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第2章 球技を扱う冒険者編
第78話 エルフの里の問題
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球技に目覚めた仲間のためにエルフの里まで素材を集めに来たキングだったが、エルフの里では重大な問題を抱えていた。
「俺も冒険者だ。いつだって危険に挑む覚悟はある」
長老に覚悟を問われたキングが堂々と答えた。これには仲間たちも一緒のようであり真剣な顔で頷いている。
「ただ、気になるのだがその危険は例の変わり果てたエルフと関係あるのかな?」
「キュ~……」
覚悟はあると答えたキングだったが、同時に里に来る途中で見たエルフを思い出し聞き返した。
これについてはボールもどことなく心配そうである。
「――そうよ。里から追放された私だけどやっぱり同郷のエルフがあんな目にあってるの見たら放ってはおけないわ。あれについて聞かせてよ」
ウィンがぐいっと詰め寄り長老を問い詰めた。やはり途中で見た仲間の姿に心を痛めていたのだろう。
「……本来なら追放されたお前や余所者には関係ない話だがな。仮にも球神様に選ばれたのだからな。いいだろう――」
長老がボールを見ながら一人納得したように頷いた。そいてゆっくりと語りだす。
「ここから北に向かった先。そこには本来この森の御神木であるロードス様が生えていた。だが――突如ロードス様が汚され変貌を遂げてしまった」
杖をギュッと握りしめ口惜しげに語る長老。神木の変貌をみすみす許してしまったことを悔いているのかもしれない。
「その後、里のエルフで調査団を結成し再びロードス様の様子を見に行ったが――そこから先は知ってのとおりだ。あのような姿になって戻ってきた上、止めようとした者も奇妙な植物に蝕まれ仲間を襲い出す。そうやって少しずつ仲間が犠牲になっていく始末だ」
そこまで語り長老が頭を抱えた。話を聞くに里のエルフが大分犠牲になってしまっているのだろう。
「それで、変わったエルフは――どうしたの?」
ウィンが瞳を尖らせて長老に聞いた。キングは後のことを考えエルフに反撃しなかったがウィンは里の皆が同胞を手にかけていないか気になってるようだ。
「フンッ。何もしとらんわ。だが、こちらは捕まり奴らの仲間入りだ。里の連中も怖がっておる」
「なるほど。確かに由々しき事態だな……」
「うむ。それにだお前たちが欲してる素材にも関係はある。ロードス様が変わり果てたことで森も変貌した。今のままではまともな素材など得られぬだろうな」
そういうことか、とキングが頷いた。
「どうやらその問題を先ず解決しないといけないみたいだな」
「しかしキング。このまま何の策もなしにロードスという神木の前まで行って大丈夫なのか?」
「ふむ……長老。そもそも御神木が何故変わったのか理由はわかるのかな?」
「そこだ。ボール様が来たのも神のお導きと考える。ロードス様は何かに寄生されたようなのだ。だが寄生した邪悪な存在は我々の力では取り除くことが出来なかった」
「つまりその寄生した何かをどうにかしないといけないということなんですね」
「うん。でも、それとボールが関係あるってどうしてわかるの?」
アドレスの話に頷きつつウィンが長老に聞いた。
確かにボールならなんとか出来ると言うならば何か根拠があるのだろう。
「神の使いだからに決まっておろう。しかも御神木があのようなことになった直後に降臨されたのだ天命以外の何があると!」
どうやら神の使いである以外に根拠はなかったおうだ。
「理由がそれっていい加減すぎない?」
「むぅ、ほ、他にもあるぞ! 古文書によれば我らに危機が訪れし時に神の使徒が降臨されるとあるのだ!」
「ふむ。どちらにしても御神木を見ておく必要はありそうだな」
長老の話を聞き終えた後、キングはそう結論付けた。
このまま手をこまねいて待っているぐらいなら直接出向いた方が早いと思ったのだろう。
「ま、それが早いし僕たちにあってそうだな」
「仕方ないわね。じゃあ行こう!」
「はい。私も頑張って援護します!」
「うむ。決まりだな」
「キュ~!」
こうしてキングたちは長老に道を聞き御神木の場所まで向かうこととなったのだった――
「俺も冒険者だ。いつだって危険に挑む覚悟はある」
長老に覚悟を問われたキングが堂々と答えた。これには仲間たちも一緒のようであり真剣な顔で頷いている。
「ただ、気になるのだがその危険は例の変わり果てたエルフと関係あるのかな?」
「キュ~……」
覚悟はあると答えたキングだったが、同時に里に来る途中で見たエルフを思い出し聞き返した。
これについてはボールもどことなく心配そうである。
「――そうよ。里から追放された私だけどやっぱり同郷のエルフがあんな目にあってるの見たら放ってはおけないわ。あれについて聞かせてよ」
ウィンがぐいっと詰め寄り長老を問い詰めた。やはり途中で見た仲間の姿に心を痛めていたのだろう。
「……本来なら追放されたお前や余所者には関係ない話だがな。仮にも球神様に選ばれたのだからな。いいだろう――」
長老がボールを見ながら一人納得したように頷いた。そいてゆっくりと語りだす。
「ここから北に向かった先。そこには本来この森の御神木であるロードス様が生えていた。だが――突如ロードス様が汚され変貌を遂げてしまった」
杖をギュッと握りしめ口惜しげに語る長老。神木の変貌をみすみす許してしまったことを悔いているのかもしれない。
「その後、里のエルフで調査団を結成し再びロードス様の様子を見に行ったが――そこから先は知ってのとおりだ。あのような姿になって戻ってきた上、止めようとした者も奇妙な植物に蝕まれ仲間を襲い出す。そうやって少しずつ仲間が犠牲になっていく始末だ」
そこまで語り長老が頭を抱えた。話を聞くに里のエルフが大分犠牲になってしまっているのだろう。
「それで、変わったエルフは――どうしたの?」
ウィンが瞳を尖らせて長老に聞いた。キングは後のことを考えエルフに反撃しなかったがウィンは里の皆が同胞を手にかけていないか気になってるようだ。
「フンッ。何もしとらんわ。だが、こちらは捕まり奴らの仲間入りだ。里の連中も怖がっておる」
「なるほど。確かに由々しき事態だな……」
「うむ。それにだお前たちが欲してる素材にも関係はある。ロードス様が変わり果てたことで森も変貌した。今のままではまともな素材など得られぬだろうな」
そういうことか、とキングが頷いた。
「どうやらその問題を先ず解決しないといけないみたいだな」
「しかしキング。このまま何の策もなしにロードスという神木の前まで行って大丈夫なのか?」
「ふむ……長老。そもそも御神木が何故変わったのか理由はわかるのかな?」
「そこだ。ボール様が来たのも神のお導きと考える。ロードス様は何かに寄生されたようなのだ。だが寄生した邪悪な存在は我々の力では取り除くことが出来なかった」
「つまりその寄生した何かをどうにかしないといけないということなんですね」
「うん。でも、それとボールが関係あるってどうしてわかるの?」
アドレスの話に頷きつつウィンが長老に聞いた。
確かにボールならなんとか出来ると言うならば何か根拠があるのだろう。
「神の使いだからに決まっておろう。しかも御神木があのようなことになった直後に降臨されたのだ天命以外の何があると!」
どうやら神の使いである以外に根拠はなかったおうだ。
「理由がそれっていい加減すぎない?」
「むぅ、ほ、他にもあるぞ! 古文書によれば我らに危機が訪れし時に神の使徒が降臨されるとあるのだ!」
「ふむ。どちらにしても御神木を見ておく必要はありそうだな」
長老の話を聞き終えた後、キングはそう結論付けた。
このまま手をこまねいて待っているぐらいなら直接出向いた方が早いと思ったのだろう。
「ま、それが早いし僕たちにあってそうだな」
「仕方ないわね。じゃあ行こう!」
「はい。私も頑張って援護します!」
「うむ。決まりだな」
「キュ~!」
こうしてキングたちは長老に道を聞き御神木の場所まで向かうこととなったのだった――
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