイラに声を掛けてお願いした。
「セイラ。済まない。今さっき治療してもらったのに」
「わ、私は大丈夫です! すぐに診ます!」
セイラがパピィに魔法を施す。
「これ……まるで内側から生命力でも奪われたみたいな状態です」
内側から――何らかの魔法やスキルを受けたのか?
「パピィは大丈夫か? 必要な物があれば言ってくれ! 意地でも探してくる!」
「私も何でもするわ!」
「シノさん、ルンさんもパピィちゃんのこと大事にしてくれているんですね。大丈夫です! 逆に言えば生命力さえ戻せば元気になりますから!」
そしてセイラは必死にパピィの為に魔法を使ってくれた。そして――
「ふぅ、これでもう大丈夫ですよ。ただ体力と後おそらく魔力も減ってるのでこのまま眠らせてあげてくださいね」
「よ、良かったぁパピィ~」
ルンが泣きそうな顔でパピィの頭を撫でる。パピィの息も落ち着いてきていて、ス~ス~と寝息を立てていた。
「あぁ。ありがとうセイラ。君のおかげで本当に助かった。君がいてくれてよかったよ」
「え? あ、え、と――」
俺は素直な気持ちでセイラにお礼を言った。するとセイラの顔が真っ赤になり口調もしどろもどろになってしまった。
「セイラ! もしかして疲れが出たのか? 大丈夫か?」
「ひゃ、ひゃい! 大丈夫です~」
なんだろう? やっぱりちょっと変かな? するとメイシルのくすくすという笑い声が聞こえてきた。そしてルンは眉を落としてこっちを見ていた。
「でも、マスカさんもパピィちゃんも無事で良かったです」
「あぁ。ただ二人とも朝まで目覚めないと思う。その鑑定結果は急がなくて大丈夫か?」
「むしろこの時間に屋敷に戻るわけにもいかないですので、明日の朝でも大丈夫ですよ」
メイシルが笑顔で答えてくれた。なら良かった。
「そうか。ならみんなは休んでくれ」
「シノさんは?」
「俺も今日は疲れたからもう少ししたら寝るよ。大丈夫この場所はバレてないだろうし、危険はないよ」
「……そんなこと言ってまたなにか無茶する気じゃないよね?」
ルンに妙な勘ぐりをされてしまった。
「大丈夫だ。俺も明日の為に寝ておきたいしな」
「それならいいけど……」
それからはルンやセイラとメイシルにも休んでもらうことになった。宿の主人の厚意で両隣の部屋を空けてくれたようだ。
この部屋にはルンやパピィとマスカに寝てもらい、隣の一部屋でメイシルとセイラが寝ることになった。
必然的に俺はもう一つの部屋となるが、今夜は寝るつもりはない。皆にはあぁ言ったが、油断は出来ないからな。
俺はニンジャやサムライだった時代が長い。その時は徹夜も当たり前にやったものだ。だから慣れている。一晩ぐらい寝ずに番をしても問題ない。
何もないならそれに越したことはないが、妙な胸騒ぎがするのも確かだからな――
◇◆◇
「くそ、忌々しい!」
パピィが消えた後、ハデルは部屋で一人憤っていた。
「このままではすまぬぞ……あの犬の魔力はまだ残っている。それを辿らせることなど容易い――」
そしてハデルが召喚によって新たな魔物を呼び出した。
「グギィ、ギィ――」
「グァ~」
「ふふ、いいぞ。行けグレムリン! 魔力を辿りあの犬を殺せ。そしてもし主人が生き残っているようならそれも纏めて始末するのだ!」
こうしてハデルの命令によって召喚されたグレムリンが動き出した――
やはりセイラは凄いな。スキルの効果で治療魔法の効果が上がっているとのことではあったが、それにしてもかなりのものだ。
マスカの様子も落ち着いてきたし後はこのまま寝かせておこう。
「でも、マスカが無事で良かった……セイラのおかげだね」
「はい。やはり聖女様の魔法は素晴らしいと思います。旦那様を見れるのはセイラ様だけです」
「そんな……でも、シノさんから聞きましたのでしっかり診させていただきますね」
ルンも安堵しセイラもメイシルへ真剣に受け答えしていた。
その時、ふとパピィに危険が迫っている予感がした。だから俺は口寄せの術でパピィを呼び戻した。
予感は当たっていた。パピィはかなりぐったりしている。すぐに駆け寄って容態を確認した。疑問に思ったのは怪我はしていたが、ここまでの状態になるほどとは思えなかったことだ。
「パピィちゃん!?」
「そんなパピィ! どうして!?」
セイラとルンも驚いている。俺はセイラに声を掛けてお願いした。
「セイラ。済まない。今さっき治療してもらったのに」
「わ、私は大丈夫です! すぐに診ます!」
セイラがパピィに魔法を施す。
「これ……まるで内側から生命力でも奪われたみたいな状態です」
内側から――何らかの魔法やスキルを受けたのか?
「パピィは大丈夫か? 必要な物があれば言ってくれ! 意地でも探してくる!」
「私も何でもするわ!」
「シノさん、ルンさんもパピィちゃんのこと大事にしてくれているんですね。大丈夫です! 逆に言えば生命力さえ戻せば元気になりますから!」
そしてセイラは必死にパピィの為に魔法を使ってくれた。そして――
「ふぅ、これでもう大丈夫ですよ。ただ体力と後おそらく魔力も減ってるのでこのまま眠らせてあげてくださいね」
「よ、良かったぁパピィ~」
ルンが泣きそうな顔でパピィの頭を撫でる。パピィの息も落ち着いてきていて、ス~ス~と寝息を立てていた。
「あぁ。ありがとうセイラ。君のおかげで本当に助かった。君がいてくれてよかったよ」
「え? あ、え、と――」
俺は素直な気持ちでセイラにお礼を言った。するとセイラの顔が真っ赤になり口調もしどろもどろになってしまった。
「セイラ! もしかして疲れが出たのか? 大丈夫か?」
「ひゃ、ひゃい! 大丈夫です~」
なんだろう? やっぱりちょっと変かな? するとメイシルのくすくすという笑い声が聞こえてきた。そしてルンは眉を落としてこっちを見ていた。
「でも、マスカさんもパピィちゃんも無事で良かったです」
「あぁ。ただ二人とも朝まで目覚めないと思う。その鑑定結果は急がなくて大丈夫か?」
「むしろこの時間に屋敷に戻るわけにもいかないですので、明日の朝でも大丈夫ですよ」
メイシルが笑顔で答えてくれた。なら良かった。
「そうか。ならみんなは休んでくれ」
「シノさんは?」
「俺も今日は疲れたからもう少ししたら寝るよ。大丈夫この場所はバレてないだろうし、危険はないよ」
「……そんなこと言ってまたなにか無茶する気じゃないよね?」
ルンに妙な勘ぐりをされてしまった。
「大丈夫だ。俺も明日の為に寝ておきたいしな」
「それならいいけど……」
それからはルンやセイラとメイシルにも休んでもらうことになった。宿の主人の厚意で両隣の部屋を空けてくれたようだ。
この部屋にはルンやパピィとマスカに寝てもらい、隣の一部屋でメイシルとセイラが寝ることになった。
必然的に俺はもう一つの部屋となるが、今夜は寝るつもりはない。皆にはあぁ言ったが、油断は出来ないからな。
俺はニンジャやサムライだった時代が長い。その時は徹夜も当たり前にやったものだ。だから慣れている。一晩ぐらい寝ずに番をしても問題ない。
何もないならそれに越したことはないが、妙な胸騒ぎがするのも確かだからな――
◇◆◇
「くそ、忌々しい!」
パピィが消えた後、ハデルは部屋で一人憤っていた。
「このままではすまぬぞ……あの犬の魔力はまだ残っている。それを辿らせることなど容易い――」
そしてハデルが召喚によって新たな魔物を呼び出した。
「グギィ、ギィ――」
「グァ~」
「ふふ、いいぞ。行けグレムリン! 魔力を辿りあの犬を殺せ。そしてもし主人が生き残っているようならそれも纏めて始末するのだ!」
こうしてハデルの命令によって召喚されたグレムリンが動き出した――
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『砂魔法の建国者~砂属性なんて使えないと砂漠に追放されたから砂の城でのんびりスローライフ満喫してた筈なのにいつの間にか巨大国家に成長してた!~』という新作をはじめました。こちらも興味が湧きましたら宜しくお願い致しますm(__)m
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