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第一章 天職はサムジャ編

プロローグ

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 一度の目人生、俺の天職はサムライだった。

「サムライなんて使えない天職を手にしておいて、よく恥ずかしげもなく行きていけるな」
「生きてるだけでゴミなんだよ馬鹿」
 
 歩いているだけで通行人や冒険者に唾を吐きつけられる毎日。サムライは刀がないとその力が発揮できない上、大器晩成といスキルのおかげでレベルが上がるのが遅い。

 こんな俺をパーティーに入れてくれる存在など皆無だった。だから一人で孤独に修行を積んだ。十年、二十年とたった一人で刀の腕だけを磨きつづけ、ようやくサムライでも欠点を補えるスキル、居合を生み出した。だがその時には俺の頭には白髪が生え、肉体的にも衰えていた。

「今更サムライが新しいスキルなんて覚えたからって何になるんだ――」

 それが俺への評価だった。それでも、最後に一華咲かせたく、あの大物を仕留めにいきそしてある竜を狩った。
 
 これでサムライとしての力を認めてもらえる、そう思っていたのだが――

「あの竜を狩ったのは俺だ。お前じゃない」
「そういうことだ。大体サムライで孤独の貴様なんかがあの竜を狩れるわけがないだろう馬鹿が」
「しかし、私は――あ……」
「サムライなどというクズ天職はこの世にはいらん。その刀も置いていくんだな」
「はは、さすが賢者の魔法だ。じゃあなゴミ」

 そんな奴らの言葉を最後に俺の意識が薄れていった。竜を何とか狩り満身創痍だったところを賢者に後ろから狙われたからだ。

 そしてサムライの私は孤独なまま死んだ――





 二度目の人生で俺はニンジャだった。しかしやはりニンジャも不遇食扱いで冷遇されていた。だが、この時はそれでもまだ俺とパーティーを組んでくれる仲間がわずかの間とは言えいた。

 ニンジャには気配を察知できる能力がある。罠を発見するのに役立った。それに使えないとされる忍法も自分なりに考え編みだすことで多少なりとも役に立てるようになったつもりだった。

 だが今俺は、醜悪な顔であざ笑う仲間だった連中を見上げながら穴の底に真っ逆さまに落ちていた。

「黒装束もなければニンジャの力も発揮できないだろう? そのまま死ね」
「酷いな勇者も」
「でもいいのかい? ニンジャってわりにあいつ使えただろう?」
「だからだよ。天災職とされるニンジャなんかにこれ以上活躍されたら俺が目立てなくなる」
「汚い、流石勇者汚い!」
「キャハッ、でもさどうせあいつは最初だけ。後で足手まといになるのはわかりきってるもんね♪」

 あぁそうか。やっと出来た仲間だと思っていたのは俺だけだったんだな――そしてこの日、サムライの記憶を持ったまま二度目の人生を過ごしたニンジャとしての俺も死を迎えた……
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