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高校生編
16. 高校1年生①
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そしてさらに季節は過ぎ、4月。6人は高校生になった。
僚と竣亮は予定通り、それぞれ付属の高校への進学となった。
隼斗と誠は電車で15分、家とGEMSTONEのほぼ中間にある同じ県立高校へ進学した。
明日香は英語をもっと学ぶため、英語の特進コースがある私立の女子高へ進学。隼斗と誠の学校からもほど近いところにある。
深尋はGEMSTONEに一番近い県立高校へ進学した。その理由は言わずもがなである。
こうして6人はつらい受験シーズンを乗り越え、無事高校一年生となった。
気が付けばGEMSTONEに入所して、5年になろうとしていた。
「隼斗ー帰ろーぜー」
入学して2週間が過ぎた放課後。誠が隣のクラスの隼斗を呼びに来た。2人とも中学の時はバスケット部に所属していたが、高校では部活をどうするかまだ決めかねていた。毎週日曜日はGEMSTONEでのレッスンもあるため、高校での部活動と掛け持ちが出来るか悩んでいたからだ。
誠が隼斗の教室に入ってくると、周りの女子がざわつく。誠は中学でぐんぐんと背が伸び、高校入学時には181cmになっていた。小学校の頃はスポーツ刈りだった髪型も、今はサイドを刈り上げたツーブロックにしており、顔もキリっとした眉に二重瞼の目で、周りの同級生よりも大人っぽく見えた。
「おう。なぁ、なんか食っていかねー?」
まだまだ食べ盛りの男子高校生。放課後にはお腹が空いてしまう。
隼斗も隼斗で身長が伸び、誠と変わらないくらいになっていた。明日香曰く、タケノコみたいだそうだ。髪はストレートマッシュにしており、小さいころから明日香と同様に整った顔立ちは今も健在だ。この2人が並んでいるだけで迫力があるため、入学当初から目立っていた。
隼斗はリュックを肩に掛けながら、誠と教室を出ようとしていた。すると、眼鏡をかけた女子に声を掛けられた。
「藤堂くん。今日日直だから、日誌を書いてほしいんだけど」
「あ、やべ。忘れてた」
「ちゃっちゃと書けよー」
誠は隼斗の隣の席に座り、日誌を書くのを待つことにした。隼斗が日誌を書いている間、隼斗に声を掛けた女子は提出物の確認をしていた。その様子を誠は何となくぼーっと見ていた。
「立花さん、下の名前なに?」
日誌に日直の2人の名前を書くため、隼斗が聞く。
「美しいにふる里の里で美里」
「サンキュー」
聞くだけ聞いて、隼斗はまたカリカリと日誌を書く。
美里は先生に言われて集めた、クラス全員分のノートを持とうとしていた。それが思いのほか重く、グラグラとしていた。
「半分持つよ」
日直の隼斗ではなく、なぜか隣のクラスの誠が美里に声を掛ける。
「え.....でも」
「隼斗は日誌書いてるし、これ出したら帰れるんだろ」
誠らしいぶっきらぼうな言い方で、集めたノートの半分以上を持つ。
「隼斗ーちょっと行ってくるし、早く書けよー」
「おう、わりいなー」
2人の間ではそれで良いらしい。断るにも断れず、美里は誠と一緒に職員室へと行くことになった。しかし、今日が初対面の2人。職員室に行くまでの間に会話はない。しかも181cmの誠に対して美里は160cmもないくらいだ。ノートを持ってスタスタ歩く誠に美里は必死についていく。
「あ、ごめん」
自分の歩きが早いことに気づいた誠が、美里に歩調を合わせる。
「いえ、すいません。遅くて.....」
「.....なんで敬語?同級生なんだから、タメ口でいいよ」
「はぁ......」
美里は今日初めて話す誠に対して、正直どうしていいかわからなかった。ノートを持ってくれたことはありがたいけど、それだけだ。
近いようで長い道のりだった職員室に到着し、ノートを提出し終わると、2人は隼斗の待つ教室へと戻る。
「あ、あの、ありがとうございます。クラスが違うのに、手伝ってもらって....」
「.......敬語」
「.......え?」
「タメ口でいいって。あと、俺は崎元誠。隼斗の幼馴染」
「.......あ、私は立花美里です」
そうしてお互いに自己紹介が終わると同時に教室へ着いた。
「隼斗書けたかー?」
「おう、ばっちり。立花さんもお疲れー」
「あ、うん。お疲れ.....」
すると隼斗と誠はさっさとリュックを背負って、教室を出て行こうとする。その時誠がくるっと後ろを振り返り、
「じゃーな美里」
と言って出て行った。
美里は、今日知り合ったばかりの同級生の男子に突然呼び捨てにされ、戸惑うことしかできなかった。
誠が美里にそういうのを聞いて、隼斗が聞く。
「誠って立花さんと知り合いだったっけ?」
「いや。さっき知り合ったばっかり」
飄々と誠が言う。
「いやぁ、誠が明日香と深尋以外の女子にあんなこと言うなんて、成長したなー」
「どの立場で言ってんだよ」
「幼馴染として心配してんだよ。女っ気のない誠が、優しさを覚えてくれてうれしいなーって」
「どうでもいいけどさ、どこに何食べに行くんだよ」
誠はこの手の話が苦手なので、うまく話をすり替えた。
「モールのフードコートでいいんじゃね」
2人は学校から徒歩10分ほどの場所にある、ショッピングモールへ行くことにした。
僚と竣亮は予定通り、それぞれ付属の高校への進学となった。
隼斗と誠は電車で15分、家とGEMSTONEのほぼ中間にある同じ県立高校へ進学した。
明日香は英語をもっと学ぶため、英語の特進コースがある私立の女子高へ進学。隼斗と誠の学校からもほど近いところにある。
深尋はGEMSTONEに一番近い県立高校へ進学した。その理由は言わずもがなである。
こうして6人はつらい受験シーズンを乗り越え、無事高校一年生となった。
気が付けばGEMSTONEに入所して、5年になろうとしていた。
「隼斗ー帰ろーぜー」
入学して2週間が過ぎた放課後。誠が隣のクラスの隼斗を呼びに来た。2人とも中学の時はバスケット部に所属していたが、高校では部活をどうするかまだ決めかねていた。毎週日曜日はGEMSTONEでのレッスンもあるため、高校での部活動と掛け持ちが出来るか悩んでいたからだ。
誠が隼斗の教室に入ってくると、周りの女子がざわつく。誠は中学でぐんぐんと背が伸び、高校入学時には181cmになっていた。小学校の頃はスポーツ刈りだった髪型も、今はサイドを刈り上げたツーブロックにしており、顔もキリっとした眉に二重瞼の目で、周りの同級生よりも大人っぽく見えた。
「おう。なぁ、なんか食っていかねー?」
まだまだ食べ盛りの男子高校生。放課後にはお腹が空いてしまう。
隼斗も隼斗で身長が伸び、誠と変わらないくらいになっていた。明日香曰く、タケノコみたいだそうだ。髪はストレートマッシュにしており、小さいころから明日香と同様に整った顔立ちは今も健在だ。この2人が並んでいるだけで迫力があるため、入学当初から目立っていた。
隼斗はリュックを肩に掛けながら、誠と教室を出ようとしていた。すると、眼鏡をかけた女子に声を掛けられた。
「藤堂くん。今日日直だから、日誌を書いてほしいんだけど」
「あ、やべ。忘れてた」
「ちゃっちゃと書けよー」
誠は隼斗の隣の席に座り、日誌を書くのを待つことにした。隼斗が日誌を書いている間、隼斗に声を掛けた女子は提出物の確認をしていた。その様子を誠は何となくぼーっと見ていた。
「立花さん、下の名前なに?」
日誌に日直の2人の名前を書くため、隼斗が聞く。
「美しいにふる里の里で美里」
「サンキュー」
聞くだけ聞いて、隼斗はまたカリカリと日誌を書く。
美里は先生に言われて集めた、クラス全員分のノートを持とうとしていた。それが思いのほか重く、グラグラとしていた。
「半分持つよ」
日直の隼斗ではなく、なぜか隣のクラスの誠が美里に声を掛ける。
「え.....でも」
「隼斗は日誌書いてるし、これ出したら帰れるんだろ」
誠らしいぶっきらぼうな言い方で、集めたノートの半分以上を持つ。
「隼斗ーちょっと行ってくるし、早く書けよー」
「おう、わりいなー」
2人の間ではそれで良いらしい。断るにも断れず、美里は誠と一緒に職員室へと行くことになった。しかし、今日が初対面の2人。職員室に行くまでの間に会話はない。しかも181cmの誠に対して美里は160cmもないくらいだ。ノートを持ってスタスタ歩く誠に美里は必死についていく。
「あ、ごめん」
自分の歩きが早いことに気づいた誠が、美里に歩調を合わせる。
「いえ、すいません。遅くて.....」
「.....なんで敬語?同級生なんだから、タメ口でいいよ」
「はぁ......」
美里は今日初めて話す誠に対して、正直どうしていいかわからなかった。ノートを持ってくれたことはありがたいけど、それだけだ。
近いようで長い道のりだった職員室に到着し、ノートを提出し終わると、2人は隼斗の待つ教室へと戻る。
「あ、あの、ありがとうございます。クラスが違うのに、手伝ってもらって....」
「.......敬語」
「.......え?」
「タメ口でいいって。あと、俺は崎元誠。隼斗の幼馴染」
「.......あ、私は立花美里です」
そうしてお互いに自己紹介が終わると同時に教室へ着いた。
「隼斗書けたかー?」
「おう、ばっちり。立花さんもお疲れー」
「あ、うん。お疲れ.....」
すると隼斗と誠はさっさとリュックを背負って、教室を出て行こうとする。その時誠がくるっと後ろを振り返り、
「じゃーな美里」
と言って出て行った。
美里は、今日知り合ったばかりの同級生の男子に突然呼び捨てにされ、戸惑うことしかできなかった。
誠が美里にそういうのを聞いて、隼斗が聞く。
「誠って立花さんと知り合いだったっけ?」
「いや。さっき知り合ったばっかり」
飄々と誠が言う。
「いやぁ、誠が明日香と深尋以外の女子にあんなこと言うなんて、成長したなー」
「どの立場で言ってんだよ」
「幼馴染として心配してんだよ。女っ気のない誠が、優しさを覚えてくれてうれしいなーって」
「どうでもいいけどさ、どこに何食べに行くんだよ」
誠はこの手の話が苦手なので、うまく話をすり替えた。
「モールのフードコートでいいんじゃね」
2人は学校から徒歩10分ほどの場所にある、ショッピングモールへ行くことにした。
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