異世界球技無双~最強すぎる必殺シュートで伝説のドラゴンや魔王も全てふっ飛ばす!~

空地大乃

文字の大きさ
上 下
79 / 90
第2章 球技を扱う冒険者編

第74話 エルフの拒否感

しおりを挟む
「助けてくれたことには感謝するが長老がなんというかは別問題だぞ」

 襲われていたエルフたちを助けたまでは良かったが、要件を伝えると彼らは拒否感を示した。

 人がエルフの里に入ることを良しとはしてないのだろう。

「おいおい。エルフも最近は人と商売したりしてるんだろう?」
 
 顔を顰めハスラーがエルフに問いかけた。確かに以前よりは多少は人間との関わりも出来てきていると聞く。

「一部の人間、しかも商人限定だ。もっといえば人よりはケットシーなどの獣人が多い。獣人は我らと同じ自然を愛する種族だからな」
「まるで僕たちが自然を愛してないみたいな言い方だな」

 エルフの答えを聞いてハスラーが不機嫌そうに返す。

「人間はすぐに自然を壊すだろう」
「強欲なのが人間よ」
「人間だってそんなのばかりじゃない。それを言うならエルフだっていいヤツばかりじゃないだろう」
「ハスラーちょっと落ち着け」
「そうですよ。ほら深呼吸を――」

 エルフが語る人の印象を聞きハスラーもムキになり始めていた。このままでは不味いと考えたのがキングとアドレスが間に割って入る。

「ですが人の事も信用してほしいのは私も一緒です。特に皆さんには私も助けて頂きましたから」
 
 アドレスが出会いを思い出すようにしながらエルフたちに人の良さを伝えた。

「そうよキングには私も助けて貰ったわ。あなた達のイメージがどうか知らないけどアドレスもいい子だしハスラーだってちょっと生意気なところはあるけどいい人間よ」
「生意気っていうのが余計じゃないか?」

 ウィンも黙っていられなくなったのか里のエルフたちにキングとハスラーがいい人間だと訴えた。
 
 もっともハスラーについては若干の棘が含まれていたが。

「キュッキュ~!」
「ほらボールもキングとハスラーを悪く言わないでって言ってる。だいたい悪い人ならスライムがこんなになつくわけ無いでしょう?」

 ウィンがボールを抱きしめながら言った。撫でられてボールは機嫌を取り戻している。

「う~ん……確かにスライムが一緒というのは珍しいか」
「そもそもこんなスライム初めて見るぞ」
「可愛い……」

 エルフの注目がボールに集まった。女のエルフはボールの愛らしさに心奪われているようでもあった。

「仕方ない。助けてもらったのも事実だ。このまま追い返して僕たちエルフの悪い噂を流されても心外だしな」
「そんな噂ながすかよ」
「まぁまぁ」

 ハスラーの顔が曇るが雰囲気的に里まで案内してくれそうなのでアドレスが宥め彼らの話を聞いた。

「里の入り口までは案内する。しかしその先は長老の判断次第だ」
「ふぇ長老……かわってはないんだよね?」
「ウィンを追放した時と一緒だよ」
「はぁ~やっぱり」

 エルフの返事を聞きウィンが肩を落とした。

「あの長老頑固なのよね」
「ウィンが戻ったと聞いたら何を言い出すか」
「ほら見たことかって顔するわよきっと」

 里に案内してもらう道々エルフたちがそんな会話をしていた。

「ウィンが追放されたのって精霊の扱いが苦手だったからなんだろう? 人間のこと悪く言う割にエルフも心が狭いじゃないか」
「ちょハスラー」

 ハスラーは人そのものを悪く言われたことを根に持っていたようだ。ウィンの追放を持ち出して不満そうに語って見せる。

 その様子にアドレスも焦っていた。エルフもいい顔はしていない。

「ウィンも肝心な事を言ってないな」
「全く。確かに精霊の暴走はあったがそれ自体はウィンが今後精霊を扱わないと誓えば済む話だった。だけどウィンは精霊を使いこなせるようになっていずれ里を出るといい出したからな」
「長老と言い合いになってそこで更に精霊を暴走させてそれが決め手になったんだったっけ?」

 エルフたちが里で何があったかを語り始めウィンがバツの悪そうな顔を見せた。

 精霊の暴走がキッカケになったのは確かなようだがどうやら追放の原因はそれだけではなかったらしい――
しおりを挟む
感想 10

あなたにおすすめの小説

転生貴族の移動領地~家族から見捨てられた三子の俺、万能な【スライド】スキルで最強領地とともに旅をする~

名無し
ファンタジー
とある男爵の三子として転生した主人公スラン。美しい海辺の辺境で暮らしていたが、海賊やモンスターを寄せ付けなかった頼りの父が倒れ、意識不明に陥ってしまう。兄姉もまた、スランの得たスキル【スライド】が外れと見るや、彼を見捨ててライバル貴族に寝返る。だが、そこから【スライド】スキルの真価を知ったスランの逆襲が始まるのであった。

メトロポリス社へようこそ! ~「役立たずだ」とクビにされたおっさんの就職先は大企業の宇宙船を守る護衛官でした~

アンジェロ岩井
SF
「えっ、クビですか?」 中企業アナハイニム社の事務課に勤める大津修也(おおつしゅうや)は会社の都合によってクビを切られてしまう。 ろくなスキルも身に付けていない修也にとって再転職は絶望的だと思われたが、大企業『メトロポリス』からの使者が現れた。 『メトロポリス』からの使者によれば自身の商品を宇宙の植民星に運ぶ際に宇宙生物に襲われるという事態が幾度も発生しており、そのための護衛役として会社の顧問役である人工頭脳『マリア』が護衛役を務める適任者として選び出したのだという。 宇宙生物との戦いに用いるロトワングというパワードスーツには適性があり、その適性が見出されたのが大津修也だ。 大津にとっては他に就職の選択肢がなかったので『メトロポリス』からの選択肢を受けざるを得なかった。 『メトロポリス』の宇宙船に乗り込み、宇宙生物との戦いに明け暮れる中で、彼は護衛アンドロイドであるシュウジとサヤカと共に過ごし、絆を育んでいくうちに地球上にてアンドロイドが使用人としての扱いしか受けていないことを思い出す。 修也は戦いの中でアンドロイドと人間が対等な関係を築き、共存を行うことができればいいと考えたが、『メトロポリス』では修也とは対照的に人類との共存ではなく支配という名目で動き出そうとしていた。

魔力∞を魔力0と勘違いされて追放されました

紗南
ファンタジー
異世界に神の加護をもらって転生した。5歳で前世の記憶を取り戻して洗礼をしたら魔力が∞と記載されてた。異世界にはない記号のためか魔力0と判断され公爵家を追放される。 国2つ跨いだところで冒険者登録して成り上がっていくお話です 更新は1週間に1度くらいのペースになります。 何度か確認はしてますが誤字脱字があるかと思います。 自己満足作品ですので技量は全くありません。その辺り覚悟してお読みくださいm(*_ _)m

【男装歴10年】異世界で冒険者パーティやってみた【好きな人がいます】

リコピン
ファンタジー
前世の兄と共に異世界転生したセリナ。子どもの頃に親を失い、兄のシオンと二人で生きていくため、セリナは男装し「セリ」と名乗るように。それから十年、セリとシオンは、仲間を集め冒険者パーティを組んでいた。 これは、異世界転生した女の子がお仕事頑張ったり、恋をして性別カミングアウトのタイミングにモダモダしたりしながら過ごす、ありふれた毎日のお話。 ※日常ほのぼの?系のお話を目指しています。 ※同性愛表現があります。

転生貴族のハーレムチート生活 【400万ポイント突破】

ゼクト
ファンタジー
ファンタジー大賞に応募中です。 ぜひ投票お願いします ある日、神崎優斗は川でおぼれているおばあちゃんを助けようとして川の中にある岩にあたりおばあちゃんは助けられたが死んでしまったそれをたまたま地球を見ていた創造神が転生をさせてくれることになりいろいろな神の加護をもらい今貴族の子として転生するのであった 【不定期になると思います まだはじめたばかりなのでアドバイスなどどんどんコメントしてください。ノベルバ、小説家になろう、カクヨムにも同じ作品を投稿しているので、気が向いたら、そちらもお願いします。 累計400万ポイント突破しました。 応援ありがとうございます。】 ツイッター始めました→ゼクト  @VEUu26CiB0OpjtL

ぐ~たら第三王子、牧場でスローライフ始めるってよ

雑木林
ファンタジー
 現代日本で草臥れたサラリーマンをやっていた俺は、過労死した後に何の脈絡もなく異世界転生を果たした。  第二の人生で新たに得た俺の身分は、とある王国の第三王子だ。  この世界では神様が人々に天職を授けると言われており、俺の父親である国王は【軍神】で、長男の第一王子が【剣聖】、それから次男の第二王子が【賢者】という天職を授かっている。  そんなエリートな王族の末席に加わった俺は、当然のように周囲から期待されていたが……しかし、俺が授かった天職は、なんと【牧場主】だった。  畜産業は人類の食文化を支える素晴らしいものだが、王族が従事する仕事としては相応しくない。  斯くして、父親に失望された俺は王城から追放され、辺境の片隅でひっそりとスローライフを始めることになる。

能力値カンストで異世界転生したので…のんびり生きちゃダメですか?

火産霊神
ファンタジー
私の異世界転生、思ってたのとちょっと違う…? 24歳OLの立花由芽は、ある日異世界転生し「ユメ」という名前の16歳の魔女として生きることに。その世界は魔王の脅威に怯え…ているわけでもなく、レベルアップは…能力値がカンストしているのでする必要もなく、能力を持て余した彼女はスローライフをおくることに。そう決めた矢先から何やらイベントが発生し…!?

うっかり女神さまからもらった『レベル9999』は使い切れないので、『譲渡』スキルで仲間を強化して最強パーティーを作ることにしました

akairo
ファンタジー
「ごめんなさい!貴方が死んだのは私のクシャミのせいなんです!」 帰宅途中に工事現場の足台が直撃して死んだ、早良 悠月(さわら ゆずき)が目覚めた目の前には女神さまが土下座待機をして待っていた。 謝る女神さまの手によって『ユズキ』として転生することになったが、その直後またもや女神さまの手違いによって、『レベル9999』と職業『譲渡士』という謎の職業を付与されてしまう。 しかし、女神さまの世界の最大レベルは99。 勇者や魔王よりも強いレベルのまま転生することになったユズキの、使い切ることもできないレベルの使い道は仲間に譲渡することだった──!? 転生先で出会ったエルフと魔族の少女。スローライフを掲げるユズキだったが、二人と共に世界を回ることで国を巻き込む争いへと巻き込まれていく。 ※9月16日  タイトル変更致しました。 前タイトルは『レベル9999は転生した世界で使い切れないので、仲間にあげることにしました』になります。 仲間を強くして無双していく話です。 『小説家になろう』様でも公開しています。

処理中です...