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第十章
王の騎士
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◆◇◆地下・下水道◆◇◆
抜け道は下水道に繋がっており、町外れの墓地に繋がっているようなのだが・・・
「迷った・・・」
下水道は同じような道が多い、目印があれば別だがここにはそんな物は無いようだ。
「まぁ、秘密のって言われるぐらいだし貴族の一部しか知らないんだろうな・・・」
逃げる為にあるのだから目印なんか付けるわけないか・・・
「しかし・・・どうするべきかな・・・」
「お!いたいた!」
「・・・ん?今、ジルみたいな馬鹿っぽそうな声が・・・」
「なに!?クロがいたのか?」
「なんだろう、今、ガルド先生の熊とゴリラを合成したような声が・・・」
「お兄ちゃん!」
「お?今の声はシロか」
俺は振り返る、すると見慣れた三人がいた。
「なんでいるんだ?ジル、ガルド先生、シロ」
俺が平然とした態度で聞くとジルは呆れたように溜め息を吐いた。
「あのなぁ、お前が処刑されるって聞いたから助けに行こうとしたんだぞ?」
「あぁ、ありがとな、でも今は時間が無いんだ。町外れに行かないと・・・」
「町外れか、それならこっちだ」
ジルはこの道を知ってるかのように迷いなく進んだ。
「ってジル、なんでそんなこと知ってるんだ?」
「なんでって・・・俺の一族は王国騎士だぞ?しかも王を護衛を任されるぐらいの」
「あぁ、そういえばそうだったな」
ジルを見てると騎士ってのをついつい忘れてしまう。
・・・と、言おうとしたが胸の内のしまっておくことにしよう・・・
「じゃあ、案内を頼む」
「おう!任せとけ!」
◆◇◆町外れ・墓地◆◇◆
墓地に着くと他の囚人達はもうすでの来ていたようだ。
アドちんが人数確認をしている。
「アドちん!来ました!」
「おぉ!来たかクロ!お前が最後だ!」
「アドちんって・・・何があったし・・・」
「ジル、お前も来てくれるとは心強いな!それと君達は・・・」
アドちんはシロとガルド先生に会ったこと無いんだっけ?
「シロとガルドだな!息子から話は聞いておるぞ!」
あぁ、そうか。
アルベルト王子はシロが好きなんだっけ?
「あれ?そういえばアルベルト王子は?」
「あぁ、フェニクス教が発表してたけどアルベルト王子は好きな女の子を自分のモノの出来る事を条件にフェニクス教に入ったそうだ」
ジルは公表されている情報は大体知っているそうなのでここで聞いておくか。
「・・・その好きな女の子って・・・」
その続きを言おうとしたらシロが震えていたので止めた。
「自分の【モノ】って・・・奴隷制度はこの国には無いだろ・・・」
「それが・・・作るらしいぞ」
「ヤバいなそれ、俺ら捕まったら絶対奴隷に・・・」
反逆罪だの何だの言われるのだろうな・・・と考えているとアドちんが震えていた。
「アドちん・・・?」
「アドルフ王・・・大丈夫ですか?」
俺達は話を止め、アドちんを心配する。
アドちんは目をつぶり、ただ、黙っていた。
そして、目を開けるとーー
「あぁ、大丈夫じゃ、あのバカ息子は元気でやってるらしいな、ハハ、心配して損したのぅ・・・」
アドちんは笑って返した。
作り笑顔であることはすぐにわかった。
今までずっと心配していたのだろう。
それでもアルベルト王子の話題に触れなかったのは殺されていないかと不安で現実逃避をしたかったからだろう。
聞くのが怖かったのはずだ。
何も情報がなかったのが不安だったはずだ。
息子の安否が確認出来なかったのが何よりも恐怖だったはずだ。
それが今、【裏切り】という形で知らされて自分の気持ちが馬鹿らしくなってグチャグチャになってるはずだ。
それを耐えて一人の王として、笑って返したのだ。
民を安心させる為に・・・
「・・・アドルフ王、貴方は立派な王です」
「ジル、ワシは今や王じゃない、反逆者じゃ、その呼び方は止め「いえ」」
「アドルフ王、俺は一度だって王族を守りたいと思った事はありません。」
「・・・ジル?」
「覚えていますか?俺が城を出た日になんと言ったか」
「・・・ハルに王族の守護を任せたい・・・」
「・・・・・・」
ジルはただ黙ってアドちんを見ていた。
そんなジルをアドちんはじっと見て言った。
「だから俺はアドルフ王を守護する事にします。困った事があったらいつでも呼んでください・・・じゃろ?」
「・・・俺は、アドルフ王に憧れていたんです、強くて誰よりも優しい。けれどそれがアドルフ王を今回のように苦しませてることも知っていた。だから俺は王族では無く、貴方を守護したかった。だから言わせてください。俺が守護したいのは王族じゃない。ここにいるアドルフ王だと」
「・・・」
「・・・」
「ジル」
「はい」
「お前から騎士の称号を剥奪する」
「・・・」
「お前は・・・このアドルフ・ラミエルの近衛騎士だ、そして・・・これだけは言わせてほしい。お前は最高の騎士じゃ」
「・・・ありがとうございます・・・」
そしてその夜、俺はアドちんの本名を初めて知った。
抜け道は下水道に繋がっており、町外れの墓地に繋がっているようなのだが・・・
「迷った・・・」
下水道は同じような道が多い、目印があれば別だがここにはそんな物は無いようだ。
「まぁ、秘密のって言われるぐらいだし貴族の一部しか知らないんだろうな・・・」
逃げる為にあるのだから目印なんか付けるわけないか・・・
「しかし・・・どうするべきかな・・・」
「お!いたいた!」
「・・・ん?今、ジルみたいな馬鹿っぽそうな声が・・・」
「なに!?クロがいたのか?」
「なんだろう、今、ガルド先生の熊とゴリラを合成したような声が・・・」
「お兄ちゃん!」
「お?今の声はシロか」
俺は振り返る、すると見慣れた三人がいた。
「なんでいるんだ?ジル、ガルド先生、シロ」
俺が平然とした態度で聞くとジルは呆れたように溜め息を吐いた。
「あのなぁ、お前が処刑されるって聞いたから助けに行こうとしたんだぞ?」
「あぁ、ありがとな、でも今は時間が無いんだ。町外れに行かないと・・・」
「町外れか、それならこっちだ」
ジルはこの道を知ってるかのように迷いなく進んだ。
「ってジル、なんでそんなこと知ってるんだ?」
「なんでって・・・俺の一族は王国騎士だぞ?しかも王を護衛を任されるぐらいの」
「あぁ、そういえばそうだったな」
ジルを見てると騎士ってのをついつい忘れてしまう。
・・・と、言おうとしたが胸の内のしまっておくことにしよう・・・
「じゃあ、案内を頼む」
「おう!任せとけ!」
◆◇◆町外れ・墓地◆◇◆
墓地に着くと他の囚人達はもうすでの来ていたようだ。
アドちんが人数確認をしている。
「アドちん!来ました!」
「おぉ!来たかクロ!お前が最後だ!」
「アドちんって・・・何があったし・・・」
「ジル、お前も来てくれるとは心強いな!それと君達は・・・」
アドちんはシロとガルド先生に会ったこと無いんだっけ?
「シロとガルドだな!息子から話は聞いておるぞ!」
あぁ、そうか。
アルベルト王子はシロが好きなんだっけ?
「あれ?そういえばアルベルト王子は?」
「あぁ、フェニクス教が発表してたけどアルベルト王子は好きな女の子を自分のモノの出来る事を条件にフェニクス教に入ったそうだ」
ジルは公表されている情報は大体知っているそうなのでここで聞いておくか。
「・・・その好きな女の子って・・・」
その続きを言おうとしたらシロが震えていたので止めた。
「自分の【モノ】って・・・奴隷制度はこの国には無いだろ・・・」
「それが・・・作るらしいぞ」
「ヤバいなそれ、俺ら捕まったら絶対奴隷に・・・」
反逆罪だの何だの言われるのだろうな・・・と考えているとアドちんが震えていた。
「アドちん・・・?」
「アドルフ王・・・大丈夫ですか?」
俺達は話を止め、アドちんを心配する。
アドちんは目をつぶり、ただ、黙っていた。
そして、目を開けるとーー
「あぁ、大丈夫じゃ、あのバカ息子は元気でやってるらしいな、ハハ、心配して損したのぅ・・・」
アドちんは笑って返した。
作り笑顔であることはすぐにわかった。
今までずっと心配していたのだろう。
それでもアルベルト王子の話題に触れなかったのは殺されていないかと不安で現実逃避をしたかったからだろう。
聞くのが怖かったのはずだ。
何も情報がなかったのが不安だったはずだ。
息子の安否が確認出来なかったのが何よりも恐怖だったはずだ。
それが今、【裏切り】という形で知らされて自分の気持ちが馬鹿らしくなってグチャグチャになってるはずだ。
それを耐えて一人の王として、笑って返したのだ。
民を安心させる為に・・・
「・・・アドルフ王、貴方は立派な王です」
「ジル、ワシは今や王じゃない、反逆者じゃ、その呼び方は止め「いえ」」
「アドルフ王、俺は一度だって王族を守りたいと思った事はありません。」
「・・・ジル?」
「覚えていますか?俺が城を出た日になんと言ったか」
「・・・ハルに王族の守護を任せたい・・・」
「・・・・・・」
ジルはただ黙ってアドちんを見ていた。
そんなジルをアドちんはじっと見て言った。
「だから俺はアドルフ王を守護する事にします。困った事があったらいつでも呼んでください・・・じゃろ?」
「・・・俺は、アドルフ王に憧れていたんです、強くて誰よりも優しい。けれどそれがアドルフ王を今回のように苦しませてることも知っていた。だから俺は王族では無く、貴方を守護したかった。だから言わせてください。俺が守護したいのは王族じゃない。ここにいるアドルフ王だと」
「・・・」
「・・・」
「ジル」
「はい」
「お前から騎士の称号を剥奪する」
「・・・」
「お前は・・・このアドルフ・ラミエルの近衛騎士だ、そして・・・これだけは言わせてほしい。お前は最高の騎士じゃ」
「・・・ありがとうございます・・・」
そしてその夜、俺はアドちんの本名を初めて知った。
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