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第2章 球技を扱う冒険者編
第71話 新たな仲間――
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キング達はオーガスタを倒し町へと帰還した。もう遅いし怪我もあったがギルドがポーションを提供してくれた為、怪我を治し冒険者ギルド出張所で事の顛末を話して聞かせた。
出張所の所長はキングたちの話をしっかり聞き鑑定士も呼んでオーガスタの素性を調べた。どうやら生きてる間は特殊な魔法で素性を隠蔽していたようだが死してその効果も切れ邪教に身を置く闇神官であったことが正式に判明した。
「結局朝まで掛かってしまった……疲れてるのに悪かったな」
「いいんだ。これぐらいは冒険者として当然」
「そ、うね」
「ふわぁ~とはいえ流石に眠いぜ」
「キュ~……」
「ス~ス~――」
戦いの直後だったこともあり四人はもちろんボールも眠そうだった。アドレスに関しては取り調べが終わった時点で完全に寝落ちした為、今はキングが背負っている状態だ。
「……柔らかそうだ」
「うん? 何がだ?」
背中で眠るアドレスの一部を見てハスラーが呟く。だがキングはわかっていない。
「ちょっとキング、ま、まさかそれがあっておんぶしてるんじゃないでしょうね!」
「いや、何で怒ってるんだ?」
ウィンに詰問され、何か悪いことをしただろうか? とキングは小首を傾げた。
「後はこっちで処理しておくから四人は宿で休んでくれ。もちろん今日の宿代はギルド持ちにしておくからさ」
「それは助かる」
キング達はギルドの申し出を快く受けた。目覚めた頃には特別報酬の計算も出来てるだろうとのことである。
こうして四人は宿に向いベッドに飛び込んだ後、泥のように眠った。
「うん? 朝?」
朝に眠った筈なのにキングが目覚めると、まだ朝だった。あまり眠れなかったのか? と考えるも実は既に明朝だった。丸一日寝ていたわけである。
「いやぁよく眠れた」
「おかげで体もすっかりよくなったわね」
「私は眠りすぎてか逆にちょっと頭がぼ~っとしてますぅ」
「キュ~♪」
ぐっすり眠れたおかげかウィンとハスラーは清々しい顔で朝を迎えていた。ボールも元気にポンポンッと跳ね回っている。
アドレスは本人が言うように若干まだ頭がついていっていないようだ。
「おはようさん。朝食食べていくだろう?」
「頂こう」
「食事!?」
宿の主人に聞かれキングがうなずき返し、アドレスも目の色を変えた。
「はぁ~もう満腹です~」
「朝からよく食べたわね……」
「見た目からは信じられないな……」
どれでも好きにお代わりしていいと言われたからかアドレスは何と朝からパンを百個以上平らげていた。スープも何杯もお代わりしており、その食いっぷりにキングも唖然となったほどだ。
「その、本当にいいのか?」
「うぅ、調子に乗りすぎてごめんなさい!」
キングが宿の主人に確認する。その横ではアドレスが頭を下げていた。食べ終わった後やってしまったみたいな顔をしており、やらかしてしまったと後ろめたい気持ちになったようだ。
「はは、いいよいいよ。寧ろ朝からそこまで食べてもらえると見ていて気持ちいいぐらいさ」
「まぁ確かに見てる分には面白かったな」
「ちょっとハスラー!」」
ニヤニヤするハスラーをウィンが叱るが、彼女の顔にも笑みが浮かんでいた。
「それにギルドから聞いたけど、あんた達が町を守ってくれたんだろう? そうでなきゃアンデッドが押し寄せてどれぐらい被害が出たかわからないっていうんだから感謝してるよ」
どうやらキングたちの噂は既に町中に広がっていたようだ。
お礼を伝え宿を出た四人だったがギルドに向かう途中で沢山の人に声を掛けられお礼を言われた。
「こういうことがあると、冒険者をやっていてよかったと思うな」
「キュ~♪」
「はい! 私もそう思います!」
しみじみとキングが語ると、腕の中でボールが機嫌良さそうに鳴き、アドレスも嬉しそうに同意した。
「そうね。やっぱり物を燃やしたりして謝るよりお礼を言われた方がいいわね!」
「いや、そりゃ当然じゃないか?」
ウィンに関しては過去にやらかしたことを思い出したようだ。すぐ後ろでハスラーが目を細めツッコミを入れている。
そんなやり取りをしながらキング達は再び出張所に向かい特別報酬を受け取った。
何と報酬は金貨で二千枚にもなった。山分けでも一人五百枚となる。
そして、いよいよ町を出る日がやってきたわけだが――
「あ、あの改めて私も一緒に連れていってもらえませんか!」
アドレスがキング達にそう願い出た。どうやら一緒にパーティーを組みたいようであるが――
「何を言っているんだ」
アドレスに対するキングの第一声がそれであり、アドレスが肩を落とす。
「そ、そうですよね。ちょっとゴルフを教えてもらったぐらいで私なんて」
「いや、もうとっくに仲間だと思っていたぞ。むしろこっちから切り出そうと思っていたぐらいだ」
「え?」
キングが顎を掻きながら伝えるとアドレスの目に輝きが戻る。
「そうよアドレス。ここまできて一緒にこないなんてそれこそないわよ!」
「そうそう。それにアドレスもゴルフに磨きを掛ける為には他にもクラブってのが必要なんだろう? 俺たち全員目的は似たようなもんだしな」
「キュ~♪」
「あ、ありがとうございます! 私、今度こそ皆の役に立てるようがんばりますね!」
こうして皆に暖かく迎え入れられアドレスが旅に同行する仲間となるのが決まったのだった――
出張所の所長はキングたちの話をしっかり聞き鑑定士も呼んでオーガスタの素性を調べた。どうやら生きてる間は特殊な魔法で素性を隠蔽していたようだが死してその効果も切れ邪教に身を置く闇神官であったことが正式に判明した。
「結局朝まで掛かってしまった……疲れてるのに悪かったな」
「いいんだ。これぐらいは冒険者として当然」
「そ、うね」
「ふわぁ~とはいえ流石に眠いぜ」
「キュ~……」
「ス~ス~――」
戦いの直後だったこともあり四人はもちろんボールも眠そうだった。アドレスに関しては取り調べが終わった時点で完全に寝落ちした為、今はキングが背負っている状態だ。
「……柔らかそうだ」
「うん? 何がだ?」
背中で眠るアドレスの一部を見てハスラーが呟く。だがキングはわかっていない。
「ちょっとキング、ま、まさかそれがあっておんぶしてるんじゃないでしょうね!」
「いや、何で怒ってるんだ?」
ウィンに詰問され、何か悪いことをしただろうか? とキングは小首を傾げた。
「後はこっちで処理しておくから四人は宿で休んでくれ。もちろん今日の宿代はギルド持ちにしておくからさ」
「それは助かる」
キング達はギルドの申し出を快く受けた。目覚めた頃には特別報酬の計算も出来てるだろうとのことである。
こうして四人は宿に向いベッドに飛び込んだ後、泥のように眠った。
「うん? 朝?」
朝に眠った筈なのにキングが目覚めると、まだ朝だった。あまり眠れなかったのか? と考えるも実は既に明朝だった。丸一日寝ていたわけである。
「いやぁよく眠れた」
「おかげで体もすっかりよくなったわね」
「私は眠りすぎてか逆にちょっと頭がぼ~っとしてますぅ」
「キュ~♪」
ぐっすり眠れたおかげかウィンとハスラーは清々しい顔で朝を迎えていた。ボールも元気にポンポンッと跳ね回っている。
アドレスは本人が言うように若干まだ頭がついていっていないようだ。
「おはようさん。朝食食べていくだろう?」
「頂こう」
「食事!?」
宿の主人に聞かれキングがうなずき返し、アドレスも目の色を変えた。
「はぁ~もう満腹です~」
「朝からよく食べたわね……」
「見た目からは信じられないな……」
どれでも好きにお代わりしていいと言われたからかアドレスは何と朝からパンを百個以上平らげていた。スープも何杯もお代わりしており、その食いっぷりにキングも唖然となったほどだ。
「その、本当にいいのか?」
「うぅ、調子に乗りすぎてごめんなさい!」
キングが宿の主人に確認する。その横ではアドレスが頭を下げていた。食べ終わった後やってしまったみたいな顔をしており、やらかしてしまったと後ろめたい気持ちになったようだ。
「はは、いいよいいよ。寧ろ朝からそこまで食べてもらえると見ていて気持ちいいぐらいさ」
「まぁ確かに見てる分には面白かったな」
「ちょっとハスラー!」」
ニヤニヤするハスラーをウィンが叱るが、彼女の顔にも笑みが浮かんでいた。
「それにギルドから聞いたけど、あんた達が町を守ってくれたんだろう? そうでなきゃアンデッドが押し寄せてどれぐらい被害が出たかわからないっていうんだから感謝してるよ」
どうやらキングたちの噂は既に町中に広がっていたようだ。
お礼を伝え宿を出た四人だったがギルドに向かう途中で沢山の人に声を掛けられお礼を言われた。
「こういうことがあると、冒険者をやっていてよかったと思うな」
「キュ~♪」
「はい! 私もそう思います!」
しみじみとキングが語ると、腕の中でボールが機嫌良さそうに鳴き、アドレスも嬉しそうに同意した。
「そうね。やっぱり物を燃やしたりして謝るよりお礼を言われた方がいいわね!」
「いや、そりゃ当然じゃないか?」
ウィンに関しては過去にやらかしたことを思い出したようだ。すぐ後ろでハスラーが目を細めツッコミを入れている。
そんなやり取りをしながらキング達は再び出張所に向かい特別報酬を受け取った。
何と報酬は金貨で二千枚にもなった。山分けでも一人五百枚となる。
そして、いよいよ町を出る日がやってきたわけだが――
「あ、あの改めて私も一緒に連れていってもらえませんか!」
アドレスがキング達にそう願い出た。どうやら一緒にパーティーを組みたいようであるが――
「何を言っているんだ」
アドレスに対するキングの第一声がそれであり、アドレスが肩を落とす。
「そ、そうですよね。ちょっとゴルフを教えてもらったぐらいで私なんて」
「いや、もうとっくに仲間だと思っていたぞ。むしろこっちから切り出そうと思っていたぐらいだ」
「え?」
キングが顎を掻きながら伝えるとアドレスの目に輝きが戻る。
「そうよアドレス。ここまできて一緒にこないなんてそれこそないわよ!」
「そうそう。それにアドレスもゴルフに磨きを掛ける為には他にもクラブってのが必要なんだろう? 俺たち全員目的は似たようなもんだしな」
「キュ~♪」
「あ、ありがとうございます! 私、今度こそ皆の役に立てるようがんばりますね!」
こうして皆に暖かく迎え入れられアドレスが旅に同行する仲間となるのが決まったのだった――
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