57 / 125
第二章 サムジャともふもふ編
第56話 サムジャ、セイラを囮に?
しおりを挟む
一人の少女が夜中に通りを歩いていた。どこかの民族衣装のような物を来ている辺り、町に流れ着いたばかりの世間知らずな女なのかもしれない。
最近は事件について大分認知されており、夜を出歩くような女は減っていた。だから日が少し暮れたくらいであっても犯人は娼婦を狙って行為に至ったりしていた。
もっとも行為と言っても彼のは殺人行為――それはある意味で犯人の生きがいでもあった。喉が渇くのだ。それは本人の本能によるものなのか、天職の影響なのか、自身にもわからなくなっていた。
ただ確実に言えるのは、自らの欲望を満たすために定期的に訪れる殺意を満たさなければいけないということ。
その獲物が今目の前を歩いている。我慢ができない。迂闊にも女は路地裏に入った。
気配を消し、そして後を尾け、背後から女に迫った。手の凶器、これで先ずはどこを切ろうか?
腕を切り戸惑ったところで押し倒すか? 足を切り先ずは動きを止めるか?
いや、違う。先ずは背中を一突きだ。女はとても魅力的な背中をしており、その衣装は背中の部分がぱっくりと割れていた。誘っているとしか思えない。
そして遂にその凶刃を背中に向けて振り下ろそうとしたその時。
「掛かったな通り魔野郎」
女が、いや男が振り返り、鋭い眼で彼を睨みつけてきた。
◇◆◇
わかってしまえば簡単な手だった。そして結果的にあのブロストという冒険者ははた迷惑な奴ではあったが役に立った。
俺がセイラに協力してもらったのはその顔を借りること。そしてもう一つはシエロが見ていたあの衣装を着てもらうことだった。
そう、それさえ確認できればわざわざセイラが囮になることはない。俺が変化すればいいのだ。
ステータス
名前:シノ・ビローニン
レベル:4
天職:サムジャ
スキル
早熟晩成、刀縛り、居合、居合忍法、居合省略、抜刀燕返し、活力強化、抜刀強化、抜刀追忍、円殺陣、忍体術、暗視、薬学の知識、手裏剣強化、チャクラ強化、チャクラ操作、苦無強化、気配遮断、気配察知、土錬金の術、土返しの術、土纏の術、鎌鼬の術、草刈の術、旋風の術、凩の術、風牙の術、火吹の術、烈火弾の術、爆撃の術、浄水の術、水霧の術、水手裏剣の術、落雷の術、雷鏈の術、氷結弾の術、影分身の術、影走りの術、口寄せの術、影縫いの術、影風呂敷の術、影鎖の術、変わり身の術、変化の術
レベル4に上がった俺のステータス。その中に増えたスキルの中に変化の術があった。
・変化の術
知っている人間に変化出来る忍法。服装も含めて変化の対象となる。すれ違っただけのような相手には変化不可。
そして表示された効果がこれだ。変化の術はある程度知った人間になら好きに変化出来る。そういった忍法だったのだ。
全くまさにおあつらえ向きな忍法だったな。おかげでセイラ本人は危ない目に合わせなくて済む。
民族衣装を選んだのは、服装でもしかしたらどこか別な地からやってきた相手かもしれないと思う可能性を考えたからだ。
そうすれば迂闊な行動に見えても、この町のことをよく知らないんだろうと思いこんでくれるかも知れないからな。
「……」
「不可解って表情だな。ジャック」
「――ッ!?」
俺が名前を口にすると明らかな動揺が見られた。そりゃそうだろう。これまで性別以外は全く知られていなかったというのに名前がバレてるんだから。
勿論これはルンのおかげでもある。予め施してもらっていたんだ。鑑定の刻印を。刻印が消える前に作戦に引っかかるかは賭けだったが上手くいった。
「何故、名前がわかった?」
ようやく観念して声を発したか。パピィの情報通り野太い男の声だ。
「さて、何故だろうな? そう簡単に教えるわけ無いだろう? それよりどうする? 俺は冒険者としてお前をここで倒すつもりだが、臆病者のお前はこのまま逃げるか? もっともお前の正体がわかった以上、逃げてもギルド総出でやらせてもらうがな」
見え透いた挑発でもある。だが、こいつは恐らく逃げない。この状況で逃げても不利だと感じているはずだし、それなら俺をこの場で片付けた方が早いと思っていることだろう。
「――腹の立つ奴だ。だが、もし俺が背後から襲うしか能がないと思ったならとんだ間違いだ」
「違うのか?」
「言ってろ!」
そしてジャックが右手の手刀で俺に襲いかかってきた。振られた手刀を苦無で受け止める。キィイィイン! とう金属同士がかち合ったような音が鳴り響く。
「随分と鋭いな」
「当然だ。俺のこれは散々を血を吸って来た自慢の手刀だ」
フードから見える口元に手のひらを持っていきぺろりと舐めた。
全く薄気味悪いやつだ。しかしこいつ――
ステータス
名前:ジャック
レベル:5
天職:切裂魔
スキル
斬殺、ハンドリッパー、フライリッパー、ブラッドリッパー、経験血
これが鑑定で見たこの男のステータスだ。
レベルが5か高いな。少なくとも俺よりも上だ。
だが、それよりも気になるのは天職だ。切裂魔って物騒すぎるだろう。
普通に考えてこんな天職は考えられないが、実は一つだけ思い当たることがある。
「一つ聞くが、お前の天職、その切裂魔は闇の天職か?」
「……ニィ――」
俺が問うと、答えの代わりに不気味な笑みが返ってきた。
ただ、これは答えみたいなものか。闇の天職――通常の天職は神から授かるとされているが、闇の天職とされる物は神は神でも邪神から授かる天職とされている。
それ故に多いのは後天性でだが、たまに先天性で手に入る場合もあるとか。
闇の天職を持つものは心に闇を抱えるという。闇を抱えたから闇の天職を授かったのか闇の天職の影響で闇を抱えたのかという議論もあるようだが、どちらにせよ闇の天職もちは放置してはおけない存在だ。
「フンッ!」
と、考えている間に、ジャックが手刀を振るった。すると斬撃が俺に向けて飛んできてスパッと両断された。
「男は瞬殺だ、何!」
「変わり身だよ」
俺の代わりに切れた丸太が転がり、そして後ろに回り込んだ俺はがら空きの背中めがけて抜刀する――
最近は事件について大分認知されており、夜を出歩くような女は減っていた。だから日が少し暮れたくらいであっても犯人は娼婦を狙って行為に至ったりしていた。
もっとも行為と言っても彼のは殺人行為――それはある意味で犯人の生きがいでもあった。喉が渇くのだ。それは本人の本能によるものなのか、天職の影響なのか、自身にもわからなくなっていた。
ただ確実に言えるのは、自らの欲望を満たすために定期的に訪れる殺意を満たさなければいけないということ。
その獲物が今目の前を歩いている。我慢ができない。迂闊にも女は路地裏に入った。
気配を消し、そして後を尾け、背後から女に迫った。手の凶器、これで先ずはどこを切ろうか?
腕を切り戸惑ったところで押し倒すか? 足を切り先ずは動きを止めるか?
いや、違う。先ずは背中を一突きだ。女はとても魅力的な背中をしており、その衣装は背中の部分がぱっくりと割れていた。誘っているとしか思えない。
そして遂にその凶刃を背中に向けて振り下ろそうとしたその時。
「掛かったな通り魔野郎」
女が、いや男が振り返り、鋭い眼で彼を睨みつけてきた。
◇◆◇
わかってしまえば簡単な手だった。そして結果的にあのブロストという冒険者ははた迷惑な奴ではあったが役に立った。
俺がセイラに協力してもらったのはその顔を借りること。そしてもう一つはシエロが見ていたあの衣装を着てもらうことだった。
そう、それさえ確認できればわざわざセイラが囮になることはない。俺が変化すればいいのだ。
ステータス
名前:シノ・ビローニン
レベル:4
天職:サムジャ
スキル
早熟晩成、刀縛り、居合、居合忍法、居合省略、抜刀燕返し、活力強化、抜刀強化、抜刀追忍、円殺陣、忍体術、暗視、薬学の知識、手裏剣強化、チャクラ強化、チャクラ操作、苦無強化、気配遮断、気配察知、土錬金の術、土返しの術、土纏の術、鎌鼬の術、草刈の術、旋風の術、凩の術、風牙の術、火吹の術、烈火弾の術、爆撃の術、浄水の術、水霧の術、水手裏剣の術、落雷の術、雷鏈の術、氷結弾の術、影分身の術、影走りの術、口寄せの術、影縫いの術、影風呂敷の術、影鎖の術、変わり身の術、変化の術
レベル4に上がった俺のステータス。その中に増えたスキルの中に変化の術があった。
・変化の術
知っている人間に変化出来る忍法。服装も含めて変化の対象となる。すれ違っただけのような相手には変化不可。
そして表示された効果がこれだ。変化の術はある程度知った人間になら好きに変化出来る。そういった忍法だったのだ。
全くまさにおあつらえ向きな忍法だったな。おかげでセイラ本人は危ない目に合わせなくて済む。
民族衣装を選んだのは、服装でもしかしたらどこか別な地からやってきた相手かもしれないと思う可能性を考えたからだ。
そうすれば迂闊な行動に見えても、この町のことをよく知らないんだろうと思いこんでくれるかも知れないからな。
「……」
「不可解って表情だな。ジャック」
「――ッ!?」
俺が名前を口にすると明らかな動揺が見られた。そりゃそうだろう。これまで性別以外は全く知られていなかったというのに名前がバレてるんだから。
勿論これはルンのおかげでもある。予め施してもらっていたんだ。鑑定の刻印を。刻印が消える前に作戦に引っかかるかは賭けだったが上手くいった。
「何故、名前がわかった?」
ようやく観念して声を発したか。パピィの情報通り野太い男の声だ。
「さて、何故だろうな? そう簡単に教えるわけ無いだろう? それよりどうする? 俺は冒険者としてお前をここで倒すつもりだが、臆病者のお前はこのまま逃げるか? もっともお前の正体がわかった以上、逃げてもギルド総出でやらせてもらうがな」
見え透いた挑発でもある。だが、こいつは恐らく逃げない。この状況で逃げても不利だと感じているはずだし、それなら俺をこの場で片付けた方が早いと思っていることだろう。
「――腹の立つ奴だ。だが、もし俺が背後から襲うしか能がないと思ったならとんだ間違いだ」
「違うのか?」
「言ってろ!」
そしてジャックが右手の手刀で俺に襲いかかってきた。振られた手刀を苦無で受け止める。キィイィイン! とう金属同士がかち合ったような音が鳴り響く。
「随分と鋭いな」
「当然だ。俺のこれは散々を血を吸って来た自慢の手刀だ」
フードから見える口元に手のひらを持っていきぺろりと舐めた。
全く薄気味悪いやつだ。しかしこいつ――
ステータス
名前:ジャック
レベル:5
天職:切裂魔
スキル
斬殺、ハンドリッパー、フライリッパー、ブラッドリッパー、経験血
これが鑑定で見たこの男のステータスだ。
レベルが5か高いな。少なくとも俺よりも上だ。
だが、それよりも気になるのは天職だ。切裂魔って物騒すぎるだろう。
普通に考えてこんな天職は考えられないが、実は一つだけ思い当たることがある。
「一つ聞くが、お前の天職、その切裂魔は闇の天職か?」
「……ニィ――」
俺が問うと、答えの代わりに不気味な笑みが返ってきた。
ただ、これは答えみたいなものか。闇の天職――通常の天職は神から授かるとされているが、闇の天職とされる物は神は神でも邪神から授かる天職とされている。
それ故に多いのは後天性でだが、たまに先天性で手に入る場合もあるとか。
闇の天職を持つものは心に闇を抱えるという。闇を抱えたから闇の天職を授かったのか闇の天職の影響で闇を抱えたのかという議論もあるようだが、どちらにせよ闇の天職もちは放置してはおけない存在だ。
「フンッ!」
と、考えている間に、ジャックが手刀を振るった。すると斬撃が俺に向けて飛んできてスパッと両断された。
「男は瞬殺だ、何!」
「変わり身だよ」
俺の代わりに切れた丸太が転がり、そして後ろに回り込んだ俺はがら空きの背中めがけて抜刀する――
0
『砂魔法の建国者~砂属性なんて使えないと砂漠に追放されたから砂の城でのんびりスローライフ満喫してた筈なのにいつの間にか巨大国家に成長してた!~』という新作をはじめました。こちらも興味が湧きましたら宜しくお願い致しますm(__)m
お気に入りに追加
882
あなたにおすすめの小説
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた
佐藤醤油
ファンタジー
貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。
僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。
魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。
言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。
この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。
小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。
------------------------------------------------------------------
お知らせ
「転生者はめぐりあう」 始めました。
------------------------------------------------------------------
注意
作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。
感想は受け付けていません。
誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。

元ゲーマーのオタクが悪役令嬢? ごめん、そのゲーム全然知らない。とりま異世界ライフは普通に楽しめそうなので、設定無視して自分らしく生きます
みなみ抄花
ファンタジー
前世で死んだ自分は、どうやらやったこともないゲームの悪役令嬢に転生させられたようです。
女子力皆無の私が令嬢なんてそもそもが無理だから、設定無視して自分らしく生きますね。
勝手に転生させたどっかの神さま、ヒロインいじめとか勇者とか物語の盛り上げ役とかほんっと心底どうでも良いんで、そんなことよりチート能力もっとよこしてください。

生活魔法は万能です
浜柔
ファンタジー
生活魔法は万能だ。何でもできる。だけど何にもできない。
それは何も特別なものではないから。人が歩いたり走ったりしても誰も不思議に思わないだろう。そんな魔法。
――そしてそんな魔法が人より少し上手く使えるだけのぼくは今日、旅に出る。

転生したら脳筋魔法使い男爵の子供だった。見渡す限り荒野の領地でスローライフを目指します。
克全
ファンタジー
「第3回次世代ファンタジーカップ」参加作。面白いと感じましたらお気に入り登録と感想をくださると作者の励みになります!
辺境も辺境、水一滴手に入れるのも大変なマクネイア男爵家生まれた待望の男子には、誰にも言えない秘密があった。それは前世の記憶がある事だった。姉四人に続いてようやく生まれた嫡男フェルディナンドは、この世界の常識だった『魔法の才能は遺伝しない』を覆す存在だった。だが、五〇年戦争で大活躍したマクネイア男爵インマヌエルは、敵対していた旧教徒から怨敵扱いされ、味方だった新教徒達からも畏れられ、炎竜が砂漠にしてしまったと言う伝説がある地に押し込められたいた。そんな父親達を救うべく、前世の知識と魔法を駆使するのだった。
本当の仲間ではないと勇者パーティから追放されたので、銀髪ケモミミ美少女と異世界でスローライフします。
なつめ猫
ファンタジー
田中一馬は、40歳のIT会社の社員として働いていた。
しかし、異世界ガルドランドに魔王を倒す勇者として召喚されてしまい容姿が17歳まで若返ってしまう。
探しにきた兵士に連れられ王城で、同郷の人間とパーティを組むことになる。
だが【勇者】の称号を持っていなかった一馬は、お荷物扱いにされてしまう。
――ただアイテムボックスのスキルを持っていた事もあり勇者パーティの荷物持ちでパーティに参加することになるが……。
Sランク冒険者となった事で、田中一馬は仲間に殺されかける。
Sランク冒険者に与えられるアイテムボックスの袋。
それを手に入れるまで田中一馬は利用されていたのだった。
失意の内に意識を失った一馬の脳裏に
――チュートリアルが完了しました。
と、いうシステムメッセージが流れる。
それは、田中一馬が40歳まで独身のまま人生の半分を注ぎこんで鍛え上げたアルドガルド・オンラインの最強セーブデータを手に入れた瞬間であった!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる