フィーネ・デル・モンド! ― 遥かな未来、終末の世界で失われた美味を求めて冒険を満喫していた少女が、なぜか魔王と戦い、そして……

Evelyn

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第3部 カレーのお釈迦様

第41話 戦闘民族だとぉ?

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「いや、その、それはそうなんだけど、だから皆さんには暫くどこかに避難して頂こうと」
「自分達で厄介事持ち込んどいて、なーに言っとるばい。それに避難したからちゅーて、どうなるっぺよ」

 う、非難と疑念に満ちたその目、やめてちょ。
 と、ここで、お子ちゃま2人がオスカル君の背中から降りて来て

「アスラ様、どう致しましょう。何やら妙な成り行きのようですが」
「ほーらみろ。アンタがぜーんぶ悪いのよ。やーいやーい、諸悪の根源!」

 ああ、こんな時にウルサイなあ。

!」
「おみゃーさの連れかあ?」
「は、はい」
「何だか怒っとるげじゃにゃーきゃ。ええんか?」

 イシュタルは何か言い返したいのを、後ろからベリアル君に羽交い絞めにされて、もう2本の手で口をふさがれて足だけをバタバタバタ。
 ん、もう2本の腕?
 まあいいか。悪魔だもんね相変わらずテキトーな性格
 放っておこう。

「とにかく、私たちが教会軍を迎え撃ちますんで。もちろん、家々にも被害が出ないように、街の外で」

 すると、爺さんは枯れ木のような手をひらひら振りながら投げやりに

「おみゃーさ達だけで教会軍を? なーに言っとるだあ。そっちこと、どれしこ考えても無理だあ」

 失礼な! ちょっとムカついてきた。
 舐めてんのかぁ。
 じゃあ、このジジイと、そこら辺のむさ苦しい大勢もまとめて相手に、今ここで実力見せてやろうかあ。

(落ち着け。街の人間を相手に戦ってどうする。目的がズレておるではないかしょっちゅうズレまくりですけど

 だって、このクソジジイが「無理」とか言うから。

(まあ、普通に考えれば、この爺さんの言う通りだろうな。フェンリルが居るとはいえ、娘1人と子供が2人。それで教会軍と戦うなど、初対面の者からすれば悪い冗談としか思えまい)

 よーし、じゃあ

「こう見えても、私、勇者で魔王なんで少しエラソーに。それにこの子供たちも魔法の達人ですから。さっきも、フェンリルの着地点にいた人たちを吹き飛ばしたの見たでしょ」
「おみゃーが勇者で魔王じゃとぉ? ははは、なーんしょ笑わせねーでけろ「けろ」って、実は、ケロロ軍曹も筆者は大好きであります!。そったら事、ある訳ねえずらよ。それに、さっきのちんまい魔法だって、あれで教会軍と戦うなんて、無謀もいいところじゃおまへんか」
「ふーん、勇者で魔王っていうのも、私たちの力も信じないんですね」
「あったり前だみゃー」
「そう。だったら、これを見てもらおうじゃおまへんか」

 そして私は右手に魔力を集中させた。
 すぐにてのひらが光り出す。

(あ、こら、何をするつもりだ!)

 心の声さんも黙ってて!
 こうでもしないと、このジジイは納得しないんだから。

「だから、アンタに魔王様らしい威厳が感じられないからよ。その点、ガイア様は」

 ああもう。羽交い絞めから逃れたイシュタルもウルサイ。
 どいつもコイツも、

 手を真上にかざし,一気に魔力を放出する。
 眩しい青白い閃光が走ったギガ〇ィン、ではありません (笑)

「「「「「「「「「「ひっ!」」」」」」」」」」

 湾曲した幾筋もの細い閃光は、首をすくめるジジイや人々の頭上を遥かに越えて、瞬時に彼方の丘に達し、その上半分を連続の  衝撃音と共に粉砕した。

「「「「「「「「「「!!!」」」」」」」」」」

 ぷぷぷ。驚いた。
 魔法の加減は苦手だけど、こういうのは得意なんだ。
 太く一筋に直進させるならともかく、幾筋も同時に,しかも湾曲させて操るなんて普通できないぞ。どうだ、えへん。

ただの自然破壊ではないか良い子は決して真似しないようにしましょう

 う、痛い所を……
 でも、狙った効き目はあったみたい。
 ほーら、ジジイの表情が一変した。
 ついでにイシュタルも口を開けて「あんぐり」だ。

「おっどろいた娘さぁだなも。とんでもにゃー魔力だあ」

 あらまあ、お爺様、やっとわかって下さいましたこと?
 おほほ、嬉しゅうございますわ。

「こりゃまあ、おみゃーさの言うことも信じるしかあるみゃーよ。ふう……」

 あ、意味深な溜息に、なーんか不吉な予感突然の嫌な予感って、根拠もないのに、よく的中しますよね~。ぶるぶるぶる。

「しっかし、こったら娘っ子が勇者で、しかも魔王だとか、そったら事があるんだなあ。びっくりだのし。まっこと、あっちょ〇ぶりけ手塚〇虫先生、ごめんなさいだべぇ!」
「あっちょ〇ぶりけ? 何それ」
「知らにゃーか? 勉強不足だべ。古代のマンガやアニメの神様と呼ばれた御方が、晩年の作品で開発された驚嘆の表現だくさ。両の頬ぉっぺたをこやって手のひらで押さえてさあ、口を丸く尖らせて、真ん丸な目で『あっちょ〇ぶりけぇ!』とやるのが、驚きを特に生々しく表現する秘訣だぁよ。なあ、皆の衆。驚いたなーも」

「「「「「「「「「「(一同、ポーズを取って)おおぅ、!!!」」」」」」」」」」

 ネタかよ不吉な予感は、これか!

「なーんか反応が鈍かのう。もしかして、ワシらの驚きがしっかり伝わっとらんのけ? だったら、同じ『ショーワ』の時代に好んで使われたという、『おったまげー』とか『あっと驚くタメゴローふ、ふ、古過ぎる!』とかいう表現もあるぞい。やってみっか? それ、おったま……」
「いや、それはいいですキッパリと!。ちゃんと伝わりましたから。それに、南の国の人たちの明るさ、ヒョーキンさも。とにかく、教会軍が来る前に、早く遠くに避難してもらって」

 ところが、お爺さんは難しい顔で腕組みだ。

「うーん、それは出来ないさあ」
「えっ、なぜ? 信じてもらえたんでしょう?」
「あみゃーの話は信じるさあ。ばってん、戦いを全ておみゃーら娘っ子や子供に任せて逃げ出すとか、それは別問題やんけぇ。なんせ、

 戦闘民族!
 今はなき、例の野菜の惑星からやって来た人々か鳥〇明先生、ごめんなさい

(違う! 話したであろう。この辺りの都市国家は常に覇権を相争っていたと。そしてまた、後のアステカもまた巨大な軍事国家だったのだ)

 でも、「民族」って言っても、今のこの街は人種が相当バラバラじゃん。

(細かい事を言うな!)

「その誇りにかけてもよぉ、大の男が、お嬢や子供だけに戦わせる訳にいくかっつーの」

 面倒くさい民族だなあ。
 せいぜい早く逃げてくれた方が、こっちは心おきなくたたかえるつーの。
 ん? お爺さん、なんだか口調が若くなってません?

「教会がなんぼのもんやねん。ワシらの実力見せちゃろーかい! どうせヤツらは魔族を滅ぼしたら、次はワシらも旧人類の子孫じゃからて討ちに来るに決まっとるけん」
「へぇー。意外と外界のことに詳しいんだ」
「おーよ。
「シッダさまって?」
「さっきの話の沙門様ばい」
「まだ生きてんの? 遠い昔の話じゃなかったの?」
「ありがたい沙門様じゃあ。この地に来られたのが800年前。不老不死でよお、今も若々しい御姿で、ほれ、あのピラミッドの最上階からワシらを見守っておじゃる」

 確かに街はずれには荘厳な石造りのピラミッド。
 あそこに真っ白な姿の「不老不死」のシッダ様とかいう人物がいるのか!
 もしかして、そいつがやはり実はディ〇・ブ〇ンド―?

(…………)

 そして今、正にそのピラミッドの方向から若者が1人、息せき切って駆けて来て

「ルぅ、ルイジ様ぁ!」

 だから、マ〇オはどこに?

「何だぁ?」
「シッダ様が…… はぁはぁ」
「だから、シッダ様がどうしただーよ」
「このお方達と共にくさぁ、教会軍と戦うようにと仰ってずらあよ」
「なんと! 聞いたかぁ、皆の衆!」

 えっ、えっ?

!」
「「「「「「「「「「おおぉ――――!」」」」」」」」」」

 えっ、えっ、えっ?

「これで存分に戦えるずらぞ。ワイらの力を見せてやろーじゃにゃーか! すぐに戦の用意だあ!」
「「「「「「「「「「おおぉ――――――!!!」」」」」」」」」」

 えっ、えっ、えっ、えっ?!
 い、いや、私、そんなつもりじゃなくて……

(進んで仲間になって共に戦ってくれようというのだ。それで良いではないか)

 だから、そうすると犠牲が。

(仕方があるまい。戦いには尊い犠牲は避けられん。それともお前は、これからの教会との戦いを1人の犠牲も無しに乗り切ろうとでも考えていたのか? それは絶対に不可能だぞ)

 うーん、それはそうだけど、でも。

(こ奴らは、もしかすると、お前が思っているよりもずっと頼りになる強者かもしれんぞ。見よ。この爺も先程とは打って変わって、背筋も伸び、顔にも生気がみなぎっているではないか)

「お嬢ちゃんよぉ、わっしゃあ、おみゃーさが気に入ったでよ。こんな若い娘っ子なのに、勇者で魔王で、教会軍を相手に戦おうとか、たまるかあ! てぇしたもんだのっし」

 褒められちゃいました。

「しかも、ワシらが争っておると心配してよぉ、飛び込んで来て、身体を張って止めようとか。いやあ、見上げた勇気と優しさだぁ。

 あ、最後に心にグサッとくることを。

「見るべえ。嬉しそうに戦いの支度に走って行くずら。皆の気持ちも一緒だっぺ。長年つちかった武略を、やっと発揮できるっちゃ。しかも、おみゃーさ達と一緒にさあ」
「でも、実戦の経験が」
「それは教会軍も同じだあな。ここは魔族の領地からは遠いでのぉ、こっちに向かって来るのはきっと、魔族との実戦経験のない部隊さあ。後は戦意の勝負だべ。だったら決して負けゃーせん」

(聞いたか。この爺、状況を正確に把握しておるではないか。これは期待できるな)

 本当にいいのか、それで?
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