異世界球技無双~最強すぎる必殺シュートで伝説のドラゴンや魔王も全てふっ飛ばす!~

空地大乃

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第2章 球技を扱う冒険者編

第27話 キング、動物たちを救う

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「いやぁ、本当に助かりました。最近やたらと高級なペットばかりが行方不明になっていたので」
「いえいえ、お役に立てたなら良かった」
「はは、いやいや、本当にお手柄ですよ。冒険者なのですよね? でしたらギルドにも連絡が行くはずです。功績として認められるでしょう、が、いやはや、しかし……」
 
 衛兵がちらりとキングを見る。

「ワンワン!」
「ニャ~ン、ゴロニャ~ン」
「チュンチュン♪」
「ウキッ! ウキキッ!」
「ブヒブヒ」
「シャーシャー」
「ピピピィイィイイイ!」
「はは、なんとも凄い好かれてますね」
「いやはや、これはどうも……」

 衛兵が苦笑し、キングもなんとも言えない表情で顎を掻いた。

 キングの周りには救出された動物が集まっていた。しかもキングに寄り添い、というよりほぼ密着するような形で、頭の上から足の先まで、キングを慕うように引っ付き鳴き声を上げていた。

「動物に随分と好かれているのですね」
「自分でもよくわからないのだが……」
「とにかく、届けのあった飼い主には連絡させていただきますね。あとはこちらで一旦預かる形にはなると思いますが」
「よろしく頼む」

 このままでは身動きがとれないのでキングとしても預かってもらえると言うならそれに越したことはない。

 ただ、衛兵がキングの様子を見て困ったような顔を見せた。

「ただ……離れてくれますかね?」
「ふむ……お前たち、一旦この衛兵の下で御主人様を待ってはもらえないかな?」
「ニャ~ニャ~!」
「ブヒブヒ!」
「チュンチュン!」
「ガーガー!」
「シャーシャ!」
「キキー! キキー!」
「ワンワン!」
「ピピピピィィイィ! ピピピピピィィイイィイ!」

 だがしかし、動物たちはよりキングに密着し、イヤイヤと言わんばかりに鳴き声を上げている。キングとしても困った状態ではあるが。

「キュ~! キュキュ~ッ!」
「ウニャン?」
「キュッ! キュッ~」
「キキィ……」
「キュキュキュキュ、キュ~」
「ワンワン!」
「キュッキュッ」
「ピピィイィイピピピィイイイイ」

 なんとボールが動物たちの前に出て、何やら説得しているではないか。そしてその結果、動物たちはキングに感謝しながらも衛兵たちに連れられて行った。

「流石だなボール。よくやってくれた。それにしても皆、御主人様の下へ戻れそうで良かった」
「キュッ!」
「ミ~ミ~」
「おおそうだったな。ミーちゃんもちゃんと届けないと」

 動物たちは衛兵に連れられていったが、元々の依頼にあったミーちゃんに関してはキングが直接送り届けることにした。

「まぁミーちゃん! 良かったわ、無事戻ったのね」
「ミ~ミ~♪」

 そしてキングの手によってミーちゃんは無事依頼人の下へ戻ることが出来た。キングにもかなりなついていたがやはり御主人様の下へ戻れたのは嬉しそうである。

「本当になんとお礼を言ってよいか」
「いえいえ、冒険者として当然の事をしたまでですので」
「本当、貴方のような冒険者がもっと増えてくれたらいいのに」
「そう言ってもらえると」
「キュ~♪」
「ふふっ、スライムもとてもかわいいわね」

 ボールも依頼人に撫でられごきげんだ。そして依頼完了のサインを貰い、ミーちゃんからも見送られキングは次の依頼に向かうのだった。





「キュッキュ~」
「うむ、確かに今日の依頼は色々と他の案件が重なることが多かったな」
「キュッ?」
「はっはっは、流石に広場の掃除でトラブルなど起きることはないさ。普通に掃除して終わることになるだろう」
「キュ~」
「うむ、ボールにも期待しているぞ」
「キュ~(すりすり)」

 そんなことを話し、時折ボールを撫でてやると喜び擦り寄ってきた。なんとも微笑ましいやりとりでもある。
 
 そして最後に残った依頼は広場の掃除である。広場は多くの人が集まる憩いの場であり、それだけ人の目が集まるということでもある。しかも内容はただの掃除だ、トラブルなど起きるはずもない。

 そう考えつつ、広場にたどり着いたキングとボールであったが。

「いやぁああぁあ! お願いうちの子を助けて!」
「私に任せなさい。さぁあんた! 馬鹿なことはやめてその子を放しなさい!」
「うるせぇ! ちょっとでも妙な事してみろ! このガキぶっ殺すぞ!」
「うぇえええええ! ママーママー!」
「あぁ神様……」
「……」
「キュ~……」

 広場にやってきたキングであったが、まさに今、絶賛トラブルが繰り広げられている真っ最中なのであった。

「うむ、しかしあの少女、エルフのようだがどこかで見たような?」
「キュ~?」

 とりあえず広場の様子を確認するキング。広場の中心にはナイフを持ち男の子を抱きかかえている眼鏡を掛けた男の姿。ボサボサの髪で着衣も乱れ大分薄汚れている。

 一方周囲では広場にもともといたのであろう人々が戦々恐々とした面持ちで立ち尽くしていた。不安に満ちた顔をしているのもいる。

 キングから見て男を挟んだ向こう側では母親と思われる人物が涙目になって見守っていた。

 そして男と対峙しているのは金髪の美しいエルフ少女だ。

「いいかお前ら! このガキをぶっ殺されたくなかったら俺の要求を聞け! 俺のために綺麗なメイド付きの豪邸を用意し、働かなくても一生食うに困らずダラダラ過ごしても平気な環境を用意しろ! 勿論毎月の給金もしっかり払いやがれ!」
「あんた、頭おかしいんじゃないの?」

 エルフの娘が軽蔑した目で言い放った。忌憚のない正直な意見だなとキングは思った。

「テメェ、エルフで美少女だから俺のメイドにしてやってもいいと思ったがやっぱなしだ! 小生意気な女は嫌いなんだよ!」
「そんなのこっちから願い下げよ! バッカじゃないの! 気持ち悪い!」
「な! ば、馬鹿と言ったほうが馬鹿だろ! ば~かば~か!」
「いや、子どもの喧嘩かよ……」
「あん? 誰が子どもだこら! このガキぶっ殺すぞ!」
「いや、いやぁあああぁあああ!」

 周りで見ていた人がボソッと呟いた言葉に反応し激昂する男に、やれやれとキングも眉をひそめた。

 どちらにしても捨てはおけないな、と動き出そうとしたキングだったが。

「もう見てられないわ。こうなったら私の魔法を見せてあげる後悔してももう遅いんだからね!」
「な! 魔法だと?」
「おい、あの子もしかして魔法使いなのか?」
「だとしたら、これは勝てる!」
「くっ、だから妙な真似をしたら――」
「残念! もう遅いわとっくに準備はできているのよ! 精霊魔法!」
「むっ、あの娘精霊魔法が使えるとは!」
「キュッ~!」

 キングは一旦脚を止め、興味深そうにエルフ少女の魔法に注目する。つられてボールも目を向けていた。

 精霊魔法とは文字通り精霊に働きかけ行使する魔法である。一般的に知られる魔法は真言魔法と呼ばれて詠唱や記述によって魔法を行使し現象を引き起こす。

 一方精霊魔法は精霊と対話できれば詠唱や記述を必要としないが、その際に多くの魔力が必要である上、精霊との契約が先ず難しい。だが、エルフの多くは小さな頃から精霊と接しているので行使しやすいのである!

 そして今まさにその精霊魔法がエルフ少女の手によって炸裂した。

「喰らいなさい! サラマンダーエクスブレス!」
「ヒッ!」

 エルフの少女が手持ちの杖を男に向け、男は情けない声を上げてその場に屈みこんだ、その時だった、なんと地面が激しく爆発した。凄まじい衝撃と轟音、地面から巨大な火柱が立ち上がる。

 それは明らかに過剰な威力を秘めていた。あまりのことに周囲で見ていた人々も驚いて腰を抜かした。

「え? うぉおぉおおおお! 俺の屋台がぁああぁ!」

 すると、キングから少し離れた場所から男の嘆きが響き渡った。男の視線は恐らく彼が広場に止めてあったのであろう元屋台だった残骸に向けられていた。

 そう少女の放った魔法は人質をとっている男とは全く関係ない場所に止まっていた屋台を飲み込み粉砕してしまったのである。

「…………あれ?」
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